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小坂正則の個人ブログ

汚染水ダダ漏れは東電がケチったからだった(日刊ゲンダイ)

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海江田民主代表が暴露 汚染水ダダ漏れは東電のケチが原因
日刊ゲンダイ2013年8月28日

大新聞はまったく無視したが、今月26日、民主党の海江田万里代表が定例記者会見で、聞き捨てならない事実を明らかにした。なぜ、福島第1原発の汚染水がここまで深刻化したのか。実は2011年当時、吉田昌郎・福島第1原発所長と総理補佐官だった馬淵澄夫・元国交大臣らの間で「地下遮水壁」方式が検討されたのに、東電が財政的理由を口実に実行しなかった、というのである。東電の大罪、民主党政権の甘さ、自民党政権の無責任は断罪されるべきである。
海江田氏は会見で、2011年に作成された「ロードマップ」(事故収束に向けた工程表)に「遮水壁の検討」が明記されていることを明らかにした。
このロードマップはその後、改訂され、同年12月の改訂版にはさらに踏み込んで、「遮水壁を作る方向でいく」と書かれていた。
海江田氏は「(改訂版の表の)矢印は『二〇一四年度には遮水壁ができる』と書いてある」と強調。この工程表通りに対処が進んでいれば、今頃、汚染水でバタつくことはなかった、という見方を示した。
この時に具体化した「遮水壁」は鋼矢板(鉄製の長細い板)を使った方式で、いま東京電力が進めようとしている「凍土方式」とは異なる。当時も、凍土方式は検討されたが、結論は「実現可能性は低い」だった。広い範囲での工事実績がなかったためで、「凍土方式ではなくて、馬淵補佐官が提案した矢板を入れて地下水を遮水する方式になった」(海江田氏)そうだ。

それがなぜ、実行に移されなかったのか

「工事費が1000億円かそれ以上かかるという財政問題だった」と海江田氏は暴露した。
「東電は『費用がかかりすぎる』と、一貫して後ろ向きで腰が引けていた。その傾向は今も続いていて、それが結果的に今日の非常にずさんな監視体制になっているのではないか」

<安倍政権も半年間放置>

改めて、とんでもない会社だが、民主党政権だって、コトの重大さは分かっていたはずだ。首に縄をつけてでも、汚染水の抜本処理に乗り出させるべきだった。それはもちろん、今の安倍政権にしたって同様だ。
3月の予算委員会で海江田は「汚染水対策は最重要である」と質問した。答弁を求められた安倍首相は経産大臣に丸投げして、涼しい顔をしていた。汚染水処理の重大性がてんで分かっていなかったのである。
しかも、今ごろになって、税金を投入して、一度、無理とされた凍土方式を持ち出している。なぜ、再び、凍土方式が出てきたのか。利権がらみか、とささやかれている。東電と安倍政権に任せていたら、絶対に汚染水問題は解決しない。

吉田所長も訴えた事故対策を無視し続けた東電
小坂正則

私も東電の事故対策に対して大変違和感を感じていた。まず、2011年の海への汚染水の漏洩時も場当たり的な新聞紙やおがくずを投げ入れて漏水を止めようとした東電の事故処理に世界中から不信の声が上げられていた。また、原子炉建屋に流れ込む400トンの地下水の内300トンを回収していると東電は公表していたが、「残りの100トンはどこに行ったのか」という記者会見での記者の質問に対して、東電は「行方不明です」としか答えてこなかった。そんなことは子どもでも分かることだ。「海の前にある原子炉に流れ込んだ地下水は海に行くしかほかには行き場はない」からだ。そんなわかりきったことを2年以上も放置していて、今頃になって「遮蔽クイを撃ち込む」などは対応が遅そ過ぎる。泉田新潟県知事が記者会見で話してが、菅元総理が東電に遮蔽板の設置を指示したら、東電は「金がかかり過ぎるので出来ない」と拒否したというとおりだ。
東電の計画では原子炉建屋と山側の間に「凍らせたクイを撃ち込んで遮蔽板を作る」として、「その前に穴を空けて地下水をくみ出す」と言うが、この計画自体も実に怪しい。まだ実用化されていない地面を凍らせる方法は大手ゼネコンが潤うだけの大規模工事だという。大規模工事でも効果が大きいのなら致し方ないが、素人考えでも、遮蔽用の矢板を建屋の周囲に撃ち込んで地下水を遮断してその内側を掘って、最終的にはセメントで遮蔽壁を作ればいいのではないか。
もしくはチェルノブイリでも行ったという工法の地下トンネルを掘って原子炉の真下を鉛の遮蔽板で隔離するという方法をなぜこの場に及んでも取らないのだ。故吉田所長も鉛による遮蔽工事の実施を東電幹部に訴えていたという。日本のトンネル工法は世界一だとゼネコンはいつも自慢しているではないか。遮蔽壁は浜岡で作った巨大な20メートルの壁がある。あんなものは浜岡は廃炉だから必要ないので福島に運んできて埋めてしまえばいいではないか。
早急に福島原発の遮蔽工事に取りかからなければ世界中から日本政府は非難の矢面に晒されるぞ。いやもう晒されている。チェルノブイリ事故に対するソ連政府の対応に比べても東電の対応はいい加減すぎる。
この1件だけを考えても、放射能汚染対策よりも利益を優先する東電はサッサと倒産させるべきではないだろうか。
by nonukes | 2013-08-30 14:41 | 福島原発事故 | Comments(0)

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