2013年 03月 23日
NHKの堀潤アナウンサーはできればNHKに残って頑張ってほしかった
「テレビではやれないことをやりたかった」
「フライデー」2013年3月22日号より
2月28日、アメリカ・UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の視聴覚室で、ある自主制作ドキュメンタリー映画の上映会が開催された。集まった数十名の観客は監督・堀潤氏(35)の説明に聞き入っていた。
上映会でそう語った堀氏は、端正な顔立ちで〝NHKきってのイケメンアナ〟として知られた存在。'77年に兵庫県に生まれ、神奈川県立横浜平沼高校、立教大学文学部ドイツ文学科を卒業後、'01年にNHKに入局した。『ニュースウオッチ9』のリポーター時代には、報道局が特ダネに対して贈る賞を4年連続で5回も受賞。'10年には32歳の若さで『Bizスポ』の総合司会に抜擢された。女性人気だけでなくアナウンス技術も高く評価され、NHK次代のエースと目されていた。そのままいけば、間違いなく『ニュース7』キャスターなど、NHKアナウンサーとしての〝王道〟を歩んだだろう。転機となったのは、'11年の東日本大震災だった。原発事故後、反原発発言や、NHKの〝誤報道〟への謝罪や批判をtwitterで発信し続けたのだ。
〈福島県で除染作業に携わっていた60代の男性が亡くなった。男性の死亡原因について国は「除染作業と関係はない」としているが何故関係がないと判断したのか、その根拠も示さなくてはいけない。チェルノブイリ事故でさえ人体への影響について研究が続けられている最中だというのに。情報公開の徹底を!〉('11年12月12日)
〈国や組織に期待してはだめだ。もうだめだ。僕らで動こう。僕らで考えよう。僕らでこの国を変えよう。だって、僕らの国なんだからさ〉('11年12月12日)
堀氏の踏み込んだ発言は局内で問題視され、徐々に立場を失っていく。出世街道を捨ててまで、彼を突き動かしたものはなんだったのか。原発の取材をする中、交友するようになった堀氏が、ある時、こう話してくれた。
「ちょうど震災の2週間前、福島の農家の人たちを取材したんです。地銀と協力してブランド力のあるアスパラガスや養殖のマスを売り出そうという取り組みをされていたのですが、事故が起き、農家の方々の生活は完全に破壊されてしまった。それだけ影響力の大きい原発の安全対策があまりに杜撰なことに憤りを覚えたのがきっかけです。局内で僕は〝テロリスト〟のような扱いで、上層部の部屋に何度も呼び出されました。ですが、その度に、耳を塞ぐように聞いていましたね(笑)」
局内で行き場を失ってしまった堀氏は、『Bizスポ』の終了に伴い、昨年6月から、UCLAに留学した。客員研究員としてデジタルメディアの研究をする傍らで、日米各地で原発の取材をし、ドキュメンタリー映画『変身』の制作に打ち込んできた。その作品の上映会が開催されたのだ。
『変身』は、福島、ペンシルベニア州のスリーマイル、ロサンゼルス郊外のサンタスザーナのメルトダウン事故を追った作品。被災者や原発作業員の内部告発などから構成され、徹底した反原発の視点から語られている。堀氏は上映会でこう力説した。
「事故が起きた、忘れた、の繰り返しではなく、将来、世界のどこかで起きるかもしれない事故に備え、過去の事故の経験や知識を共有しなくてはならないという思いから、この映画を作りました」
「テレビは、社の価値基準で判断した一つの最終完成形しか公開しません。しかし、〝テレビの取材はまだここまでしか到達していない〟ということが分かれば、専門家や市民が新たな角度やデータを提案して、別の到達地点を探すことができる。テレビは多様な見解や提案を受け付け、それらを研究するシンクタンク的存在になるべきだと思います」
4月から、堀氏はNHKに復帰し、日本に戻ってくる。しかし、報道番組ではなく、『きょうの料理』の司会者としてだ。
二度と政治的な発言をしないようにと用意されたポストだろう。「1年後はどうなっているか。フリーになっているかもしれない」と笑うが、仮にそうなったとしても、政治的な発言を繰り返す彼を起用しようとするメディアは多くはないだろう。だが、本人はこう語る。
「これまで、上を恐れずに発言してきたつもりです。そして、これからもおかしなことがあれば意見して変えていきたい」
NHKの堀潤アナウンサーはできればNHKに残って頑張ってほしかった小坂正則
こんな骨のあるNHKのアナウンサーが辞めてしまっては大変もったいない。NHKの中でしかできないことはたくさんあるのではないかと私は思うからです。
NHKを中から変えてほしかった。「公共放送だから中立だ」とNHKは言うが、中立などという言い方は、「本当は権力の側に近い立場なのだけど人びとを騙すために中立と言っておこう」という目くらましです。「報道の理念はいかなる権力にも屈せず真実の報道を行う」しかありません。公共放送という立場をわきまえるなら、市民の様々な意見を正確にくみ取って、対立する問題は双方の意見を主張させて、その中から解決策を探るべきだと私は思います。アメリカなどでは市民に開かれた放送を行う、テレビ局がたくさんあるそうです。それは反論権の保障であり、自分の考えをハッキリ主張するということです。また、新聞記者などはこのように言うそうです。「私は民主党の意見に賛成です。なぜならはこういう理由からです」と。その方がよっぽど良心的で対立する中身が明確に理解できます。それに比べて日本の新聞は「これも悪いがこちらも悪い。だからここら辺で妥協すべきだ」というような曖昧な主張が多すぎます。国民の側に立って権力の不正や矛盾点などにチェックを行っているのは東京新聞くらいです。別の意味でスッキリと権力の手先を自称している読売、産経、日経も 朝日や毎日に比べたらスッキリしてはいますが。
これからの堀潤氏の健闘に期待しましょう。
by nonukes
| 2013-03-23 20:38
| マスコミと原発
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