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小坂正則の個人ブログ

「九電やらせメール事件」から感じる、記者のモラル

企業統治能力を失った九州電力

九州電力はJR九州を上回る九州経済界を牛耳る九州一の大企業。しかし、この会社は企業統治ができていない三流企業だった。「やらせメール」が発覚してから今日までドタバタを続けている九州電力真部社長と松尾会長が牛耳るこの会社は、ガバナンスやコンプライアンスという企業と社員の社会的使命も倫理観もが崩壊している。そのような会社が危険な原子力を動かしていることは狂気の沙汰だ。九電やらせメールの第三者調査委員会の座長の郷原弁護士が指摘するまでもなく、九州電力は北朝鮮にも劣る倫理観を持たない会社だ。

マスコミの姿勢にも私は疑問を感じる

7月12日の新聞で2005年に行われた「プルサーマル運転に伴う公開討論」で新たな疑惑が持ち上がった。いわゆる「なりすまし事件」。そこで記者会見上での出来事だと思われるが、私はその夜テレビニュースでこのような報道に接した。誰が喋ったかは今では覚えていないが、たぶん真部社長だと思われるが「反対派が動員するのに推進側が動員して何が悪いか私には理解できない」という発言を九電幹部がしたという内容。その発言の裏付けを私は取りたくて、当時の新聞を県立図書館で調べた。朝日、毎日、西日本に地元紙の大分合同新聞をしらみつぶしに見た。その中で唯一、大分合同7月14日に「玄海原発のプルサーマル説明会で過去にも同様の呼びかけかあったことを平然と認める幹部。反対派だってすごい動員かけるんだから…」この記事だけだった。しかし、読売新聞の7月12日九州版は「反対派も人集めやってるんですから、こちらも集めないと」との九電取締役の言葉を伝ている。このような重要な発言を記事にしない新聞社の感性を私は問いたい。この発言は国会でも取り上げられるべき重大発言なのに、みんな慣れっこになって、発言の重要性を理解していないのだ。なぜ読売がこのようにズバリと書けたのかはなんだか皮肉だが、朝日、毎日が書けないのか、書かないのか私には未だに理解できない。
マスコミに対する疑問、その2。これまでの説明会に電力会社の動員があったのは公然の秘密だった。それを今更初めて知ったような振りをするマスコミのズルさを私は許せない。マスコミは正義の味方ぶって電力会社を批判しているが、昔は飲ませ食わせに接待ゴルフ三昧の記者がゴロゴロしていたではないか。そんな記者のコンプライアンス違反をきちんと自己批判してから彼らは電力会社を批判すべきではないのか。もちろん若い記者にはそんな買収工作などなかっただろうが。

優秀なジャーナリストは私たち読者が育てなければならない

新聞社やテレビの記者は物書きではない。彼らはジャーナリストとしての使命を肩にしょっているのだ。彼らが不正や悪を批判することで社会正義が保てるんだから。特に権力者への批判記事は大変なバッシングを覚悟しなければ書けない。それこそ命がけの仕事だと私は思う。そんな重圧の元で記事を書いている彼らの苦労を私らは日頃からあまり感じてはいないと思う。そんな彼らを支え続けることがジャーナリストを育てる、私たち読者の役目なのだと私は思うのだ。そんな記者に対して、私は彼らに会ったら「あの記事はよかったね」と、ねぎらいの言葉をかけるようにしている。また、新聞社に電話して「あの記事はよかった。ぜひ一読者から感動したと伝えてくれ」という。それだけでも記者への激励になると考えるからだ。また、良い記事を書く新聞や雑誌の購読をすることが一番大事なことなのだ。彼らを購読で支え続けるということが、読者の使命だと私は考えている。近頃、朝日、毎日の記者に在日外国人が多いような気がする。国際感覚を持った記者がグローバルな記事を書けるので実に頼もしい限りだ。それに日本人の若い記者も随分頼もしい記者が多い。この国を変える可能性のあるジャーナリストの卵に、私は大いに期待したい。

「九電やらせメール事件」とは

朝日新聞11月17日より「九州電力玄海原発(佐賀県玄海町)の運転開始をめぐる「やらせメール」問題では、九電の委託で調査した第三者委員会(元委員長=郷原信郎弁護士)が古川康・佐賀県知事の関与を認めた。6月26日、国の原発番組の放送5日前に九電幹部と会って「再開容認と立場からネットを通じ、番組に意見や質問を出してほしい」などと発言したことが、やらせの発端だとした。これに対し、古川知事は一貫して関与を否定。九電も「知事発言の真意を誤解した九電幹部のメモが発端だ」と主張した。知事関与の有無をめぐり、第三者委と九電が互いに質問状を出し合う対立が続いている。九電は、10月中旬に国に出した報告書でも第三者委の結論を否定。枝野幸男経済産業相から批判され、再提出を求められている。ただ、再提出をめぐる九電と郷原氏らの議論は決裂する見通し。九電社内には第三者委と九電側の主張を両論併記する形で再提出をめざす動きもあるが、第三者委と決裂すれば、枝野経産相らの態度が更に硬化する可能性もある。」

北電泊原発のやらせ問題

北海道電力泊原発3号機のプルサーマル計画をめぐっても九電と同じ「やらせ」が発覚したもの。北電はやらせが発覚後に第三者委を設置して調査しているが、2008年7月8日の北電と県の原子力安全対策課とのやりとりの中で同課長が「7月11日まで意見募集をしているが、反対意見ばかり。地元から反対派の主張を打ち消す意見がほしい」や「町村にも頼んでいるが、北電の地元でのネットワークに期待したい。北電の社員も地元に住んでいる。意見は匿名でも受け付けている」と言ったとされる。意見の中身も「地元の意見を尊重してほしい」「地元外からの反対発言は地元の感情を逆なでする」など。北海道も道職員の関与について第三者検証委員会を設置して事実確認を行っているが現在のところ調査中でコメントできないという。
by nonukes | 2011-11-18 13:38 | その他 | Comments(0)

  小坂正則

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