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小坂正則の個人ブログ

「原発とめよう!九電本店前ひろば」はこうしてはじめた2

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なぜ私は九電前の座り込みを始めたのか

座り込みも随分日が経って行くうちに、私はある覚悟を決めていました。それは九電が私たちの言い分を分かってくれないのなら、5月18日の交渉が終わった後に、その場に座り込んで、せめて1日くらいはその場に居座ろうと考えていました。しかし、その提案はみんなにいとも簡単に否決されてしまいました。なぜなら、今一番優先すべきことは、この「九電本店前ひろば」をいかに確保するかということだ。「もし九電の本店に座り込んで逮捕者などが出たら、このひろばの使用許可の延長はないだろう。だから逮捕されるような行動は慎もう」という意見だったのです。私も「一番大切なことはこのひろばの維持だということで、もし、それが不可能だったら座り込んで逮捕をされてもいい」と、いいました。残念ながら私たちの願っていた二十四時間座り込みは不許可になりました。私はみんなに「なんだ、そんなことなら九電館内に座り込めばよかった」と大きな声で周りの仲間にいったものです。

いろんな人との楽しい出会い「九電本店前ひろば」

私はこの「原発とめよう!九電本店前ひろば」で、いろんな人との出会いがありました。私の一生の中でも、こんなに目まぐるしく出会いがあった時間はないでしょう。そのいくつかを報告します。
昼間はだいたい退屈な時間が過ぎていきます。でも、じっとして来る当てもないお客様を待つというのは最初は不安でした。でも、何も来なくてもいいし、来てくれればそれはそれでいいという気持ちの整理がつくと長い時間をこんなにゆっくりと何もしないで過ごすってひさしぶりだなあと考えるようになりました。こんなゆっくりと何もしない時間って何年ぶりだろうと考えてしまいました。そしてテントの中では朝からダラリと横になって、通行人を観察するようになりました。すました顔で通り過ぎるサラリーマンやOLの方々はみな早足で過ぎて行きます。彼らに私たちはどのように写っているのだろうかと考えると楽しいです。きっと多くの方は見ないようにして通り過ぎたのだろうと思います。それでも私たちのテントに近づいてくる方は心の中に何かを持っているか、何かに病んでいるかのどちらかだと思います。さすがに朝からサラリーマンが立ち寄ることはありませんが、夜中になると毎日のようにサラリーマン、たいていは酔っぱらった方が訪ねて来ます。酔っていなければ恥ずかしいのでしょうか。そして土産の酒やビールと本音を言ってくれます。それは会社の悪口だったり不満だったり。OLが来ることはほとんどないのですが、若い女性が夜遅く来るときはたいていしっかりした意志を持った方ですね。昼間は常連の主婦の方が入れ替わり立ち替わり店番をしてくれるので、その方々は私たちの仲間ですからさておき、突然立ち寄る方はいろいろな悩みを持った方が多いですね。
あるときこんな会話を仲間のヨガの先生としていました。彼女は「私の娘が学校に行きたがらない」と言うのです。私は横で何気なく聞いていたのですが、ちょっと口を挟んでしまいました。「彼女が学校に行きたくないのを無理矢理行かせればそのうち、リストカットや家庭内暴力や非行などにエスカレートしていきますよ」と。「私もそれは分かっているので行きたくなかったら行かなくてもいいとは言うのですけど」と。「でもお母さんの顔にどうしても行けという風にきっと書いてるんですよ」と。「彼女には行けない理由があるのですよ。その理由をじっくり聞いてあげたらどうですか。学校なんて行きたくなったら行けばいいんです。行きたくなかったら行かなくてもいいじゃないですか。無理矢理行かせようとすればするほどどんどん彼女を追い詰めてしまいますよ」と。私は自分の子どもの話をしました。「うちの長男も引きこもりになったんです。最初はあなたと同じように無理矢理行かせようとしましたが、逆効果なので諦めました。行かせようとすればするほど行けなくなるんです。だからお母さんがまずは変わらなければダメですよ。あなたが行かなくてもいいということを理解できるようにならなければお嬢さんはそこから抜け出せませんよ」と。私は「子どもに今日は天気がいいから学校を休んで川に行こうといつも誘っていました。すると子どもの方が父ちゃんのように馬鹿になりたくないから学校にいくよ、いうんですよ。行けと言ったら行きたくなくなり、休めと言ったら行きたくなったりするんですよ」と。「じゃあ本当に休んで遊びに行くって言ったら休ませるんですか」と聞くから。私は「そりゃあそうでしょう。学校休ませて川や海に行って親父と遊ぶ方がどれだけ子どもの教育になるか考えてみてください。学校に行くよりも何百倍も価値がありますよ」と。すると「お父さんが学校に行かせろって言うんです」というので、「お父さんに言ってあげなさい。娘が非行に走ったり自殺したりするよりは生きていてくれる方がどんなに私たちにとって得かってね」。すると、「実は私たち夫婦仲が悪いんです」と。「それならまずは夫婦仲をよくすることから始めなさい。あなたの娘さんはあなた方夫婦が仲良くなるように問題児になってくれてるのかもしれませんよ。かわいい娘のために一緒にもっと家族で本音の話し合いをすることですね。あなた方夫婦が仲良くなったら娘さんも抜け出せるかもしれないし、抜け出せなくても生きていてくれたら最高じゃあないですか。自殺でもされたら、あなたもご主人も寂しいでしょう」と。おかあさんとはかれこれ2時間はいろんな話をしました。私の離婚のことやヨガの先生のプライベートなことなども語り合って楽しく過ごしました。彼女は「何だか自信が出てきました。主人と向き合ってみます」と言い残して帰りました。私は翌日仕事があるので大分に帰ったのですが、翌々日にヨガの先生からメールが来ました。「いま、先日のお母さんと娘さんがひろばに来ています。小坂さんに会いたかったそうです。娘さんと話をしてほしかったそうです。彼女の写真を送ります」というメールでした。そこに写っている女の子は笑顔の素敵な子でした。この母子なら乗り切れるだろうと私も安心しました。
by nonukes | 2011-06-01 14:53 | 原発とめよう!九電前ひろば | Comments(0)

  小坂正則

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