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小坂正則の個人ブログ

「赤から緑へ」ではなく、「赤と緑の革命へ」

マルクス没後1世紀半の現代、地球温暖化の危機を資本論が救うか
小坂正則

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「西谷文和の路上のラジオ」前半が斉藤幸平さんのインタビューです


50年ぶりに再会した我がマルクス

 私は半年以上前に斎藤幸平氏の著書「人新世の資本論」という新書を買ったのですが、最初の数ページを読んだあと、机の上に積み上げたまま今日まで来ていました。この新書が30万部のベストセラーだという話も知っていましたが、先日「西谷文和の『路上のラジオ』」というネット動画の斎藤幸平氏インタビュー番組を聞いたのです。それがすごく感動したので、一気に「人新世の資本論」を読み終えました。
 これまで、マルクス主義思想と言われる、「共産党宣言」や「空想から科学へ」など、若きマルクスは「資本主義がスムーズに成長発展を続けた後に、自由主義経済社会が行き過ぎた競争によって、貧富の格差が拡大し、持てる者と持てない者との貧富の格差などの大きな矛盾にが起きて、資本主義の内部に自己矛盾が経済発展の阻害要因となり、資本主義社会のシステムが機能しなくなる。そしてそれを乗り越える新たな社会=社会主義システムが誕生するというのです。これが弁証法でいう、アウフヘーベン(止揚)であり、社会主義社会革命だというのです。そこでは人びとは生産手段を共有し、資本家も労働者も平等になり、人びとの労働は解放される。人々は初めて生活のために自らの時間を切り売りする労働から解放されて、芸術や自己実現と人類のために奉仕するなど、自らの内面から発する欲求や理想の実現のための、真実の労働を行うようになる」とマルクスは言ったのです。
 そのマルクスの言葉に、学生時代の私は感銘したものですが、斎藤幸平さんによると、「初期マルクスは経済発展こそが社会革命の原動力と考えていた」というのです。しかし、現在の資本主義社会はますます発展して、暴走しているようにしか見えないのですが、その解決策が社会主義であるとはとても思えません。全体主義で言論の自由のない中国やロシアの社会体制が「地球危機」への解とは逆立ちして考えてもあり得ません。資本主義の暴走を止める解がないままに、世界はグローバル企業が国家をも飲み込んでしまうような、手のつけようのない資本主義暴走社会へと発展していったように、私には思えるのです。
ところが、斎藤幸平氏は「晩年のマルクスは自分が打ち立てた思想に矛盾や問題意識を持つようになり、結局資本論第2部も3部も出版することもなく、彼の経済発展中心の社会変革思想から、無限の経済発展はどこかで行き詰まり、地球という限られた資源の下では、どこかで経済発展を止める必要があると考えたのではないか」というのです。その証拠が、晩年のマルクスのノートに公害問題や環境問題について研究したノートが残っているといのです。また原始共産主義から社会主義への移行過程を乗り越えるコンミューンが世界中に存在していた事実を実に丹念に研究していた」という話に、「機械的な原始から封建社会へ、そして資本主義から社会主義へ」という理論を越えて、一気に「コミューン」が成立している地域や部族などの存在を興味を持ってノートに書き残しているというのです。私は晩年のマルクスが青年マルクスを超えようとしてもがいていたのではないかと感銘したのです。
 というのも、マルクスの限界論という説があり、「マルクスは資本主義が発展した先の公害問題や環境破壊などの問題は想定できなかったのだから、マルクスの理論は19世紀の思想であり、現代の地球温暖化や環境危機への解決策はにはならない」という説なのです。
 ですから、私は「ポスト資本主義」というテーマで現状の資本主義を超えた、国際的な環境税や国境を越えた投資税の創設や国際的に法人税率を統一するなどで、行き過ぎた資本主義を規制することは可能だと考えたのです。そこで、私はミヒャエル・エンデ「利息こそ社会の元凶だ」という考えに共鳴したり、フリードリッヒ・シューマッハー氏の「スモールイズビューティフル」や「中間技術」などを読んで学んだのです。その1つが「緑の党」の活動だったのです。それは感覚的には「社会主義でもなく資本主義でもない、もう1つの社会」という漠然とした新しい世界を妄想していました。

マルクス思想が現代に蘇る?

 なぜ、斎藤幸平氏の話に感動したかというと、マルクスの資本論第1部は1867年に発表されて、マルクスによって出版されたのですが、第2部はマルクスが亡くなった以後の1885年にエンゲルスの編集によって出版され、第3部は9年後の1894年にエンゲルスに寄って出されたのです。
マルクスが資本論第1部を書いて亡くなるまでの18年間に、彼は環境問題や世界に残っている様々なコンミューンの存在などを丹念に研究しているそうです。そして、マルクスの死後、エンゲルスによって「環境問題」も「コンミューン」研究の資本論とは関係ないノートとして除かれて資本論第2部と第3部は出版されたというのです。
 斎藤幸平氏によると、ソ連に集められたマルクスのノートを現在のマルクス研究者によって研究された結果、マルクスは公害や環境破壊を起こす可能性のある、無秩序な資本や生産力の発展の矛盾に気づき、その解決策が現存するコミューンの生き方に何かヒントがあるんじゃないかと考えたのではないかという大胆な仮説に、私はもう1回マルクスを学ぶ必要を感じたんです。そこには人類の生き延びるヒントが隠されているかもしれないと、興奮しました。
 地球温暖化などの人類の危機を乗り越えるめには、資本主義の無秩序な開発や発展にブレーキをかける必要があります。この問題を解決できるのは、資本主義ではなく、むしろ手あかにまみれたと巷で言われる「マルクス主義」の中にこそヒントは隠されているのではないだろうか。また、江戸時代以前の日本では、自然の中に人間は生かされているという仏教の考えなどがあり、「足るを知る」などの思想は現代社会問題の大きなヒントになるのではないだろうか。「人間の欲求を自ら抑止する」という必要性を生産手段の発展とは別の次元で確立しなければならないように考えるのです。マルクスの理論は宗教家の経典ではありませんので、彼の思想から自由に広がって、人類生存の危機を脱する解を求めればいいのです。真の学問は自由の下でしか発展しないのですから。


無限の経済成長などありえない

「無限の経済成長などありえない」という明快な真理を、資本家の皆さんはご存じないようです。中国やロシアなどの社会主義者でも「無限の経済成長」に夢を抱いています。いえ、日本の政治家もみな、この病魔に侵されています。特に自民党や維新はコロナ以上に「経済成長」の病に重篤化しています。
 ドイツの童話作家ミヒャエル・エンデ氏は配当や金利が社会の元凶だと説いていました。そのエンデの話を書いた、河邑厚徳氏の「エンデの警告」という著書の中に、このような文章があります。
「ちょっと意表をつい例え話をさせてください。キリストの父ヨセフが、西暦元年に1マルク貯金したとして、それを年利5%の複利で計算すると、その人は現在、太陽と同じ大きさの金塊を4個も所有することになります。1方、別の人が西暦元年から毎日8時間働き続けてきたとしましょう。彼の財産はいくらになるのでしょう。驚いたことにわずか1.5メートルの金の延べ棒1本に過ぎません。」
世界の三大宗教であるキリスト教、イスラム教、仏教では100年ほど前までは金利は不当であるという理由でお金に利子を付けることを禁じていました。中世ヨーロッパでは富を追いかけること自体が貧欲の罪を犯すことで悪だと教えられていたのです。不労所得は人の道義に反すると考えられていたからです。もちろん現代社会が過去の倫理的世界に帰ることは困難だと思います。しかし、私には人間の煩悩を抑制してきた宗教を古い価値観と捨て去り、現代の“経済”と“科学”を絶対のものとする思想を単純に肯定することはできません。富を追求し高利を得ることを自由とする根拠は、欲望を経済活動のエンジンとして推進して行こうとする産業革命以後の資本主義経済の成立と深く関わっているのです。
21世紀の今日、資本主義の矛盾が頂点に達したような時代の私たちは、「経済とは道義を守ること」という先人の教えから何かを学ばなければならないのではないでしょうか。

脱経経済成長「足るを知る」の思想

1972年にローマクラブが「成長の限界」資源と地球の有限性に着目し、「人口増加や環境汚染などの現在の傾向が続けば、100年以内に地球上の成長は限界に達する」として「もはや人類は成長の限界に達しつつある」と警鐘を鳴らしてたのです。
この年に中津の作家松下竜一氏は「暗闇の思想」を書きます。また、1977年に出版されたエイモリーロビンスの著書「ソフト・エネルギーパス」もハードエネルギーに頼って社会はやがて破綻しソフトエネルギーへシフトしなければ人類は生き延びることは出来ないと語っているのです。これらの説にあるように無限の経済成長や無限の資本の増加などは地球が有限な物体である以上、どこかで頭打ちしてしまうという現実を人類は自覚しなければならないのではないでしょうか。資本主義社会の限界や終わりは必ず訪れるのです。
しかし、どうすれば、人びとは無限の欲望を押さえることができるのでしょうか。これには、私にも1つのヒントがあります。
それは1970年はじめに石油危機によって経済成長が止まって日本もマイナス経済成長社会に突入した時のことです。その時、川崎の清掃課の担当者から聞いた話なのですが、家庭ゴミが減ったというのです。そしてキャベツの値段が上がったら、家庭ゴミの中からキャベツの葉っぱが姿を消すというのです。
またこんな事例もあります。漁協の組合員はいつでも好きなだけ漁を出来るわけではありません。漁期が決まっています。みんが取り尽くしたらアワビやサザエなどは消滅してしまいます。だから消滅の危機を全員が納得したら漁を自主規制するようになるのです。それを人々は「不自由」だとは感じません。なぜなら自分だけが「不自由」ではないからです。みんなも同じように我慢していたら、誰も不自由とは感じないのです。
経済も同じことが言えるでしょう。多国籍企業への法人税の課税なども世界中で一律にしてどこでも課税逃れをさせない共通の仕組みを作れば課税逃れのペーパーカンパニーなどという脱税企業は現れないのです。また、マネーゲームのような金融商品は規制すべきですし、また金利をなくすことが不可能でも世界中で金利へ相当額の課税を行えば税金逃れやブラックマネーなどの闇金融を捕捉出来るでしょう。
つまり、人々の欲望は理性だけでは抑えられませんが、社会的ルールで抑えることは可能なのです。問題はそのルールを1日も早く各国の利害を調整して、大国の利害を一方的に貧しい国に押しつけるのではなく、小国の独立を守る制度となるような仕組みを作り出すことでしょう。
そして、そのような社会的な規制やルールを作ることは生産手段を共有することで可能でしょうし、地域共同体で、漁業の乱獲を防ぐルールを作るようなコミューンをマルクスは共産主義社会と言ったのかもしれません。


松下竜一の「暗闇の思想」

あえて大げさにいえば、「暗闇の思想」ということを、この頃考え始めている。比喩ではない。文字通りの暗闇である。きっかけは電力である。原子力を含めて、発電所の公害は今や全国的に建設反対運動を激化させ、電源開発を立ち往生させている。もともと、発電所建設反対運動は公害問題に発しているのだが、しかしそのような技術論争を突き抜けて、これが現代の文化を問いつめる思想性をも帯び始めていることに、運動に
深くかかわる者ならすでに気づいている。
かつて佐藤前首相は国会の場で「電気の恩恵を受けながら発電所に反対するのはけしからぬ」と発言した。この発言を正しいとする良識派市民が実に多い。必然として、「反対運動などする家の電気を止めてしまえ」という感情論がはびこる。「よろしい、止めてもらいましょう」と、きっぱりと答えるためには、もはや確とした思想がなければ出来ぬのだ。電力文化を拒否出来る思想が。
今、私には深々と思い起こしてなつかしい暗闇がある。10年前に死んだ友と共有した暗闇である。友は極貧のため電気料を滞納した果てに送電を止められていた。私は夜ごとこの病友を訪ねて、暗闇の枕元で語り合った。電気を失って、本当の星空の美しさがわかるようになった、と友は語った。暗闇の底で、私たちの語らいはいかに虚飾なく青春の思いを深めたことか。暗闇にひそむということは、何か思惟を根源的な方向へと鎮めていく気がする。それは、私たちが青春のさなかにいたからというだけのことではあるまい。皮肉にも、友は電気のともった親戚の離れに移されて、明るさの下で死んだ。友の死とともに、私は暗闇の思惟を遠ざかってしまったが、本当は私たちの生活の中で、暗闇にひそんでの思惟が今ほど必要な時はないのではないかと、この頃考え始めている。
電力が絶対不足になるのだという。九州管内だけでも、このままいけば毎年出力50万キロワットの工場をひとつずつ造っていかねばならぬという。だがここで、このままいけばというのは、田中内閣の列島改造政策遂行を意味している。
年10%の高度経済成長を支えるエネルギーとしてなら、貪欲な電力需要は必然不可欠であろう。しかも悲劇的なことに、発電所の公害は現在の技術対策と経済効率の枠内で解消し難い。そこで電力会社や良識派と称する人びとは、「だが電力は絶対必要なのだから」という大前提で、公害を免罪しようとする。

国民すべての文化生活を支える電力需要であるから、一部地域住民の多少の被害は忍んでもらわねばならぬという恐るべき論理が出てくる。本当はこういわねばならぬのに――誰かの健康を害してしか成り立たぬような文化生活であるのならば、その文化生活をこそ問い直さねばならぬと。じゃあチョンマゲ時代に帰れというのかと反論が出る。必ず出る短絡的反論である。現代を生きる以上、私とて電力の全面否定という極論をいい
はしない。今ある電力で成り立つような文化生活をこそ考えようというのである。日本列島改造などという貪欲な電力需要をやめて、しばらく鎮静の時を持とうというのである。(中略)
たちまち反論の声があがるであろう。経済構造を一片も知らぬ無名文士のたわけた精神論として一笑に付されるであろう。だが、無知で素朴ゆえに聞きたいのだが、いったいそんなに生産した物は、どうなるのだろう。タイの日本製品不買運動はかりそめごとではあるまい。公害による人身被害精神荒廃、国土破壊に目をつぶり、ただひたすらに物、物、物の生産に驀進して行き着く果てを、私は鋭くおびえているのだ。
「いったい、物をそげえ造っちから、どげえすんのか」という素朴な疑問は、開発を拒否する風成で、志布志で、佐賀関で漁民や住民の発する声なのだ。反開発の健康な出発点であり、そしてこれを突きつめれば「暗闇の思想」にも行き着くはずなのだ。
いわば発展とか開発とかが、明るい未来をひらく都会志向のキャッチフレーズで喧伝されるなら、それとは逆方向の、むしろふるさとへの回帰、村の暗がりをもなつかしいとする反開発志向の奥底には、「暗闇の思想」があらねばなるまい。まず、電力がとめどなく必要なのだという現代神話から打ち破らねばならぬ。ひとつは経済成長に抑制を課すことで、ひとつは自身の文化生活なるものへの厳しい反省でそれは可能となろう。

冗談でなくいいたいのだが、「停電の日」をもうけていい。勤労にもレジャーにも加熱しているわが国で、むしろそれは必要ではないか。月に一夜でもテレビ離れした「暗闇の思想」に沈みこみ、今の明るさの文化が虚妄ではないかどうか、冷えびえとするまで思惟してみようではないか。私には、暗闇に耐える思想とは、虚飾なく厳しく、きわめて人間自立的なものでなければならぬという予感がしている。
(1974年3月刊 朝日新聞社:著書「暗闇の思想を」から抜粋)



# by nonukes | 2021-09-20 23:01 | 「緑の党」をつくろう! | Comments(0)

感染症ムラの闇を暴く!

西谷文和「路上のラジオ」 感染症ムラの闇を暴く!
ゲスト 上昌広(かみまさひろ)医師
(医療ガバナンス研究所:理事長)
小坂正則

「路上のラジオ」の番組を一部省略して書き起こしました。一部、書き言葉に変更しています。(文責小坂)

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西谷文和の「路上のラジオ」

なぜ日本は初動を誤ったのか

西谷: 上先生は感染症を専門とされている立場からも、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、当初なかなかPCR検査を拡大しようとしない政府の姿勢を策略とも言える、後手後手の対応を批判されてこられました。また、福島第一原発事故の際にも被災地の放射能汚染について、医師として警鐘を鳴らしてこられました。今日はそんな上先生に「感染症ムラの闇を暴く」と題して、パンデミックに乗じて、この国の中枢で、一体何が起こっているのか?これについて詳しく伺っていきたいと思っています。
 上さん、今日の全体的なテーマは「感染症ムラの闇を暴く!」と題してお送りしたいのですが、「原子力ムラ」と同じような「ムラ」があるということを聞いて、私はびっくりしたんですけど、前半のテーマは「なぜ日本は初動を誤ったのか」と題してお送りしたいんですね。 コロナって、抜き打ちテストみたいなものじゃないですか。突然来てね。日本は台湾とかニュージーランドに比べたら、かなり初動で、このテストに落第の点を取ったと思うんですけど。なぜPCR検査を抑制してしまったんでしょうか。

上:これはですね、法律に決められた通りにやったんですよ。今回の大きなパンデミックの前に、サーズとかマーズかがありましたよね。

西谷:はい。新型インフルとかですよね。

上:あれがうまく乗り越えられたので、従来の法律どおり感染症法の規定どうりにやったんですね。感染症法というのは今の通りなんですよ。感染症の疑いのある人を見つけたら強制的に検査をして、陽性であれば、あらかじめ決めた病院に隔離をするという、これをやっていたんです。ところがあに図らんや、無症状の人はいるわ、また、感染者が増えたので、こりゃたまらんと。何とかこの仕組みでやろうとして、検査を絞ったんです。

西谷:でも普通は検査をして、早期に隔離しないと広がってしまいますよね。

上:ただ、これまでの経験で、何とかうまくいくんだろうと思っていたんでしょう。特に問題だったのは、感染者を見つけたのはいいんですけど、みんな軽症なんですよ。法律に基づいて感染者は隔離することが決まっているんです。なので無症感染者をどんどん病院に強制入院させたんですよ。そしたら病院はパンクしますよね。だから当初、「PCR検査したら医療が崩壊する」と言ったんです。確かに言っていることは正しいんです。でも、やり方が悪いんですよ。感染症法に元づいて粛々とやったらこうなったんです。感染症法に問題があったんです。

西谷:例えば、政府の専門家が37.5度くらいの熱が出ても3日は家で我慢しろと。そういうことで、お亡くなりになった方もいましたが、普通は37.5度以上だったら医者に行けという話ですよね。

上:こういうのは論外なんですよ。実は病気というのは早期診断、早期治療がいいんです。今も中等症まで家にいろと言ってますけど、あれはわざわざ病気を悪化させているんですよ。

西谷:そりゃあ何日も自宅放置されたら病気は悪くなる一方ですよね。

上:世界でこんなこと言ってる連中はいないんです。なぜかといいますと、日本の感染症法というのは非常に特殊なんです。感染者を見つけて、国家権力によって強制的に検査し、強制的に隔離するというというのは、著しい人権侵害を伴うんですよ。だからこれはがちがちに規制しているんです。これが始まったのは明治時代なんですが、明治幕末の開国で感染症が流入しましたよね。

西谷:ハンセン病何か隔離しましたよね。

上:そうですね。これらは当時問題だったんですが、これ旧内務省の衛生警察がやっていたんです。警察の仕事なんです。

西谷:明治時代の大日本帝国ですね。

上:昭和12年に、保健所ができるんですが、その時の理由というのは「建兵・健民」(健康な兵士と健康な国民をつくる)ということで、結核患者と虚弱民を選り分けるのが仕事なんです。

西谷:これ下手したらナチスの発想に通じるのではありませんか。

上:そうですよ。当時は世界的にそういう発想なので。そういうのが戦後も生き残るんです。医療というのは感染者と医師が決めて融通無限に動くのです。双方が同意したら正直、何をしてもいいんです。

西谷:普通はお医者さんが診察して一番いい治療方を考えますよね、

上:患者が同意すれば何をしてもいいんです。もちろん保険を払う払わない保険会社の意向がありますが。お金も問題は別として何をしてもいいんです。この公衆衛生と医療というのは医療が優先されるんです。医師が医師が37度5分4日間で、入院が必要であると決めたものを公衆衛生の専門家が、だめだというのは多分憲法違反なんです。こんなこと真顔で議論している国はないんです。日本というのは非常に特殊な国で、公衆衛生、これは旧内務省の衛生警察が作った仕組みが今だに生き残っているんです。

西谷:そういうことなんですか。例えばですね。パルスオキシメーターですか、あれは今95まで下がらないと入院できないと言ってますが、39度とか40度の熱があっても、その数字だけで決めていますよね。

上:そんなのは論外です。パルスオキシメーターは判断材料の1つに過ぎません。全体的を診て、元々低い人は95でも平気なんですけど、急に下がった人って、1年目の研修医は「心臓と呼吸が止まらなければ人間は死なない」と習うんです。逆に言うと、この2つは要注意なんです。急速に呼吸状態が悪化したら突然死ぬんです。案の定、自宅での死亡が続出していますよね。悪くなるかならないかを判断するのは、ベテランの医者の仕事なんですよ。長年の感が必要です。

西谷:やはりかかりつけ医を持っといて、直ぐ相談できるというのが一番いいんでしょうね。

上:医者は何となく悪くなりそうだと思ったら入院してもらうんです。そしたらモニタリングできるので、万が一の場合の時に介入するんですよ。

西谷:なるほどなるほど。

上:コロナは感染症だからうまくやれば元に戻るんですよね。

西谷:そんな人多くいただろうと思いますよね。例えばですね。すぐに入院できたら抗体カクテルなんか打って、治る場合が多いんでしょ。

上:はい、もちろんです。そういう場合もありますし、それから解熱していくとか、コロナの問題って免疫が急に悪化しますよね。ARDSというんですけど。こういうのはあらかじめステロイドホルモンなんかを使うと随分緩和できるんですよ。

西谷:ということは今自宅で亡くなっている人は十分助けることができたんですね。

上:十分できる可能性があります。できたと思います。

西谷:でもこれからもこういうケースはまだ続くんですよね。

上:これからも続くでしょうね。何よりも、この冬にもっと流行しますからね。

西谷:やはり季節的なものですか?

上:そりゃあそうじゃないですか。

西谷:風邪は冬にはやりますもんね。

上:はい。春夏冬と流行って、去年の夏の流行が始まったのが、6月下旬。今年と全く一緒です。韓国も一緒。去年のピークが8月10日。今年が8月20日でほぼ一緒ですよね。春も全く一緒です。インドの流行し始めた時期と日本はまったく一緒です。

西谷:あの、ズバリですね。いまそのおっしゃった明治時代から続く旧内務省の公衆衛生優先の思想がいまずっと脈々とあると。これを「感染症ムラ」と呼ぶとすれば、「原子力ムラ」みたいなもので、「感染症ムラ」とはいったい何なんでしょうか。

上:旧日本陸・海軍と旧内務省の交差点なんですよ。

西谷:戦争が絡んでくるんですか。
上:もちろんです。ワクチンは戦前からあった唯一の薬なんです。

西谷:そうなんですか。

上:平賀源内がいましたよね。彼は江戸時代ですからね。これをやっていたのが軍医だんです。例の731部隊ですよ。

西谷:怖い話になってきましたね。人体実験してましたよね。

上:それを作っていたのが、伝染病研究所という、いまの東大の医科学研究所です。ここが研究して製造して、検定、チェックしていたんです。だから戦後731部隊の先生が大勢、東大医科学研究所に戻ってくるんです。

西谷:あれは罪に問われずにまた復帰するんですよね。

上:はい、その通りです。今回も東大医科学研究所の先生は、いっぱい専門家会議にはいっていますよね。国立国際医療センターというのは旧陸軍病院です。だから富山にあるんです。

西谷:ああ、そうなんですか。

上:ワクチンは英国、米国、中国、ロシアが作りましたけど、これは全部連合国なんです。

西谷:戦勝国ですよね。戦争に勝った国ですよね。

上:例えばよく、日本版CDCを作れと、米国の感染症センターと言いますが、あれは1946年にできているんですね。前身はマラリア研究センターなんです。米国陸軍関係のマラリア研究センターなんです。だから研究所が都市封鎖をするんですよ。

西谷:ああ、なるほど。

上:だってみなさん研究所が東京都を封鎖したらおかしいじゃないですか。元々そういう歴史があるんです。日本の感染症研究所というのは戦前までの伝染病研究所これが戦後GHQが戦争遂行体制を解体するんです。これが今の東京大学医科学研究所と感染研に分かれるんです。

西谷:はあ、そういう歴史があるんですね。

上:かなり独善的な、情報開示に極めて非協力的で国民の健康よりも国策遂行って、まさに今回と同じですよね。

西谷:同じですね。いまふっと思い出したんですけど、薬害エイズの時も、研究者が危険性を知っていながら混ざっていたとか、何か感染症に関しては日本の場合は何か下手をうっているような気がしますよね。

上:血液製剤とワクチンは同じなんです。血液から作る製剤もワクチンも伝染病研究所がが担当していたんです。戦後731部隊の隊員が伝染病研究所やミドリ十字などに帰ってくるのです。ミドリ十字関係の化血研は、東大医科学研究所の隣にあるんです。伝染病研究所は北里柴三郎先生ですが、熊本藩ですよね。化血研は熊本市にありますよね。明治の近代史を反映しているんですよ。

西谷:逆に言うと、戦争でそういう研究者が責任を取って辞めて一新して民主的な体制になっていたら、こういうことにはなっていなかったと。

上:あのですね。戦争中は世界どこでも大なり小なりやったんです。ところがこのニュルンベルグ裁判ってナチスの戦犯を裁いた裁判があったんですが、その中に医師もいましてね。その時の医師たちはナチスの命令で彼らも人体実験をやったと言ったら処刑されるんです。その時の理由は医師はプロフェッショナル。プロは前、フェスは告白するという意味で、ギリシャ時代から神様の前で告白して患者に絶対的に不利益にしないと、こういうのをプロフェッショナルと言って、牧師や医師や弁護士のことを言って、医師の職業倫理というのは国家を上回るんだというのです。46年か7年にニュルンベルグ裁判の後にヘルシンキ宣言が出て、とにかく患者ファースト国家は二の次という考えが世界的なコンセンサスになるんです。

西谷:その方が私たちもありがたいですよね。患者ファーストのはずですよね。

上:例えば患者さんが病院に行かれた時に、医療費抑制のためにこれは使わないと医師に言われたらたまりませんよね。

西谷:そうですよねえ。

上:37度5分ないと保健所がパンクしますからと言われたらたまりませんわね。日本はこんな議論が患者のためよりも公衆衛生とか言ってる議論がまかり通っているんです。もちろん公衆衛生は大切ですよ。大切ですが医師が公衆衛生というと利益相反になるんです。目の前の患者にベストを尽くすのが医師なんです。公衆衛生は社会のため、利益が相反することはままあるんです。だから医学といったら古い学問。公衆衛生といったら、まだ19世紀から20世紀の学問なんです。イギリスの産業革命後に出てくる概念で、ジョンズホプキンズ大学、米国でも20世紀にできるんです。この概念は。だから別の学部なんです。医師と公衆衛生というのはカメリオンになるんです。この考え方はナチスと同じなんです。国家を患者より優先しているんです。医師と名乗ちゃあだめなんですよ。

西谷:ああそうか。

上:医師は目の前の患者がよければいいのです。その代わりウソはつきませんと。ナチスとか731部隊とかは、実験するって連れてきたんじゃないですよね。治療するって言って連れて行ったんですよね。

西谷:以前佐藤章さん(元朝日新聞の記者)に聞いたんですが、感染症ムラの人は厚生労働省の医系技官が中心になっていて、彼らの天下り先が保健所で保健所の機能を守るために、あえて保健所にさせてパニックになったというふうなことをおっしゃっていたんですが。こういう構図なんですか。

上:その通りですが、粛々とやらせたらパンクしたので、つじつま合わせをさせたような感じがしますね。医系技官とは特殊な仕事で、医師免許があるからという理由で国家公務員試験を免除されているのです。

西谷:国家公務員試験を免除されてキャリアになっているんですよね。臨床体験がほとんどない方なんですよね。

上:今回の専門家会議では東大の医学部の方ってお一人も入っていませんよね。

西谷:はあ、そうなんですか。

上:極めて珍しいんです。なぜかっていうと、その20世紀の戦争の影響を残しているんですね。GHQによって作った組織がまだこなれていないんです。世界は専門家といって、グローバルコンセンサスがすぐできる、軍事と一緒ですよ。

西谷:戦後76年も経っているのに、まだこなれていないんですか。

上:こなれていませんよね。だって、現場を離れた専門家なんて、ついていけるわけないじゃないですか。例えばPCR検査で、擬陽性が1%出るとか、「あんた何をいってるの」という話ですよ。日ロ戦争の勝利に酔いしれて、ノモンハンにそのまま突っ込んだ陸軍幹部と似ていて、7月にはですねえ、中国の南京でデルタ株が少し流行したんです。そしたら中国政府は何と900万人に、1か月に3回PCR検査をしてデルタ株を抑え込んだのです。擬陽性なんか1%も出ていませんよ。これがゲノム医学の現代のレベルなんです。あの先生たちの議論で20世紀の昭和の議論をやってるです。

西谷:21世紀の時代に?

上:ゲノム医学のノーベル賞候補というのは日本人なのですよ。中村祐輔東大教授です。大阪の天王寺の出身で、阪大の卒業で東京の医科研の教授をしていたんですが、去年アメリカのメディアが「ゲノム医学のノーベル賞候補」として報じたんです。この先生などは「論外だ」と。「尾身先生たちがA級戦犯だ」と言っているんです。

西谷:尾身先生も「感染症ムラ」の人なんですか。
上:もちろん。

西谷:尾身先生にたくさん予算が付くわけですね。

上:いや凄いですよ。尾身先生は厚生省の元医系技官なんです。現在のポストというのは元々旧社保庁の附属病院なんです。

西谷:社会保険庁のですね。

上:今天下って7年間ずっと理事長を務めています。補助金だけで何と今回、350億円ついているんです。

西谷:あの方の天下り先に。凄いですねこの利権は。

上:はい。凄いでしょう。おまけに現金だけではなくて、証券を買っているんです。

西谷:ええっ。財テクしているんですか。そりゃあ、お医者さんじゃないじゃないですか。

上:もう1つ国立病院機構という旧陸海軍病院があるんですが、こっちは1千億円もらっているんです。現金が4~500億円も増えているんですよね。コロナ患者は全病床の5%くらいしかいません。

西谷:これだけ補助金もらっていて、コロナの患者をほとんど受け付けていない。

上:しかもここは独法で残すときに、役人が言ったのが「公衆衛生のために残す」と言って、設置根拠法という法律を作ったのです。おかしなことに、そんな条文があるのに、田村厚生大臣は患者受け入れの命令を出していないんです。8月に朝日新聞の経済部の松浦という記者が記者会見で、田村厚生大臣に、「この条文は使わないのか」と、聞いたら、田村大臣は「感染症法のことか」と聞き返したのです。つまり大臣は法的スキームを知らないのです。そのあと厚労省内では大騒ぎになりましてね。数日で尾身先生のところの城南病院という小さい病院で50床をコロナ専用にすると言い出したのです。

西谷:わずか50床。

上:だけど350億円も補助金もらっていて。

西谷:50床って、焼け石に水じゃないですか。

上:そんなもん、全部コロナ病院にしたらいいんです。もとからやる気がなかったんです。なぜかと言うと、コロナって手間がかかるんです。受けるとしたら、そこに医師看護師を集中しなければならばいのです。全国からアルバイトで雇えばいいんですよ。コロナと戦争するんだから傭兵を集めなければならないんです。ところがやったことは、全国各地に医師や看護師を派遣しているって、田村さんが自慢していたんです。連合艦隊司令長官がですね、これから戦争というのに、そこの船員たちを他に派遣しているといって、もとからやる気なんてなかったんです。

西谷:こういう感染症ムラという現場を知らない専門家という名前の人たちに任せてきた、この責任って菅政権にあるんじゃないですか。

上:その通りです。やっぱりこれ安倍政権、菅政権の成れの果てだと思います。2009年の新型インフルの時は、ここまでひどくなってはないんです。舛添さん、当時の厚生大臣がよくテレビで言ってましたが、彼らが今の専門家を使わなかったんです。Bチームと、オープンに議論させたら、どっちがまともかと。

西谷:ああそうか。プランAとプランBでやったんですね。

上:今の問題って安倍・菅政権が民主主義を私は破壊していると思っているんですが、民主主義って「チェックアン・ドバランス」なんですね。三権分立+メディアとアカデミアと。実は厚労省の医系技官て高度に専門的な知識を扱うということで、大蔵官僚であろうが、総務官僚であろうが、強面の官僚たちも、ここは議論できないんです。

西谷:まあ、そうですねえ。医学のところはなかなか専門的な知識はないですからねえ。

上:医学部を出ているんで、やっぱりよく知っている。これまで彼らをチェックしていたのが族議員なんです。ところが族議員というのはこの9年間で凄く弱ったんです。

西谷:小選挙区制の導入で自民党の族議員はいなくなってきましたよね。

上:今回、自民党で一番反対したのは塩崎恭久さんです。

西谷:塩崎さんね。元厚生労働大臣ですね。

上:一貫して反対して、彼は情報開示して、例えば今年の1月の緊急事態宣言前日に、東京の厚生省の一番の中核病院、国立国際医療センターのICUには、なんとコロナ患者は1人しか患者がいなかったとブログに書くんです。

西谷:ICUに1人しかいなかったんですか。

上:テレビは大変だと騒ぎ続けたんですよ。尾身さんの病院と一緒ですよね。

西谷:350億円と巨額の補助金をもらい、増やしたベットは僅か50床。ほとんど受け入れていない。

上:緊急事態宣言の前日に、何と重症者はたったの1人。

西谷:これはもう、戦犯じゃないですか。

上:ええ。塩崎さんが厚生省に言ったら、彼らは渋々と出したんです。塩崎さんは分かってブログに書いたんです。直ぐ消しましたけどね。クレームが入ったからでしょうね。

西谷:はあ、そうですか。

上:厚生族議員の方々が、ことごとく今回の選挙でいなくなりますよね。

西谷:そうですね。塩崎さんは引退するように言ってました。

上:伊吹さんにしかり、鴨下一郎さんも、当時は強く反対していたんですよ。政治がこうなって、野党もJCHOを何で言わないのと思いますよ。2009年は長妻さんが社会保険庁を叩いたのに。今は社会保険庁の後継の医療機関、これ本当に酷いことしているのに、何も言いませんよね。官公労の大きい組織なんですよね。でも2009年は言えたんですよね。でも今年は言えないんですよ。

西谷:2009年は民主党政権でした?

上:民主党政権になる前でした。社会保険庁改革で政権を取りますよね。

西谷:年金の問題で長妻さんはだいぶ点を上げましたよね。

上:あれは正に官公労を叩いたのと一緒なんですよ。ところが今はできないんです。これは野党の衰退ですよね。

西谷:今は野党も力弱いですよね。

上:組織票が欲しいからだと、私は思いますよ。

西谷:いわゆる連合系の労組の票を

上:中間層の支持が下がって、固定票がほしいので一言もいわないですよね。

西谷:しかし、これは政治家がおかしかったら、おかしいと軌道修正しなければいけませんよね。できるのは政治家ですよね。

上:そしてメディアも何も言わないんです。

西谷:はあ、やはりメディアは自粛忖度だったんですかね。

上:例えばですね。尾身先生の病院に患者を取ってない。病床確保、東京都で尾身さんの病院は1500床持っているんですが、そも1割しか病床を確保せず。

西谷:1割ですか。

上:いま病床確保ばかり新聞は出しているじゃないですか。実際に言ったら、その半分だったんです。要するに入れてもなかったんです。このことを最初にスクープしたのは松浦新さんという、朝日新聞の経済部の記者なんです。朝日は、この記事を書かなかったんです。松浦さんは東洋経済に書くんです。そのあと、先週くらいにAERAドットに吉崎さんというフリーの記者が書くんです。するとものすごいアクセスがあったら、翌日に朝日が松浦さんの記事を小さなベタで載せるんです。これはもう、何を見てるか分かるじゃないですか。

西谷:もう忖度です。上を見ているんです。朝日は。

上:これは記者クラブの弊害で、普通メディアは自分で取材し、相談する専門家は国以外の専門家に頼るべきなのが、コロナ記事というのは、尾身先生や特定の政府の委員や厚生省の研究班など、要するに国に用意してもらうんです。これは単にサボっているだけなんです。多分悪意とかではなくて、ものすごく質が劣化しているんですね。言い分はありますよ。記事が大変だとか。毎日毎日政府の報道を書かなきゃいけないし。記者クラブで縦のものを横にしていればいいだみたいな。だけど結果的には、尾身先生を批判しなければいけないときに、その記事をメディアができないんで、政治家も誰も誤報とかを修正できないんです。

西谷:メディは政府を忖度している。で、それをやれば政府の支持率がもっと落ちる可能性があるので、ちょっとその上層部が忖度したんでしょうか。

上:まあ、後は現場が楽しているんだと思いますよ。

西谷:発表したものをそのまま記事に書けばお終いですから。調査するのは時間がかかるけど。

上:経済部の記者がスクープするんなら医療担当の記者は専門誌読んでちゃんとやれよと。

西谷:なるほどねえ。

上:だから朝日新も部数減らしているんですよね。

パンデミックを乗り越えるための処方箋とは

西谷:まあかなり減らしていますよね。まあちょっとびっくりするような話が出たんですけど。
後半は「パンデミックを乗り越えるための処方箋とは」と題して、お聞きしたいのですが、先ほどチラッと前半に尾身先生たちの国立病院機構とか、地域医療推進機構とか、ここの病院が巨額な補助金を受け入れておりながら、コロナ患者をほとん受け入れていないということで。先生がなにかツイッターで発表されていた表なんですが、例えば国立病院機構なんていうのは病院数が3つあって。

上:東京都内に3つ病院を持っていて、1500病床なんですよ。

西谷:1500病床ある。

上:コロナ病床と、あらかじめ決めているのが128病床で、その内に8月の終わりに受け入れていたのが84人なんです。ですからいっぱいでも何でもないんですね。尾身さんの病院は地域医療推進機構(JCHO)というんですが、5病院持っていて、ベットが1455あるんですが約1割の158をコロナ病床に割いているんですが、実際には111人。これも半分強ですよね。だから病床がそもそも少ないし、さらには患者を受け入れていないんです。これは私、知り合いの自民党の議員からいただいたんですが、一切、公表されていないんです。

西谷:そうですね。私も初めて見ました。

上:コロナに全部やってると思ってるじゃないですか。

西谷:もうそりゃあ最大限やっていて入られへんから自宅放置じゃないんですか。

上:ベットが1割だし、それから患者を受け入れていないんです。そもそも受け入れ準備をしてないんです。なぜかというと、コロナは手間がかかるんで、やるんだったら、ほかからドクターとナースをかき集めなければいけないのを、外に出しちゃってるぐらいなんで、現場がこれは大変なんです。

西谷:でも東京・大阪が大変じゃないですか。東京に集中させなああかんのじゃないですか。

上:もちろんです。感染症も治療の仕方というのは国際的にコンセンサスがあります。診断・隔離なんです。個人のレベルもそうですし、病院もそうです。

西谷:そうですよねえ。だから無症状の人がスーパースプレッターになって、ウイルスをまき散らすのを押さえるために、早期に検査して、早期に隔離して治してあげるということなんですよんよね。

上:治療の必要な人も1つの病院にまとめなければいけないんです。

西谷:そうですよね。1つの病院にまとめた方が機能的なんですよね。

上:結核が結核療養所を作っているようなものですよ。本来やるべきは国公立病院なんです。

西谷:そのためにわざわざ補助金が入っているわけでしょう。

上:法律で決まっているのに、尾身さんは自分の病院にはほとんど患者を受け入れていないんです。

西谷:それずるいですね。あれだけテレビで国民にお願いしておきながら。

上:国立病院機構というのは年間、2020年度が1500億円。尾身さんとこは400億円補助金が付いて、現預金は国立病院機構が500億円くらいでしたか、尾身さんとこは証券買っているので、何十億か何百億かは知りませんが、黒字転換しているんです。あなた何してるのと言いたいですね。

西谷:これ、例えばですね、1500床あってね、僅か128床しかコロナに当てていないなんていうのは、民間の病院だったら経営もあろうけど、ここは補助金でやってる病院だから、もっと本当は8割9割ベットを割いてもいいわけでしょう。

上:そうです。そしたらここの病院だけで東京都の病床不足は解決するんです。

西谷:解決しますよねえ。

上:日本の特徴は死者がそのへんにいっぱい出て医療崩壊の危機ではないんです。病院が足りないから危機なんです。この2つがコロナ専用病院なら、その段階で全て解決するんです。コロナ専用の病床不足なんです。病床を増やせばいいだけなんです。

西谷:何してんの尾身さんという感じですね。

上:はい。尾身さんはある意味連合艦隊の司令長官なんです。その仕事は何もせずに、参謀本部で議論ばっかりしているんです。

西谷:それで、外に出るなとか、酒飲むなとか言っているわけですよね。

上:何と言ったか分かりますか。ロックダウンが必要と言ったんですよ。お宅の病院に患者を移した方が遥かに社会暴走が起きないじゃないですか。理由は医療が崩壊しているからで、あんたの病院がちゃんとしなさいよと言いたい。

西谷:こういうことで医療崩壊の原因が、いま明らかになってきたんですけど、これは今からでも開放させるべきですよね。

上:そう思います。次の政権の使命はここです。実はここの病床を増やさない限りは、この冬も次の春も医療は崩壊してパニックになるんです。日本は感染者が多いからパニックになっているんじゃないんです。G7の中で感染者数は4番目で真ん中。死者数はドイツと並んで圧倒的に少ないんです。つまり、重症患者も少ないんです。ところが病床数が少ない。東京の病床数はG7で、圧倒的に多いんです。看護師は少ないけど、医者は多いんです。ところが、コロナ患者の引き受け手の病院が少なくて、普通は引き受け手は国公立病院が専門に引き受けるんです。

西谷:そりゃあそうでしょう。そのための国公立病院なんですから。

上:今みたいに民間病院に小出しに出すと、本当に医療が崩壊するんです。院内感染が多発しますし、非効率になりますよね。だから、今やるべきは尾身先生が専門家会議の委員なんかさっさと辞めて、この本当の仕事に専念することなんです。大変なんですよ。眼科の先生や産婦人科の先生がいらなくなるので、コロナ以外の方は別の病院に移っていただいて、患者さんを移しす準備が1、2ヵ月かかりますよ。もう冬場のためにやらなくてはならないのは、ここなんですよ。

西谷:冬はやはり感染爆発を起こすんでしょうか。

上:そう思いますよ。例年、数倍ですからね。去年の冬も夏の数倍でしたから、今年も来る可能性はあります。

西谷:例えばいまは毎日3千人くらい来ているじゃありませんか。

上:1万人くらい来ることだってあり得ますよ。

西谷:そしてベットが足らない。この尾身先生らの問題でベットがない。ほんなら自宅で亡くなってしまう人がたくさん出てくる

上:ベットが足りないのと、受け入れていない。尾身さんたちはベットの足りなくて受けてみいないんです。受けない理由は明確です。医師看護師を補充してないから。やはり手間がかかるので、その病院に大量に兵隊、医師看護師を投入しなければいけないのにやってんのは逆で引き剥がしている。

西谷:その努力をせずに。

上:もとからやる気がないということなんです。

西谷:やる気がなかったら専門家の委員を受けるなという話ですよね。

上:専門家が受けてはいけないんです。トヨタの社長が経団連の会長やるのようなもんなんです。あなたがやるのは現業の舞台のトップなんだから、病院から一歩も動けるはずはないんです。だから本当に最初からやる気がないということなんです。

ワクチンについて

西谷: いやもう本当に、びっくりする現実が暴かれていくわけですけど、ちょっと話題を変えましてワクチンについてなんですけどね。日本もワクチンには失敗したんですけど、例えばいま、副反応が言われていなすが、先生は最初からファイザーやモデルナのワクチン1瓶から6回分取れるけど、これは身体の大きい米国人向けの分量だと。身体の小さな日本人には過剰摂取になると言ってましたけど、そうなんでしょうか。

上:はい、そう思いますよ。なぜかといいますと、海外は治験をやったデータが公開されるんです。例えばファイザー社の治験では、容量をだんだん増やしていく結果も公開しているんです。医学誌で世界最高の雑誌ニュウイングランドの論文に出しているんですね。そこを見ると10マイクロ、20マイクロ、30マイクロと量を増やして検査しいるんですが、副反応は量を増やすほど多いんです。そうすると、アメリカ人の男性の体重は平均90kg。日本人の女性は45kgですから。

西谷:半分じゃないですか。

上:日本人の女性は米国の男性に比べて2倍の量を打っているんです。

西谷:そりゃあ打ち過ぎですよね。

上:はい。千葉大学の研究で、抗体は女性の方ができやすいという報告があります。それは当たり前ですよね。量が多いのですから。

西谷:それで副反応は女性の方がきついということなんですか。

上:当たり前ですよね。 副反応も効果も女性が多いのは、量が多いからで、こんなデータはとっくに出ていて、世界の専門家のコンセンサスにはネイチャーとかニューイングランドの医学誌なんかに発表するんですね。ネイチャーはモデルな製のワクチンは数か月前に既に1/4で十分だと書いているんです。これはコンセンサスですよ。ネイチャー誌って本当に保守的なので、コンセンサスしか出さないので。

西谷:なるほど。科学的に確立されたものでないと出さないということですね。そこでネイチャーの1/4でいいというのが確たる意見なんですね。

上:はい。だからWHOみたいな政治組織でも、昨日か今日、量を減らしましょうと言っているんです。日本政府もやるべきですよね。

西谷:しかしうがった見方をすると、ファイザーやモデルナはたくさんワクチンを売りたいから、1瓶を6人分にしてるんじゃないですか。そうじゃないですか。

上:まあ、正直あんまり相手にされていないイメージなんですよ。

西谷:日本がですか。

上:はい。ファイザーの知人やモデルナの知人に聞くと、米国と中国以外はどこもこう一線であると。日本は特別大きくも小さくもないくになんだという認識なんで。ワクチンは確かに大きな利益を上げているんですが、だけど利幅としてすごく大きいわけではないらしいんですよね。

西谷:あんまりおいしい商売じゃないいうわけですか。ファイザーから見れば。

上:大したもんなんですよ。ファイザーの社長さんて、どんな人か知ってますか。

西谷:菅さんが米国に行って会えなかった人でしょ。

上:ギリシャ人の獣医さんですが、ギリシャ人の採用の獣医がニューヨークの本社のトップになるんですが、ご両親がホロコーストの生き残りなんです。そういう家庭で育って、ある意味世界の辺境ですよね。で、実力一本で、昨年ビオンテックというドイツの会社のワクチンが出たら、彼はハーバードビジネス誌のインタビューに答えているんですけど、治験て、3千億円から4千億円かかるんですが、その程度なら家は自前で出せると。国を絡めずにどんどんやれって、指示を出したんです。

西谷:それで治験がどっと進んだんですね。

上:はい。それと、産官学共同とか国がどうという文化は違うでしょう。
西谷:はい、違います。

上:そんな連中を相手に菅さんが行けばリップサービスはしますよ。しかし、リップサービスはしても、それ以上でも以下でもないんですよ。

西谷:日本に来るのが遅かったですよね。

上:日本が遅れたのは明確です。ファイザーはグローバルで治験をしたいわけで、地域で一か国ずつ選んだんです。アフリカは南アフリカ。ヨーロッパはドイツ。アジアは日本だったんですが、前臨床試験って、いろんな書類の手続きで日本は特殊な規制を課していたんで、それで遅れたんです。特殊な規制が非関税障壁として、国内メーカーを守ってきたんですが、今回は待たなかったんです。だから一か国だけ治験が遅れた。

西谷:日本だけ入れなかった。

上:はい。だから海外は年末から打てたのに日本は2月の中旬からしか打てなかったんです。

西谷:そうですね。ヨーロッパは早かったですよ。

上:世界中早いんですよ。日本だけ遅れたんです。そしたら田村大臣が特別承認をすればいいのに、それもせず治験をやったので遅れたのです。

西谷:この問題は第二次世界大戦と一緒で専門家が間違うと修正が効かないんです。でも「ムラ」の人は間違うようにやるんでしょ。

上:ムラの人たちが世界のレベルに行ってないからです。だからノモンハン事件の当時の陸軍幹部と同じなんです。

西谷:電話かけても繋がらへんし、自宅で高熱でね。そして病院のお医者さんが入院していいと言うのに、保健所が止めて、亡くなったケースもあるんですよ。

上:考えられませんよね。こんなの専門家の間違いです。さらに医師としてのではなくて、公衆衛生を医療よりも上に置いてる国なんてないですからね。

西谷:苦しんでる人を助けるのがいの一番でしょ。

上:国民ももっと怒らなくてはいけないんです。

西谷:そうですよね。現実をまだ、私たちが知らされてないということも大きいですね。

上:そうですね。

西谷:テレビに出てこのような話はできますか。

上:テレビはお呼びないですね。テレビは田原さんの番組ぐらいですね。お呼びいただくとしたら。

西谷:いわゆるワイドショーのようなみんなの見るところには出れない。

上:当然でしょうねえ。

西谷:今の話をしたら、尾身さん吹っ飛ぶもん。

上:でも、尾身さんが辞めないとだめですよ。

西谷:ああ、そうですか。

上:彼は正直言ってそんなレベルじゃあないので。

西谷:世界のレベルから2周も3周も遅れている。

上:去年の2月に中村佑輔先生に「コロナが空気感染する」と私は教えてもらいました。

西谷:そうそう。空気感染なんだそうですね。いわゆる濃厚接触というレベルではなくて、20メートル離れていてもうつったりするんですよね。

上:「3密」とかクラスターとか意味がないんです。間違っていたら、尾身さんたちは間違っていたと、早く修正すべきなんです。今でも「3密」などと言って、濃厚接触者を調査させてるじゃないですか。保健所はあんあもんサッサとやめて在宅ケアに余力を回せばいいんですよ。

西谷:ほんとですうよねえ。すぐに入院出来て、直ぐに抗体カクテルを打てるんだったら、みんな安心しますよね。

上:保健所の人たちに調査させるよりも治療した方がいいですよ。

西谷:保健所の人たちは数字しか見ませんもんね。酸素飽和度が95以下でないと入院できないとか。

上:あれは尾身さんたちが決めたんです。

西谷:これ間接殺人に近いんじゃないですか。

上:本当におかしいですよ。戦争で言えばA級戦犯ですよ。多数の方を殺しているのですから。

西谷:そういう方が補助金もらって、そこで財テクしているのは、どういうことやねんと思いますね。

上:財務諸表が公開されているから、公開データを読めば誰でもわかることですよ。

西谷:最後に、いまラムダ株が猛威を振るっていますが、ミュー株というのもあるらしいので変異株の恐怖があります。この冬が危ないと言っていましたが、このままだったらどうなって行きかすか。

上:私はこの冬で世界はある程度は乗り切ると思ってます。なぜかというと、変異株が出てきても、ワクチンの感染予防効果は半分くらいに減ったんですが、重症者が少ないんです。冬は危ないから3回目のワクチンを打つと政府は言っています。基礎的な免疫がある程度できたら、かかっても重症化しないことが分かっています。さらにこの年末までにはメルクやファイザーやロッシュなどのグローバルファーマーが飲み薬を開発しそうなんです。

西谷:いま飲み薬の話が話題になっています。

上:コロナは感染するけど重症化しない。今の日本の高齢者が既にそういう状況になっています。ワクチンを打って、飲み薬さえあれば乗り切れるんです。

西谷:安心できますよね。

上:ただ日本は病床が足りないので、いつまでたったって、どっかの病床でまとめて診ない限りは、重症者は少ないけど医療崩壊するんです。この病気は風邪とかインフルエンザほど、まだ落ち着いてはいないので、一部が重症化して亡くなるんですよ。ワクチンを打っても一部は重症化するんですよ。死なないけど重症化するんです。重症化する人たちはやっぱりまとめて診ないといけないんです。やることはもう、明確で、日本は重症者が多いわけではないんです。だけど医療崩壊してるのは受ける病院が足りなく、ベッドが足りなく、選択と集中すべきなんです。これは尾身先生あんたのとこでしなさいよということなんです。

西谷:尾身先生の病院をコロナ専門にして、そこに医者と看護師さんを集中させて、早期に治療させたら安心ですよね。

上:その通りです。それは次の首相になる方がやるかやれないかなんです。

西谷:これ、次の総選挙ってめちゃめちゃ大事になってきますよね。

上:そうなります。

西谷:これまた、菅さんみたいのが出てきたら、尾身さんが行き残ってずっとこれをやられたら、世界は治るのに日本だけ治らないということになるんじゃないでしょうか。

上:菅さんはコロナが始まった時の官房長官。官房長官、厚労大臣、与党の責任者が、今の厚労大臣だから方向転換できないんです。次の自民党の総裁選で関係ない人がいれば換えないといけないんです。変えないとまた倒閣になるんです。このやり方は合理的でないから誰がやっても失敗するんです。世界でこんなやり方してる国はないんです。重症者が世界の先進国で最も少ないけど、医療崩壊が起きるんです。

西谷:私たちが一生懸命働いて収めた税金で、この国立病院などが成り立っているので、だからみんなのための病院のはずなのに、なんと尾身さんら一部の「ムラ」の人たちのための病院となっている。

上:旧内務省衛生警察と旧陸海軍の成れの果てを見ているんですよ。

西谷:これやっぱり原発と似てませんか。こうなんか突き進んで行ったら止まらないというか。

上:原発よりも歴史が古いですからね。明治時代からの。原発はまだ、あの程度で止まっているんですけど、これ多分現場では止まらないじゃないですか。

西谷:それに素人は分かりませんからね。上先生の話を聞かないと。

上:明治時代と文化が同じなんです。特権意識を持って、俺たちが国家を仕切る。国民なんかは言うことを聞けみたいな。

西谷:かって東条英機が大和魂で勝てるんだと言っていた世界ですよね。

上:だって今はうまくいかなかったら、人流減だとか、若者を批判したりして、飲食店のせいにして、今はデパ地下のせいにしていますよね。

西谷:そしてバタバタと倒産したりしています。

上:感染対策しない店が悪いなんて言っています。

西谷:でも、いまおっしゃったように、空気で感染するんですから、対策してても止めようがない。

上:だから徹底的な検査やるしかないんです。でも、彼らもさすがに悪いとは知っているんで、オリンピックはちゃんと検査しましたよ。選手全員にワクチンを打って、毎日検査をして、陽性者は隔離した。言うこととやることが違うじゃないですか。

西谷:そりゃそうですよ。だって、小学校、中学校に運動会中止しろと言うときながら、自分たちはオリンピックという運動会をやってるんですから。

上:パラリンピックは子供たちに見に行かせましたよ。だから余計に支持率は下がったんです。

西谷:まあ最後は投げ出したわけですけど。私は投げ出さんと総選挙をやってもらって、抜本的に代える方がいいとは思っているんですけど。

上:そうでしょうね。専門家も全部リセットしないと。この話は安倍菅官邸から専門家が暴走しやすい構造に9年間にできちゃったんです。誰もチェックが入らなくなって、統帥権を盾に暴走した戦前の参謀本部と同じ構造なんです。専門性を盾に暴走しているんです。

西谷:その土台になっているのは、恐らく安倍菅政権の中でイエスマンばっかりを入れて、耳の痛いこと言う人は飛ばしていたでしょう。これが大きな問題じゃあないですか。

上:だから9年間かけてここまでおかしくなったんです。これは敗戦以上の経済的なダメージになりますよ。

西谷:やあ、そうやと思います。これからものすごい不況になって来るんじゃないですか。

上:先進国は規制を全部解除しているんです。普通の経済活動を始めているんです。日本だけなんです。ロックダウンなんて行ってる国。感染者が少ないんです。4回も5回も緊急事態宣言やっていて。

上:この冬に一番大きなのが来るんです。

西谷:ということは、いまここで準備しておかないと間に合わないですね。

上:簡単なんです。国立病院機構とJHCOでやればいいんです。ワクチン接種は国民の5割が終わっています。フランスが規制緩和したのが20%台です。米国も40%台で緩和しているんです。

西谷:ということは病院のベットと医者の数だけ確保してしっかりと体制を組めば、もうノーマルな生活ができるということですか。

上:そです。海外ではやっているんですから。

西谷:そうですね。マスク外して、サッカー見に行ったりしてますよね。

上:米国はこの問題を最も本質的に見ているものがウォールストリートジャーナルなんですよ。企業にとって合理的行動なんです。

西谷:ああ、そういうことなんですか。ということは日本も早く周回遅れが追いつかなあかんのに、まだまだ今の体制だったら遅れたままということですね。

上:専門性と経団連が言ったって尾身先生が何を素人がと言ったら、その場で終わりやないですか。尾身先生こそ素人なんです。専門家じゃないんですよ。

西谷:そういうことなんですね。

上:だって、ネイチャーやサイエンスや医学誌に書いていることが専門家のコンセンサスで、全く違うことを言ってきたんです。

西谷:そしてメディアがそれを追求しなかったんですね。

上:読まないんです。医療記者という人たちが、専門家すら厚生省に授けてもらっているんです。社内で異論が出た場合、こういう記事を掲載しないんです。これが日本のメディア。

西谷:なるほど。

上:戦前とよく似てますでしょ。

西谷:似てますねえ。上先生今日はありがとうございました。感染症はまだまだ収まりませんけど、これからも私たちにいいアドバイスを伝えていただけたらと思います。今日はどうもありがとうございます。




# by nonukes | 2021-09-16 16:20 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

安倍・菅政権のコロナ無能・無策に怒る国民待望の「野党共闘」が実現

次は選挙に無関心な有権者の心を掴む「共通政策」で投票率を上げ、政権交代だ!
小坂正則

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野党4党が首勢ぞろい
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市民連合のみなさんと野党4党首のみなさん(ご苦労様でした)

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菅首相と小池都知事や吉村府知事はコロナ患者放置の共犯者

新型インフルエンザ等対策特別措置法第48条第1項、この対象となっている都道府県の知事は、その区域内において病院その他の医療機関が不足し、医療の提供に支障が生ずると認める場合には、臨時の医療施設において医療を提供しなければならない。という法律が日本国にもあるのです。しかし、政府・厚生省や東京都や大阪府はコロナウイルスが日本に上陸した一昨年から1年半以上の時間的な余裕があったにも関わらず、この法律にある義務を全く放棄して、臨時の医療施設を一切作ることをしなかったのです。これは犯罪行為です。コロナ陽性者の中で自宅療養という名の自宅放置されたまま、重症化して救急車を呼んでもどこの病院にも入れてもらえなくて死んだ方の親族が、小池東京都知事や吉村大阪府知事は特別措置法違反で訴えられたら、小池や吉村は重過失罪で敗訴するでしょう。いえ、彼らを殺人罪として刑事事件として訴えることだってできるのではないでしょうか。
この国は既に20年間も経済成長がなくて、労働者の平均賃金も20年間上がらず、労働者の40%が非正規雇用で、1人親の世帯の半数が貧困家庭という。この国は果たして先進国と言えるのでしょうか。そんな経済も国民生活もマイナス成長の日本でも、医療だけは先進国並みの「いつでも誰でも医療を受けられる」と思っていました。ところが、コロナが蔓延した東京圏や関西圏の市民はコロナにかかっても医療を受けることができずに、自宅で死んでいく患者が続出しているのです。このような政府の失策は憲法25条の「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」に違反しているのです。憲法違反の裁判を菅政権を訴えるべきだと私は思います。
菅政権は、コロナが日本で広がった一昨年から1年半もの時間がありながら、国と東京都や大阪府は緊急医療体制を作ることを何もしないまま、第6波をただ指をくわえて見るだけの菅政権によって、多くの都民や府民が自宅で何の医療も受けることもなく、一人寂しく死を迎えるしかなったのです。

菅は総選挙で落選運動、小池都知事はリコール

菅や小池が寝る暇も惜しんで国民全員にPCR検査を受けさせるための努力をしたり、臨時の医療施設を何千人分も用意していても、それを上回る患者が出たのなら、止むを得なかったかもしれません。しかし、臨時の医療施設を作ろうともせず、菅と小池は五輪とパラリンピックの宴に酔いしれていたのですから国民が怒るのも当たり前です。今度の総選挙には、菅義偉の選挙区には山本太郎をぶっつけて、菅を落選させて責任を取らせるべきだと思います。また、東京都民は小池都知事のリコール運動を行うべきだと、私は考えます。その理由は「コロナ患者を見捨てて五輪・パラに1兆数千億円もの莫大な都税をつぎ込み、うつつを抜かした罪」です。

野党4党による「衆院選挙における野党共通政策」

昨日8日に、立憲民主党の枝野幸男代表と共産党の志位和夫委員長に社民党の福島瑞穂氏に「れいわ新選組」の山本太郎氏の野党党首の4名がそろって、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(市民連合)を仲介者として「衆院選挙における野党共通政策」の政策協定に調印しました。これまでの市民連合代表の山口二郎氏(法政大学法学部教授)の並々ならぬ苦労の末に到達した合意だったのです。合意した政策は①憲法②コロナ対策③格差是正④エネルギー⑤ジェンダー平等⑥行政の透明化の6項目です。具体的には、安保法制や特定秘密保護法の違憲部分の廃止▽原発のない脱炭素社会の追求▽選択的夫婦別姓制度の実現などを挙げたシンプルなものです。
立憲民主党と共産党との間には安全保障や憲法をめぐる違いがあります。それを突いて、自民党や公明・維新は4者共闘を「野合」と批判することでしょう。そんな批判を何ら真に受ける必要はありません。それぞれの政党があるのは、党規や党則などの違いがあるからです。それがみな同じなら政党が1つになればいいだけのことです。自民党も野合の政党です。だって、どう考えても石破さんと安倍晋三の政策も思想もかけ離れています。立民と共産党ほどの違いがあるのに、1つの政党として活動しているのです。自公が野党共闘を野合と批判するなら、「自公こそ野合政権」だと批判すべきです。片やネトウヨ政党で、片方は宗教政党ですから水と油が利権という実をとるために野合をしているのです。

野合の何が悪い。ドイツは保守と社民と緑が大連立へ?

立民は「菅政権の下で総選挙を行えばひょっとすると政権交代も可能かもしれない」という淡い考えもあって、「共産党とは連立政権はしない」と、共産党さんへ失礼な言い方をしていました。でも、ここにきて、河野・石破政権に小泉進次郎も加わって、自民党3大役者の勢ぞろい政権による総選挙だったら、4年前のバカ勝ちの二の舞になるんじゃないかと、急に不安になって、共産党へ秋波を送ったと、マスコミは論じています。
しかも、今回の「野党共通政策」合意には国民民主党が入っていません。だからなおいいのです。国民民主党がいない分だけ、まとまりやすかったのでしょう。彼らは、いちゃもんをつけて、混ぜくることしかしないからです。しかし、国民も共産党さんが引いてくれなかったら、数少ない小選挙区でも総なめで落選するのですから、黙って4党合意に従うしかないのです。国民民主党なんか「屁」のようなものです。(何の役にもたたないただ臭いだけの存在という意味)
今回の総選挙は自民党のオールスターがそろって選挙をたたかうのですから、決して野党はあなぞれません。勝手も30議席増くらいのものでしょうから、政権交代など出来っこありません。今回の野党共闘を成功させて、共産党さんと共に汗をかいて、次のステップに臨めばいいのです。次は来年の参院選で勝利して、自民党参議院を過半数割れを起こして、次の総選挙で野党過半数を獲得して政権交代を実現すればいいのです。
今回の選挙は安倍晋三の悪事を暴くことや菅政権のコロナ対応を批判して野党のコロナ対策をぶつければいいのです。ドイツも9月26日に総選挙が行われます。、中道左派の社会民主党(SPD)が支持率25%。キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が20%。緑の党が16%だそうです。ただただ、SPDとCDU・CSUのいずれがトップになっても、過半数を得るには緑の党が連立相手になる可能性が高いといいます。ドイツの右翼政党「ドイツのための選択肢」(AfD)に対抗して保守・左派・緑の大連立の可能性も言われているのです。要は目の前の政治課題をいかに解決に向かって動かすかが政党の政党たる要件なのです。綺麗ごとを並べるだけが政党の仕事ではありません。最大多数の最大幸福を実現することが必要なのです。ヨーロッパではもう何十年もの長い間、1つの政党が政権を取るという構図がなくなり、連立政権が当たり前のようになっています。日本も小選挙区で勝ち上がるためには少数野党は協力して腐敗堕落して現政権を倒すことこそが国民政党の務めなのではないでしょうか。

有権者があっと驚くような総選挙の演出を

選挙は勝たなければなりません。オリンピックではないので、参加することに意義があるのではありません。ただ、小泉純一郎のやってような演出も必要です。私は山本太郎さんには最大の演出をしてほしいです。それは横浜の神奈川第2区に自民党公認で立候補する菅義偉に対抗して山本太郎さんを出してほしいのです。もちろん比例重複で。もし菅に負けても比例重複で当選するように。それに横浜市長選で活躍した田中康夫さんにも立憲でもいいので、出てほしいです。前川喜平さんにも出てほしいのですが、どうしても出る気がないのなら、小選挙区への応援に走り回ってくだだい。ただし、立民のシャドー・キャビネット(影の内閣)の文科大臣に任命して、立民の教育方針を打ち立てて、立民が政権を取ったら前川喜平さんを文部大臣に起用すると約束して、総選挙の顔として活躍してもらうのです。
そして、選挙に関心のない浮動票の有権者に選挙に興味を持ってもらって、投票率を上げて、自公を追い込むのです。野党共闘が成功したら維新と国民民主党は消えてしまうことでしょう。


衆議院総選挙における野党共通政策の提言(全文)


新型コロナウイルスの感染の急拡大の中で、自公政権の統治能力の喪失は明らかとなっている。政策の破綻は、安倍、菅政権の9年間で情報を隠蔽(いんぺい)し、理性的な対話を拒絶してきたことの帰結である。この秋に行われる衆議院総選挙で野党協力を広げ、自公政権を倒し、新しい政治を実現することは、日本の世の中に道理と正義を回復するとともに、市民の命を守るために不可欠である。
市民連合は、野党各党に次の諸政策を共有して戦い、下記の政策を実行する政権の実現をめざすことを求める。

 憲法に基づく政治の回復
・安保法制、特定秘密保護法、共謀罪法などの法律の違憲部分を廃止し、コロナ禍に乗じた憲法改悪に反対する。

・平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う。

・核兵器禁止条約の批准をめざし、まずは締約国会議へのオブザーバー参加に向け努力する。

・地元合意もなく、環境を破壊する沖縄辺野古での新基地建設を中止する。

2 科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化
・従来の医療費削減政策を転換し、医療・公衆衛生の整備を迅速に進める。

・医療従事者をはじめとするエッセンシャルワーカーの待遇改善を急ぐ。

・コロナ禍による倒産、失業などの打撃を受けた人や企業を救うため、万全の財政支援を行う。

 格差と貧困を是正する
・最低賃金の引き上げや非正規雇用・フリーランスの処遇改善により、ワーキングプアをなくす。

・誰もが人間らしい生活を送れるよう、住宅、教育、医療、保育、介護について公的支援を拡充し、子育て世代や若者への社会的投資の充実を図る。

・所得、法人、資産の税制、および社会保険料負担を見直し、消費税減税を行い、富裕層の負担を強化するなど公平な税制を実現し、また低所得層や中間層への再分配を強化する。

 地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行
・再生可能エネルギーの拡充により、石炭火力から脱却し、原発のない脱炭素社会を追求する。

・エネルギー転換を軸としたイノベーションと地域における新たな産業を育成する。

・自然災害から命とくらしを守る政治の実現。

・農林水産業への支援を強め、食料安全保障を確保する。

5 ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現
・ジェンダー、人種、年齢、障がいなどによる差別を許さないために選択的夫婦別姓制度やLGBT平等法などを成立させるとともに、女性に対する性暴力根絶に向けた法整備を進める。

・ジェンダー平等をめざす視点から家族制度、雇用制度などに関する法律を見直すとともに、保育、教育、介護などの対人サービスへの公的支援を拡充する。

・政治をはじめとした意思決定の場における女性の過少代表を解消するため、議員間男女同数化(パリテ)を推進する。

6 権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する
・森友・加計問題、桜を見る会疑惑など、安倍、菅政権の下で起きた権力私物化の疑惑について、真相究明を行う。

・日本学術会議の会員を同会議の推薦通りに任命する。

・内閣人事局のあり方を見直し、公正な公務員人事を確立する。

2021年9月8日

安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合

 上記政策を共有し、その実現に全力を尽くします。

立憲民主党代表  枝野 幸男

日本共産党委員長 志位 和夫

社会民主党党首  福島みずほ

れいわ新選組代表 山本 太郎

# by nonukes | 2021-09-09 19:31 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

「第6次エネルギー基本計画」案は原発に依存したまやかしの計画 


原発依存の基本計画にパブコメを集中させて、再エネ中心の基本政策を実現さえよう
小坂正則

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「原発ゼロ」を1日も早く実現させるためにパブコメを集中させよう

昨年10月より総合資源エネルギー調査会基本政策分科会において議論が交わされてきた「第6次エネルギー基本計画案」が7月21日に発表されて、9月3日~10月4日までパブリックコメント(意見公募)の受け付けが始まりました。この案はパブコメを受けて10月には正式に決定される予定です。私たちがパブコメを書いても、のれんに腕押しで、何の変更もされない可能性は大なのですが、黙っていては経産省と資源エネ庁に「多くの国民に支持されました」というコメントの下に粛々と原発依存のエネルギー政策が進められることになるのです。少なくとも、私たち国民は「政府のエネルギー計画案には反対である」という意志を示して、マスコミや政治家へのプレッシャーとするべきでしょう。政府や自民党が今でも公式には「可能な限り原発依存度を低減する」と言わせて、「新規の原発建設」を表明できない理由は、これまでの国民の「脱原発」の声に怯えているからなのです。
私たちの「脱原発」の声をパブコメに集中させて、「原発ゼロ」を表明している「共産党」や「社民党」や「れいわ」などにはエールを送り、連合の顔色を伺って、明確な「原発ゼロ」を表明できない、野党第一党の枝野幸男党首のお尻を叩く意味においても、脱原発の多くの市民の声をパブコメに集中させる意味は大きいと思うのです。

これまでの「エネルギー基本計画」

2002年から3年ごとに見直しがされる国のエネルギ政策の基本方針です。2011年の3.11福島原発事故前の2010年の第3次エネルギー計画は、「2030年までに原発依存度を53%まで引き上げる」というとんでもないものでした。しかし、2012年の民主党政権時には「原発ゼロ」を打ち出した基本計画を作ったものの、閣議決定できないままに終わった幻の基本計画になってしまいました。その後、安倍政権になって、2014年の基本計画では原発をベースロード電源と位置付けて、「原子力は必要不可欠のベースロード電源」と決めつけました。その後、2018年の計画では2030年度までに、再エネ電力を22~24%で、原子力が20~22%と決めました。つまり自然エネ電力の最低と原子力の最高は同じ値にしなければならばい理由があったのでしょう。それは「原子力村」と言われる、電力会社や鉄鋼などに御用学者と自民党の政治家などの顔を立てる必要に駆られたのです。しかし、2010年から2020年にかけて、原子力が25%から4%へと大幅減となる一方、再エネは9%から22%へと大幅増で、2030年の目標を10年前倒しで、再エネ電力は増えてしまったのです。このように政府の都合の悪い再エネ電力は、国が誘導しなくても増えてしまって、「原子力村」の頼みと綱の原発は何と、稼働中が9基で僅か4%しか占めていないのです。4%の電力など止めてしまっても何ら市民生活に不都合はありません。

第6次エネルギー基本計画の問題点

今回出された「第6次基本計画」では2030年までに再エネ電力が36~38%で、原子力は相変わらず、20~22%と、その比率は前回までの目標を捨てていません。仮に原発の電源構成で20%を達成しようとするなら、およそ27基程度が再稼動している必要があるのですから、これから再稼働が予定されている原発を動かしただけでは足りずに、新規原発を建設する必要があるのです。そんな危険な原発など全国で立てさせる自治体などはないでしょう。
さて、政府は立て前上は「可能な限り原発依存度を低減する」とは言いつつも、本心は「原子力を積極的にすすめたい」と思っているのですから、可能な限り原発再稼働を行い、新規原発も立てたいという思いが、今回の第6次計画にも原子力の部分が随所に出てきます。
その大きな1つが2030年の電源構成比で、原発の電源が20~22%という目標です。そして、「原子力は、燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく、数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる低炭素の準国産エネルギー源として、優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である」と述べているのです。そして、「我が国においては、原子力発電開発のため、人材・技術・産業基盤の強化、安全性・経済性・機動性に優れた炉の追求、バックエンド問題の解決に向けた技術開発を進めていく」と宣言しているのです。また、世界中で脱原発へと進んでいる中で、「世界の原子力安全の向上や原子力の平和利用に向けた国際協力の推進」を行うとも述べています。また、新規原発の開発について、「米英加を始めとした先進国では小型炉、革新炉に活路を見出し、2030年前後の商用化を目指して大規模政府予算を投入して研究開発を加速している。こうした海外動向も踏まえ、海外の開発プロジェクトに高い製造能力を持つ日本企業も連携して参画するとともに、国内においても、水素製造を含めた多様な産業利用が見込まれ、固有の安全性を有する高温ガス炉をはじめ、安全性等に優れた炉の追求など、将来に向けた原子力利用の安全性・信頼性・効率性を抜本的に高める新技術等の開発や人材育成を進める。」と述べて、小型高温ガス炉などの開発も行うと言います。自民党・政府のいう「可能な限り原発依存度を低減する」とは真っ赤な嘘ではないですか。

日本政府の「2050年二酸化炭素実質ゼロ」は空手形

安倍晋三前政権が15年に決定した二酸化炭素削減目標の「13年度比26%減」を今回は「13年度比46%減」とし、「可能なら50%の高みに向けて挑戦を続ける」との新たな方針は随分改善されてはいるのですが、どうせ29年後の2050年には自民党の政治家も政府の役人もほとんど生きてはいないので、「そんなもの言ったもの勝ちだ」と、言いぱなしの感があります。なぜなら実行計画が不十分だからです。この計画によると「2050年の発電量の約50~60%を太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス等の再生可能エネルギー、水素・燃料アンモニア発電を10%程度、原子力・CO2回収前提の火力発電を30~40%程度」としているのです。つまり火力発電は30~40%残して、そこで出た二酸化炭素は地中の埋める計画というのです。またCCUSによる炭素貯蔵・再利用を前提とした火力発電といったイノベーションを必要とする計画です。
このCCUSとは火力発電所で出た二酸化炭素を分離して地下深くに貯蔵するという計画なのですが、そのためには莫大な費用がかかりますから、その分だけ石炭火力発電の発電コストが高くつくのです。また地震国の日本で地下に埋めた二酸化炭素が地震で漏れ出したら何の意味もありません。それに「石炭火力の20%混焼技術の実機実証を進めつつ、NOx排出量を抑制した高混焼バーナー等、専焼化も見据えた技術開発を行う」と言い、石炭火力発電を日本政府は開発して世界中に輸出しようとしているのです。

2030年二酸化炭素46%削減は眉唾

「2050年に二酸化炭素実質ゼロ」のためのロードマップが2030年二酸化炭素削減46%です。しかし、各国の削減目標はそれぞれ日本よりも大きな目標を立てています。まずEUは1990年比55%削減目標です。英国は同じく78%削減目標です。しかし、日本は2013年比46%なのですが、これを1990年比に直したら、実際は39%しかありません。英国の半分以下です。EUの約2/3です。なぜ大幅な削減が必要かというと、国連の2050年に実質ゼロでは2100年には世界の平均温度は2度ほど上がると言うのです。1.5度以内に収めるためには2030年に80%削減が必要だと言っているのです。2018年にIPCCは、2030年までに石炭の消費の2/3を減らし、2050年には実質ゼロにする必要がある、と言っています。そしてそのときには自然エネルギーが70~80%といいます。
また、2019年にIPCCが決めた行動目標では「1人当たりの電力消費量を2025年までに20%、2030年までに35%削減するとともに、電力調達に再生可能エネルギーが占める割合を2025年までに40%、2030年までに80%へと高めるべきだ」と言います。つまりはこの日本の46%削減では不十分なのです。

日本政府は環境税の導入を

読売新聞2021/03/01によると「炭素税本格導入を環境省検討、税率を段階的に引き上げへ」とあります。しかし、経産省は環境税(炭素税)導入には後ろ向きです。
経済産業省の長期温暖化対策プラットフォームの報告書では、(エネルギーにかかる税収4.8兆円を我が国全体のエネルギー起源CO₂排出量11億トンで割り戻すと)T-CO₂当たり4,000円の税がかかっていると書かれており、これ以上に新たな税金を導入する必要はない」と言います。しかし、各国の環境税(炭素税)はスウェーデンが最高で約14400円、スイスが約10000円。フランス約5500円、デンマーク約3000円など欧州と比べて日本は税率が桁違いに低いのです。
そこで、現行の日本の炭素税(289円)で年税収約2400億円です。しかし、現行の揮発油税などから計算すると、炭素1トン当たり約4000円分になると言って経産省は反対しているのですが、仮に倍の8千円まで炭素税等を引き上げるとしたら、4000円は現行の289円の13.84倍になるので、それだけで、税収額が5兆5360億円となり、増加分は5兆2960億円の税収アップとなります。
ガソリンの揮発油税が1リットルで48.6円、地方揮発油税5.2円の合計で53.8円が約100円くらいになり、ガソリンの価格が200円くらいになる可能性があります。まあ、それだけでもEVの需要が爆発的に起こり、ガソリン自動車からEVへの変換が加速度的に進むでしょう。そのほか、石炭火力発電は終焉してしまうし、灯油ストーブも終わるでしょうが、日本中で再エネが爆発的に普及するでしょう。また、この5兆円の税収は若者の雇用対策などにも使えるのです。

エネルギー基本計画(案)に対する意見の募集について 詳しい説明は下のアドレスに

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620221018&Mode=0



「炭素税」本格導入を環境省検討、税率を段階的に引き上げへ
読売新聞2021/03/01

2050年の温室効果ガスの排出量実質ゼロ実現のため、環境省が排出量に応じて企業に税負担を課す「炭素税」を本格的に導入する方向で検討していることがわかった。激変緩和のため税率を段階的に引き上げ、税収は脱炭素政策に活用する。2日の中央環境審議会の小委員会で素案を示す。
国内では2012年から炭素税の一種として二酸化炭素(CO2)排出量に応じて原油やガスなどの化石燃料の輸入業者らに課税する地球温暖化対策税(温対税)を導入している。しかし、1トンあたり289円で、スウェーデンの約1万4400円、フランス約5500円、デンマーク約3000円など欧州と比べて税率が桁違いに低い。
環境省は、CO2削減に向けて産業構造を転換させるには、炭素税の本格的な導入が不可欠と判断。温対税の増税か、新たな炭素税を導入するか、どちらかの方式を想定する。
ただ、課税水準をいきなり欧州並みにすると、経済や社会への影響が大きい。このため当初は低く抑えつつ、段階的に引き上げる方針を明示することで、企業の計画的な脱炭素化への取り組みを促す。
経済界には国際競争力への影響などの懸念があるため、化石燃料を使わない技術への代替が難しい業界などは税の減免や還付措置を行う。税収は脱炭素政策に活用することで、企業の技術革新を後押しし、経済成長につなげることを狙う。
環境省は今後、中環審や経済産業省が別途行っている研究会の議論を踏まえ、具体的な制度を設計する。早ければ夏に財務省に税制改正を要望し、年末の政府・与党の税制調査会で本格導入の是非や税率、導入時期などが議論される可能性がある。



# by nonukes | 2021-09-09 00:01 | Comments(0)

枝野幸男代表への公開質問状と回答から見えてきた脱原発から大きな後退

立憲民主党はいつから原発容認派に寝返った?
小坂正則


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今年の2月14日の西日本新聞に311福島原発事故から10年目の特集記事として、立憲民主党(略称:立民)の枝野幸男代表へのインタビュー記事が掲載されました。(最後の頁にあります)
その中で、枝野代表は「無責任なことは言えない」として、「使用済み核燃料の行き先を決めない限り、少なくとも原子力発電をやめると宣言することはできない」と、立民の「原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現」という党綱領から大きく後退する発言を行いました。
なぜなら、「原発ゼロをめざす」とは自民党も公明党も謳っています。でも、彼らは永遠の彼岸(決して実現しない夢物語)という意味で「自分は思ってもいないこと」を謳っているのであって、現実的には原発をやめる気など微塵もないのです。これまで、民主党は「脱原発」を唱えていても、電力会社の組合である電力総連などの原発推進派を抱えている連合の顔色をうかがって、「原発には当たり障りのない対応」を一貫してとってきました。
しかし、「希望の党」に行けなかった枝野幸男氏が全国の市民から「立て枝野」の声に背中を押されて結党した「立憲民主党」は「反新自由主義」や「脱原発」を明確に掲げて立党したのではないですか。 これまでの野党第一党だった「民主党」とは大きく違う「貧しい労働者や市民に寄り添った政治」に多くの市民が期待して、立民を野党第一党へと押しり上げたのです。そして「国民民主党」(略称:国民)との吸収合併で、立民に行けなくて「国民」に残った政治家たち、玉木雄一郎や山尾志桜里、前原誠司などはどれも自民党に自分を売り込むことしか考えていない、隠れ自民の政治家に過ぎないのです。そんな「国民」など気にすることなく、立民は「国民」や維新と決別して、秋の衆院選を共産党と市民連合など健全な野党との間で「立憲主義」と「脱原発」の政策協定を結び、野党共闘を実現して、自民党を過半数に追いやるたたかいを1日も早く構築してほしいものです。
このような私の立民への批判は、立民に野党第一党として、この国を引っ張って行ってほしいから批判するのです。決して立民を嫌って、憎悪の念を持っているわけではありません。立民が「原発ゼロ」のたたかいの先頭に立ってほしいから、エールを込めての批判です。

トイレのないマンションに、核のウンコをこれ以上増やすな

西日本新聞の記事にある、枝野氏の発言に対して、「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」会長 吉原毅(元)城南信用金庫理事長、顧問 小泉純一郎(元首相)、顧問 細川護煕(元首相)幹事長 河合弘之(脱原発弁護士)が枝野氏に対して、6月に公開質問状を出したのですが、その回答は7月6日の立民からの回答と再質問を掲載しています。
その中身は大きな認識違いがあります。1つ目は「六ヶ所村再処理工場」について青森県と電気事業連合会が作った日本原燃㈱との間で1998年に交わした協定書には「再処理事業の確実な実施が著しく困難となった場合には、青森県、六ヶ所村及び日本原燃株式会社が協議のうえ、日本原燃株式会社は、使用済燃料の施設外への搬出を含め、速やかに必要かつ適切な措置を講ずるものとする」とあるので、回答のように青森県から搬出することが義務とは書かれていませんし、協定を結んだのは日本原燃であり、電事連です。
政府には原発や再処理を推進してきた道義的な責任はありますが、直接的な全責任は企業にあるのです。再処理を行わないことを決めた後に、政府は電力会社を指導して、各電力会社ごとに核のゴミを返還させて保管するか、青森県に当分の間、保管をお願いするかなどの交渉を行えばいいのです。
国や電力会社は使用済み核燃料の再処理をやめることができない理由として、常に「再処理をやめたら、使用済み核燃料を青森県から持ち出す必要があるので、再処理が割高で本当はやめたくても、やめることができない」と言い訳の材料に使っているのです。
「原発はトイレのないマンション」と言われて久しいのですが、電力会社も政府もトイレの問題を解決しないまま原発を動かし続けているのです。枝野氏が、だからと言って原発を動かし続けるのなら、マンションのウンコは溜まり続けるしかないのですから、1日も早く、原発を止めて、まずはウンコをこれ以上増やすことをやめるべきなのです。

脱原発を願う8割の国民が絶対的多数派

六ケ所村再処理工場で、核のゴミの再処理をやめたら、各電力会社に使用済み核燃料がたまり続けるし、六ケ所村に保管されている使用済み核燃料の返還を求められるので、電力会社も国も、このまま「問題の先送り」をしてきたのです。枝野氏が「この問題を解決しなければ原発を止めることができない」といいますが、これは「卵が先か鶏が先か」という論争とよく似ています。
「原発を動かすから核のゴミが出る」その「核のゴミを再処理するから、再処理で出たモックス燃料は原発で動かさなければならない」のです。
再処理を最初に止めるか、原発を最初に止めるか、どっちも一緒に止めればいいのですが、「卵が先か鶏が先か」論争を行っていては、この先何十年もの間、原発も六ケ所村も動かし続けることになるのです。立民が国民の生命と安全と環境を守る側に立つのなら、原子力村の中の最弱点から攻めて、原発でも再処理でも容易に止められるところから止めるという戦略でたたかうべきなのです。
しかも、ここで枝野氏がいう「使用済み燃料の行き先を決めなければ原発を止めることはできない」というなら、ドイツのメルケル氏が2025年に全原発を停止すると言ったことは、無責任な政治判断だとでも言うのでしょうか。世界中で核のゴミの最終処分方法は決まっていません。ですから、当分の間は青森県六ケ所村に保管してもらって、電力会社はその間は保管料を支払って、適切な保管方法を国を挙げて議論すればいいのです。急いで決めることでもありません。枝野氏の説に従えば、核のゴミの最終処分方法が決まるまでは原発を動かし続ける必要があるのですから、この先何十年も自民党と同じように原発も再処理工場も動かし続けるのでしょうか。
私たちには残された時間はもう僅かしかありません。いつ巨大地震が日本列島を襲ってくるかもしれないのです。東電福島原発事故級の原発事故を二度と起こしてはなりません。その前に一刻も早く日本中の原発と六ケ所村再処理工場を止めなければならないのです。

立憲民主党による回答

原発ゼロ 質問1

貴殿が代表を務める立憲民主党の綱領(2020 年 9 月 15 日)では、「原子 力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現」するとされてます。貴殿の、原発の使用済み核燃料の行き先をきめないことには、原 子力発電をやめると宣言することはできない旨の回答は、立憲民主党の綱 領と矛盾するものと考えますが、この点について、貴殿のお考えをお示しください。

(立民回答)
ご指摘の通り、立憲民主党綱領において、「私たちは、地域ごとの特性を生かした再生可能エネルギーを基本とする分散型エネルギー社会を構築し、あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します」としているところです。その実現を目指していることに、何ら揺るぎはありません。
一方で、たとえば平成 10 年 7 月 29 日に電気事業連合会の立ち会いのもと 行われた、青森県、六ヶ所村、日本原原燃株式会社の覚書では、「再処理事業の確実な実施が著しく困難となった場合には、青森県、六ヶ所村及び日本 原燃株式会社は、使用済核燃料の施設外への搬出を含め、速やかに必要かつ 適切な措置を講ずるものとする」とされているところです。
全ての原発を廃止すれば、使用済核燃料再処理事業は不要となります。そうなれば、使用済核燃料を速やかに施設外に搬出しなければならなくなりますが、その行き先は決まっていません。新聞インタビューの当該部分は、行き先を決めるための様々な政治調整が必要になること、政権を取った暁には、速やかに当該覚書の見直しを行うとともに、行き先を決めるための努力を惜しまない趣旨で申し上げたところです。
従いまして、立憲民主党が綱領で掲げる「原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現」することと、何ら矛盾はないものと考えておりますし、私も立憲民主党の綱領・基本政策に掲げる社会の実現に全力を傾注して参ります。
(質問2は質問も回答も省略)

立憲民主党への再質問

2021年8月2日
立憲民主党代表 枝野幸男 殿

原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟
会 長 吉原 毅
顧 問 小泉 純一郎 細川 護煕
副会長 中川 秀直 幹事長 河合 弘之

2021年6月14日付で当方が発した公開質問状に対し、貴党、貴殿より2021年7月6日に回答書を頂きました。
その回答は平成10年7月29日に電気事業連合会の立ち会いのもと行われた青森県、六ヶ所村、日本原燃株式会社の間の覚書(以下、本件覚書といいます)を根拠にしています。
しかしながら、この本件覚書には政府は関与していません。これは国の約束ではないのです。それなのにこれを「この約束を破ってしまったら、政府が信用されなくなります。」と枝野党首は言っているのです。政府の約束でないものを政府の約束であるかのごとく言うのは誤りであり、誤りをもとに「最終処分場が決まらない限り原発はやめられない」などというのは公党の党首として恥ずかしいことです。
この本件覚書の文言は「再処理事業の確実な実施が著しく困難となった場合には、青森県、六ヶ所村及び日本原燃株式会社が協議のうえ、日本原燃株式会社は、使用済燃料の施設外への搬出を含め、速やかに必要かつ適切な措置を講ずるものとする。」です。これにより義務を負うのは日本原燃株式会社だけです。国ではありません。
また、貴回答は「全ての原発を廃止すれば使用済核燃料再処理事業は不要となります」と述べますが、完全な誤りです。全ての原発を廃止しても膨大な使用済核燃料が残されますからその再処理事業は今後数十年継続されます。論理的に明白なことです。(なお、以上のように言うからといって私達が再処理を容認しているわけではなく、再処理はやめて直接処分をすべきだと主張しています。しかしこれは別の議論です。)
次に日本原燃が負う義務は、再処理事業の確実な実施が著しく困難となった場合に、「青森県、六ヶ所村と協議」することです。「使用済燃料の施設外の搬出を含め、速やかに必要かつ適切な措置」について協議すべきなのです。そこには硬直な決め事は記載されていません。施設外への搬出は「速やかに」とはされていません。また、必ず「搬出」しなければならないともされていません。「搬出」を含む「必要かつ適切な措置」(裁量・協議の余地あり)を協議により決定し実行すべきなのです。
その結果、直接処分場の開設や各原発サイトへの返送等があり得ると思われます。
「全ての原発を廃止すれば、使用済核燃料再処理事業は不要となり、使用済核燃料を速やかに施設外に搬出する義務が発生する」という貴回答書の見解が誤りであることは明白です。
以上のとおり、貴殿のインタビュー記事での見解(最終処分場を決めなければ原発廃止を宣言できないという見解)が誤りであり、貴党回答書の見解(本件覚書を根拠とする「全ての原発を廃止すれば、使用済核燃料再処理事業は不要となります。そうなれば、使用済核燃料を速やかに施設外に搬出しなければならなくなりますが、その行き先は決まっていません。」という見解)が誤りであることは明らかであり、その見解の撤回を求めます。下記質問1、2、3に回答欄に明確に記載することによって本年8月15日までに御回答下さい。

   記
 質問1.1998年7月29日付の本件覚書は政府が当事者でないことを認めますか。
 質問2.「全ての原発を廃止すれば使用済核燃料再処理事業は不要となります」との主張は誤りであることを認めますか。
 質問3.「全ての原発を廃止すれば、使用済核燃料再処理事業は不要となり、使用済核燃料を速やかに施設外に発生する義務が発生する」との見解が誤りであることを認めますか。

最後に申し上げます。現在の政治問題の中で最も深刻で重要なことは全原発を廃止して原発重大事故を防ぎ国の安全を守るかどうかと言うことです。そのことは東京電力福島原発事故当時に政権党であった民主党の流れをくむ貴党及び内閣官房長官であった貴殿は分かっているはずです。全原発の即時廃止もしくは可及的速やかな廃止を主な公約として選挙を戦えば圧倒的国民は支持をし、投票します。その数は原発容認の野党議員及びその支持者(労働組合)の数の比ではありません。それにも拘わらずそれらの者の意向を忖度していつまでも明確な公約を掲げないから政権奪取⇒脱原発が実現できないのです。
貴党及び貴殿の勇断を求めます。

2021年8月3日に立民より再回答
「…本年7月6日にご回答致したところであり、お示ししたご回答に尽きると考えております。」


「原発をやめるのは簡単じゃない」枝野氏に聞く
西日本新聞2021/2/14

 2011年3月の東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から間もなく10年を迎える。立憲民主党の枝野幸男代表(56)は当時、菅直人政権の官房長官として危機対応に当たった。原発政策、行政のあり方…。未曽有の災害と政府の中枢で対峙(たいじ)した経験は現在、野党第1党の党首となった自身の考え方や政治姿勢にどう影響しているのか。枝野氏に単独インタビューした。(聞き手は川口安子)

◆「無責任なことは言わない」

 -今後、原子力政策をどう進めるべきだとお考えですか。

 「原発の使用済み核燃料の行き先を決めないことには、少なくとも原子力発電をやめると宣言することはできません。使用済み核燃料は、ごみではない約束で預かってもらっているものです。再利用する資源として預かってもらっているから、やめたとなったらその瞬間にごみになってしまう。この約束を破ってしまったら、政府が信用されなくなります。ごみの行き先を決めないと、やめるとは言えない。でも、どこも引き受けてくれないからすぐには決められない。原発をやめるということは簡単なことじゃない」

 -立憲民主党は綱領に一日も早い「原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会」の実現を掲げています。

 「使用済み核燃料の話は、政権を取ったとしてもたぶん5年、10年、水面下でいろんな努力をしない限り無理です。だから政権の座に就いたら急に(原発ゼロを実現)できるとか、そんなのはありえない」

 -原発やエネルギーに関する現政権の方向性をどう評価しますか。

 「(菅義偉首相が掲げる2050年までのカーボンニュートラル実現は)当たり前の話ですが、原発を活用して実現するのと原発に依存しないのとでは全然意味が違います。菅首相はそこをはっきりさせないので、原発を使いたい目的で言っていると受け取られても仕方がありません」

 -立憲民主党としては、カーボンニュートラルを原発を使わずに実現すべきだと。政権を取った時の道筋をどう示しますか。

 「皆さん道筋を示せと言うが、道筋を示すのは無責任だと思います。つまり使用済み核燃料の話もあるし、原油価格がどうなるかも分からない。カーボンニュートラルには技術革新も必要で、何年やったらできますなんて無責任なことは言えない」

 -では、野党として責任を持って言えるのは。

 「方向性です。原発に依存しないでカーボンニュートラルを進めていくという方向性は言えるけど、その道筋を言うのは無責任です」
 「無責任なことは言わない。それが多分、私と今までの野党のリーダーとの決定的な違いだと思います。分からないことは分からないと堂々と言う」
(一部を抜粋しています)


# by nonukes | 2021-08-08 16:27 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

  小坂正則

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