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小坂正則の個人ブログ

レスターブラウン氏の『プランB』を実現させよう

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                       2010/08/11
                         小坂正則
NHK『未来への提言』との出会い

 レスターブラウン氏は1934年生まれで、アメリカ農務省の国際農業開発局長を努める。74年に地球環境問題に取り組む「ワールドウオッチ研究所」を創設。84年に『地球環境白書』を創刊。2001年5月にアースポリシー研究所を創設し、『エコエコノミー』や『プランB』など著書多数。
 2009年1月17日の深夜2時からNHKのBS放送で『未来への提言』特集が放映された。この特集は、2008年9月に、第1回の放送が流された。そのときはエイモリーロビンス 氏の特集で、彼は79年に『ソフト・エネルギーパス』という本を出版して、当時、世界中で話題になった方だ。「彼の言ったとおりに世界はなっていった」とよく言われる。30年経って、やっと世界がロビンスに追いついたのだと。
 NHKの良心的なディレクターは地球温暖化の真の解決策を模索して、番組を作ってきたが、当時の政府は確か安倍首相などで、NHKの番組が偏向しているという攻撃の真っ最中だったのだ。だから、きっと当時のNHK幹部も政府に気を遣って深夜の2時などという誰も見ない時間帯に放送するという妥協案を考え出したのだろう。このようなことを苦肉の策というのだろう。
 さて、番組のDVDは、私の元にあるので見たい方には、お貸ししてお見せしますが、販売することはできません。NHKアーカイブスでは有料配信を行っているので、観ることも可能だ。エイモリー・ロビンスとレスター・ブラウンの番組は同じディレクターの作品と思うのだが、同じ画像も随所に使われているし、主張も基本的に同じだ。「互いに地球温暖化を食い止めるには各国政府による環境税などの導入による主体的な取り組みと、二酸化炭素を削減した方が儲かる仕組みを作ることだ」という。
 そして、そのロードマップを互いに提案する。その中で小気味のいいほど彼らは日本政府の取り組みの遅れを指摘する。(詳しくはDVDを視聴してください)

プランBの実現は時間とのたたかい

 レスターブラウン氏の『プランB』について説明しよう。『プランB』とは、現状の政策の延長線が『プランA』だという。つまり、何の政策的なことにも取り組まず、経済発展や化石燃料を何の規制もなく使う社会を『プランA』で、レスターの提案する 『エコ・エコノミー社会』を『プランB』というのだ。
 もう少し具体的に見てみよう。まず、彼は地球規模で繰り広げられている環境破壊の行われている現状を報告する。アマゾンのジャングルがトウモロコシ畑に変えられている現状や中国やインドなどの放牧民が大量のヤギやヒツジ飼いすぎによって砂漠化が進行している現状を。
 また、世界で繰り広げられている農地の獲得競争や水をめぐる国際的な商社や国を巻き込んだ争いなどから世界の食糧危機がエネルギー危機よりも先にやってくると指摘する。 エネルギーはなくなってもすぐに飢えることはないが、食料はなくなれば直ぐに飢えが起こり、食料をめぐる戦争が繰り広げられるだろうと。地球の環境を保全するためには、飢餓をなくすことがまず必要だという、そして、そのためには人口の適正化が必要であると。また、貧しい国の人々は飢餓状態であるために子どもをたくさん産み飢餓のスパイラルに陥ってしまう。エイズなどの伝染病を防ぐためにも教育とコンドームなどの衛生環境への投資が必要だと。そのような貧しい人々の救済が環境保全型の農業や産業を作る基盤になると。テロ対策に使う米軍事費の1/3の予算で、それら全ての費用を賄うことができると。そして、テロを防ぐために使う軍事予算よりも少額の費用で貧困をなくすことができ、世界中の貧しい国の人々から憎しみの連鎖を断ち切ることができ、結果的にテロを防ぐことになると。

プランBを今すぐにでも実行しよう

 このまま、何の手も打たなければ2020年にはヒマラヤの氷河が消滅し、インドや中国の穀倉地帯に供給していた水がなくなってしまうと。それらを防ぐためには2020年までに現状の80%のCO2を削減しなければならないと。この闘いは時間との競争であるとレスターはいう。あと残すところ10年しかない。それまでにCO2を80%削減することなどできるのだろうか。かれはアメリカの第2次世界戦争時の非常事態体制のような総動員体制を世界で組めば、それは実現可能だという。そうしなければ人類は滅亡の渕にいま立たされているのだから。人類が生き延びるために私たちは何をすればいいのだろうか。
 それではプランBをもう少し具体的に見てみよう。貧困を解消すれば人口増加を防ぐことができるとして、全ての子どもに初等教育を受けさせる予算が100億ドル。コンドームの配布に30億ドル。の他、貧困の撲滅のための全費用が770億ドル。(1年間)
 地球環境の修復予算を見てみよう。植林や地下水位の安定化、放牧草地の修復、漁業資源の再生、生物多様性の保護などへの費用が1100億ドル。
 これらの費用は米国軍事費の1/3で、世界の軍事予算のの13%にすぎない。それらのことができないわけはない。
 それでは、地球温暖化防止のためには具体的にはどのようなことを行えばいいのか。これは費用ではなくCO2削減目標を掲げている。エネルギー革命のための取り組みだ。まず、発電の暖房エネルギーを化石燃料から自然エネルギーへ転換する。321,000万トン。交通システムの転換(電気自動車や鉄道貨物への転換)により140000万トン。産業部門での石炭の使用禁止により削減で10000万トン。CO2の隔離の生物的な隔離による削減。植林を上回る伐採の禁止や荒れ地への植林、不耕起栽培などにより農業技術の変更により、296000万トン。以上の合計で767000万トンの削減が可能だという。2006年の世界のCO2排出量が935000万トンなので、767000万トンの削減はマイナス82%になる。

 このようなプランを実際に行うには莫大なお金が必要だろう。そのために世界に共通した環境税をレスターは唱えてる。それは炭素1トン当たり200ドルの課金を行うという。それによりCO2を多く排出する石炭などは高額になり消費が抑えられ、それへの代替エネルギーとなる自然エネルギーが一挙に普及するだろう。また、ロンドンなどで実施されている、「停滞税」の導入も有効だという。これはロンドンの都市に入る自家用車から税金を徴収する制度だ。これによりロンドンの交通渋滞がなくなり、公共交通機関を市民が利用するようになったという。様々なその国や地域にあった低炭素社会への仕組みを考えそれを実践することでレスターの『プランB』を実現しよう。
Commented by 猫丼 at 2010-09-03 21:24 x
>2020年にはヒマラヤの氷河が消滅

この部分も前後の数字やなんかも変ではないでしょうか?
発言者の「圧倒的多数がIPCCの擁護者である『日本学術会議』ですら
「ヒマラヤの氷河が2035年に溶けてなくなる」とか、「温暖化で台風や洪水などの自然災害が多発する」といったIPCCの情報が嘘であり、科学的な根拠のないものだった、とする流出情報の中身を、今回の会議に出席した名だたる科学者は、みんな肯定したのだった。

「ところで、そもそも地球は温暖化しているのか?」という質問に対して、パネラーの科学者の一人を除いて全員が、「わからない」と回答した。

残る一人は「寒冷化しています」と。

温暖化している、と回答した学者はゼロ。
Commented by nonukes at 2010-10-03 17:33
確かに、ヒマラヤの氷河がなくなるというのは1つの学説です。イギリスの研究者いよる予測だとレスターブラウン氏も言っています。この学説が正しいか正しくないかというアカデミズムの議論よりも大切なことは、このまま、何も手を打たなくて、化石燃料を湯水のように使う現状を容認するのか、結果がどうであれ、その危険性があるのであれば何らかの手を打って対策を講じることの必要性を取るのか、これは人類の良心の問題だ。ヒマラヤ氷河消滅説が正しくないとか、温暖化ではなく寒冷化に向かっているという説をあなたが支持するのなら、じゃなんじゃん化石燃料を燃やして使い捨ての大量消費大量廃棄の現状を進めるべきだというのでしょうか。温暖化が本当だったと100年後に実証されてたとしてそれから手を打っても、もうその時には間に合わないのです。
小坂正則
by nonukes | 2010-08-11 18:58 | 自然エネルギー | Comments(2)

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