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小坂正則の個人ブログ

なぜ北海道電力は昨年8月に比べて26%(家庭)と39%(企業)の値上げが必要なのか?

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なぜ北海道電力は昨年8月に比べて26%(家庭)と39%(企業)の値上げが必要なのか?その理由は石油火力で天然ガスを使わないからだ
小坂正則

北海道電力は泊原発3機がとまっているので、その代替え火力発電用に重油などの燃料費が嵩んで、2年連続して1000億円の大幅な赤字になったため1年前に上げた電気料金を、またまた今年の11月から値上げすると発表しました。現行の標準家庭の電気料金7700円が何と9000円にも値上げされるのです。企業は月当たり100万円の現行料金だったら、それが122万6千円です。
昨年の9月1日から値上げ率は一般家庭が7.73%で自由化部門が13.46%でした。そして1年で今度は17.03%と22.61%という大幅な値上げ案です。そうすると一般家庭の電気料金は昨年の8月に比べて26%の値上げになるのです。そして産業部門では39%の大幅な値上げを要求してきたのです。
円安不況でガソリンや重油などの燃料費の高騰で苦しむ産業界の経営に、今回の北海道電力の40%近くの値上げは大きな影響を与えることでしょう。しかし、なぜ北海道だけがこれほどの大幅な電気料金の値上げをしなければ経営がなり立たないのでしょうか。確かに原発に依存度の高い関西電力(51%)の次に原発への依存度が高かった北海道電力(44%)や九州電力(39%)は再度の値上げを検討しているようですが、それにしても北海道電力の値上げ幅の大きさには隠された何か北電特有の原因があるのではないでしょうか。
北海道は石炭の豊富な地域でしたので石炭火力発電が豊富でした。また水力発電も15%と豊富です。しかし、この電力会社の他社との大きな違いは天然ガス発電所が1機もないことです。北陸電力と北海道電力は天然ガス発電が1機もないのです。世界の主力は石炭と天然ガス発電の時代に博物館行きのような石油火力発電所を中心に運転して来た結果、石油価格の値上がりと円安で他社に比べて大幅な赤字を生み出す構造を自ら作ってしまったのです。グラフにあるように天然ガスは原子力よりも割安です。石炭火力の次に割安なのです。それに比べて石油火力は20円から16円と一番割高なのです。だから北電は大幅な値上げが必要なのです。それ以外にも役員報酬が2千万円ももらっているなどという問題もあります。

「泊原発再稼働か料金値上げか」と天秤にかける北電は押し入り強盗の脅迫行為


泊原発の周辺には活断層が走っていて大地震がいつ起こるかもしれない大変危険な原発です。また、北海道は火山が多くて泊周辺にも川内原発に次ぐ火山の影響を受ける可能性のある危険な原発なのです。現在止まっている泊原発の維持費に年間523億円の維持費がかかっています。そして泊原発の再稼働のために昨年度は1600億円を投下していますが、それだけでは運転再開は出来ません。フィルター付きベント施設や重要免震棟などの建設や津波対策などまだまだ数千億円もの安全対策費を投入しなければ再稼働は出来ないのです。そんな危険な原発を無理をして動かすよりも、いっそのことこの原発を廃炉にして石炭火力と天然ガス発電で全ての電力を賄えば、今度のような大幅な値上げは必要ないのです。北海道は水力が北陸電力(24%)の次で2番目(15%)に多く、風力や地熱の立地も可能な再生可能エネルギーの有力な地域なのです。
今回の電気料金値上げ要求は「道民への脅し」以外のなにものでもないでしょう。しかし、この脅しは実際には2016年からは全く通用しなくなる空脅しでしかないのです。実際にサニックスエネルギーというビニールゴミを燃料にして発電している新電力会社などは北海道の20の自治体へ電力を供給しているのです。ある自治体では北電に比べて7%安いそうです。これからどんどん新電力会社が北海道にも設立されて、原発の高額な電気料金に比べたら安い電気料金で供給できることでしょう。

ロシアの天然ガスのパイプランが北海道に来れば北電の原発は天然ガスに負けてしまう

日本とロシアの共同事業で企業ガスプロムの天然ガスをサハリンから海底パイプランで北海道まで天然ガスを引く計画があります。これは北方四島の返還運動の一環などの政治的な背景に左右されて現在は計画段階で止まっていますが、この計画は動き出せば一気に進むでしょう。ロシアはEUとの緊張関係で天然ガスが売れずに困っていて、日本は原発がこれから動いても半分も動くことはあり得ないので、当分の間大幅な化石エネルギーの供給が必要になるからです。しかし、今日タンカーによる天然ガスの輸送には天然ガスを液化する経費とタンカーによる輸送コストで、100万BTUあたり18ドルから20ドルの価格がパイプラインで輸送すれば10ドル以下になるのです。米国では3ドルです。米国のシェールガスを日本に運べば液化で6~7ドルかかるのですが、それでも12ドルくらいで日本に入る予定です。しかし、それ以上にロシアからガスのままパイプラインで輸送すればパイプラインの経費が3~4円としても10円以下で入ってくることになり、現在の天然ガス発電のコスト6円から7円が4円とか5円へ下がる可能性があるのです。
そうなれば高い原発は競争に負けてしまって北電は倒産してしまうでしょう。
北海道の消費者の皆さんはもうしばらく我慢してください。今後10年もしたら北海道に天然ガス発電の新電力会社が次々にできて割安の発電を行って皆さんへ供給してくれることでしょう。そのほかにも生協が電力供給会社を立ち上げて再生可能エネルギーの電力の販売も始める予定だそうです。
# by nonukes | 2014-09-16 13:54 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

これだけの悪事を働く「安倍政権がなぜ国民に支持され続けるのか」の考察

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これだけの悪事を働く「安倍政権がなぜ国民に支持され続けるのか」の考察
小坂正則

世論が右翼化するのは好景気の時ではなく、不況になった時だといわれています。ドイツでナチスが政権を取ったのも軍事クーデターで政権を奪取したのではなく、合法的な選挙で政権を取ったのです。世界恐慌のあとのヒトラーは労働者の不満を精一杯に受け止めて社会主義的な政策を掲げて、不況に苦しむ底辺の労働者や失業者の支持を得たのです。
このような社会状況は現代の安倍政権の高支持率の理由が伺われるのではないでしょうか。第一次安倍政権が失敗したのは景気対策を熱心にやらずに「教育の右傾化」や「戦後政治の総決算」などというイデオロギー政策を中心に取り組んだため、 国民の高支持率を得ることが出来なかったのです。そのためにねじれ現象が解消されずに政権基盤が脆弱なまま野党に足を引っ張られて政権放棄へのつながったのです。
ですから、第二次安倍政権は何としても高支持率を維持して、衆参のねじれを解消して、その後に自分の一番やりたい政治課題である「憲法改悪」に取り組もうと作戦を練ったのでしょう。その作戦はこれまでのところまんまと成功しています。
次に今年の冬に行われた東京都知事選で田保神俊雄(軍事評論家、元航空幕僚長)が61万票あまりを得て、全得票数の12.5%の得票率を上げたのです。この男は安倍のお友だちのような、それ以上のウルトラ右翼ですが、なぜ彼が多くの支持をえたのかということも振り返って見る必要があると思います。
彼の主張は、「大東亜戦争は日本の侵略戦争ではなく、蒋介石国民党やアメリカを操ったコミンテルンによる策謀が原因であり、むしろ欧米諸国に侵略されていたアジアの国々の独立の道筋を結果として作り上げた」という内容や「治安維持法は戦前のスパイ防止法と言えるだろう。スパイ防止法が怖いものであるとサヨクが騒ぐが、行動が制約され逮捕される可能性があるからである。しかし戦前の治安維持法でも死刑になった者は1人もいない」などなどです。
このような御仁が現代の若者に支持される背景は「社会的閉塞状況を何とか脱却してほしい」という現状への不満の現れなのでしょう。そのような不満を左翼陣営などの野党が吸収出来ていないからなのです。残念ながら野党や左翼陣営が延びる社会的状況は好景気の時代のようなのです。

明日の社会をよくするよりも今日の自分の生活が一番の関心ごと

先日あるサイトにこのような議論がありました。年輩の女性が「近頃の若者は自分の生活にしか興味を持っていなくて政治的な課題などに行動しない」と。それに対して、ある若者が「生活に余裕のある主婦や中間層の人間は脱原発などのデモに出たり、叫んだりできるが、非正規で明日の生活が心配な若者や就職難の学生がデモに行く余裕もなければ、そんな心境にもなれない」という反論です。その後、このサイトでも議論がどう展開したのか私は知りませんが、ここで反論した若者の声にも、私たちは耳を傾ける必要があるのではないでしょうか。
実際に戦後の高度経済成長時代には「一億総中流社会」といわれた時代がありました。その時代には非正規雇用問題は大きな社会問題ではありませんでした。もちろんそんな20年以上前の時代にも格差はありましたし、非正規の労働者はいましたが、現在は全労働者の1/3が非正規で若者の50%以上が非正規労働者という時代なのです。そんな20年以上前の時代では労働組合の力も大きかったし、社会党の支持率も野党第一党として大きな力を持っていたのです。そんな時代を55年体制といって、なれ合いや左右の持たれ合いの時代と批判的な見方もありますが、それはそれとして平和運動などの社会運動が活発な時代だったのです。

野党共闘が実現できなければ安倍政権には歯が立たない

私には無理な考察なのですが、このような右傾化した時代に取り残された歴史を作っている(こんな言い方をして申し訳ありませんが)人々がいます。それは辺野古の海を埋めたてさせないためにたたかっている沖縄の住民です。時代が保守化・右傾化していて、中国や韓国への憎しみを駆り立てる安倍政権の支持率が上がっている中で、ここ沖縄だけは決して安倍政権の支持率は上がってはいないようなのです。その社会学的考察を真面目に行う必要があるでしょう。その1つは彼らが長年日本政府に虐げられてきたという負の歴史があるから、右傾化や保守化をさせない力を残しているのかもしれません。ただ、この間の県知事選などでは保守が勝利を納めて来た歴史もあるのですから、闘い方という戦術的な強さが沖縄の民衆にあったのではないかと思います。
それは1つに与党に対して戦うには野党が一致団結しなければ負けてしまうという真っ当な考えが息づいているからでしょう。実際に小選挙区選挙では与党に対決するには野党共闘がなければ小選挙区で勝てるところはほとんどないのです。同じように首長選挙は保守分裂選挙をやらせるか野党協力が実現できなっければ勝てないのです。その現実は、先の東京都知事選で痛いほど分かったではないですか。あの選挙がもし勝てるチャンスがあったとしたら、細川候補も宇都宮候補も両方が引いて、若くて健全な女性候補など誰でもが夢を持てて支持が出来る候補を擁立出来たら勝っただろうと思うのです。もちろん「言うは易し行うは難し」ですが。そのような熟議ができる信頼関係を野党勢力が醸し出せなければ今の安倍政権に太刀打ちは出来ないと私は考えるのです。

安倍政権の高支持率も時間の問題

安倍政権がこれまでの高支持率を維持してきたのはこれまでと同じ旧態依然のばらまき政策と金融緩和によりジャブジャブと円を市場にばらまいたからです。しかし、そのような麻薬の政策は長続きはしません。今年の4月6月の経済成長はマイナス7.1%というリーマンショック以後では最大の下げ幅を記録しました。そして7月から9月の月例報告でもマイナスが続けば安倍政権の支持率は急落する可能性が大きいのです。その時には、安倍政権の崩壊が現実のものとなるでしょう。そして、それでも10%の消費税を導入した場合には行き場のない不況と円安というダブルパンチに見回れて、国債金利の高騰と株価暴落が起こり、日本発の世界恐慌が起こってもおかしくはないのです。そのような機会を私たちは見逃してはならないのです。そのような予測はあり得ない予測では決してありません。資本主義世界の行き詰まりと中国の経済バブルがいつかは崩壊して中国の見せかけの経済成長のウミをいつかは出さなければ、このまま中国の7%以上の経済成長が続くわけはないのです。どこの国かは別として小さなきっかけから世界経済の崩壊は必ず起こるのです。そして、世界中の金融バブルが崩壊して、ほとんど成長のしないという新たな資本主義の再生が可能なのだと私は思います。

我が国の歴史も世界の動きに連動して作られる

日本の歴史を振り返っても分かるように、60年代の全共闘運動やベトナム反戦運動などは世界の若者を熱狂させた熱病のように世界中に広がりました。特に先進国といわれる国々では多くの若者がビートルズと一緒にロックやヒッピーなどの運動と一緒に抵抗運動の文化や政治的なアピールが広がったのです。現代の世界では米国を中心に若者の一部が社会的貧困問題をテーマにニューヨークの占拠運動などとして一時的には盛り上がったのですが、日本までは運動が伝播しませんでした。これからの世界的な運動は格差の是正と若者の仕事がないという状況を覆す運動が中心に世界中で繰り広げられることでしょう。その解決策として、最初に考察した「中国など他国を非難してナショナリズムに訴える」右翼的な解決策ではなく、99%の貧困と1%の金持ちの格差を世界的に解決する方法を世界の市民が一致して解決させる運動として提案する解決策を見つける必要があるのではないでしょうか。その解決策は金融のグローバル化や米国中心の多国籍企業の無法な収奪をやめさせる「反グローバリズム」の運動やTPPに反対する国際的な連帯の運動などを作っていくことではないかと私は思います。そして、「グローバリズム」の対極として地域共同体社会をを守るための「第三世界の自国農業の保護と育成」や「スモールビジネス運動」などの「地域経済の保護育成」などではないかと思うのです。また金融商品への国際的な課税や法人税などの節税のための名前だけの本社機能を移すという法人税逃れを完全に捕捉できる国際的な仕組みの構築などで多国籍企業の税逃れを捕捉する国際機関の立ち上げなどが必要になるでしょう。
国内の政策としては安倍政権の掲げる「地域創生」ではなく、地域が自分の意志でそれぞれの地域再生が出来るような予算配分や自己決定を可能にする仕組の構築が必要です。またエネルギー政策では再生可能エネルギーの電力全量買取制度(FIT)を地域の住民や資本が実施する事業の電気料金を東京の企業が設置するよりも単価を高く買い取るように差別的な価格の設定などという方法が必要です。また木質バイオマスによる発電を熱エネルギーと併せて利用する仕組みなどの改正で過疎地域の雇用を作る仕組みなど取り入れて地域に具体的な雇用を作る方法なども必要です。そのようにして右翼に若者の支持を持って行かれないような政策を私たちが統一地方選などで訴えて選挙を闘い、具体的な政策提言を各地で実行させて成果を得ることなどが必要でしょう。そのような地道なたたかいで安倍政権から自民党政権もろとも崩壊させようではありませんか。

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# by nonukes | 2014-09-15 18:42 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(2)

安倍政権が繰り広げる茶番劇「川内原発避難計画」を国が了承

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安倍政権が繰り広げる茶番劇「川内原発避難計画」を国が了承
小坂正則

9月10日に原子力規制委員会が川内原発の再稼働を認めたら、手回しよく、12日には小渕経産大臣名で「川内原発の再稼働を政府の責任で進める」とした文書を鹿児島県と薩摩川内市に渡したそうです。その文書をもらった伊藤祐一郎知事は、「政府方針は高く評価しできる」と発言。また、薩摩川内市役所で受け取った岩切秀雄市長も「安全性に国が責任を持つことが確認できた」と語り、県、市とも、住民説明会など地元同意の手続きを加速させる予定。
また、東京で12日開催された安倍種首相も参加した政府の原子力防災会議で薩摩川内市などの川内原発事故時の避難計画を「避難計画は問題なし」と了承したといいます。このように政府及び原発立地自治体の鹿児島県と薩摩川内市は首を長くして待っていた「川内原発再稼働」がいよいよ間近に迫ったという喜びで笑みを浮かべた両首長の会見でした。

鹿児島県や川内市が作った避難計画はアリバイ的な計画

鹿児島県が指導して薩摩川内市や串木野市などが作ったとされる避難計画を安倍政権は「全く問題ない完璧な避難計画」であるかのように、「お墨付き」を与えて、これで周辺住民の不安も払拭されて、多くの国民も安心して再稼働を支持してくれると考えているのでしょうか。この避難計画なるものは余りにもずさんで、ちょっと深く考えれば、欠陥だらけのものだということは一目瞭然なのです。
たとえば川内原発で全電源喪失のような大事故が起こったら、まずは5キロ圏内の住民5千人を即座に避難させるとしています。しかし、5キロ圏内の病院や老人施設に独居老人で介護の必要な人びと約1200人を市がチャーターしたバスや周辺住民の自家用車に便乗して市内の30キロ圏外へ一時避難するという計画。そのためにはバスが110台必要だが、そのバスの目処は立っていないのでこれからバス会社などへ要請していくという。
そして5キロから30キロの住民は屋内待機してもらい、空間線量が20マイクロシーベルトになった時点で避難を始めるという計画です。しかし、薩摩川内市だけで9万人の住民が対象で、その中には移動が困難な寝たりきり老人や要介護者などは屋内待機してもらい、その中の10キロ圏内の住民だけを1週間の間で避難を行うというものです。「10キロから30キロ圏内の要援護者の避難は現実的ではない」と鹿児島県知事は計画を作ることさえ放棄した発言を行っているのです。

5キロから30キロの住民は事故が起こっても逃げずに屋内にとどまっているのか

ここで大きな問題の1つが事故が起こって、5キロ圏内の住民が避難を始めたら、その周辺の住民は避難しなくておとなしく皆さん屋内に待機して5キロ圏の住民の避難が終わるのを黙って待っているのでしょうか。そんなことは決してあり得ません。我先にと皆さん逃げ出すでしょう。そしてそれによって川内市から遠くへ逃げる道路は大渋滞を引き起こし、一寸ずりの状態になるでしょう。鹿児島県の想定でも30キロ圏の21万人の9割が避難出来るまでには24時間45分としているのですが、それはあくまでも皆さんが規則正しく避難した場合のことです。ここに道路の陥没や道路が家や崖崩れで通行止めになったりしたら、それこそ避難そのものが不可能にさえなり得るのです。

一度事故が起こったら、今度は福島原発事故よりももっと恐ろしい事態が想定される

福島原発事故では最初に2キロ圏内から順に避難指示が拡大していきましたが、住民の多くが、国内初の大事故のため緊張感をほとんど持っていなかったので、パニックにならずに済んだという面もあったのではないでしょうか。また、原発から北の住民が放射能が最もたくさん降っている飯舘村へ避難して無用な被曝を受けたというような悲劇もありました。彼らはその場にとどまっていた方が被曝しなくて済んだというようなことが起こったのです。だから避難するということは一様に整然と出来るわけではないのです。
川内原発が事故を起こしたら、周辺住民は我先にと逃げ出して、マスコミなどの風向情報を聞きながら逃げることになるのですが、大半の住民は鹿児島へ逃げると思われます。しかし、鹿児島は西南方向に位置するため、偏西風の影響で鹿児島方面への風向きが年間を通して一番多いので、皆さんは南に向かったり、北に向かったりして右往左往しながら避難することになると思われるのです。実際避難訓練を行った自治体で、バスに住民を乗せて移動中に風向きが変わったので、当初予定していた避難場所には向かわずに別の場所に向かったため予定の時間の倍以上かかったというような報告もあるのです。
このように道路が寸断されていなくても大パニックで大規模な渋滞が長時間つづくという事態が考えられるのです。本来なら、北と西と南に少なくとも3本は地震が来ても壊れないような頑丈で信号機もない避難専用高速道路を造る必要があるでしょう。そこで初めて避難計画が現実的なものになり得るのです。

川内原発を動かすなら、徹底的な法整備と避難専用道路や屋内待機設備が必要

もともと原発は1電力会社の営利事業です。その営利事業における営業上の対策を国家予算や地方自治体の経費で行うことは個別企業への便宜供与ではないかと私は思います。
例えば新日鐵が製鉄所の高炉から煤塵をまき散らすのであれば煤煙を舞き散らさないように設備を改良させる権限が国や自治体にあります。その1企業の営利事業に伴う危険回避費用を国が出したり自治体がバスを確保して税金で用意するなどもってのほかではないでしょうか。これらのバスのチャーター経費から避難用高速道路などの建設費用は九電が出すべきものでしょう。
ましてや規制庁の安全対策のフィルター付きベント施設や免震重要棟の設置には5年間の猶予を与えているのです。5年以内に大事故が起こったら規制庁はどう責任をとるのでしょうか。また、5年以内には大地震が来ないという確信があるのでしょうか。
少なくとも再稼働を行うなら、規制基準を完全に満たして、そしていつ事故が起こってもいいような万全の対策を立ててから運転を行うべきなのです。
また、これは政府の責任なのですが、事故時に誰が原子炉建屋に残り、誰が事故の5キロ圏内にバスを運転して行くのか、それは自衛隊なのかバス会社の運転手なのかの法的な整備を行う必要があるのです。また、現地にとどまった要援護者の屋内待機した施設で彼らの面倒を見る医者や看護士は誰なのか。彼らは被曝労働を強いられるわけですから、彼らの社会的な保障や被曝労働者手帳の交付条件などを整備する必要はあるのです。それを労働者の義務や責任感で乗り切ろうという考えは姑息です。米国では彼らは被曝覚悟で仕事を行う専門家として法的に優遇されているそうです。実際に事故が起こって、病院には医者も看護士も誰もいない状態で、患者がバタバタ死んでいくということも現実に考えられるのです。それだけではありません。食事を作る給食係も必要ですし、食材を届ける配達要員も必要ですし、燃料を届けるガソリンスタンドの従業員などありとあらゆる被曝労働者が事故時には現地に入って働かなければならないのです。彼らの法的整備が必要なのです。現行の法律の労働基準法では「経営者は労働者の安全管理や安全確保の義務」があるため、経営者は労働者に被曝労働を強いることは出来ないのです。

原発は保険会社が面倒を見てくれない

原発はそれぞれ1200億円の賠償額の保険に入る必要があります。そしてその額を上回る被害には国が面倒を見るようになっているのですが、福島第一原発には、保険会社で構成されている「日本原子力保険プール」は、東京電力福島第一原発に対する損害保険の契約が切れた2012年1月に、1200億円の保険を打ち切りました。営利目的で運営される民間保険会社としては、事故の現実に直面し、これ以上、保険契約を継続することは難しい、リスクが高いという判断で保険には入れなくなったのです。
なぜ保険に入れないかというと、保険会社は事故が起こって1200億円を支払えば多額の損が出るからです。そのために保険会社は損が出ないために再保険という制度を利用して保険のための保険に入るのです。多くがイギリスの再保険会社にまた保険を掛けるのですが、その再保険会社の引き受け手がどこもなくなったのです。いま福島第一原発は国へ供託するという形でその場をしのいでいるのです。
実際には福島事故の費用の損害賠償などに、これまでで5兆7千億円を東電が支払うべき費用として発生しています。少なくともその費用は安心して支払えるように保険に加入するのが当たり前ではないでしょうか。1200億円では少なすぎるのは明白です。
いうならば自賠責保険が切れていて、任意保険にも入っていない自動車を電力会社が高速道路を暴走しようとしているのが今の電力会社が行おうとしている「原発再稼働」なのです。人の生命はお金では買えませんが、少なくとも資本主義国家で商売を行うのであれば、損害賠償責任をはたせない企業は退場願わなければならないでしょう。

この動画は必見です!





# by nonukes | 2014-09-15 13:18 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

2つ以上の仕事を同時に持つことの必要な時代がやって来た

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わがNPOの主力商品である薪の乾燥用ストックヤードに薪を積込作業中の私です
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我が家で誕生したニワトリの雛たちです。すっかり大きくなりました
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びわの収穫作業中のスタッフです
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県民共同発電所の太陽光発電てるてるちゃん10号です。47kwあります


2つ以上の仕事を同時に持つことの必要な時代がやって来た
小坂正則

人類の歴史上これほどめまぐるしく科学技術が発展する時代はないのではないかと思えるくらいに今日の社会の変化のスピードは速い。戦後わずか70年にして、私たちが子どものころ夢の世界として描かれていた腕時計型の電話が現実のものとなり、携帯電話を私が持ったのが確か5年か7年かそこそこ前だったような気がする。そして2年半前にアイフォンを買った時も、何となく買ったのだった。スマートフォンが出てわずか5年ほどで携帯電話の半分以上がこれに変わると携帯会社ですら予想出来なかったのではないだろうか。シャープが液晶テレビで名をなしてIT企業の最先端だった時代はわずか5年から10年で終わった。私のようなカメラ小僧はフイルムカメラがこの世から消えてしまうなんて思いもしなかった。そしたら、今度はフイルムカメラを駆逐したデジタルカメラが携帯に駆逐されようとしているという。こんな激しい変化の社会はなにか私には異常としか思えない。もっとゆっくりでいいのではないだろうかと思えてならない。だって、まだ動くカセットデッキのテープレコーダーもVHSのビデオデッキも使えるのに使うことなく押入の肥やしとなってしまっているのだから。それだけではない。レコードだって、ターンテーブルが売ってないし、レコード針もどこにも売ってないから持ってはいても聞くことはない。それだけではない。フロッピーディスクやMDや等々で、捨てるに捨てられない歴史遺産の代物で私の押入はあふれんばかりだ。


家電製品がこの社会をおかしくしてしまった


だから、携帯電話は2年に1回、電池が切れる前に新しい機種に変更するのが当たり前になっている。DVDデッキやテレビなども故障したら新しいものに買い換えた方がおやすいですよと、店員に勧められる。先日、私が4年くらい前に買ったプロジェクターが壊れてしまった。まあ、人に貸したりして乱暴に使われてのかもしれないけど。メーカーに電話したら、その態度たるもの横柄この上なかった。NECのサービスセンターだったが。「お客様この製品は今年の5月で出荷が終わって5年が過ぎていますので故障した部品がないかもしれません。もし、修理にお出しになっても部品がない場合は技術料が発生いたしますがどうしますか」とのたまうのだ。私は「それは分かりました。でも部品があるかないかはあなたが調べれば分かることでしょう。調べてくださいよ。そして見積を出してもらってから私は修理するかどうかを考えますから」と。「でもね、あなたは5月で5年経つと言いましたが、今は8月ですよ。5年が過ぎたら、その翌月にNECは部品を処分するのですか。一般的に部品在庫が5年ということは6年目に部品を処分するという意味ではありませんか。少なくとも今年いっぱいは取っておくことなど常識ではありませんか。私は二度とNECの家電製品は購入しません」と言って電話を切りました。そして翌日に修理の見積がファックスで届きましたが、部品1つを変えるだけで3万8千円あまりという金額が提示されたのです。「4万円や5万円なら新しいプロジェクターが買えるではないか」と私は途方に暮れたのです。だからまだ直すか買い換えるか悩んでいるのですが、プロジェクターというやつは電球の交換もあるので、電球の寿命が来たらまた3万円余りかかるのです。やはり何かがおかしい今の時代は。例えばパソコンのプリンターが2万円台で売ってるのですが、そのインクであるトナーが1本1万5千円もするのです。「それだったら本体は5千円か」と私は言いたくなります。本体を激安で売って、トナーを高く買わせようという嫌らしい魂胆なのです。だから私たちが古い品物では修理して大事に使いたくても家電製品は、そうできない仕組みにこの社会構造ができあがっているのです。


社会のスピードが激しく変わるのだったら働き型も変化に耐えるようにするしかない


しかし、私たちは今の世界に生きているわけですから、それらの家電製品を一切使わないという覚悟があれば別ですが、一般的にはやはり、使う以上は、その仕組みに縛られてしまうのです。だから私たちは少なくとも「賢く生きていく」しかないのでしょう。
その賢く生きるための1つの方法として、私たちが生きるための労働も激しく変化することから抜け出せないのであれば、そのための担保をしっかり押さえておくべきだと私は考えるのです。
例えば、「大企業に勤めているから私は一生安泰だ」などと誰も言えない時代に突入してしまったのです。あの天下のナショナル、いえ今はパナソニックというそうですが、松下幸之助の家族主義を貫いてリストラをしないで有名な企業が社員をリストラしたり、三洋電機がパナソニックに吸収されたら、三洋の充電式乾電池や太陽光発電の技術の美味しいところだけ吸い取って、それ以外の白物家電の社員はみんな首切りされたなんていうことが当たり前に起こる社会になったのです。公務員のあなただって決して安心は出来ませんよ。これから大リストラが公務員にも降りかかってくるでしょう。特に「公務員は融通が利かないので首になったら使い物にならない」とよく言われます。
私の会社の同僚が郵便局長とケンカして辞めたはいいのですが、就職先を探して面接まで行っても「あなたはなぜ公務員を辞めたのですか処分されたのですか」と言われて雇ってもらえないとこぼしていました。
だから、いま大企業に勤めている方もいつ首を切られてもいいように、もうひとつの生き方を常に身につけていることが必要なのです。「半農半X」という言葉が流行っていますが、それは「仕事にばかり縛られないで、ゆとりを持った生き方をしよう」という意味が大きいのでしょうが、「もう1つの仕事」はいざという時の自分に出来るセーフティーネットなのではないでしょうか。

私は知らず知らずの内に2つ以上の仕事をするようになっていた

私は郵便局に勤めながらNPOを今から14年前に立ち上げました。そこで非営利ですが、再生可能エネルギー事業を始めました。そして今は薪の販売と太陽光発電の買電収入とペレットストーブの設置と小坂農園の収入で食っています。これらは全てリスクの分散です。まだまだ計画はありますがまだ現実化していないのでここでは書きませんが。
薪の販売は利益は少ないのですが、その分持ち出しも少しで済みます。年間100万円くらいの売り上げで、経費はアルバイトの人件費と燃料代などです。もし、時代が変化して薪が売れなくて2年目まで在庫として残ったとしても薪は乾燥が進むのでむしろ薪の価値は上がりますし3年間は持ちます。いざとなれば自家消費でも使えます。
ペレットストーブは注文があれば仕入れますので在庫ゼロの商売なので、これもリスクは少ないです。太陽光発電は故障さえしなければ私は寝ていて収入が入ります。(NPOに入るので私に入るわけではありませんが。でもここから私は給料をもらうのでやはり私に入るみたいなものです)そうそう、これは趣味ですがいまではニワトリを飼うだけではなく増やす仕事もやってます。

皆さんもリスク分散のために仕事を2つ以上持ちましょう

これから個人商店を経営している方でもいまの商売がいつまで利益を上げ続けられるかは誰にも保証は出来ません。ましてや個人商店はそう簡単に仕事を変えることもできないので大きなリスクを抱えたまま設備投資を繰り返さなければならないのです。ですから、全く別の事業の勉強などもしておくべきでしょうし、やめるなら1日でも早いに越したことはありません。その点サラリーマンは仕事を辞めても個人商店ほど大きなリスクはありませんが、一生縛られて鬱病や自殺に追い込まれるような人生を送るくらいなら、さっさと辞めて次の仕事を探すべきです。そのためにも新らしい仕事が見つかる間を食って行けるようにセカンドビジネスを探しておきましょう。失業保険はすぐに切れてしまうし、もらえるのもほんのわずかな期間しかありません。
そうすれば、あなたの視野が広がって、仕事を辞めなくても本業の仕事にも大きな貢献が出来るかもしれません。人間は凹にはまってしまうとますます視野が狭くなって、周りの状況を客観的に見えなくなるのです。自分の置かれている状況を冷静に判断するためにも、もう1人の自分を作っておくべきなのです。それがセカンドビジネスで生かせるかもしれないではないですか。
もうひとつ大事なことがありますね。代々木ゼミナールという予備校が本業の予備校を大リストラして異業種に参入するというニュースを皆さんもお読みになったでしょう。これからの社会の行く末を見据えてあなたの仕事を考える必要はあるでしょう。これから子ども関連の産業は激しい競争とスクラップが待ってます。学習塾や子供服の会社は狙い目ではありませんね。それならシルバー教育やシルバー対象の英語塾などの方が狙い目ではありませんか。
私はボーッとして花や自然の木々を眺めて暮らすのが好きなので、自由な時間が持てるような仕事をめざしていました。サラリーマンの時代にも「いつやめても平気だ」と思っていたものですから、郵便局というあのようなブラック企業に勤めていても鬱病にもならずにすんだのです。私の周りには病人が大勢いました。皆さんも「あなたの身体と生命を守るのはあなたしかいない」ということをしっかり肝に銘じて、楽しく健康な人生を送ってください。
# by nonukes | 2014-09-12 15:40 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

従軍慰安婦の強制連行は本当になかったのか?朝日新聞の謝罪は自律と独立を捨て去る

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昨日夜記者会見で謝罪する朝日新聞社長


従軍慰安婦の強制連行は本当になかったのか?
朝日新聞の謝罪は新聞社が国家への批判と自律と独立を捨て去ることを意味している

小坂正則

私はここ最近は大変不安に駆られています。というのも昨年の「特定秘密保護法」が国会で可決して、その後この国のマスコミや言論界は大きく時計を逆回りさせるような傾向に舵を切ったのではないかと思うからです。その1つが今回朝日新聞が行った「従軍慰安婦の強制連行の誤報記事の謝罪」です。私は従軍慰安婦の歴史的な事実や経過などについてほとんど知らない状態でこのブログを書いているので、私自身も誤ったことを書く可能性があることを前提に「私の感じた朝日新聞社の謝罪会見」の感想を書きたいと思います。
結論として、朝日新聞が根拠として上げた事件は確かに虚偽の証言だったとしても、その1つの事件だけで強制連行がなかったとは歴史的には決して言えないのです。しかし、朝日新聞が謝罪すれば読売や産経は鬼の首を取ったかのように有頂天に喜び勇み、「従軍慰安婦は自由意思で娼婦になった」とのごとくに歴史をねじ曲げて、中国や朝鮮を中心とした多くの東アジアの日中戦争犠牲者の屍を踏みつけるような行為を私たち日本国民が行うことになりはしないかと危惧するのです。
百歩譲って、官憲や軍人による強制的な連行の証拠が出てこなくても、「日本でいい仕事があるから行かないか」と、甘い言葉やウソで騙して軍の施設の周辺に連れて行かれた女性たちは、そこは売春宿だと現地で初めて気づいても、「私は騙されたから帰ります」などと言えなかったでしょうし、契約を破棄して帰ることなど絶対に出来なかったのす。それは広義の「強制連行」でなくて何なのでしょうか。若い女性たちを「売春婦の仕事」として募集するなどという仕事の中身の提示がなかったなら、女性にとって暴力的であり屈辱的な、人間としての尊厳を卑しめる売春行為は、まさに精神的な意味でも肉体的な意味でも立派な「強制連行」なのです。

朝日だけが強制連行を立証する立場ではない

右翼大政翼賛会新聞の読売や産経新聞・フジテレビのフジサンケイグループなどは朝日新聞は韓国や中国などへ肩を持った記事を書き、日本の国益を売り渡す売国奴新聞社だと決めつけたような批判を繰り返してきています。そして1993年に自民党内閣官房長官の河野洋平氏が出した談話いわゆる「河野談話」で、従軍慰安婦の強制連行を認めて謝罪会見したことから、今日いわれる「従軍慰安婦の強制連行問題」が始まったのです。このことを批判する維新の橋下徹などは「河野談話を取り消せ」と大合唱を繰り広げているのです。さて、それでは本当に強制連行はあったのか、なかったのかを考えてみたいと思います。
河野談話の元になった元従軍慰安婦の方々からの聞き取り調査がきちんとしていなかったり、証言が曖昧だったりということが浮かびあがって、根拠が曖昧だとか、証拠が不十分だという批判から「従軍慰安婦の強制連行はなかった」という批判への大合唱となったのです。しかし、これは誰が見ても少しおかしいと思いませんか。「証拠が不十分ならなかったと言えるのか」ということです。従軍慰安婦の強制連行がなかったというためには、その事実が全くなかったという証拠を積み上げて行く必要があるからです。例えば、そんな例が1件でもあれば、その根拠は一気に崩れてしまうのです。朝日新聞が証拠としてあげたのは日本人の吉田清治氏が済州島で「自分が強制連行を行った」という証言が虚偽だったという結果から、「強制連行はなかった」と謝罪したのです。
しかし、それ以外の事実をなぜ朝日新聞は調査しようとしないのでしょうか。日本軍は強制連行した事実を歴史に残すわけがありません。731部隊が中国で行った毒ガス兵器開発や、そのための人体実験なども全ての証拠を焼き捨て闇に葬られたように、強制連行の記録を軍が持っていたとしても敗戦と同時に全てを焼き捨てたでしょうし。また、強制連行に携わった人間も自ら証言することはないでしょう。


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中曽根康弘が慰安婦の強制的に集めた事実を証言している

『中曽根元首相が「土人女を集め慰安所開設」! 防衛省に戦時記録が』という証言録があるそうです。以下はそのHPからの抜粋です。
中曽根が慰安所設立の事実を書いたのは『終りなき海軍』(松浦敬紀・編/文化放送開発センター/1978)。同書は戦中海軍に所属し、戦後各界で活躍した成功者たちが思い出話を語った本だが、その中で、海軍主計士官だった中曽根も文章を寄稿していた。
 タイトルは「二十三歳で三千人の総指揮官」。当時、インドネシアの設営部隊の主計長だった中曽根が、荒ぶる部下たちを引き連れながら、いかに人心掌握し戦場を乗り切ったかという自慢話だが、その中にこんな一文があったのだ。
「三千人からの大部隊だ。やがて、原住民の女を襲うものやバクチにふけるものも出てきた。そんなかれらのために、私は苦心して、慰安所をつくってやったこともある。

苦心して慰安所を作った、その中身までは書いてはいませんが、インドネシアのジャングルの中で売春婦を集めることなど出来るわけはありません。そこで、現地の日本軍の支援者に女性を集めるように指示をして集めさせたのでしょう。これは立派な「強制連行」です。中曽根を国会に招致して証言させれば「強制連行」の証拠は出てくるのではないでしょうか。
またインドネシアはオランダ軍が支配していたため、現地ではオランダ人女性の慰安婦がいたと言われているのです。彼女らも何らかの強制によって娼婦にさせられたのでしょう。

朝日新聞はペンを折ろうとしているのではないか

昨日は朝日新聞社長が謝罪会見を行いました。東電福島原発事故の3月15日の東電社員の一時撤退が「命令に反して東電社員撤退」という見出しが間違いであったという内容です。確かにちょっと行きすぎた見出しだとは思いますが、その中身が完全に間違っていたわけではなりません。中にはフクイチに撤退という指令を間違った振りをして逃げようと思った社員もいたかもしれないからです。そんな見出しの書き方がオーバーだったことなど、東電が福島の被災者を見殺しにしたり、避難中に多くの病人や高齢者が亡くなった事実に比べたら、屁でもありません。
それよりももっと怖いことは、この朝日新聞の謝罪会見、実は私たち国民や読者への謝罪ではなく、安倍政権への謝罪ではないかと思えてならないのです。
読売や産経は誤報などほとんどありません。なぜなら彼らは安倍政権のスポークスマンなので政府批判や東電批判の記事を書くことなどないからです。それに比べて東京新聞や毎日などに比べたら朝日新聞は随分政府寄りなのですが、それでも何とか踏みとどまっていた朝日新聞がとうとう安倍の力に屈したのではないかと私は感じてしまうのです。
彼らは「朝日新聞は国益を損ねる」と批判するのですが、日本の国益を損ねている新聞社は読売と産経です。これだけ韓国や中国を批判して外交関係を完全に冷え切った国家関係にするような批判記事を書いて煽る新聞社は戦争へを突き進もうとする安倍政権の広告塔だからです。そして読売が朝日攻撃に必死なのは、この半年に50万部以上も購読者が減っている危機感からでしょう。読売の部数を増やすためには日本で二番目に大きな朝日新聞の読者を切り崩すしか増える要素がないからです。
朝日新聞社の記者は経済記者以外はみな真面目です。(経済記者はどこの新聞社も皆似たり寄ったりです。TPP大賛成で新自由主義者がほとんどだからです。1人でも脱経済成長主義の経済記者が居たら大したものです)だから頑張れ朝日新聞記者。あなた方が頑張っていい記事を書かない限り、朝日の経営者は安倍の軍門に下ろうとしているのです。
ここで負けたら戦前の過ちを繰り返すことになってしまうのです。読売は戦後の読売争議に負けて労働組合が解体された結果ナベツネの奴隷のような新聞社になり下がってしまったのです。サンケイはしりません。
私は朝日の記者や東京新聞の記者や毎日新聞の記者にエールを送りたい。あなた方が安倍と対峙して日本の集団的自衛権や憲法改正から「原発再稼働」などのこの秋から繰り広げられる全国でのたたかいの先頭に立っている人々の闘いの記事を書いてほしいからです。もちろん商業紙の限界はあります。なぜなら東京新聞といえども企業の広告なしでは新聞社が成り立たないからです。しかし、真実の報道を行う記者のジャーナリスト魂と経営者の新聞を売るという商売のバランス感覚が商業新聞社を支えるのです。ニューヨークタイムズやワシントンポストが出来て日本の新聞社にやれないはずはないのです。

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この読売による朝日新聞批判のチラシが全戸に配布されたという

参考までにこの方の朝日新聞誤報事件のブログは大変読み答えがあります。
朝日謝罪会見でハシャぐ読売、産経の“トンデモ誤報”集


朝日新聞:吉田調書の報道で誤り認める…社長、引責辞任へ

毎日新聞 2014年09月11日 

東京電力福島第1原発事故をめぐり、政府の事故調査・検証委員会が実施した吉田昌郎元所長(故人)への聴取記録(吉田調書)に関する報道について、朝日新聞社の木村伊量(ただかず)社長は11日夜、東京都内の同社本社で記者会見し、「社内の精査の結果、吉田調書を読み解く過程で評価を誤り、多くの東電社員らがその場から逃げ出したかのような印象を与え、間違った記事だと判断した」と謝罪した。そのうえで、木村社長は「編集部門を含む抜本改革などに道筋を付けたうえで、自らの進退を決断する」と述べ、辞意を表明した。
木村社長はさらに、「杉浦信之取締役編集担当の職を解く」とも述べ、関係者を処分する方針も明らかにした。
朝日新聞社は5月20日付朝刊で、「所員の9割が吉田氏の待機命令に違反し、福島第2原発に撤退した」と報じていた。
木村社長は8月5日の朝刊で訂正した従軍慰安婦問題に関する報道にも言及。「誤った記事を掲載し、訂正が遅きに失したことをおわびする」とも述べた。
木村社長は早稲田大を卒業後、1976年に朝日新聞社入社。東京本社政治部長、同編集局長、取締役広告・企画事業担当を歴任し、秋山耿太郎・前社長の退任に伴い2012年6月、社長に昇格した。
# by nonukes | 2014-09-12 11:53 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(1)

  小坂正則

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