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小坂正則の個人ブログ

脱原発大分ネットワークの機関誌「つゆくさ通信」123号③

脱原発大分ネットワークの機関誌「つゆくさ通信」123号③
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福島の子どもたちを安全な場所で育てるのは私たち大人の義務
小坂正則


20ミリ以下、大きな影響なし 規制委、住民帰還で提言へ

東京電力福島第1原発事故で避難している住民の帰還に向け、放射線防護対策の提言を検討している原子力規制委員会が、年間の追加被ばく線量が20ミリシーベルト以下であれば健康に大きな影響はないという見解を提言に盛り込む方針を固めたことが8日、分かった。
放射線防護対策を議論する11日の検討チームで提言案を示し、月内にもまとめる。規制委の提言を受け、政府は住民帰還に向けた具体的な放射線対策を年内にとりまとめる方針。
と、11月8日の共同通信が伝えていた。

チェルノブイリ原発事故では「強制避難地域」が日本では住居可能区域?

政府は「子ども被災者支援法」を1年以上の間、たなざらしにしていて、やっと中身のある支援法として動き出すのかと思ったら、とんでもないことに、この法律を利用して福島県内の放射能汚染による立ち入り禁止区域から「避難指示準備解除区域」へ変更になった年間被曝量が20ミリシーベルト以下の区域の住民を帰還させる方針だという。そして、規制庁は「年間被曝線量が20ミリ以下であれば健康に大きな影響はないと放射線防護検討委員会で早急に決めて、住民を帰還させる」という。
チェルノブイリ原発事故周辺地域は5ミリシーベルト以上は強制避難区域、5ミリから1ミリ以上避難選択可能区域に指定されているのに、日本は「年間20ミリ以下ならこどもも暮らしてもいい」という。この国は狂っている。私は規制庁や自民党政府に怒りを持って抗議したい。福島の子どもたちを殺す気かと。

年間20ミリシーベルトとはどのくらいの線量か

私たちは年間20ミリシーベルトといわれても全然実感が沸かない。だから、その値がどのくらいの汚染度になるかということをちょと考えてみたい。私たちが暮らしている日本の平均的な空間線量は0.05マイクロシーベルトだ。その普通の地域での外部被曝線量は年間にすると0.05×24時間×365日=438マイクロシーベルトだ。これを1000で割れば0.438ミリシーベルトとなる。だから私たちは平均したら、年間0.438ミリシーベルトくらいの被曝をしいる。それに対して20ミリは46倍になる。だから福島の避難解除区域は私たちに比べて46倍以上の汚染地に暮らすことになるのだ。しかし、ここには大きなウソがある。国は空間線量を計る時は、地上から1メートルから1.5メートルの高さで空間線量を測定する。そうすると、汚染地帯では一気に空間線量が低くなるのだ。
ちなみに大分では地上に測定器を置いて計っても1メートル以上の高さで測っても空間線量はほとんど変わらないが、福島では大きく数値が変動する。それはなぜか。大分の空間線量の大半は宇宙から飛んでくるガンマー線などだが、福島は土壌が著しく汚染しているから、そこから発せられる放射線は距離を離せば離すほど数値は低くなるのだ。だから大分の地上近くに比べたら20ミリの地域は46倍などではないだろう。その何十倍も何百倍にもなるだろう。また子どもは背が低いので測る高さが1メートル以上というのは全くのインチキだ。

内部被曝は考慮されていない

また大きな2つ目のウソが隠されている。それは福島で測定される放射能はガンマー線量だけだということだ。ストロンチウムはベーター線を出すし、プルトニウムはアルファー線をだすが、これらの核種は測定してないので、どれだけ被曝したかは誰にもわからない。特に食べ物による内部被曝が心配されるのだが、政府のいう被曝線量には内部被曝は含まれていない。福島では今でも原発から毎日2億4000万ベクレルの放射能が大気中に放出されていることを忘れてはならない。最近でも10月21日に福島を中心に急激に放射能の値が高くなったことがあったそうだ。また、1号機から4号機まで原子炉建屋の瓦礫撤去を行ったが、クレーンでなぎ倒したりして、高濃度の放射能のチリを大気中にまき散らした。
だから福島原発周辺で暮らせば、原発から垂れ流される放射能チリの中に含まれているプルトニウムやセシウムや放射性ヨウ素も吸い込むことになる。それに食べ物による内部被曝も考えられる。放射能汚染地帯で生活して、汚染されていない水や食べ物を確保する方が困難だろう。
だから大人たちには避難解除準備区域へ帰るという自由は、もちろんあるだろうが、親だといえども自分の子どもに無用な被曝を強いる権利が親にあるのだろうか。

こどもたちを少しでも安全な場所で育てるのは私たち大人の義務

放射線従事者の年間被曝限度は50ミリシーベルトで5年間で累計100ミリだと決められている。それはレントゲン技師や原発作業員など、被曝のリスクを受けることが仕事上避けて通れない人びとのやむを得ない我慢値だ。しかし、5年間で100ミリとは1年間平均したら20ミリにしかならない。つまり、20ミリの地域で暮らすということは原発労働者の作業現場かレントゲン室の中で食事をしたり子どもたちを寝泊まりさせているのと同じことなのだ。
そんなことが世界中で通用するだろうか。ベラルーシでは1ミリから5ミリの地域の子どもたちを夏休み疎開させる事業を国がやって来た。それでも健康な子どもたちは全体の15%しかいないと、一昨年の夏放送されたNHKの「チェルノブイリから25年」という番組では語られていた。 福島の子どもたちの中で甲状腺ガンの疑いのある子どもたちが59人いたという話しなど、これから様々な症例が現れてくる可能性が高い。福島原発の放射能を浴びた大人たちや子どもたちは、放射能という名の爆弾を抱えて、これからも生きていかなければならないのだ。せめて、少しでも線量の低い土地で子どもは暮らしてもらいたい。そして、それを助けることが国の責任であり、私たちの責任ではないのだろうか。
大分の私たちの仲間は被災者の疎開受け入れを今でもやっている。福島の人で大分まで来る人はほとんどいないけど、私たちは東日本の人びと、特に子どもたちが元気に生きていけるための支援を、これからもやっていかなければならない。それが私たちのできる福島を中心とした東日本の被災者の人びとへの絆だと思うからだ。そして1日も早く「こども被災者支援法」が子どもたちの健康調査や医療支援や全ての放射能被害に遭った人びとへの支援となる中身の伴った法律にしなければならない。
by nonukes | 2014-01-21 00:09 | 脱原発大分ネットワーク | Comments(0)

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