2012年 11月 11日
「ぼくはお金を使わずに生きることにした」を読んで感じたこと2
「お金を使わない生活」は楽しく、自分も社会も変えられる その2
お金をかけなくても「今日はゆっくりecoがいい」を楽しく開催
前回、「お金のない生活が楽しいし、社会の呪縛から逃れられるのではないか」というお話をしました。そこで今回もその続きを書きたいと思います。というのも、こんなことがあったからです。
これまで毎年100万円近くの予算でNPO主催の「今日はゆっくりecoがいい」という環境イベントを11月最初の土曜日に田の浦ビーチで開催してきました。今年は国からの補助金もなければ県や市からの補助も何もありません。だから今年はやめようと私は思っていました。しかし、3.11脱原発のパレードとマルシェに積極的に関わったランちゃんが「私が手伝うからやろうよ」といってくれたので、私も半ば諦めていたイベントを開催する決心がついたのです。予算は10万円以内。できれば5万円くらいがうれしい。そして、「出店者には出店料をもらうし、テントも机もすべて自分で持ってくる」という条件で呼びかけたら、約30店舗の応募があり、当日はお客さんも予想を遙かに上回る大盛況のイベントが開催できたのです。
これまではテントの設置や配線工事に何十万円と支出して、新聞広告や折り込みチラシなども数十万円をかけて出稿していたのをすべて削減して、チラシも5000枚だけをみんなに配布してもらっただけでした。それなのに、みんなもお金がないことを理解してくれて、暖かな手作りの催しが実現したのです。多くのお客さんや出店者から「こんな素敵な催しは初めてだ」とうれしい声をかけてくれました。つまり、「お金を使わなくても知恵と想いを込めれば人びとを感動させる催しはできるのだ」ということを実感したのです。これこそ「今日はゆっくりecoがいい」の神髄ですよね。そのことを私はイベント5年目にして初めて自覚できたのです。
貧乏暮らしは松下センセの教えに従った
私の恩師である松下竜一センセは作家業界きっての貧乏作家でした。以前、九大の平井助手の講演会を開催した後の宴席で、なぜか年収の話になり、平井さんが「私の年収は600万円くらい」というと、松下センセは「ひぇーそんなにもらっているんだ」といいました。横に座っていた私も「私だって500万円はもらっているよ」というと、松下センセは「小坂もそんなにもらっているんだ」といって、ちょっとショックなようでした。だって、松下センセは年収150万円くらいだったので、弟子の私が恩師の3倍以上も年収があるのがちょっとショックだったのだと思います。しかし、今の私はNPOのたった1人の専従です。給料は税込み12万円ですが、7月からは給料を支払っていません。なぜかって、収入がほとんどないので、自分で自分に支払うようなものだから面倒くさくて出していないのです。どうせ年度末に赤字になれば私が立て替えるのですから。だから年収でいうとほとんどマイナスかゼロに近いと思います。「自分でもよく生活が成り立っているな」と感心してしまいます。まあ、それでも、私は恵まれています。家賃はいらないし、電気代は太陽光発電が稼いでくれるのでほとんど不要ですし、簡易水道ですから水道料金も不要です。しかし、社会保険料や車の維持費やなんかで年間100万円は固定の支出があります。わずかな講演料と薪の販売収入が私の収入のすべてです。でも、毎日、何とか生きていけるのですから、人間は何とかなるものですね。
そんな貧困生活を送っている中で私は今回の「ぼくはお金を使わずに生きることにした」という著書に出会ったのです。これは偶然ではないと思います。出会うべくして出会ったのです。
マイナス経済成長の社会で幸せを実現するにはどうすればいいか
私は11月にある高校の社会教育というカリキュラムに呼ばれました。自然エネルギーの話をすればいいのだと思ったですが、それだけを話しても高校生がどこまで理解してくれるかも分からないし、「ほとんどの生徒とはもう二度と会うことなどないのだから、心に残ることを1つだけでもいっておきたい」と思ったのです。
そこで自然エネルギー、特に太陽光や風力発電やバイオマスの熱利用などによる雇用を生み出す割合を簡単に試算してみました。するとバイオマスの熱利用が同じだけ投資しても雇用を生む効果は一番大きいのです。という話をしました。おまけに日本のスギはこれから中国や韓国に売ることが出来るので林業をもっと発展させれば、私たち大分の地方の人間が生き延びる方法はいくらでもあるし、「山は再生可能な油田」と同じだ。と吹聴しました。
次に東京の企業が大分に進出してメガソーラーを設置しても、大分の地域にお金が落ちるのはわずかな地代だけで、それだったら大分のみんなでメガソーラーを設置したら、地代の10倍以上のお金が落ちるし、そのお金の大半が大分の地域にお金が回り雇用も生まれる可能性がある。しかし、東京本社の企業は不況になれば地元採用の派遣社員の首を切って東京に逃げてしまうが、大分の社長は倒産するまで地元から逃げることはない。だから地域の資源は地域の企業が利用して地域の人を雇用するのが地元のためになるのだと話しました。「お金は狭い地域で回すのが一番地域が豊かになる」という話をしました。
「幸せとは何だろうか」を考えてみませんか
最後に「あなたにとって幸せとは何だろう」と問いかけてみました。日本は戦後から70年のオイルショックまで高度経済成長を突き進みました。しかし、70年代のオイルショックから90年代の失われた20年といわれる時代を経て、低成長時代へ突入したのです。既に経済成長の時代は終わりました。しかし、考えてみれば当然のことです。ヨーロッパでは70年代から安定成長とか低成長という時代を40年もの間過ごしてきたのです。世界幸福度ランキングで世界一はデンマークです。ちなみに日本は90位です。経済成長がなくても医療や雇用や福祉が充実していれば人びとは幸せなのです。
ところで中国が毎年8%の経済成長を遂げています。2020年には2010年の2倍のGDPを実現すると中国政府は発表していましたが、そうなれば中国が世界一の経済大国となるでしょう。しかし、そんなに経済発展を遂げたら地球は持つのでしょうか。大変疑問です。レスターブラウン氏は「プランB」という著書の中でこのように言っています。中国が年率8%の経済成長を続ければ2030年には国民の3/4の人が車を所有し、12億台の車が走る。そして中国で1日9000万バーレル石油を消費する。しかし、世界の原油生産量は1日に8500万バーレルしかない。つまり、この時点で私たちの石油の需給は崩壊するのだというのです。
これからの日本は経済成長しないでしょう。すると、わずかな給料しかもらえないかもしれません。それだったら、その分お金では買えないものを私たちの喜びとして生きていかなければならないのです。それは時間かもしれません。私が自由に使うことの出来る時間です。そして資本主義という社会体制は利潤を得ることが出来なければ誰も投資はしませんがNPOや協同組合など非営利事業は投資への配当をしなくてもいいのです。次の時代の主人公は非営利組織かもしれません。ちなみにアメリカでは労働者の1/3が何らかの非営利組織で働いているそうです。
お金をかけなくても「今日はゆっくりecoがいい」を楽しく開催
前回、「お金のない生活が楽しいし、社会の呪縛から逃れられるのではないか」というお話をしました。そこで今回もその続きを書きたいと思います。というのも、こんなことがあったからです。
これまで毎年100万円近くの予算でNPO主催の「今日はゆっくりecoがいい」という環境イベントを11月最初の土曜日に田の浦ビーチで開催してきました。今年は国からの補助金もなければ県や市からの補助も何もありません。だから今年はやめようと私は思っていました。しかし、3.11脱原発のパレードとマルシェに積極的に関わったランちゃんが「私が手伝うからやろうよ」といってくれたので、私も半ば諦めていたイベントを開催する決心がついたのです。予算は10万円以内。できれば5万円くらいがうれしい。そして、「出店者には出店料をもらうし、テントも机もすべて自分で持ってくる」という条件で呼びかけたら、約30店舗の応募があり、当日はお客さんも予想を遙かに上回る大盛況のイベントが開催できたのです。
これまではテントの設置や配線工事に何十万円と支出して、新聞広告や折り込みチラシなども数十万円をかけて出稿していたのをすべて削減して、チラシも5000枚だけをみんなに配布してもらっただけでした。それなのに、みんなもお金がないことを理解してくれて、暖かな手作りの催しが実現したのです。多くのお客さんや出店者から「こんな素敵な催しは初めてだ」とうれしい声をかけてくれました。つまり、「お金を使わなくても知恵と想いを込めれば人びとを感動させる催しはできるのだ」ということを実感したのです。これこそ「今日はゆっくりecoがいい」の神髄ですよね。そのことを私はイベント5年目にして初めて自覚できたのです。
貧乏暮らしは松下センセの教えに従った
私の恩師である松下竜一センセは作家業界きっての貧乏作家でした。以前、九大の平井助手の講演会を開催した後の宴席で、なぜか年収の話になり、平井さんが「私の年収は600万円くらい」というと、松下センセは「ひぇーそんなにもらっているんだ」といいました。横に座っていた私も「私だって500万円はもらっているよ」というと、松下センセは「小坂もそんなにもらっているんだ」といって、ちょっとショックなようでした。だって、松下センセは年収150万円くらいだったので、弟子の私が恩師の3倍以上も年収があるのがちょっとショックだったのだと思います。しかし、今の私はNPOのたった1人の専従です。給料は税込み12万円ですが、7月からは給料を支払っていません。なぜかって、収入がほとんどないので、自分で自分に支払うようなものだから面倒くさくて出していないのです。どうせ年度末に赤字になれば私が立て替えるのですから。だから年収でいうとほとんどマイナスかゼロに近いと思います。「自分でもよく生活が成り立っているな」と感心してしまいます。まあ、それでも、私は恵まれています。家賃はいらないし、電気代は太陽光発電が稼いでくれるのでほとんど不要ですし、簡易水道ですから水道料金も不要です。しかし、社会保険料や車の維持費やなんかで年間100万円は固定の支出があります。わずかな講演料と薪の販売収入が私の収入のすべてです。でも、毎日、何とか生きていけるのですから、人間は何とかなるものですね。
そんな貧困生活を送っている中で私は今回の「ぼくはお金を使わずに生きることにした」という著書に出会ったのです。これは偶然ではないと思います。出会うべくして出会ったのです。
マイナス経済成長の社会で幸せを実現するにはどうすればいいか
私は11月にある高校の社会教育というカリキュラムに呼ばれました。自然エネルギーの話をすればいいのだと思ったですが、それだけを話しても高校生がどこまで理解してくれるかも分からないし、「ほとんどの生徒とはもう二度と会うことなどないのだから、心に残ることを1つだけでもいっておきたい」と思ったのです。
そこで自然エネルギー、特に太陽光や風力発電やバイオマスの熱利用などによる雇用を生み出す割合を簡単に試算してみました。するとバイオマスの熱利用が同じだけ投資しても雇用を生む効果は一番大きいのです。という話をしました。おまけに日本のスギはこれから中国や韓国に売ることが出来るので林業をもっと発展させれば、私たち大分の地方の人間が生き延びる方法はいくらでもあるし、「山は再生可能な油田」と同じだ。と吹聴しました。
次に東京の企業が大分に進出してメガソーラーを設置しても、大分の地域にお金が落ちるのはわずかな地代だけで、それだったら大分のみんなでメガソーラーを設置したら、地代の10倍以上のお金が落ちるし、そのお金の大半が大分の地域にお金が回り雇用も生まれる可能性がある。しかし、東京本社の企業は不況になれば地元採用の派遣社員の首を切って東京に逃げてしまうが、大分の社長は倒産するまで地元から逃げることはない。だから地域の資源は地域の企業が利用して地域の人を雇用するのが地元のためになるのだと話しました。「お金は狭い地域で回すのが一番地域が豊かになる」という話をしました。
「幸せとは何だろうか」を考えてみませんか
最後に「あなたにとって幸せとは何だろう」と問いかけてみました。日本は戦後から70年のオイルショックまで高度経済成長を突き進みました。しかし、70年代のオイルショックから90年代の失われた20年といわれる時代を経て、低成長時代へ突入したのです。既に経済成長の時代は終わりました。しかし、考えてみれば当然のことです。ヨーロッパでは70年代から安定成長とか低成長という時代を40年もの間過ごしてきたのです。世界幸福度ランキングで世界一はデンマークです。ちなみに日本は90位です。経済成長がなくても医療や雇用や福祉が充実していれば人びとは幸せなのです。
ところで中国が毎年8%の経済成長を遂げています。2020年には2010年の2倍のGDPを実現すると中国政府は発表していましたが、そうなれば中国が世界一の経済大国となるでしょう。しかし、そんなに経済発展を遂げたら地球は持つのでしょうか。大変疑問です。レスターブラウン氏は「プランB」という著書の中でこのように言っています。中国が年率8%の経済成長を続ければ2030年には国民の3/4の人が車を所有し、12億台の車が走る。そして中国で1日9000万バーレル石油を消費する。しかし、世界の原油生産量は1日に8500万バーレルしかない。つまり、この時点で私たちの石油の需給は崩壊するのだというのです。
これからの日本は経済成長しないでしょう。すると、わずかな給料しかもらえないかもしれません。それだったら、その分お金では買えないものを私たちの喜びとして生きていかなければならないのです。それは時間かもしれません。私が自由に使うことの出来る時間です。そして資本主義という社会体制は利潤を得ることが出来なければ誰も投資はしませんがNPOや協同組合など非営利事業は投資への配当をしなくてもいいのです。次の時代の主人公は非営利組織かもしれません。ちなみにアメリカでは労働者の1/3が何らかの非営利組織で働いているそうです。
by nonukes
| 2012-11-11 18:19
| 反原発オヤジの子育て記
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