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小坂正則の個人ブログ

「結婚支援対策」を国が行うことは新たなジェンダー差別を作り出すだけ

「結婚支援対策」を国が行うことは新たなジェンダー差別を作り出すだけ
小坂正則
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最近の若者の中に恋人のいない人が増えているそうです。20~30代の独身男性の75%、同独身女性の65%が「交際相手がいない」。そんな衝撃的な数字(オーネット調査)があります。これは2011年の数字ですが、調査以来15年間で、いずれも過去最高を記録したそうです。コンビニなどの普及で単身でも何も生活に困らないという都会での生活様式の変化や非正規の若者は食うことに追われて、異性と付き合う時間もないし、そんな心の余裕がないとか、恋人がほしいという気持ちになれないという若者が増えているのかもしれません。
そんな若者を取り巻く恋愛状況は決していいことではないでしょう。ただ、人の幸福感など価値観や人生観は、おいそれと他人が口出しすべきことでもありません。このようなデリケートな問題は慎重にサポートする必要があるでしょう。
そこで政府が「婚活支援」を行うという話が持ち上がっているそうなのです。(詳しくは一番下の内閣府のHPをご覧ください)政府が「婚活」などを税金で行うことには大きな問題を孕んでいます。民間団体が行うなら自由ですが、政府が「婚活」を行うことで傷つくひとがたくさんいるからです。政府はもっとやるべきことをちゃんとやってください。「改憲」や「集団的自衛権」や「駆けつけ警護」に「カジノ法案」などなど、安倍政権はやるべきことは何もしなくて、やらなくていいことだけは一生懸命にやっているようでなりません。
ところで、結婚など、昔はお節介なおばさんやおじさんがいました。私の若い頃は、周りの友人や知人が恋人を紹介してくれるお節介友人もたくさんいました。今の若者は付き合いもクールで深入りしない表面的な付き合いが多いのでしょうか。昔の男の若者は女性にしか目がありませんでした。だから男友達が集まると女性の話題が中心だったような気がします。確かに若者の中に価値観が少しずつ変化しているのだろうと思います。「草食系男子」とか「ジェンダーフリー」の若者が増えたと言われるように、性のとらえ方が自由になって来た結果、「異性と結婚して子どもを作る」ことだけが人生のゴールではなくなったのです。
もう少し正確に言うと、私のような普通と思っている男の価値観の男性が多い社会の中で、「性同一障害」と言われる身体と心が異なる人たちは、社会的に無視されて来て、そんな人たちがいることさえも否定され、私が彼らの存在を知らなかっただけなのです。いえ、私が知ろうとしなかったのです。当時から既に心と身体が異なる人はたくさんいましたから。

普通に結婚しないことは悪いことなどではない

欧米ではLGBTの人びとが自由に生活できて同性婚が認められる社会へ大きく変化しています。2015年6月26日、アメリカの連邦最高裁判所は、同性婚を認める判断を示した。これにより事実上、全米で同性婚が合法化されるたのです。
しかし、日本では同性婚どころか、あからさまな性差別が横行している中で、政府による「婚活サポート」が行われるようになれば、ますます子どもを作らない人びとやLGBTの人びとが肩身の狭い思いをすることになるのです。
もし、婚活を進めるのなら、まずは同性婚やLGBTの人びとの権利を認めて、彼らへのサポートと同時並行に婚活サポートもやるべきです。
もともと少子化になった原因は、一朝一夕に解決できるような単純な問題ではありません。価値観の多様な社会では「結婚と子どもを作ること」だけが人生のゴールなどではなくなったのです。先進国と言われている欧米ではどこも特殊出生率が2を大きく切ってます。フランスが2.01で、イギリスが1.9という輝かし出生率を達成できている理由は、血の滲むような社会保障をやって来た努力の結果なのです。例えば結婚しない女性の子どもも等しく社会保障を受けることができて、子どもは親が育てるのではなく社会が育てるという考えの下で、子育て費用や親の生活費も保障する制度が確立しているからなのです。
日本のように教育費も先進国で米国と並んで最低で、社会保障も貧しい国で、女性が安心して子どもを産もうと思うわけがありません。政府の取るべき対策が真逆です。
母子家庭の母子や性的少数者が普通に暮らせる社会制度を作って、そこから初めて少子化対策が始まるのです。保育所を増やすことも必要でしょうが、それだけで少子化対策が効果を生むわけではありません。しかも、少子化対策は20年も30年もの長い対策の結果なのです。ひとり一人が自由にいきいきと暮らせる社会を実現して、子どもを作ることも作らないことも自由に選択できる社会が実現できて初めて、子どもを作ろうかと思うかもしれないのです。しかし、それでも子どもを作りたくない自由が女性にはあります。仕事や自分の生活をエンジョイしたいと思う女性が増えても、それはそれで仕方ないことです。私たちひとり一人の生き方は私たちひとり一人が自分の意思で決めればいいのですから。

どんなにもがいても日本の少子化は止められない

実は日本の少子化は止めようがないと総務省も諦めています。安倍政権も「希望出生率1.8」とか言っていますが、これって何のことなのでしょう。1.8を目指すと言うわけでもないようです。上のグラフのように総務省によると、2050年には9500万人になり、2100年には4千万人しか人口がいないというのです。人口減少のどこが問題かと言えば、急激な人口減少は社会的な様々な矛盾を生み出すから問題なのですが、ソフトランディングできればさほど大きな問題は生じないのです。
今のような急激な人口減少は消滅都市を生み出したり、社会保障財源が生み出せないなどの大きな問題があります。でも団塊の世代が皆さん亡くなってしまう20~30年後には少子高齢化問題も随分片付いて来るでしょう。
今が一番問題なのです。社会保障だけではありません。インフラ整備の財源もなくなります。そのような社会が来ることを予測して今手を打つべきは「将来への備え」を行うべきなのです。それは「この橋はもう使わない」とか、「この道路は廃止しよう」というインフラ撤去の議論を進めるべきなのです。そんな将来設計を行う必要があります。そんな中でリニア新幹線をこれから作るなど愚の骨頂です。それに移民問題の議論も必要です。私は少なくとも難民の受け入れは積極的に行うべきだと思います。中東の難民の人びとを受け入れて国際貢献と難民支援を私たちも行って、世界中の人びとが平等に幸せになる世界をみんなで作るべきでしょう。それこそがこの国の取るべき国貢献だと私は思います。
そのためにも、まずは私たちひとり一人が自由意思でこの国の社会制度を決めることができることが何よりも大切なことです。そして願わくば、親しい友人に囲まれて、人生を共にする伴侶と一緒に助け合って生きて行けたら幸せだろなと思います。


女性と人権 全国ネットワークより


かつて、女性は職場の華でした。男性正社員のお嫁さん候補として採用されました。
「クリスマスケーキ」と呼ばれ、女性は25歳を過ぎたら売れ残りだと言われました。

男性は、結婚しないと出世に響きました。結婚していない人間は、半人前だと言われました。「あいつはホモだ」と差別的な扱いを受けました。

女性は男性に「もらわれるもの」「売られるもの」ではありません。
男性の仕事ぶりや人間性に、結婚しているかどうかはまったくの無関係です。

女性でも男性でも、職場では職業人として評価する。
そんな当たり前のことを当たり前にするために、男女雇用機会均等法ができました。
そして、職場でのこうした差別的な扱いは「セクハラ」として認められました。

しかし今「ニッポン一億総活躍プラン」の名のもとに、「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」が行われています。
ここでは、国・自治体として「結婚の希望を叶える」ための支援をするという話し合いがなされています。
そして、なぜ「結婚の希望を叶える」のかというと、それは少子化対策であるとはっきりと述べられています。

「結婚の希望を叶える」ためには、その人が結婚しているかどうかを把握する必要があります。そして結婚していない人に対して結婚を勧めるならば、それはセクハラに当たります。

また、結婚をしていない人が「結婚を望む異性愛者」であるかどうかはわかりません。
個人のセクシュアリティを詮索するのならば、非異性愛者に対する差別がある現状では
大変な苦痛を伴います。

そして、これが少子化対策として行われるならば、この結婚奨励の取り組みには年齢制限がつくだろうと予測されます。いったい何才までの人には結婚を勧めて、何才からの人には勧めないんでしょうか。年齢差別をも容認するのでしょうか。
子どもを増やすためなら、セクハラに目をつぶる、セクハラをセクハラと認めないようにしようという、この国の動きに対して私たちは強く抗議します。

子産みを奨励する前に、すでに生まれている子どもを大切にしてください。子どもの6人に1人が相対的貧困である現状を変えてください。
子どもを増やしたいのなら、結婚を勧めるのではなく非嫡出子差別、非婚シングルマザーへの差別的税制を是正してください。(一度結婚したシングルマザーは寡婦控除が受けられるが、一度も結婚していないシングルマザーは受けられない等)
プライベートに介入するのではなく、恒常的な長時間労働等を是正することによってワークライフバランスを実現できるようにしてください。
セクシュアルマイノリティを含む結婚・出産を希望しない人に対する結婚・出産の奨励はセクシャルハラスメントに当たることを再確認してください。

(参考)
内閣府ホームページ
結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会

by nonukes | 2016-12-08 13:07 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

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