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カテゴリ:電力自由化( 34 )

高速増殖炉「もんじゅ」廃炉は「核燃料サイクル計画」というウソ崩壊の序章

高速増殖炉「もんじゅ」廃炉は「核燃料サイクル計画」というウソ崩壊の序章
小坂正則
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先週から新聞やテレビで「高速増殖炉『もんじゅ』は廃炉の方向で政府は検討中」というニュースが出ています。そして20日のニュースでは自民党茂木政調会長は記者会見で「私の頭の中には存続ということは全く想像できません」と語っているのですから、安倍政権は近日中にも『もんじゅ』廃炉を決定することでしょう。なぜ廃炉とするしかなかったのかというと、文科省の下部組織の日本原子力開発機構が維持費だけで年間200億円もの税金を湯水のように無駄遣いする高速増殖炉の原型炉(実験炉のこと)なのです。
『もんじゅ』を原子力規制庁が検査をしたところ、1万点以上に及ぶ定期点検を何年もやっていなかったことが明るみになったのです。そこで、規制庁の田中委員長が「新たな組織に衣替えして出直してこい」と、注文を付けたのですが、どこも引き受け手がなかったので廃炉となるのです。当初は電力会社や原発メーカーに文科省はお願いしたそうですが、電力会社は「ウチは再稼働の準備でそれどころではありません」と断られたそうですし、原発メーカは東芝を筆頭にどこも倒産の危機に瀕しているのにそんなお荷物など抱えられるはずはないのです。この『もんじゅ』は液体ナトリウムを冷却剤として使っているのでナトリウムが固まらないように電気で暖めるために1日に約5千万円の電気代がかかっているという途方もない無駄遣いのお荷物なのです。さっさと廃炉にすべきだったのです。建設費も1兆円を越えるそうですし、廃炉にも3千億円以上かかるのです。こんなもの誰も引き受けるわけはありません。

『もんじゅ』とは

まず、『もんじゅ』とはどんな原発なのかを簡単に説明する必要がありますね。原発はウランを燃やして発電します。ところが天然ウランの中の燃えるウラン235は僅か0.7%しか存在しません。残りの99.3%は燃えないウラン238です。ですから、燃えるウランの地下資源は60年後にはなくなってしまうのです。そんな僅かしか存在しないのになぜ、安倍首相は「原発は唯一のベース電源」などと言うのでしょうか。60年後の人類は使うことはできないのです。ところが、高速増殖炉で中性子をばんばん発生させて原子炉を運転すると燃えないウラン238が中性子を取り入れて、プルトニウム239へと変化するのです。だから、使った燃料以上に燃料が生まれるので、そのことを「夢の原子炉」などと言われていたのです。
とろが、問題は冷却剤に水を使えないということが大きなネックなのです。普通の原発は水を使います。しかし、水は中性子のスピードを弱めてしまって燃えないウランをプルトニウムに変えることができないので、どうしても冷却剤に「液体ナトリウム」を使わざるを得ないのです。ナトリウムは水と激しく反応します。だから1995年にナトリウム漏れで『もんじゅ』は大火災事故を起こして、その後少し動いては止まったりで、21年間に250時間しか動いていないのです。数時間動いて廃船になった原子力船「むつ」と同じ運命をたどるしかないのです。

核燃料サイクル計画とはなんのこと

『もんじゅ』は28万kwの原型炉という実験炉です。これが成功したら、今度は50万kw規模の実証炉で実験して、最後に実用炉へとたどり着くのですが、2番目の実験炉でつまずいたのですから、商業炉などできるわけはありません。高速増殖炉の実用炉つまり、商業的に低コストで安全で大量に電気もプルトニウムも作ることのできる実用的な炉ができるはずはなく、「夢の高速増殖炉」まさに「悪夢」に終わってしったのです。
ただ、自民党や文科省の中には、「『もんじゅ』を廃炉にしていきなり実証炉を作ってしまえ」という乱暴な意見も出てきています。様々な実験を繰り返さなくてロケットをぶっ飛ばすのと同じことです。ちなみに世界中でどの国もこの「高速増殖炉」に成功した国はありません。米国はさっさとやめました。ロシアとフランスは核のゴミを減らすゴミ焼却炉として生きながらえようとしています。日本もその案も検討したそうですが、それでもボロボロの『もんじゅ』をこれ以上動かすことは不可能と諦めたのです。
では『もんじゅ』が止まったらなぜ、原発政策が破綻してしまうかを説明します。
燃えないウランが高速増殖炉で燃えるウランに変わったら、1千年も2千年もウランを使い続けることができるということで、「夢の核燃料サイクル計画」が50年も60年も前に考えられたのです。
そこで、今度は青森県の六ヶ所村にある「核燃料サイクル」に赤信号が点りだしたのです。高速増殖炉を動かすから、青森県は全国の原発から出る「使用済み核燃料」を引き受けてきたのです。高速増殖炉を動かさないのならプルトニウムは必要なくなり、使用済み核燃料はゴミとなってしまいます。そのばあいは今あるゴミは全て各電力会社へ持って帰ってもらうという約束を国と交わしているのです。だから国も電力会社も「核燃料サイクル計画」をやめるとは口が裂けても言えないのです。

『もんじゅ』やめても「プルサーマル」があるから大丈夫?

『もんじゅ』がいつまで経っても動かないので国は姑息な手段として「普通の原発でプルトニウムを燃やしてしまえ」ということを考えて2009年に「プルサーマル運転」を九電の玄海原発3号機から始めたのです。しかし、プルサーマルではプルトニウムを消費するだけで増えませんから、夢の原子炉ではありません。しかも燃料が普通の核燃料の10倍もする高額なのです。プルトニウムを減らすというだけの目的のために高額の燃料を使うという矛盾に満ちたことを電力会社はやって来たのです。
六ヶ所村核燃料サイクルの使用済み燃料処理工場は何年も止まったままです。動く気配もありません。しかも3兆円もの税金と電気料金をぶち込んできたのです。それらは全て国民のお金なのです。

『もんじゅ』から「核燃料サイクル計画」そのものを廃止させよう

つまり、『もんじゅ』が止まれば、その燃料を作り出す「核燃料サイクル計画」を続ける道理はありません。「核燃料サイクル」をやめたら、使用済み核燃料は電力会社へ返還されます。それでは原発を動かそうにも動かすことなどできなくなります。ですから、どこを切り取ってやめても全てが一蓮托生に止まってしまうのです。
このようにウソと金目で誤魔化し続けてきた「原発」と「夢の核燃料サイクル計画」は、とっくに破綻していたのです。しかし、これまでの政府はズルズルと解決策を出さずに今日まで先送りで矛盾を引き延ばしてきたのです。ですから、私たちはここで、これまで誤魔化してきた政府と電力会社の持っている全ての情報をさらけ出させて、原子力エネルギー政策を国民的な議論のまな板に乗せてしっかり議論を行い、国民の声を反映させた結論を出させる必要があるのです。

原子力は割が合わないことが分かってもまだ諦めようとはしない政府電力会社

電力自由化で、電力会社のウソもばれてしまいました。だって新電力の会社が使う送電線使用料がべらぼうに高いことを皆さんはご存じですか。平均で1kwhあたり、8.36円も既存の電力会社に支払っているのです。1kwhあたり24円から25円で販売する新電力会社がその内の8.36円も支払えば、販売価格の30%ものコストが送電線使用料(託送料)で取られるのです。何でそんなに高いのか?理由は簡単です。その価格の内訳が不明朗なのです。つまり、新電力の会社は言い値で利用させられているのです。もちろんある程度は分かります。まず、託送料の中には放射能のゴミ処分費用が入っています。それに電源促進税も入っています。これは二重取りです。しかも経産省と政府は東電の事故処理費用を新電力の消費者に払わせいる計画だと言います。
ちょっと待ってよ。原発の電気は安いから原発をベース電源として進めるんじゃなかったの?実は高いから、その付けを関係ない新電力に支払わせて、おまけに託送料でがっぽり既存の電力は儲けるなんて、そんなバカなことがあるでしょうか。だから倒産した東電が3千億円以上の黒字をたたき出して、社員の賃金も上げて、おまけにボーナスも昨年から復活しているというではないですか。どこに倒産会社が社員にボーナスを払えるのですか。社員にボーナス払う前に福島の避難者や福島事故の被害者への保障金を支払うべきです。
こんな腐った政府と電力会社へお灸をすえるためにも新電力へ皆さん乗り換えましょう。
新電力乗り換えキャンペーンは



MOX燃料の価格、ウランの9倍 高浜原発で1本9億円
朝日新聞2016年2月28日
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MOX燃料の輸入量と価格

使用済み核燃料を再処理して作るウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料は、通常のウラン燃料より数倍高価なことが、財務省の貿易統計などから分かった。再稼働した関西電力高浜原発3、4号機(福井県)などプルサーマル発電を行う原発で使われるが値上がり傾向がうかがえ、高浜で使うMOX燃料は1本約9億円となっている。
プルサーマル発電は使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを再利用する国の核燃料サイクル政策の柱とされる。核兵器に転用できるプルトニウムの日本保有量(47・8トン)を増やさない狙いもあるが、国内の再処理施設は未完成なうえ、コスト面でも利点が乏しいことが浮き彫りになった。
電力各社は使用済み核燃料の再処理をフランスなどに委託。MOX燃料は1999年以降、東京電力福島第一、柏崎刈羽、中部電力浜岡、関西電力高浜、四国電力伊方、九州電力玄海の各原発に搬入された。27日に核分裂反応が継続する「臨界」に達した高浜4号機は、核燃料計157本のうちMOX燃料(燃料集合体)が4本、3号機は同じく24本入っている。燃料集合体は燃料棒を束ねたもので、長さ約4メートル、重さ約700キロある。

電力各社は「契約に関わる事項」などとしてMOX燃料の価格を明らかにしていないが、貿易統計で輸送費や保険料を含むとされる総額が公表されている。それを輸入本数で割ると、MOX燃料1本あたり2億604万~9億2570万円。時期でみると、99年の福島第一は1本2億3444万円なのに対し、直近の2010年と13年は7億~9億円台。13年6月に高浜に搬入されたものは1本9億2570万円となった。
ウラン燃料の価格も非公表だが、同様に98年7月輸入分は1本1億1873万円。13年10月の輸入分は同1億259万円で、13年6月輸入のMOX燃料はこの約9倍にあたる。
1本のMOX燃料で利用できるプルトニウムは多くない。一方、燃料の値段は電気料金に反映される。原発のコストに詳しい立命館大の大島堅一教授(環境経済学)は「安価になるからリサイクルするはずなのに、MOX燃料は逆に高価で、経済的におかしい。国は商業的にも技術的にも破綻(はたん)している政策を続けており、負担は国民に回ってくる」と指摘する。(福島慎吾)

■プルサーマル、課題山積

プルサーマル発電は国内では2009年に玄海原発で始まり、新規制基準のもとでは高浜3、4号機に続いて伊方原発3号機で予定されている。しかし、多くの課題がある。
MOX燃料は当初高速増殖炉で使うはずだったが、原型炉もんじゅ(福井県)は実現の見通しが立っておらず、プルサーマルが核燃料サイクル政策の軸とされる。電力各社は、16~18基の原発でプルサーマル発電をすれば年間6トン前後のプルトニウムを利用できると想定している。
しかし、青森県六ケ所村の使用済み核燃料の再処理工場とMOX燃料加工工場は、稼働が大幅に遅れている。加えて、使用済みMOX燃料は建設中の加工工場で処理できず、その処分方法も決まっていない。
内閣府原子力委員会の小委員会は12年、核燃料サイクルのコストの試算を発表。将来の電源に占める原子力の比率にかかわらず、使用済み核燃料を再処理せずに地下に埋める「直接処分」の方が、再処理してプルトニウムを利用するより安いとしている。
by nonukes | 2016-09-22 01:50 | 電力自由化 | Comments(0)

原発の発電コストが1番安かったのでは?「新電力にも原発廃炉費用を」

原発の発電コストが1番安かったのでは?「新電力にも原発廃炉費用を」
小坂正則
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上は2011年までの発電コストの比較


これだけウソを言い続けるのは「ミサイル実験を宇宙衛星」と言うのと同じ

下の毎日新聞の記事を見てください。経産省・資源エネ庁の「総合資源エネルギー調査会」で、「原発のコストを新電力に負担させる方法を導入させようとしている」と言うのです。
「新電力へ乗り換えた一般家庭一軒で数十円から200円の負担」制度を導入する案を検討していると言うのです。
この話は想定されていたことなので、驚くには値しない話なのですが、よくよく考えてほしい。何か政府の言ってることに論理矛盾はありませんか?2011年3月11日までは「原発の発電コストは1kwhあたり5.3円で一番安い」と、政府も電力会社も言っていました。
ところが福島事故を起こしてしまった以降はさすがに膨大な事故処理費用のコストを考えるといくら何でも5.3円とは言えなくなったので、2015年には10.1円と跳ね上がりました。「何だ原発は安くはなかったんだ」と、皆さんもやっと分かったと思ったら、原発の発電コストを上げるのと一緒にほかの発電コストも上げて、「やっぱり原発は一番安いのです」と、ぬけぬけといまだに「原発は1番安い」と言い張っているのです。
皆さん、ちょっとアホらしくなって来ませんか。「これはミサイルではありません。宇宙衛星です」と、言い張るどこかの国の偉い方と全く同じ論理です。誰でもが知っていることをいまだにウソを通し続けようとしているのですから。

原発がコストが安のなら、そのツケを関係ない新電力に回すな

分かりきったことですが、この国は資本主義の国です。市場原理で企業は競争するのです。そこでは「社会的規制」(公害防止条例や大気汚染防止法)などの規制は受けますが、「経済的規制」はできる限りなくさなければなりません。そうでなければ自由競争や市場原理が歪められるからです。唯一経済的な規制があるのは「独占禁止法」です。大企業と中小零細企業が対等に競争するときには、大企業へは市場開放のために規制することはあり得ます。
今回の電力自由化でいえば、地域独占の既存の電力会社に対して新電力は零細企業でそのシェアは僅か全国でも2.4%というのです。明らかに今は独占状態が続いているのですから、本来なら既存電力のシェアを落とすために新電力を応援する政策を取らなければならないのです。一定のシェアまでは無条件に強制的な方法で市場を開放させる政策を実施しなければ、電力市場の対等な競争など実現できないのです。
この国は相変わらず、国家官僚資本主義の国です。呆れて開いた口がふさがりません。
でも、そんなに呆れていても始まりません。セッセと官僚と電力資本は、いわゆる「原発マフィア」の連中は国民を騙して、何とか原発を支える政策を導入しようと企んでいるのですから。
原発のコストは私の以前のブログを見てください。http://nonukes.exblog.jp/21746678/

こんなふざけた制度を入れさえないためにも新電力へ乗り換えよう

原発のコストが高いのなら、まずは国民に「ごめんなさい。実は原発の発電コストは一番高いです」と本当にことを言って、誤るべきです。そして、その後どうするかは国会で話し合うべきです。でも、国会に任せていたら民進党は電力会社の労組にあごで使われているので、まともな議論はできないかもしれないのですが、国民の判断を仰ぐべきです。
この問題だけでも衆院は解散して「原発選挙」を行うべきです。「高くても原発は続けるべきか、高いし危険だからやめるべきか」という争点で選挙を行いべきです。
ここまで国民を愚弄する政治を行う、自民党と民進党の一部の議員は辞任すべきほどの大きな責任がある問題なのだと私は思います。
こんな不当なことをやれば、「電力自由化」など、まやかしで、新電力など育ちません。アベノミクスの3番目の矢は「規制改革」と言っておきながら8兆円の市場の活性化を自ら怖そうとしているのです。ここは「電力自由化」を支えるためにも、消費者と新電力企業が一緒に声を上げる必要があります。そして私たち消費者は、こんなふざけた制度を導入させないためにも「新電力への乗り換えを進んで行う」必要があるのです。
「あなたも新電力へ乗り換えましょう」というブログえを見てください。http://nonukes.exblog.jp/23334653/
皆さんぜひ、新電力へ乗り換えましょう。そして、次の衆院選では「原発是非」を相転移して選挙をたたかわせましょう。


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原発コスト
新電力も負担、政府調整 料金に上乗せ

毎日新聞2016年9月8日 

政府が原発の廃炉や東京電力福島第1原発事故の賠償を進めるため、大手電力会社だけでなく、新電力にも費用負担を求める方向で調整に入ったことが7日、わかった。電力自由化で大手電力から新電力に契約を切り替える消費者が増えた場合、原発の廃炉や原発事故の賠償にかかる巨額の費用を賄えなくなる可能性があるためだ。だが、本来は大手電力が負担すべきコストを国民全体に求めることになり、議論を呼ぶのは必至だ。
現行制度で原発の廃炉は、原発を保有する大手電力が自社の電気料金から費用を回収することになっている。福島第1原発事故の賠償は、東電が国の認可法人「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」から必要な資金の交付を受け、大手電力が負担金を同機構に納付している。
政府が導入を検討している新制度は、原発を保有する大手9社だけでなく、新電力にも廃炉や福島原発の賠償費用を負担させる仕組み。新電力各社は電気料金に上乗せして回収するため、契約者の負担が増すことになる。政府は事故を起こした福島第1原発のほか、全国の原発が廃炉になった場合の費用と、同機構を設立する前にかかった福島原発事故の賠償費用の合計を約8兆円と試算。家族3人の標準家庭モデルで月額数十円から200円程度の負担を想定している。

しかし、新電力の契約者に原発の廃炉や東電の賠償費用を負担させることは、大手電力と新電力との競争を促すことで料金引き下げにつなげる電力自由化の趣旨に反し、原発を抱える大手電力の事実上の救済策と言える。
政府は総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の下に小委員会を設け、新制度を議論し、年末までに一定の方向性を出した上で来年の通常国会に電気事業法の改正案を提出する。【川口雅浩】


大手の救済色濃く 利用者の反発必至
毎日新聞2016年9月8日 

政府が原発の廃炉や東京電力福島第1原発事故の賠償を進めるため、大手電力会社だけでなく、新電力を含むすべての電力会社に費用負担を求める背景には、4月に始まった電力小売りの全面自由化がある。電力自由化で大手から新電力に切り替える消費者が増えた場合、巨額の費用がかかる原発の廃炉や事故の賠償に支障をきたす可能性があるためだ。ただ、政府案は大手電力への救済策の色彩が強く、新電力各社や消費者から反発の声が上がりそうだ。【川口雅浩、秋本裕子】
 原発の廃炉にかかる費用は、110万キロワット級の原発で570億〜770億円程度とされる。これは50万キロワット級の火力発電所の廃炉費用30億円程度と比べて15〜20倍超と巨額で、電力会社の経営の重しとなっている。原発を保有する電力大手各社は、原発の廃炉に備え、必要な費用を「原子力発電施設解体引当金」として、電気料金に上乗せして徴収している。
経済産業省によると、国内の原発の廃炉に必要な見積額は電力10社(大手9社と日本原子力発電)の合計で2兆8200億円。このうち2013年3月末時点で10社が解体引当金として積んでいたのは1兆5800億円で、引当率は56%だった。その後も10社は引当金を積み増ししているものの、電力全面自由化で将来、徴収が進まない可能性もある。
大手電力から新電力に切り替えた契約数は7月末時点で約148万件と全体の約2.4%に過ぎないが、将来的には拡大するとみられている。
そこで今回、政府が考えたのが、大手電力会社だけでなく、新電力を含めたすべての電力会社に廃炉や賠償の負担を求める案だ。新電力に切り替えた消費者も、過去には大手電力が原発で発電した電力を使っており、「過去に大手電力の電気を利用した需要家(消費者)と、電力自由化後の需要家の間に負担の公平性が損なわれてはならない」というのが政府側の言い分だ。
しかし、福島の原発事故を教訓に、再生可能エネルギーによる発電比率の高い新電力を選んだ消費者もいる。すべての契約者に負担を求めるとなれば、原発のない沖縄県の消費者にも廃炉費用を負担してもらうことになる。制度的な矛盾は否めず、消費者から「原発のコストは大手電力が負担すべきで、すべての国民に転嫁するのはおかしい」などといった反発が強まる可能性がある。
電力全面自由化は、地域独占だった大手電力と新電力の競争を促し、電気料金を下げるのが目的だった。にもかかわらず、政府が原発の廃炉や賠償を優先せざるを得ないのは、原発が潜在的にコスト高である現実も物語っている。

これこそ原発のリスク 大島堅一・立命館大学教授(環境経済学)の話 

原子力事業者(大手電力)にも新電力にも有利、不利な点がある。なぜ原子力事業者だけ不利な点を取り去る必要があるのか。明らかにおかしな政策で、保護策といえる。要するに原発のコストが高いということ。原子力事業者が自己解決すべきで、国が制度を作り面倒を見る必要はない。原子力事業者が原発のコストを払いきれなくなっている証明で、これこそ原発のリスクだ。政府が事故や廃炉のコストを入れても原発は安いと主張してきたこととも矛盾する。

原発をめぐる政府の主張と問題点
<政府>

・電力自由化で大手電力は廃炉や福島原発事故の費用を回収できなくなる恐れがある

・新電力に切り替えた消費者も、過去には大手電力が原発で発電した電力を使っている

・原発の廃炉や事故の賠償を円滑に進めるには、新電力を含むすべての契約者に負担を求めるべきだ

<消費者や有識者>

・廃炉や賠償の費用は大手電力が経営努力で電気料金から回収すべきだ

・廃炉や賠償の費用を入れても原発は安いと言っていた主張と矛盾するのではないか

・原発のない新電力や沖縄県の契約者が費用を負担するのはおかしい。大手電力の救済ではないか

by nonukes | 2016-09-08 13:52 | 電力自由化 | Comments(0)

「電力自由化」で私たちの暮らしはどう変わる?

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講演会のお知らせです
「電力自由化」で私たちの暮らしはどう変わる?


今年の4月からいよいよ電力自由化が始まりました。これからは九州電力以外の電力会社から一般家の電気も自由に買うことができるのです。「原発の電気は使いたくない」という方や「再エネ100%の電を使いたい」という方の夢が叶うかもしれません。でも、まだまだ多くの課題が残っています。そこで、よりかりやすく電力自由化の現状を知ってもらい、これからの私たちにできる可能性などを議論しませんか。

演 題:「電力自由化で私たちの暮らしはどう変わる?」
講 師:小坂正則さん
(NPO法人 九州・自然エネルギー推進ネットワーク理事長)
場 所:ホルトホール大分
日 時:4月17日13時~15時30分
参加料:無料
主催者:しあわせな未来政策研究会おおいた主催
代 表:後藤慎太郎
連絡先:080-2755-5100(後藤) 

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小坂正則 プロフィール

1953年、大分市生まれ。
1972年、九州産業大学芸術学部写真学科入学。入学と同時に新聞部に入部、学生運動に参加。
1978年から川崎市の郵便局に勤務。地域で生協運動やせっけん、リサイクル運動などに関わる。
1985年、大分へ転勤となり帰郷。作家の松下竜一氏らとともに反・脱原発運動に取り組む。
2001年、自然エネルギーのNPO「九州・自然エネルギー推進ネットワーク」を設立。市民オーナー制で太陽光発電施設を設置したり(現在10機設置)。薪ストーブやペレット・ストーブを普及させてバイオマス利用の促進をはかるなど、自然エネルギーの普及推進活動に積極的に取り組む。大分県環境教育アドバイザーとして、地域や学校などで講師もやっている。そのほか脱原発大分ネットワーク事務局長など。
2012年「市民電力会社をつくろう」(影書房)を出版する。


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3月5日久留米にて講演です

どこにでも講演に行きます

講演内容:自然エネルギーや電力自由化など

大分県内は「環境アドバイザー」講師として大分県に申し込んでもらえれば無料で行きます。(申込先大分県庁内、地球環境対策課へ電話してください)
大分県外は交通費と宿泊費などの必要経費を出してもらえればお礼なしで講師を引き受けます。

お問い合わせ先:090-1348-0373(小坂)
by nonukes | 2016-03-24 16:30 | 電力自由化 | Comments(4)

4月から始まる「電力小売り自由化」の問題点

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2011年311で津波に襲われた南相馬市のがれきの前に咲いていた一輪のひまわり8月に撮影
4月から始まる「電力小売り自由化」の問題点
小坂正則


「4月からいよいよ家庭部門の電気も自由に買えるようになる」というニュースが流れていますね。皆さんの中には「これで日本も原発の電気にさよならできる時代が来た」と喜んでいる方も多いと思います。
私も電力自由化を待ち望んできた者としては感慨深いものがあります。ただ、あの電力会社と経産省官僚などの、いわゆる「原発ムラ」の人間が自分のクビを絞めるような制度を易々と作るだろうかと思うのです。この電力自由化の制度には必ず隠された大きな罠があるだろうと、私は思うのです。
小ずるい日本の腐った官僚どもが作った制度には必ずといっていいほど、自分たちの利権を守る秘密が隠されているものです。そんな小細工を探ってみたいと思います。

電力会社は送電線使用料をぼったくり

現在大口電力は自由化されていて、全国の60%の電力が自由化されていますが、新電力のシェアは2014年度で僅か4.5%しかないのです。これでは自由化などとはとても言えたものではありません。
そこで、今年の4月から残りの家庭部門が自由化されたので、これで完全に自由化が完成した形なのです。地域独占の電力会社と、それに対抗して参入する新電力とでは象とアリほどの差があります。しかも、象の持ち物の送電線を使わせてもらって商売をするのですから、象が公平に送電線を使わせる訳はありません。最低でも発送電の分離(発電と送電会社を分離する)を行ってから自由化すべきだと私は思っています。象に対しては徹底した強制力で門戸を開放しなければならないのです。具体的には送電線の開放です。これは2020年に行われる予定ですが、ですから現状では自由化などと言える状況ではないのです。
送電部門の分離が4か5年後に行われるとして、その前に新電力会社は息絶えてしまうことを私は大変危惧しているのです。その時、経産官僚や電力会社はこう言うでしょう。「やはり電力自由化は失敗だった」と。まず、現状のふざけた制度をご紹介します。第一に送電線使用料(託送料)がやたらと高すぎます。1kwhあたり、9.71円(東北電力)から7.81円(関西電力)までです。ちなみに東電は8.57円で、九電は8.3円です。この中には送電線の管理費など含まれていると電力会社は言いますが、それが本当かどうかを調べるすべは私たちにはないのです。嘘つき東電(福島原発のメルトダウンを2ヵ月も隠し続けたなどなど、上げればきりがありません)が本当のコストを言うわけもないでしょう。24円で販売する電気の送電線使用料が9円もするのなら、商品の価格に対して送電線コストが37.5%もかかるのです。米国では託送料は10%以下だそうですから、2円そこそこなのです。つまり、電気事業で一番儲かる商売は送電線運用会社なのです。だから私はふざけた自由化だと訴えたいのです。
まだまだふざけた制度があります。「30分同時同量制度」です。これは何かというと、30分毎にその前の需要に供給量を合わせろという制度です。電気というのは刻一刻と需要が変化します。その変化に対して電力会社は供給量を合わせているのです。だから昼間は需要が上がって、夜中は需要は下がります。下がったら発電所を止めたり、揚水発電で上ダムに水を上げて調整しているのです。新規参入会社にもそれと全く同じ調整を行えというのです。もし上回ったら無償で電力会社がもらうけど足りなかったら罰金をもらいますよというのですからひどい話です。原価が11円から12円の電気を50円以上もの罰金を取るというのです。弱小な新規参入電力会社はこんなに取られたらたちまち倒産してしまうでしょう。恐ろしインバランス料金が待ち構えているのです。
この制度がいかに不都合であるかといえば、ヨーロッパにはこんな高額な罰金を取る制度はないのです。だって、電力卸市場が整備されていたら卸市場で電力を購入すればいいのです。確かに極単に暑かったり寒かったら一瞬だけ50円とか100円という価格に跳ね上がることもあり得ますが、普段は安定した価格で足りない分を市場で買い求められます。ところが日本の電力会社は相対取引ばかりしていて市場に電気を流そうとしないのです。
国が強制的に電力会社の電気の2割や3割を市場に出させる必要があるでしょう。これには脱原発派の皆さんからは大変な反論があるでしょう。「そんなことしら既存の電力会社が利するだけで、原発を止められない」と。でも、卸市場に電力を流さないことが自由化を阻害する最も大きな要因なのです。自由化を成功させるには強制的に電力会社に一定量の電気を卸市場に出させることが重要だと私は考えます。その中でどんな種類の電気であるかとう品質明記をさせればいいのです。
また、小規模な電力会社が需要に応じて負荷調整を行う必要など全くありません。それぞれの電力会社が組み合わさってでこぼこの需要はフラットになるのです。もちろん、それでも山や谷はできますが、その分だけは大手の電力会社が負荷調整を行って、それに要した経費を全体で分担すれば済むだけの話です。こんな不当な価格で暴利をむさぼる電力会社はブラック企業です。
電気事業法では部分供給(2つの電力会社から電気を買うこと)という制度は1999年の電気事業法の改正で実施可能となったのですが、これまでに2件の実験が行われただけで現在はゼロです。これなども強制力を持って実施させるべきです。

小坂はなぜ再エネ電力を応援しないか

私はこれまで「電力自由化はガスなどの大手新電力を応援すべきだ」と言ってきました。再エネ100%を唱っている新電力会社を私は応援していません。なぜなら、上のようなルールの中で再エネ100%など無理だからです。もちろん再エネ電力を唱っている会社も全量再エネだとは言ってません。太陽光発電の電気を中心にして販売するのが大半です。でも、現状では太陽光発電が電気を生むのは昼間の数時間だけです。それ以外は卸市場で買うという計画の会社が多いようです。現状では卸市場には買いたいだけの電気は出てきません。買うならうんと高い価格で電力会社から買うしかないのです。作りすぎた電気は無償で電力会社が取ってしまうのですから、それに高い送電線使用料を取られたら、そのうちには「日本ロジテック」のように倒産してしまうでしょう。だから、発送電分離の2020年までは大手のガス会社や石油会社や商社などの新電力に頑張ってもらって、おかしな制度を改善させるたたかいをまずは行うべきだと考えているのです。そして一番重要なことは発送電分離が法的分離(子会社にする)ではなく、所有分離(完全な別会社にする)させるたたかいを私たちが行うことです。電力会社は送電会社に衣替えしてここで甘い汁を吸おうとしているのではないかと私は思っています。なぜなら送電会社は総括原価方式なのです。美味しいところは我がものに独占しようという小ずるい「原発マフィア」たちの考えです。
皆さんの原発の電気はいやだから100%再エネ電気を使いたいという気持ちは分かりますが、ゼロか100かではなくて、20か30くらいの成果を求めることも大事だと私は思います。

電力会社などエネルギー企業再編成が始まる

確かに再エネ100%の電力会社がいいですよね。ドイツのシェーナウのような再エネ100%の市民電力会社が日本にもできることを私も期待しています。でも、それまでにはまだまだ越えなければならない課題があります。ドイツは送電線が一緒の会社や別会社など様々だったから、村の送電線をみんなで買い取って市民電力会社を作ったのです。東京ガスや大阪ガスや東邦ガスの3社は2017年のガス自由化を迎え撃つために電力とガスをセットで販売してガスの顧客を守ろうとしているのです。しかし、日本でガスを一番扱っているのは東京電力で2番目は中部電力です。3番目にやっと東京ガスが出てきます。そんな中で東電と中電はガスを販売する共同出資の会社を設立しました。東電はガス事業に参入しようと狙っているのです。これから電力会社がガス会社を買収してガスと電気の一体企業などができるかもしれません。それに新電力会社は5社程度に再編されるだろうと言われています。激烈なエネルギー販売競争の中では中小零細企業は生き残れないでしょう。

自治体電力会社で福祉電力を実施しよう

私はみやま市や山形県など13自治体が進めようとしている自治体電力会社がこれから一番応援したい電力会社です。私は2012年に「市民電力会社を作ろう」という書籍を出しました。その中でも書いているのですが、大分県でこんな悲しい事件がありました。2001年2月14日、バレンタインデーで世間が浮かれている時に中学3年生がろうそくの火が原因で焼死した事件がありました。この家庭は親子二人の母子家庭でお母さんが帰ってきたらかわいそうだと台所にガラスの灰皿にろうそくを立てていたようだと新聞は書いてます。この家は貧しくて電気を止められていたのです。しかし、母親は九電にお金を払うので電気をつないでほしいと言った後、1時間後くらいに火事になったのです。九電がすぐに電気をつけに来ていたら火事にはならずに済んだかもしれないのですが、もう一つ重要なことが隠されていました。九電の内規で「電気料金を支払わない家庭の電気を止める時は100ワット分だけ電気が流れるようにしなさい」という指示文書があったのに、大分県国東営業所はこの内規違反を行って完全に電気を止めていたのです。だから私は九電株主総会で「九電は中学3年生焼死事件の責任を取れ」と社長を追求しました。自治体が電力事業を行えば生活保護家庭や貧困家庭の内実を知ることが可能ですから、憲法25条の最低の文化的な生活を営む権利を保障するために福祉電力制度ができると考えるのです。そのほか自治体が電力事業を行うことのメリットは山ほどあります。

地方の再生の切り札に電力が使える

その1つが福祉電力の可能性ですが、まだあります。電力産業の国内で動くお金が約8兆円です。九州ではその十分の一ですから8千億円、大分県内では約800億円。この多額のお金を県内で回せたら、どれだけ地方が豊かになるでしょう。市町村でこのお金が回せたら、不況も過疎化も吹っ飛んでしまうかもしれません。そして、電力を地域で生み出すことで、新たな雇用を生み出せるのです。もちろんエネルギーは電気だけではありません。暖房に使う石油の代わりに木質バイオマスを地域で生産できたら、ここでも新たな産業と雇用が生まれて、地域のお金が東京や中東に吸い上げられないで済むのです。街興しの切り札にエネルギーと農業と観光をリンクさせて豊かな地域を再生させましょう。
by nonukes | 2016-03-24 13:25 | 電力自由化 | Comments(0)

講演会のお知らせ「電力自由化で原発ゼロへ」

電力自由化で原発ゼロへ
小坂正則
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新電力の日本ロジテックは小売自由化の前になぜ撤退するか

新電力の中でも5番目の大手の日本ロジテック協同組合が3月一杯で電力事業から撤退すると2月24日の新聞各社が伝えています。一般には聞き覚えのない会社ですが、防衛庁や地方自治体などに販売実績があるちゃんとした企業なのです。うさん臭いブラック企業と言うわけではないのです。この会社は自家発電などの電気を購入して、大口電力へ販売していた企業です。ただこの会社は自分で発電所は持っていませんでしたので、販売価格に対して電力購入コストが見合わなかったことが大きな原因だと言われています。その理由の一つに、既存の電力会社や新規の発電会社間の販売競争が過熱していて、価格を下げなければ入札に勝てないので、どんどん値下げして、採算ラインを割り込んで販売していたことがあるのだでしょう。

新電力への嫌がらせに満ちあふれた系統ルールでは自由化などありえない

日本ロジテック協同組合が倒産する大きな原因が加熱する価格競争にあることは事実ですが、もう一つ大きな原因があります。それはどうにもならないコストから新電力は逃れられないという呪縛があるからなのです。これまでの電力自由化は大口電力のみでしたが、それでも既存の電力会社の高圧送電線を使って電気を送るわけですから、託送料という高圧送電線使用料を東電など電力各社に取られていたのです。その料金が1キロワット当たり3.5円から4円と言われています。つまり、1kwhを13円で販売する場合、託送料が4円とするとすでに9円の売り上げの中から原価の電力購入費を引けば利益など出るわけはないのです。仮に8円で購入していた場合は1kwhで1円の利益が出ますが、9円で買えば利益は出ません。ロジテックが販売用電力の購入先、つまりはロジテックに電力を売っている工場などにとっても、8円という捨て値の価格で電気をロジテックに売るくらいなら、もっと電気を有効利用して製品コストを下げようと工夫するでしょうし、需要が増えればもっと高い価格でかうという新電力も出てくるかもしれないのです。ロジテックの需要に対して、供給が追いついていかなかったのかもしれません。ロジテックにとっては、入札で販売先を確保すればするほど電力が必要になるわけですから、足りなくなれば東京電力などから買うしかないのです。競争相手の東京電力は自分のところの電力が余って困っていても、競争相手の企業に電力を売るなどしないでしょうし、売る場合も価格を引き上げてくるでしょう。だって、競争相手から買わなければならないほど電力が足りないのだったら、価格を引き上げてやろうと思うからです。この会社の倒産の大きな理由の1つに電力取引市場が育っていなかったこともあるでしょう。
そして、一番の理由は託送料が不明確だということです。つまり託送料の価格設定の根拠が曖昧なのです。東電がこれだけですと言えば、その価格を支払わなければ使わせてはもらえないという制度なのです。ですから、託送料が高すぎることなどが大きな原因だと思われます。
まだ倒産の大きな理由が考えられます。それは「30分同時同量ルール」と言う制度です。
それは「新電力が系統(高圧送電線)に電気を流す場合、30分で区切って、そこで消費された電力の上下3%以内で電力消費に合わせて電力を供給しなければインバランス料金というペナルティーを電力会社に支払わなければならない」というルールなのです。そしてペナルティー料金がどれだけになるかというと最高3倍の料金が電力会社から請求されるというのです。15円で販売している電力だったら45円もの高額のペナルティーを支払う必要があるのです。このインバランスのペナルティーが大幅に増えたことが1番の原因ではないかと私は考えています。

託送料が透明化しなければ電力自由化などまやかし

4月から始まる「電力小売り自由化」によって、昨年の9月からは「電力取引監視等委員会」というところが託送料を審査するようになるのです。経産省のホームページによると「電力取引監視等委員会は、①小売全面自由化等を踏まえた電力の取引の監視、②ネットワーク部門の中立性確保のための行為規制の実施等を行うために、新たに設立する経済産業大臣直属の8条委員会です。委員会には、総務課、取引監視課、ネットワーク事業監視課の3課からなる専任の事務局が置かれるほか、地方組織の経済産業局等においても総務企画部門に取引監視室を設置し、その事務の処理に当たります。」とあります。昨年の9月1日に発足したようです。
ここでは託送料の議論も行われるのですが、どうも高額な託送料を答申しているようです。東電の託送料は1kwhあたり8.57円だそうです。
そして電力自由化の本命である「発送電分離」の方法が自民党の案では電力会社の子会社案で決まるようですが、これでは本当の電力自由化など出来ません。それこそ電力会社がここに乗り移って、これまでと同じように独占で生きながらえるだけなのです。だって、一番儲かるのは送電会社だからです。発送電分離は電力会社の分割ではなく、電力会社が送電線会社に母屋を移して、原発などの発電事業を子会社化するというのが本当の電力会社の描く将来像なのです。これまでさんざん悪さをしてきた電力会社を生きながらえさせてなるものでしょうか。
発送電分離は完全資本分離の別会社にさせて、送電会社は公共インフラとして非営利事業または国有化して既存の電力会社は発電会社にさせなければなりません。そこで、自由競争させて原発の電気がほしい方に電力を高く売ればいいのです。

私の講演会があります。お近くの方で、よかったら皆さん聞きに来てください。

演題:電力自由化で原発ゼロへ
日時:3月5日14時~16時30分
場所:え~るピア久留米(久留米駅前)
料金:500円
主催:さよなら玄海原発の会・久留米



日本ロジテック電力事業撤退へ「新電力」揺らぐ信頼性
毎日新聞2月24日

大手電力会社以外で電力を販売する「新電力」大手の日本ロジテック協同組合(東京)が24日、3月末にも電力事業から撤退する見通しとなった。資金繰りが悪化したためで、同日には電力小売りに必要な事業登録の取り下げを経済産業省に申請した。4月に電力小売りが全面自由化されるが、今回の撤退で新電力に対する利用者の信頼が揺らぎ、他の事業者の戦略に影響を及ぼす可能性もある。
「価格が安いため日本ロジテックと契約した。今後、契約の仕方を検討し直さないといけない」。川崎市の担当者は肩を落とした。同市は市立小・中学校など170校に対する2015、16年度の電力供給について、ロジテックと契約済み。ロジテックが事業をやめても、大手電力会社が電力供給するため停電にはならないが、料金が割高になる恐れがある。
ロジテックの撤退は、家庭向けなどで新規顧客獲得を目指す新電力各社にとって逆風になる可能性がある。東京ガスは24日、家庭向けの電力申し込み件数が5万件を突破したと発表。今後、新電力に対する利用者の警戒感が広がる可能性もあるが、「安定的に電力供給していくことをしっかり説明していきたい」(担当者)としている。 電力自由化

日本は戦後の電力事業再編で、大手電力会社が地域ごとに電力販売を独占し、安定的に稼げる仕組みを築いた。このために電気料金が割高になっているとの指摘が強まり、政府は電力事業に競争原理を導入しようと、1990年代から段階的な自由化に着手。新規事業者の参入や、工場など大口需要家向けの小売り自由化を進め、今年4月からは家庭や中小商店も含む電力小売りの全面自由化に踏み切る。政府は自由化後も安定供給に支障が生じないよう、電力会社間の電力融通を指示したり、送電網の整備計画を策定したりする「電力広域的運営推進機関」を設立。2020年には総仕上げとして、大手電力から送配電部門を切り離す発送電分離を行う計画だ。
by nonukes | 2016-03-02 15:56 | 電力自由化 | Comments(2)

ソフトバンクはどこに向かって進むのだろうか?

ソフトバンクはどこに向かって進むのだろうか?
小坂正則
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孫正義は何で5年前の決意を捨てたのだろうか


私は忘れもしないことがある。2011年の4月22日に自由報道協会での記者会見で孫正義氏は「脱原発」を宣言した時のインタビューを聞いて、時代が大きく変わるかもしれなと思ったのです。いえ、正確にいえば、「福島原発事故は非常に不幸な事故でしたが、そこから日本は大きく変わるだろうし、変わらなければならない」と思ったのです。
そして、ソフトバンクという通信事業者代表の孫正義氏は自らの人生をかけて日本のエネルギー政策を変えることを当時は本気に考えていたのでしょう。しかし、あれから5年の月日が経って、孫正義氏による脱原発の思いの声が私たちには全く直接聞こえなくなってしまいました。
あの時は彼も本気で日本を変えようと思っていたのだと思いますが、6.6万人もの社員を抱えて、総資産7.8兆円ものお金を動かす投資家の孫氏は、理想だけで動く事はできなかったのでしょう。今のソフトバンクの社長は孫氏ではないのですが、それでも大きな影響力を行使できる立場に居ることだけは事実でしょう。ただ、5年前にも「私が何でも決めることができるわけではないのです」とは話していました。でも、あのソフトバンクが東電と組んで事業を行うということは、どう考えても企業イメージを損なうことになると私は思います。企業ですから、激しい競争の中で勝ち抜いていかなければならない厳しさはよく分かるのですが、それでも結果として業績を引き下げる効果しか生まないのではないかと私には思えてなりません。東電と組むことは孫さんの大きな失敗だと思います。
彼は「脱原発をめざす」と宣言したのですから、少なくとも既存の電力会社と結託するのではなく、規制改革の旗手として、徹底して電力自由化を進める側に立ってほしかったものです。既存の電力会社の中でも最も311事故の責任の張本人の企業で国有化された東電と手を結ぶということは政府と手を結んで規制改革に抵抗をすると宣言したようなものだからです。

時代の寵児の使命も終わったのだろう

「ミイラ取りがミイラになる」ということわざもあるように、孫正義のソフトバンクも大きくなりすぎて、小回りが利かなくなったのか、守るべきものが増えすぎて、規制改革の旗手ではなくなってしまったのでしょう。孫正義という人間がすばらしかったのではなく、時代が孫正義を生み出したのでしょう。そう思えば納得も行くでしょう。でも、せっかく脱原発宣言を行ったのですから、もう少し道理を貫いてほしかったものです。
私は5年前、携帯をソフトバンクに変えに行った記憶があります。もうソフトバンクを使い続ける必要はなくなりました。AUかドコモに機種変更をしようと思っています。
しかも「FITの電気だけを売ります」というわけの分からない宣伝も繰り広げていますが、東電と提携して、しかも再エネ電力を売るというのはどう考えても納得が行きません。一体ソフトバンクはどこへ向かおうとしているのでしょうか。再エネ電力はバックアップがなければ安定供給はできません。だからたいていの独立系の電力会社も市場で電気を買うか、電力会社からバックアップをしてもらいます。ただ、東京ガスなどは東電と全面戦争を仕掛けていますので、東電から電気を買うことはしないでしょう。東電以外の電力会社から購入することはあり得ますが。そんな全面戦争を行おうとしている東京ガスに比べたら、ソフトバンクの腰抜け具合が見て取れます。ふがいないソフトバンクの電力参入へ顧客がどれだけ支持をすることでしょうか。私のような浮気な消費者が後を絶たないことを私は願っています。電気がクリーンなら言い訳ではないのです。その企業の心意気に消費者は支持して買うのです。ガンバレ東京ガス!


https://youtu.be/Vhv-TTuBx3Q


011/04/22 にアップロード
ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏は、2011年4月22日夜、自由報道協会の主­催で行われた会見で、原発から自然エネルギーへの転換を訴え、私財で約10億円を投じ­、太陽光や地熱、風力発電など自然エネルギーの利用について政策提言する「自然エネル­ギー財団」の設立について説明した。
by nonukes | 2016-01-14 12:19 | 電力自由化 | Comments(0)

電力完全自由化を成功させよう その2

電力完全自由化を成功させよう その2
やはり託送料を8.57円(東電)にして新規参入を閉め出そうとする政府官僚


小坂正則
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ここから東京ガスのHPに入れます。



https://youtu.be/DRSDQy3ykig



私たちは携帯電話を買うときにドコモにするか、それともAUかソフトバンクと自由に選んで買えるのに、なぜか電気だけは自由に選んで買うことができませんでしたね。実は一般家庭で自由に電気を選ぶことのできない国は「経済協力開発機構」略称OECD加盟34カ国中で日本だけだったのです。そういえば昔は電話と言えばNTTだけしか使えませんでしたよね。今では固定電話もKDDIなどいろいろ選べます。日本は社会主義国家でもないのに、なぜか電気だけは一方的に決められた電力会社から買しかなかったのです。先進各国では自由に電力会社を選べるのになぜ日本だけは電気を自由に選べないのでしょうか。

戦争を遂行するために電力会社を一本化

戦前は各地に電力会社が乱立していました。東京では2社の大手電力会社があって、道路に平行してそれぞれ別々の会社の電柱が立っていたそうです。しかし、1937年に日中戦争へ突入して電力供給が不足するようになる中、1939年に国家総力戦体制を構築しようとする当時の日本政府の電力国家管理政策に基づき、東京電燈・日本電力など全国の電力会社を統合して「日本発送電(株)」が設立したのです。戦争遂行するためには競争を排除して効率よく電力を供給させるために取った政策です。そして、戦争が終わった後も全国一体の制度は残っていましたが、独占解体のために1951年に地域独占のまま9つの現行の電力会社に分割されて今日に至ったのです。ですから、今日の地域独占の電力会社も日本が第二次世界戦争を起こしたがためにできた会社なのですから、これも戦争による負の遺産なのかもしれませんね。

77年前に失った自由がやっと戻ってくる

電力会社の歴史がそんな戦争に翻弄されて生まれたものですが、今年の4月から77年ぶりにこの国の電力売買も自由化されるのです。私たち日本人に取って電力自由化とは初めてやって来た自由化などではなく、77年ぶりに戻ってくる自由なのです。
ではどんなにすれば電気を自由に買えるのでしょうか。東京ガスはすでにホームページで電力購入の申し込みを受け付けています。それによると東京ガスを購入している家庭で東京ガスから電気も購入する平均的な一般家庭では東京電力に比べて年間4千円から5千円の割引になるそうです。既存の電力会社よりも安くならなければ電力会社をわざわざ乗り換える方は少ないでしょうから無理してでも割安なメニューをこれから各社は出してくることでしょう。
九州の私たちは残念ながら大手の新電力会社はまだ受付を開始していません。でも全国で4月までにはそれぞれのメニューが発表されるでしょう。私たちもやっと原発なしの電気をほしいという願いが叶うかもしれないのです。原発を遮二無二動かしたい電力会社は動かせばいいでしょう。でもそんな会社の電気は買いませんという賢い消費者にそっぽを向かれた会社は電力自由化の新たな制度の中では生き残って行けいことでしょう。一昨年ブラック企業で有名になったワタミという居酒屋チェーンは赤字転落してしまいました。自由主義社会のこの国では消費者をバカにした企業は生き残れないのです。

じゃあ新電力の電気は安くてクリーンな電気を私たちに売ってくれるの

そんなに簡単に私たちの夢が叶うわけにはいかないでしょうね。だって電力自由化を行うのは政府で、原発を既存の電力会社に押しつけているのも政府ですから、政府の本音としては「何とか原発だけは温存したい」と思っているからです。
電力会社は日本を代表するような超大手の企業です。それに電力会社は日本の経済を牽引する設備投資を積極的に行って、景気を引っ張てくれる企業なのですから、そんな企業を政府がみすみす潰すような真似は決してしないでしょう。
つまり、これから始まる電力自由化は始まったばかりで、まだ大筋が決まっただけで、これから新電力と既存の電力会社の駆け引きや競争で大きく変化する可能性があるということでしょう。ただ言えることは、「政府は既存の電力会社を守ろうとするし、私たちは新電力を応援して守り育てる」ことが必要だということでしょう。これからは既存対新規産業との攻防戦が始まるのです。その攻防戦に私たちも参加して、不当な圧力や横暴をはねのけて公明正大な市場競争社会を実現させましょう。
例えば、政府の考えている電力自由化とはこんなことだろうと思います。大手の電力会社の持っている原発の電力が余ってしまえば、国がその面倒を見なければならなくなるので、「新電力会社は大手の経営を圧迫しない程度のシェアで、それ以上には伸びないようにしてほしい」と思っている節があります。そして電力自由化による競争で新たな市場が開拓されて電力需要が伸びることにより経済成長が起こることを望んでいるのでしょう。
でも、私は全く逆の考えです。激しい競争で電気料金の値下げ合戦となり、そのためにいかにして電力コストを下げるかが求められるようになるのです。これまで様々な理由を付けて原発のコストをごまかして来た既存の電力会社も、もうこれ以上はごまかしきれなくなって、高コストの原発から撤退を余儀なくされるか、会社が倒産するかの選択を迫られる時代が来ることが望まれるのです。

政府は送電線使用料を高めに設定して電力市場参入を妨害

しかし、すでに国は既存の電力会社を守るための制度を導入しつつあります。その1つが電力会社の送電線使用料を高めに設定するやり方です。昨年の暮れに経産省の中にある
「電力取引監視等委員会」で託送料(送電線使用料)が決められたのですが、その料金が予想どうりの高額に設定されていたのです。東京電力で託送料が8.57円という額に決まりました。24円の小売価格で送電線使用料が1kwh当たり8.57円といえば、小売価格の35.7%が電線使用料に取られてしまうことになるのです。これじゃあ商売あがったりです。東電と同じ価格で電力を販売しようと考えたA電力会社は最初から東電に1kwh8.57円を取られてしまうのですから、実質24円で販売する電力の正味の価格は15.43円にしかなりません。そこで電力の発電コストを引かなければなりませんね。それが15円だとしたらもうけは1kwhあたり0.4円にしかならないのです。もし、東電よりもキロワット当たり1円でも安くするものなら、0.6円の赤字しなってしまうのです。10年以上前から電事連の幹部はこう話していました。「電力完全自由化になれば託送料は高圧3.5円で低圧も3.5円で、合計で7円もらわなければ電力会社はやっていけない」と言っていたのです。当時の電気料金は21円から22円でしたから、現在よりも1割から2割安かったので、8円以上という価格は当時の発想そのままに1円も割り引くことなく、電力会社の言い分をそっくり国は反映して新規参入の企業いじめを行っているなと、私は思います。
つまり、電力会社は仕事をしなくても送電線を持っているだけで、ガッポガッポと懐にもうけが転がり込んでくるという殿様商売が待っているのです。しかし、そうは問屋が卸しません。アメリカでは電気料金に占める託送料は10%未満だそうです。それがなぜ日本では30%以上も託送料が必要なのでしょうか。このように必要以上に電力会社を手厚く守ることが国内企業の国際競争力を下げて輸出力をなくす大きな要因となるのではないでしょうか。

東京ガスや大阪ガスを応援しよう

東京ガスはすでに電力の新規購入者の受付を始めました。最初は赤字覚悟の取り組みだと思います。なぜなら、東京ガスが東電よりもほんの少しだけ割安の価格を提示すればすかざす東電も対抗値下げを行う可能性があります。つまり値下げ競争が起きるのです。東電もなりふり構わず値下げを行ってくるかもしれませんね。その競争にジワジワと効いてくるのが託送料というブラックボックスの威力です。東京ガスなどの新規企業はこの託送料を安くする手段を持っていないからです。東電などの電力会社は電力販売で利益が出なくても最後は託送料でもうかればいいのですから、自分の会社は赤字でも、その赤字分を託送料でもうけるなんてこともやるかもしれないのです。それほど既存の電力会社は反社会的な犯罪企業だということを皆さん肝に銘じていてください。「原子力マフィア」がどんな汚い手を使うかもしれないのです。

不当な託送料の高額化に異議を唱える運動を全国で巻き起こしましょう。
そして東京ガスや大阪ガスなどの新規電力会社の電気の購入で彼らを応援しよう。
by nonukes | 2016-01-06 01:22 | 電力自由化 | Comments(2)

私たちにとって電力自由化の最大目的は「再エネ電力の売買権の実現」

2016年4月から電力完全自由化ってどういうこと? その2
小坂正則
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私たちにとって電力自由化の最大目的は「再エネ電力の売買権の実現」

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発送電分離が一番重要な自由化の肝

何で「電力自由化」の決め手が「発送電分離」なのかを説明します。今は電力会社がそれぞれの管内の送電線も配電線(低圧の電気を一般家庭などに送る電柱の電線のこと)も全ては電力会社の所有物です。ですから来年の4月から「小坂新電力」があなたの家に電気を送ろうとすると九電の送電線と配電線を使わせてもらわなければ送ることはできませんね。すると私は九電に行って「電線を使わせてくださいな」と申し込みます。すると、九電の担当者は「はい分かりました。それでは1kwh当たり10円頂きます」というかもしれません。電事連では高圧送電線が3.5円で配電線が3.5円の合計7円の電線使用料を頂く予定ですと以前言ってました。私は「そりゃあちょっと高すぎますよ。もっと安くしてくださいよ」と言っても、九電の担当者は「いやなら使わなくても結構です」で終わりなのです。配電線には競争がないのです。ですから既存の電力会社は「配電会社」へ鞍替えしようと虎視眈々と狙っているようなのです。「じゃあ原発はどうするの」と思いますよね。彼らは「国がやらせたのだから国に面倒を見てもらって、私ら一生安泰の配電会社に逆戻りすればいいだけ」と考えているのだろうと私は思います。
電力自由化で電力会社と新電力が平等に競争するには送電線の使用料(託送料)が各社に公平でなければ商売にはなりません。ましてや新電力各社は既存の電力会社に比べたら象とアリのような力関係ですから、新電力に有利な条件を付与して電力市場競争を生み出す努力を国は作る必要があるのです。通信の自由化でも航空自由化でも新規参入企業に有利な条件を用意して政府は育ててきたではありませんか。
ところが、安倍政権は自由化と市場競争を生み出すために新規参入企業を育成するなどという気はさらさらないようです。その証拠に、現在の2020年に実施される予定の「完全自由化」では自民党案は「送電会社を電力会社の子会社にする」という考えです。これでは自由競争はできません。だって子会社だったら、親会社の経費を尻ぬぐいさせて、送電会社のコストを割高にしてその分を新電力の会社に負担させるなんてことは「原発マフィア」なら平気でやるでしょう。
私たち脱原発派は「資本分離の完全別会社」に送電会社を作ることをこれまで訴えて来ました。実は311福島原発事故で東電が債務超過に陥った時に国が融資しましたよね。そのときこそ発送電分離の絶好のチャンスだったのです。国が東電の送電線を買い取ってしまえばよかったのです。電力自由化の最大のチャンスだったのです。残念ながら「原発マフィア」は、そうはさせませんでした。

じゃあ2020年まで待たなくてはならないの?

実はその問いに関しては私にも本当のところよく分からないのです。8.1兆円と言われる電力産業への新規参入の受付を経産省は8月から受け付けていますが10月現在で48社が小売電気事業者の申請をしたそうです。ただ今後申し込む予定の企業は700社以上と言われています。そんなに多くの企業が参入しようとしているのですが、実態としては大企業の50社そこそこだろうと思われます。あとは申請だけはしておこうという独立発電事業者でしょう。
NTTと東京ガスと大阪ガスが一緒に作った「株式会社エネット」が最強です。ガスの顧客1100万件を持つ東京ガスは東電から1割の顧客を奪い取ろうと息巻いています。大阪ガスもNTT もガスや電話とのセット割引で顧客をつかもうと計画しているそうです。これに対抗して東電はソフトバンクと提携してソフトバンクの顧客を狙ってセット割引を全国展開しようと計画中だそうです。
そのほかには新日鉄や丸紅や住友商事系列や大和ハウス系列や伊藤忠系列にイーレックス(株)は大分県庁への販売実績がある企業です。変わり種ではハウステンボスも参入するそうですし、ブラック企業で有名なワタミも「ワタミファーム&エナジー株」という名前で新規参入予定です。
これらの市場参入予定の企業び名前は挙がっているのですが、具体的な料金や申し込み方法などはまだ何も公表していません。だって肝心の託送料(送電線使用料)の電力会社による発表がないのですから、料金など決めようがないというのが現実だと思います。つまり、今のところ何も分かっていないのです。

電力会社の顧客が一気に移ったら電力不足に?

2014年時点での新電力(PPS)72社の企業向け電力販売のシェアは5.72%(2,900GWh)だそうです。それでも随分増えた感はありますが、これが一気に2~3割などということになったら、販売する電力が足りなくなってしまうでしょう。ただ、そこにも注意しておかなければならない裏があります。各新電力にも業務提携という形で既存の電力会社が電力供給することになるかもしれないのです。これはある意味仕方のないことでしょうが。つまり、九電管内に新規参入する新電力へ関電や東電が電力を供給するという電力会社間競争に新電力が使われる可能性もあるのです。既存の電力会社を潰すことを目的にしている私たち脱原発派としては、新規参入企業は原発の電気だけは販売しないでほしいものです。
ただ、これは致し方にかもしれません。イギリスなどでは電力市場取引が活発です。日本にも電力市場取引所はあるのですが、電力会社が売りおしみをしているので、新規参入企業は「売りたくても売る電力がない」という問題があると言われているのです。だから一気に新電力に顧客が流れて来れば、既存の電力会社の電気が余って、電力市場に売るしか方法がなくなる電力会社も出てきて、電力市場取引が活発化する可能性があります。そうなれば、それだけで厳しい価格競争が生まれて、高コストの原発は市場から排除されて行く可能性が出てきます。
 
電力自由化の最大の目的は「再エネ電力を売る自由と買う権利を実現すること」

電力自由化はそう簡単な問題ではないということ皆さんにも少しだけ理解してもらえたかもしれませんね。
ただ、一般家庭など低圧電力の市場開放がなぜ必要なのかというと、例えば東電は企業への高圧電力の販売が6割で、残り4割が一般家庭などの低圧電力だそうですが、利益は低圧が9割で、6割の電力を販売している高圧は僅か1割しかもうけはないそうなのです。ですから、低圧電力が電力産業の利益の大元なのです。
この巨大な市場を自由化することで電力産業という一部の「原発マフィア」に独占されてきた巨大なマーケットが市場開放されて透明化するのです。私はマーケットが活性化して電力需要が伸びることについては賛成しかねますが、競争が生まれたら利益率が下がることだけは事実です。ですから「原発マフィア」のような反社会的組織のつけいる隙をなくして電力産業の市場ルールを適正化させることにつながることが何よりも必要なことだと思います。
電力自由化の目的を国や産業界では「電気料金の低減化」に求めていますが、私は全く逆です。電気料金は安すぎます。携帯へ支出する金額が月に1万円で電気料金が月に5千円や6千円などというのはどう考えても電気料金が安すぎます。もちろん電気料金も払えないような生活困窮者の方にとっては1円でも安い方がいいのでしょうが、現在の電気料金が安い理由は環境負荷を与えている放射能のゴミや二酸化炭素や窒素酸化物などの毒物を元に戻す費用を金額に反映していないからです。これらを正当に計算したら電気料金は現行の10倍でも少ないくらいだと私は思います。特に原発は100倍でも足りないくらいのコストがかかっているのです。だって放射能を無毒化する方法などないのですから。それらは将来の子どもたちに、そのツケを全て払わせようとして現在の私たちの電化生活が繰り広げられているのです。
ですから、市場開放して適正な価格で再エネ電力を求めている市民の購買権と再エネ電力を販売する自由を実現することこそが、脱原発を求める私たちにとっては電力自由化の最大の目的なのです。

やがて来る全面自由化に向けて準備すべきこと

そこで私たち脱原発派は何をすべきでしょうか。先日11月1日の松山集会で広瀬隆さんが「来年の4月から電力は自由に買える社会が来ます。皆さん既存の電力会社から原発の電気ではない新電力へ鞍替えしましょう」と話していました。
私もそんな状況が来ることを望んでいますが、4月から一気にそうなるかどうかは分かりませんが、徐々には見えてくるでしょう。そこで、どの会社がうさん臭くて、どの会社が良心的な会社なのかを見極める目を持つことが必要でしょう。当面は原発の電力が混じっているかどうかを見極めながら、再エネ電力100%の会社を応援することなどが必要です。
そして、本当は私たち市民が電力消費者組合を作って、自分たちに必要な電気は自分たちで作って、足りない分は互いに分かち合うという、将来の世代に環境負荷のツケを残さない生活を実現することが大切なのです。
そしてエネルギーは電力だけではありません。薪も立派なエネルギーです。太陽熱温水器も立派なエネルギーです。私たちの暮らしがその地域の特性に一番合ったエネルギーを使いながら環境負荷が少なくて、安心で安全で楽しい暮らしができるようなエネルギーを賢く選ぶ生活こそ実現させなければならないのです。 
ある生協がメガソーラーの太陽光発電ばかりを各地に作っていますが、そんな偏った電力生産体制を築くのは間違いです。もし、生協が電力事業に手を出すなら、生協にしかできない生産手段を考えるべきです。それは、太陽光をやるのなら組合員の屋根を借りることや、いまある組合員の太陽光発電の電気を購入して売るとか、小水力やバイオマスで地域の林業や農業との連携を図ることなど、生協にしかできない高度な連携を模索すべきです。
これからは、私もできる限り「小坂にしかできないエネルギー政策」を考えて実現させるために仲間と知恵を出し合って行きたいと思います。
by nonukes | 2015-12-03 12:21 | 電力自由化 | Comments(0)

2016年4月から電力完全自由化になるってどういうこと?

2016年4月から電力完全自由化になるってどういうこと?
小坂正則
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来年の4月から「電力自由化がスタートする」とニュースなどで伝えられています。そこで、私の周りの方から「4月から九電から電気を買わなくてほかの会社から電気を買えるようになるの」とよく聞かれるようになったのです。そこで本誌に「電力自由化で何がどう変わるのかを書け」と仲間から言われたので、これから数回に分けて電力自由化のお話を書くことにします。
さて、「電力自由化」とは言っても、電電公社しかなかった頃の電話サービスからKDDIなど固定電話の自由化が実施されて携帯電話が完全に自由化されたような「完全自由化」が来年の4月からいきなり実施される訳では決してありません。これまでにも「電力部分自由化」は進められてきました。高圧電力など大口需要家や中小企業などの電力も自由化されています。ですから、同じ九電管内のA社の電気料金とB社の電気料金は契約内容がそれぞれ違うこともあるのです。しかし、一般家庭などの小口の電力は国の関与で価格が決められていました。それは4月からも変わりません。既存の電力会社の電気料金の決め方(総括原価方式)はそのままです。ただし、4月からは新らし電力会社が九電管内でも一般家庭へ電力を販売することはできるようになるのです。

完全自由化は2020年までお預け

「電力完全自由化」は2020年をめざして進められています。では完全自由化とは何が変わるのでしょうか。それは「総括原価方式」という国の関与がなくなります。既存の電力会社も自由に電気料金を決めることができるようになります。ただ、離島や山間部など自由化の恩恵を受けない地域については一定の義務化は残ることでしょう。
もう一つ大きな変化があります。「発送電分離」が実施されるのです。これが一番重要な自由化の鍵なのです。道路は誰でも自由に走れますよね。それと同じように送電線は誰でも使える公共インフラという考えに基づいて、公共財として消費者がその維持管理費を負担して利用できるようになるのです。そして発電会社や売電会社が電力販売を自由に競争するのです。そうなったら、これまでの電力会社が不当な利益を得たりできなくなるのです。

電力完全自由化で原発はなくなる

既存の電力会社は「総括原価方式」(投資額に対して3%の利益が保障されているので、割だかな原発を作った方が利益がたくさんもらえるという詐欺まがいの方式です)という悪名高い電力会社と経産省の裏技で、これまで私たち国民を騙して危険で割高な原発を日本中に作って来ました。いわゆる「原発ムラ」と言われる連中の仕業です。私は「原発ムラ」といういい方はしません。「原発マフィア」という言い方をしています。だって、「原発ムラ」というと、ムラが何か悪いことをしているように聞こえるからです。「マフィア」とは19世紀にイタリアで暗躍した「組織犯罪集団」のことです。日本の電力会社と経産省官僚と御用学者と鉄鋼やJRに自民党を代表する政治家などは、国民の生命や財産など関係なく、「自分たちが儲かれば後は知ったことではない」という組織犯罪者集団です。「JR までが『組織犯罪者集団』というのはちょと言い過ぎじゃないの」とご批判を受けるかもしれませんが、じゃあなぜJR九州の社長は「原発再稼働をしてもらわなければ九州の経済が成り立たない」などというウソを言いふらすのでしょうか。一度事故が起こればJR九州だって甚大な被害を被るというのにです。原発で不当な利益を得ている犯罪者集団への幇助罪です。
私は30年間もの長い間、反原発運動をやって来ました。それは原発が危険で割高であるという真実を世間に知らせるたたかいだったのです。割高を実証するにはコスト計算を行う必要があるのですが、電力会社は原発の発電コストを隠して決して公表して来ませんでした。だって、競争がないから原発の発電コストが高くても知ったことじゃなかったのです。ところが発送電分離が実施されて、発電コストによって電力会社が競争するような社会になれば、原発のとてつもないコストが白日の下に晒されるのです。

発送電分離が一番重要な自由化の肝

何で「電力自由化」の決め手が「発送電分離」なのかを説明します。今は電力会社がそれぞれの管内の送電線も配電線(低圧の電気を一般家庭などに送る電柱の電線のこと)も全ては電力会社の所有物です。ですから来年の4月から「小坂新電力」があなたの家に電気を送ろうとすると九電の送電線と配電線を使わせてもらわなければ送ることはできませんね。すると私は九電に行って「電線を使わせてくださいな」と申し込みます。すると、九電の担当者は「はい分かりました。それでは1kwh当たり10円頂きます」というかもしれません。電事連では高圧送電線が3.5円で配電線が3.5円の合計7円の電線使用料を頂く予定ですと以前言ってました。私は「そりゃあちょっと高すぎますよ。もっと安くしてくださいよ」と言っても、九電の担当者は「いやなら使わなくても結構です」で終わりなのです。配電線には競争がないのです。ですから既存の電力会社は「配電会社」へ鞍替えしようと虎視眈々と狙っているようなのです。「じゃあ原発はどうするの」と思いますよね。彼らは「国がやらせたのだから国に面倒を見てもらって、私ら一生安泰の配電会社に逆戻りすればいいだけ」と考えているのだろうと私は思います。
電力自由化で自由に競争するには送電線の使用料が明確でなければ商売にはなりません。現在の2020年に実施される予定の「完全自由化」では自民党案は「送電会社を電力会社の子会社にする」という考えです。これでは自由競争はできません。だって子会社だったら、親会社の経費を尻ぬぐいさせて、送電会社のコストを割高にしてその分を新電力の会社に負担させるなんてことは「原発マフィア」なら平気でやるでしょう。
私は「資本分離の完全別会社」に送電会社を作ることをこれまで訴えて来ました。実は311福島原発事故で東電が債務超過に陥った時に国が融資しましたよね。そのときこそ発送電分離の絶好のチャンスだったのです。国が東電の送電線を買い取ってしまえばよかったのです。電力自由化の最大のチャンスだったのです。残念ながら「原発マフィア」は、そうはさせませんでした。(続く)
by nonukes | 2015-12-01 19:31 | 電力自由化 | Comments(2)

「電力完全自由化関連法案を閣議決定」の中に忍び込ませている大きな問題点

「電力完全自由化関連法案を閣議決定」の中に忍び込ませている大きな問題点
小坂正則
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新聞報道などによると昨日の3月3日に安倍政権は「電力完全自由化の関連法案を閣議決定した」と伝えています。来年の4月から家庭用電力も自由化する計画です。しかし、それを私たちはそのまま喜んではいられません。すでに括弧付きの「電力完全自由化」へ向かっているのです。
すでに現在でも家庭用以外の電力「50キロボルト」以上の契約電力で全体の62%は自由化しています。しかし、実際には全体の約97%が既存の電力会社の電力を購入していて、親電力から購入している企業はわずか3%そこそこなのです。これでは自由化とはほど遠いのが現実です。しかも、家庭用となれば自由化へのハードルはもっと高くなってしまうのです。
電気は保存が出来ません。だからその場その場で需要に応じた供給が必要です。また、送電線は電力会社の所有物ですから送電線を借りて電気を送らなければなりません。そうなると、既存の電力会社に対抗して安い電気を売ろうとしたり、クリーンな電気を売ろうとしても、電力会社の許可をもらって、送電線使用料や様々な制約を課せられて使わせてもらうしかないのです。でも、ライバル会社へに低料金で自由に送電線を使わせたりする企業はないでしょう。ですから、自由化にあたっては新規参入の弱小企業が不利にならないような条件を付けてやる必要があるのです。例えば、通信の自由化などではNTTを地域分割したり、ドコモに対してAUやソフトバンクに有利な周波数を割り当てたりして、新規企業が一定の割合のシェアーを確保できるまで、新規企業を応援してやらなければ適正な競争が行われるための自由化とは言えないのです。

既存の電力会社の原発を優先する力電自由化などあり得ない

さて、昨日閣議決定された「電力完全自由化」の中に、こっそりと入れられた条文があります。それは毎日新聞3月4日によると「大手電力会社は、原発が稼働しないまま自由化すると、経営が悪化すると主張している。そのため自民党は業界に配慮し、需給状況などを検証し「必要な措置を講じる」との一文を法案に盛り込んだ。今後の原発の稼働状況によっては自民党などが、改革の延期を求めてくる恐れがある。」というのです。
つまり、安倍政権が前のめりで行おうとしている「原発再稼働」の延長線にある「原発の維持を守りながらの自由化」なのです。具体的にはどんなことかというと、廃炉費用を全ての新規参入企業からも徴収するという制度です。現在は電力会社は廃炉引当金という形で特別会計で積み立てているのですが、電力自由化したら、販売電力が減るのは分かっているので、その負担を既存の電力会社に追わせるのは可愛そうだとして、新規参入会社にも廃炉費用を負担させるというものです。次に入れられようとしている制度が「原発の電力価格保証制度」です。
これはもっとひどいもので、まるでこれまで「原発の電気は安い」というウソを見事に覆す決定的な証拠のような制度です。電力自由化で電力の販売価格が下がって原発の電気がコスト割れしたら、その分を保証しようという制度なのです。イギリスが導入する計画なのですが、その価格保証の適応金額が1kwhあたり16.5円だというのです。日本も15円前後を予定しているとしています。
ちょっと待ってよ。確か311福島原発事故前の資源エネ庁の発表している公式の原発1kwhのコストは5.3円だったのです。311以後は事故の補償費用や廃炉費用などが加算されて、それでも他の発電方法よりも一番安い8.9円だと発表していたのに、何でいきなり15円に発電コストが上がるのでしょうか。経産省・資源エネ庁は安倍晋三と同じ嘘つきペテン師だったのです。

既存電力会社を優遇するインチキ「電力完全自由化」の仕組み

しかし、そんな原発優遇などは序の口なのです。一番の問題は「託送料」といわれる送電線使用料です。現行の使用料は「特別高圧託送料が2.57円/kWh」「高圧託送料 4.89円/kWh」と言われています。平均すると約3.5円の送電線使用料を新規電力会社は支払っているのです。電気料金に占める託送料金の割合はアメリカでは電気料金の10%未満に対し、日本では20%を超えているのです。現在は電力会社の持ち物ですから、「いやなら使わないでいいのです」と強気の対応をします。そこで、「発送電分離」を2020年に行う予定なのですが、電力会社を発電会社と送電会社に分割するというのですが、完全な資本分割なら平等に託送料を払うようになるので問題はないのですが、送電会社を既存の電力会社の子会社化する案が通ってしまえば、見せかけの自由化しかならないでしょう。例えば、託送料をやたらと高くして、既存の電力会社も新規の会社の支払って、膨大な利益を送電会社が得て、その金でグループ会社が潤うというようなことだって可能なのです。政府案は子会社化案が有力です。
まだまだ不平等があります。それは「30分同時同量ルール」です。新規参入会社は30分毎に需要と同量の発電量にしなければならないのです。それを下回った場合は既存の電力会社からペナルティー料金を取られる仕組みです。その額が何と不足分インバランス料金
変動範囲内(3%以下)だったら8.45円/kWhで既存の電力会社に支払えばいいのですが、変動範囲外(3%以上)だったら夏季で76.49円/kWh。その他季 49.08円/kWh。 夜間でも38.12円/kWhという莫大な料金を支払わなければならないのです。
同時同量制度は新規電力会社をいじめる制度です。発電時期や時間によって、既存の電力会社の負荷追従運転の費用を負担すればいいはずです。
また、現行の62%の自由化で、新規電力企業の販売量がわずか3.5%というのは、託送料や「30分同時同量ルール」だけではありません。現在でも卸電力取引市場というのがあります。ここで余った電力を売りに出して、足りない電力を買うという電力会社間の市場があるのですが、ここで取り引きされる電力がわずか0.6%しか出回っていないのです。なぜかというと、既存の電力会社は自力で負荷調整をするのが原則だし、足りないときは卸し市場を通さなくて、随意契約で電力会社間で売り買いしてるのです。イギリスでは完全に市場を通して売り買いされているそうです。日本でも「電力会社の発電量の30%は市場に出さなければならない」などという数量規則を作るべきです。そうすれば新規企業はそこで調達可能になるのです。

電力自由化とは「自由意思で電気を自由に売り買い出来る社会」の実現

よく、政府は「電力自由化で電気料金を下げる」といいます。しかし、それは結果であって、それが目的ではありません。既存の電力会社は「ドイツの電力自由化で世界一高い電気料金になった。だから日本は過度の自由化をすべきではない」と反論します。また、「電力自由化による値下げ競争で経営が不安定になり、安定供給体制が維持できなくなる」と言って反論します。
電力自由化の目的は「地産地消で電力の有効利用を進めて、地球環境への負担を少なくする」ことと「市場開放で新たなビジネスチャンスを生み出すことでエネルギー産業の発展を実現させる」ことや「自由主義社会では消費者の自由な意思で売り買いできる社会をつくる」ことになどに、その目的があるのです。その結果電気料金が高くなるか安くあるかは消費者=国民の選択の結果です。ドイツがなぜ世界一高い電気料金なのかと言えば、再エネの普及のための負担金と付加価値税により電気料金の半分が税金だからだと言われています。だから高いか安いかは政治の問題なのです。私たちは原発の電気などまっぴらですから少々高くても安全で地球にやさしい再エネ電力で生活したいと思っている人々がそのような「クリーンな電力」という商品を自由に売り買いできる社会を求めているのです。原発の電気が好きな人は原発の高くてダーティーな電気を買えばいいのです。(原発がまだ動いていたらの話ですが)



原発維持へ「必要な措置」の一文 20年発送電分離 法案閣議決定
東京新聞2015年3月4日 朝刊

政府は三日、大手電力会社から送配電部門を切り離す「発送電分離」を義務付ける電気事業法の改正案を閣議決定した。今後は一連の改革を実現して、料金の引き下げなどの効果を目指す。改革の内容をあらためて確認するとともに、今後の展開を探ってみた。 (吉田通夫)
 Q 電力事業の改革って、何をどうするの。
 A 今は大手電力会社が地域ごとに発電から送電、小売りまで独占している。「地域独占」と呼ばれ、六十四年間も競争がない。しかし、東日本大震災後の大規模な停電と福島第一原発の事故を機に硬直した仕組みが問題視され、改革することになった。発電や小売りにいろいろな会社が参入できるようにして競争を促すのが目標だ。
 Q 私たちにはどんな影響があるの。
 A 今は首都圏に住んでいたら東京電力、中部圏なら中部電力と契約するしかない。でも二〇一六年四月からまず小売り事業が自由化され、どこから電力を買うかを選べるようになる。ガス会社や携帯電話会社などが参入を表明しており、電気料金とのセット割引などで顧客の獲得を目指す。競争が強まれば、生活リズムに合わせた料金メニューなど、便利なサービスが増える効果も期待できる。
 Q 二〇年に実施する「発送電分離」はどういう改革なの。
 A 電気料金を安くするには発電会社の競争が必要。しかし今は大手電力会社の一部門が送電網の運営を行っているので、自社の発電部門を優遇して後発の発電会社の参入を阻む恐れがある。だから別会社にして送電網を利用する際の料金を明示し、グループの発電部門もグループ外の発電会社も、すべて同じ条件で使えるようにするんだ。ガス業界でも同じ内容の改革を実施するよ。
 Q 改革は進むのかな。
 A 大手電力会社は、原発が稼働しないまま自由化すると、経営が悪化すると主張している。そのため自民党は業界に配慮し、需給状況などを検証し「必要な措置を講じる」との一文を法案に盛り込んだ。今後の原発の稼働状況によっては自民党などが、改革の延期を求めてくる恐れがある。
また、国は大手電力会社の原発を優遇しており、新しい小売会社と契約しても現在の大手の料金制度と同じく、廃炉に必要な費用を上乗せするとしている。これは競争を強めるという改革の趣旨に逆行している。
by nonukes | 2015-03-04 14:38 | 電力自由化 | Comments(0)

  小坂正則