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小坂正則の個人ブログ

能天気な電力会社も気づき始めた 「何かこれ、ちょとヤバクねー!?」と

ついに大手電力が「再エネは怖い」と知った
小坂正則

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(図1)上が7月8月の気温変化。下が夏場の電力需要とそのピーク
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(図2最大電力と最高気温)
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(図3)2015年予備力と実際の稼働結果


12月21日に私は自分のブログに「関西電力、大飯原発1、2号廃炉の裏に隠された不都合な真実」というブログを書きました。その内容は「大飯1、2など大型原発も廃炉にしなければならないような大変な事態(顧客の流出)が関西電力で起こっている」ということを書いたのです。
そして、それに続いて昨年末から、NHK12月4日のクローズアップ+と12月17日NHKスペシャルやテレ朝の10月9日と12月18日の報道ステーションで、「再エネ電力の発電コストが劇的に低下しているということと、電力会社による再エネの妨害行為が行われてる」と同じような報道が流れました。
実に真っ当な報道です。見ていない方は私がアップしている動画を見てください。その内見られなくなるとは思いますが。

日本の夏場の電力ピークが思ったほど高くなかった

日経エネルギー2018年1月10日号に以下のような記事が掲載されていました。
「夏に火力発電所がフル稼働しなかった衝撃」「大手電力会社の経営陣から社員までが、初めて再生可能エネルギーを怖いと思った年」。ある大手電力幹部は、2017年をこう表現します。電力需要が高まる夏になっても大手電力各社の火力発電所がフル稼働しない状況は、相当な衝撃だったと言います。急速に広がった太陽光発電によって、昼間の電力需要が賄われたためです。太陽光発電が最も早く、大量に導入された九州電力エリアでは2016年から、既にこうした状況にありました。ただ、「たまたまかもしれないという思いが、九電以外の大手電力にはあった」そうです。ですが、2017年の夏を経験して、淡い期待は打ち砕かれたのです。(ここまで引用)
上の図1は2015年夏の九州電力の需給状況のグラフです。例年ですと夏場の平日の昼間で、しかも気温が30度を超える真夏日には電力需要が跳ね上がるため、電力会社は全ての発電所をフル運転して、跳ね上がった需要に供給を合わせるかに必死だったのです。これまでの日本の電力需給は夏場の電力ピークを如何にして乗り切るかが電力マンの腕の見せ所だったのです。
ですから、国も電力会社も夏場の節電を呼びかけていました。クールビズやゴーヤを南向きの窓に植えるなどや打ち水を行うなどということを真顔で国(環境省)を挙げてやってました。「そんなことしていったい何になるんだ」と、私はあざ笑いながら批判していましたが、それでも私もゴーヤやハヤトウリなどを植えて食べてはいました。
ところが、2015年の夏場には結構厚かったにもかかわらずピークがそれほど高くならないまま夏が終わったのです。
2015年夏の最高気温が8月6日で35度に達しました。しかし、最大需要が1500万kwで、発電所の12%もの余裕があったのです。しかし、2010年には同じような最大需要の日には1750万kwにも達していたのですから、それに比べたら、約20%近くも需要が落ち込んでいるのです。2011年の福島原発事故以後、省エネ化や節電意識が高まったこともあるかもしれませんが、4年前の2013年1634万kwに比べても10%も需要が落ち込んでいるのです。夏の冷房による電力需要を太陽光発電がカバーして、火力発電の出番がなくなってしまったのです。
つまり、理由は省エネエアコンや工場などの節電でピークが来なくなったということなのでしょう。また、新エネ電力への乗り換えなどの影響もあるのかもしれません。九電管内では5%の顧客が流出していますので、この影響もバカにはなりません。
実はこのような現象はドイツで既に起こっているというのです。ドイツは電力卸市場で取引されています。これまでピーク時の電力は高く売れていました。ピーク時にはガスが発電していたので、既存の電力はガス発電で利益を上げていました。ところがここに来て、再エネ電力が普及し過ぎて、ピークが来なくなり、ガスを動かすときがなくなりつつあると言うのです。しかもドイツの冬場の電力需要でもピークが来ないため、電力価格が下がって、既存の電力会社はもう火力発電による利益が出せなくなって、電力会社の統合や発電事業からの撤退などが進んでいるというのです。
同じく「日経エネルギー2018年1月10日号」によると、日本の電力会社の社員は「ドイツでは大量の再エネ電力が電力市場に流れ込み、卸電力価格が低迷し、最新鋭の火力発電所が停止しているという話になっても、2016年当時は、必ずといっていいほど、『それはドイツの話であって、日本とは違う』と切り替えされたものです。まだ対岸の火事であると言える心境だった」(ここまで引用)ところが近ごろは人ごとではないと青ざめているというのです。

日本の電力会社のビジネスモデルが描けなくなった

そして、もう1つのグラフ(図2)を見てください。この図から言えることは毎年のように夏場のピークが下がってきているのです。一時的な夏場ば涼しかったから需要が落ちたのではないことが証明されます。つまり慢性的に電力需要は下がり始めているのです。これから人口減少が加速しますから、これから20年先や30年先を見越して大型火力や原発などの発電所を建設するという計画が、これでは立てることすらできないのです。(図3)は夏場の予備率が13%以上あるということはそれだけ設備が遊んでいると言うことですから、無駄な設備を13%以上遊ばせているということになります。だから日本の電力会社は電力料金が世界一高いのです。中津のお隣の福岡県豊前市に豊前火力発電所100万kwがあります。この発電所は石油火力ですからコストが高くてめったには動かしません。2020年には廃炉だそうです。この発電所は1年間に1週間動かすかどうかという発電所です。さすがに311原発事故以後、全原発が止まっていたころはフル運転でしたが、原発や天然ガスが動けばここは割高なので動かさないのです。
日本の電力会社はとにかくオール電化でガスの顧客まで奪って電力需要をどんどん増やしていくという経営戦略をこれまで続けてきました。高度成長時代にはとにかく電力需要をどんどん作り出してきたのです。電力需要が増えるから、その分だけ原発を建てて、また供給を増やすと、余った電気を売るために、新たな需要を作り出すという「無限の需要を作り出す」という悪矛盾を繰り返していました。アメリカのカリフォルニア電力公社などは、日本とは真逆の方法で電力需給を行っていました。それは電力需要のピークをカットしてできる限り需要の振れ幅を小さくするという発想です。ですから、省エネ冷蔵庫に買い換えると補助金を出したり、白熱電球から蛍光灯に変えたら補助金を出したり、変わったところでは、西日の当たる窓側の庭に木を植えれて西日対策を行えば、そこにも補助金をだすなどの方法でした。そのように省エネ対策を行って、無駄な発電所の建設をしないことが、電力会社の利益につながるからです。米国やヨーロッパ諸国では発電所の稼働率が平均75%のところが、日本の発電所の稼働率は65%ということがありました。(20年くらい前の話です)稼働率が高ければ高いほど利益率は上がりますから、投資効果は高くなるのです。日本では夏場の需要ピーク時のために、豊前火力発電所が1年間に7日しか動かなくても、そこには従業員が365日張り付いているのですから、儲かるはずはありません。でも、そんな無駄なことができたのは「地域独占」と「総括原価方式」(投資額の一定割合を利益としてよいという方式)の親方日の丸経営が成り立っていたから、そんな無駄なことで利益を上げることが、これまではできたのです。しかし、2016年から電力自由化と2020年からは「発送電分離」が実施されたら、そんな親方日の丸経営が成り立たなくなるのです。
これから先が見通せない中で3500億円の投資して川内原発を再稼働させて、今度は玄海3,4号をこれまた数千億円をかけて動かしても設備投資したお金が回収できるのかという不安が巻き起こってくるのです。
ですから、関電が大飯1、2号を廃炉にする決断をしたことの大きな理由は、夏場のピークが来ないことと、毎年のように需要が落ち続ける恐怖から何とかして逃れようとする1つの決断だったのでしょう。

新電力の敵と新たな敵が現れて来つつある

日経新聞17年5月24日ネット版によると、九州電力管内の電力需給が瞬間的に太陽光発電が24日の昼間に需要の7割を越えたという記事が出ていました。連休中に太陽光発電の比率が最大となったのは4月30日午後1時で73%。770万キロワットの需要に対し、太陽光による出力は565万キロワットとなった。(ここまで引用)そこまで日本の再エネの出力も増えているのです。今年の5月の連休に玄海原発が動いていたら、その分200万kwだけ電気が余ってしまします。どうするのでしょうか。
また、12月3日毎日新聞によると、東京ガスと東邦ガスが一緒にメガソーラーを中部電力管内に作って,その電力で中部電力管内の顧客を奪うという計画を発表したそうです。2020年までに220万件の顧客を奪いたいそうです。ガス会社がガスで発電しないで太陽光発電を設置するというのは将来的に再エネの方がガスよりもコストが安くなるということを見越して乗り出すのでしょう。
「日本は島国だからドイツのように隣の国から電気を買えないから原発は必要」と安倍首相が以前話してました。ところがそれが覆ろうとしているのです。
孫正義氏の「アジアスーパーグリッド構想」とは、インドからモンゴルを通って、インドネシア・フィリピンに台湾・中国、韓国に日本とロシアまでアジアを1つの電力網でつなぐという構想です。それがいよいよ現実化しつつあるのです。
ですから最後に現れた天敵が孫正義氏です。10月9日の報道ステーションで、孫さんの会社、ソフトバンクエナジーがモンゴルのゴビ砂漠で2千kwの風車25基、合計5万kwが動き出したというニュースがありました。やがてここに千300万キロワットの太陽光発電・風車を建設して日本へ送る計画なのです。既にモンゴルと中国と韓国とロシアの政府系の電力会社とは契約が締結されたのだそうです。残すは日本政府の了解が取れたらいつでも日本に電気を送ることができると話していました。
日本政府とロシアとの間には天然ガスパイプライン構想が昨年のプーチン安倍会談で決まりました。それなら送電線構想もできるでしょう。パイプラインに比べれば送電線は格安でしかも安全です。約400億円で可能です。日韓海底ケーブルも僅か230キロの距離ですから600億円でできると孫さんは話していました。日本政府がゴーサインを出せば来年にも「日韓海底ケーブル」は実現するのです。ソフトバンクエナジーの社長は番組で話していました。「2020年の東京オリンピックにはモンゴルの風車の電力でオリンピックを開催させたい」と。モンゴルの風車の発電コストは4円。送電線コストを加えても1kw当たり10円以下になると社長は話していました。太陽光発電はもっと安くなるでしょう。中東では2.6円とか、最低が1.98円と言われていますので、ソフトバンクも3円で発電できるでしょう。そうすれば少なくともこれまでで一番格安の電気がモンゴルから日本に送られてくるのです。ぜひ日本に3円の太陽光発電をモンゴルから引いてもらおうじゃありませんか。

国民の幸福追求権と人格権の行使で「日韓海底ケーブル」を実現させよう

「日韓海底ケーブル」の敷設は私たち日本国民の基本的人権である幸福追求権と人格権の行使です。「安心・安全な暮らし」や「安全で安い電気を使いたい」という。しかも「放射能フリー」ということは原発事故の恐怖から解放されるのです。そのためには私たちがいくら心の中で「願ったり思ったり」してもだめです。権利は行使しなければ絵に描いた餅です。私たちが具体的に行動するということはどういうことでしょうか。それはデモや街頭で訴えたり、署名活動をしたり、は大変ですよね。でももっと簡単な方法があります。放射能フリーの新電力に乗り換えたり、まだ乗り換えていない友人や知人に「あなたも早く電気料金が安い新電力に乗り換えて放射能フリーの気持ちいい生活を送ろうよ」と呼びかけて、友人や知人にアクションを起こすことです。
そして日本の原発の電気20円(福島原発事故処理費21兆円を入れた発電コスト)とソフトバンクなど新電力と既存の原発電力と競争してもらおうじゃないですか。それでも原発の電気がお好きな方はどうぞ、高くてブラックな関電でも九電でも残ってください。私たちはさっさとソフトバンクエナジーなどに乗り換えます。(私はソフトバンクではありません。いろんな新電力があります。特に私はガス会社を応援しています)

驚きの再生エネルギー価格、世界のエネルギー革命



再生エネ普及を阻む大手電力会社の“壁”









by nonukes | 2018-01-11 15:55 | 電力自由化 | Comments(0)

  小坂正則

by nonukes