2013年 10月 09日
電力会社は原発を動かす前に「無制限損害賠償保険」に加入しろ
電力会社は原発を動かす前に「無制限損害賠償保険」に加入しろ
小坂正則
そういえば、東京新聞が指摘するまで私も「原賠法」の1200億円という上限の見直しをすっかり忘れていました。日本中の電力会社は1ヶ所の原発の保険は1200億円しか入っていないのです。東電の福島原発事故でこれまでかかった損害は5兆円を越えています。しかし、東電が入っていた保険はわずか1200億円です。これからもまだまだ東電は事故対策費用が5兆円以上もかかると言われています。だから、このままの保険料で原発を再稼動されたのでは、次にほかの電力会社の原発で事故があったら、政府がまた損害費用をかぶらなければならなくなって、それは結局は税金で賄われることになってしまいます。福島原発事故の補償だけでも沖縄電力を除く日本原子力発電や日本原燃など11社で1630億円を払い続けることになっているというのに、その上、次の事故があったら、またまた何千億円を電力各社で払い続けることなんか出来るわけはありません。そんなに原発を動かしたいのなら、ちゃんと日本生命や安田火災などの保険会社の「無制限原発安心保険」にでも加入して、10兆円でも20兆円でも補償してくれるようにしてもらわなければ私たちは夜な夜な安心して寝ることもできません。
1200億円しか保険に入ってない原発をたとえるなら、無保険でしかも車検も切れている改造車を超乱暴運転する暴走族が高速道をぶっ飛ばすのと同じです。ちゃんといつ事故があっても、せめて、被害者の財産の補償と生活や治療費だけは支払ってもらえるいうに、補償制限なしの任意保険に入ってから運転開始してもらうのは当然の義務です。ただ、そんな暴走族の違法改造車の保険を加入させてくれる保険会社があるかどうかは私は知りませんが。おまけに、ひどい事故歴のある東電暴走族は保険会社は入れてはくれないのではないかと私は思いますが。
実は私は車の事故歴で保険会社が入れてくれなかったことがあるのです。妻が事故って、その後すぐに私が事故ったら、「当分の間当社の保険には入ることは出来ません」と断られたことがあるのです。それは当たり前でしょう。保険会社もボランティアで保険をやっているわけではないのです。保険で利益を出さなければならないのですから、東電の保険料は相当の額でなければ保険会社は保険には入れてくれないでしょう。
ちなみに日本の損害保険会社は全ての会社が、損害保険のお客様の保険を、そっくりそのまま、イギリスの保険会社に加入するそうです。その保険料がお客からもらった保険料よりもわずかに安いので、その差益で儲けていると聞いたことがあります。つまりイギリスの損害保険会社は地震国の原発保険は受け付けてくれないのではないでしょうか。また、アメリカではチェルノブイリ原発事故以後、原発の保険料が跳ね上がったということを聞いたことがあります。アメリカは自由の国ですから保険料が高すぎて原発から撤退したと聞きましたが。さて、日本の電力会社は無保険で違法改造暴走車を危険運転し続ける気でしょうか。
原発事故賠償 備え不足 政府 法律見直し放置 東京新聞2013年10月7日 朝刊
東京電力福島第一原発事故を受け、2011年8月に国会で原子力損害賠償法(原賠法)を「一年をめどに見直す」と決議したのに、期限を一年以上過ぎても、ほとんど検討が進んでいないことが分かった。重大事故が起きれば賠償額は兆円単位。これに対して、備えはわずか千二百億円の保険のみ。電力各社からは再稼働申請が相次いでいるが、住民への賠償面で大穴があいたままだ。 (岸本拓也)
現行の原賠法では、事故の責任は基本的には電力会社にあるが、巨大な天災などが原因の場合はあいまいになっている。福島の事故では、賠償や除染の事業費で少なくとも五兆円はかかることが確実だが、電力会社が備えているのは一原発当たり上限千二百億円の保険だけだ。
福島の事故を受け、国は急きょ原子力損害賠償支援機構法を成立させ、国が支援機構を通じて東電に賠償資金を支援し、各電力会社が数十年かけて国に返済していく仕組みをつくった。
この仕組みは形式的にはどの原発にも適用できるが、実質的には福島の事故のための暫定的なもの。各社が機構に納めている積立金(負担金)も国への返済に消え、次の事故に備えた積み立てではない。
国会は機構法を成立させる際、国の賠償責任を含め、原賠法を「一年をめど」に抜本的に見直すと付帯決議した。だが、国は原子力政策がまだ決まっていないことなどを理由に具体的な見直しを先送りしている。
一方、東電を含め、五つの電力会社が七原発の再稼働を原子力規制委員会に申請。新しい規制基準に基づく審査は淡々と進んでおり、今冬にも再稼働する原発が出てきそうだ。安倍政権は「規制委が安全と判断した原発は活用する」と再稼働を推進するが、国の賠償責任のあり方を放置したままでは無責任との批判は免れない。
<原子力損害賠償法> 日本で原発が商業運転を始める前の1961年に制定。原発事故などで周辺に損害が出た際の賠償制度を定めている。「被害者の保護」とともに、加害者となる「原子力事業の健全な発達」も目的に掲げ、法律の専門家から批判の声がある。福島第一原発事故では東電の能力を超える賠償金が発生、政府は暫定的に原子力損害賠償支援機構を設立し、東電に資金援助しながら賠償している。
by nonukes
| 2013-10-09 16:29
| 原発再稼働は許さない
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