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小坂正則の個人ブログ

高速増殖炉「もんじゅ」廃炉は「核燃料サイクル計画」というウソ崩壊の序章

高速増殖炉「もんじゅ」廃炉は「核燃料サイクル計画」というウソ崩壊の序章
小坂正則
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先週から新聞やテレビで「高速増殖炉『もんじゅ』は廃炉の方向で政府は検討中」というニュースが出ています。そして20日のニュースでは自民党茂木政調会長は記者会見で「私の頭の中には存続ということは全く想像できません」と語っているのですから、安倍政権は近日中にも『もんじゅ』廃炉を決定することでしょう。なぜ廃炉とするしかなかったのかというと、文科省の下部組織の日本原子力開発機構が維持費だけで年間200億円もの税金を湯水のように無駄遣いする高速増殖炉の原型炉(実験炉のこと)なのです。
『もんじゅ』を原子力規制庁が検査をしたところ、1万点以上に及ぶ定期点検を何年もやっていなかったことが明るみになったのです。そこで、規制庁の田中委員長が「新たな組織に衣替えして出直してこい」と、注文を付けたのですが、どこも引き受け手がなかったので廃炉となるのです。当初は電力会社や原発メーカーに文科省はお願いしたそうですが、電力会社は「ウチは再稼働の準備でそれどころではありません」と断られたそうですし、原発メーカは東芝を筆頭にどこも倒産の危機に瀕しているのにそんなお荷物など抱えられるはずはないのです。この『もんじゅ』は液体ナトリウムを冷却剤として使っているのでナトリウムが固まらないように電気で暖めるために1日に約5千万円の電気代がかかっているという途方もない無駄遣いのお荷物なのです。さっさと廃炉にすべきだったのです。建設費も1兆円を越えるそうですし、廃炉にも3千億円以上かかるのです。こんなもの誰も引き受けるわけはありません。

『もんじゅ』とは

まず、『もんじゅ』とはどんな原発なのかを簡単に説明する必要がありますね。原発はウランを燃やして発電します。ところが天然ウランの中の燃えるウラン235は僅か0.7%しか存在しません。残りの99.3%は燃えないウラン238です。ですから、燃えるウランの地下資源は60年後にはなくなってしまうのです。そんな僅かしか存在しないのになぜ、安倍首相は「原発は唯一のベース電源」などと言うのでしょうか。60年後の人類は使うことはできないのです。ところが、高速増殖炉で中性子をばんばん発生させて原子炉を運転すると燃えないウラン238が中性子を取り入れて、プルトニウム239へと変化するのです。だから、使った燃料以上に燃料が生まれるので、そのことを「夢の原子炉」などと言われていたのです。
とろが、問題は冷却剤に水を使えないということが大きなネックなのです。普通の原発は水を使います。しかし、水は中性子のスピードを弱めてしまって燃えないウランをプルトニウムに変えることができないので、どうしても冷却剤に「液体ナトリウム」を使わざるを得ないのです。ナトリウムは水と激しく反応します。だから1995年にナトリウム漏れで『もんじゅ』は大火災事故を起こして、その後少し動いては止まったりで、21年間に250時間しか動いていないのです。数時間動いて廃船になった原子力船「むつ」と同じ運命をたどるしかないのです。

核燃料サイクル計画とはなんのこと

『もんじゅ』は28万kwの原型炉という実験炉です。これが成功したら、今度は50万kw規模の実証炉で実験して、最後に実用炉へとたどり着くのですが、2番目の実験炉でつまずいたのですから、商業炉などできるわけはありません。高速増殖炉の実用炉つまり、商業的に低コストで安全で大量に電気もプルトニウムも作ることのできる実用的な炉ができるはずはなく、「夢の高速増殖炉」まさに「悪夢」に終わってしったのです。
ただ、自民党や文科省の中には、「『もんじゅ』を廃炉にしていきなり実証炉を作ってしまえ」という乱暴な意見も出てきています。様々な実験を繰り返さなくてロケットをぶっ飛ばすのと同じことです。ちなみに世界中でどの国もこの「高速増殖炉」に成功した国はありません。米国はさっさとやめました。ロシアとフランスは核のゴミを減らすゴミ焼却炉として生きながらえようとしています。日本もその案も検討したそうですが、それでもボロボロの『もんじゅ』をこれ以上動かすことは不可能と諦めたのです。
では『もんじゅ』が止まったらなぜ、原発政策が破綻してしまうかを説明します。
燃えないウランが高速増殖炉で燃えるウランに変わったら、1千年も2千年もウランを使い続けることができるということで、「夢の核燃料サイクル計画」が50年も60年も前に考えられたのです。
そこで、今度は青森県の六ヶ所村にある「核燃料サイクル」に赤信号が点りだしたのです。高速増殖炉を動かすから、青森県は全国の原発から出る「使用済み核燃料」を引き受けてきたのです。高速増殖炉を動かさないのならプルトニウムは必要なくなり、使用済み核燃料はゴミとなってしまいます。そのばあいは今あるゴミは全て各電力会社へ持って帰ってもらうという約束を国と交わしているのです。だから国も電力会社も「核燃料サイクル計画」をやめるとは口が裂けても言えないのです。

『もんじゅ』やめても「プルサーマル」があるから大丈夫?

『もんじゅ』がいつまで経っても動かないので国は姑息な手段として「普通の原発でプルトニウムを燃やしてしまえ」ということを考えて2009年に「プルサーマル運転」を九電の玄海原発3号機から始めたのです。しかし、プルサーマルではプルトニウムを消費するだけで増えませんから、夢の原子炉ではありません。しかも燃料が普通の核燃料の10倍もする高額なのです。プルトニウムを減らすというだけの目的のために高額の燃料を使うという矛盾に満ちたことを電力会社はやって来たのです。
六ヶ所村核燃料サイクルの使用済み燃料処理工場は何年も止まったままです。動く気配もありません。しかも3兆円もの税金と電気料金をぶち込んできたのです。それらは全て国民のお金なのです。

『もんじゅ』から「核燃料サイクル計画」そのものを廃止させよう

つまり、『もんじゅ』が止まれば、その燃料を作り出す「核燃料サイクル計画」を続ける道理はありません。「核燃料サイクル」をやめたら、使用済み核燃料は電力会社へ返還されます。それでは原発を動かそうにも動かすことなどできなくなります。ですから、どこを切り取ってやめても全てが一蓮托生に止まってしまうのです。
このようにウソと金目で誤魔化し続けてきた「原発」と「夢の核燃料サイクル計画」は、とっくに破綻していたのです。しかし、これまでの政府はズルズルと解決策を出さずに今日まで先送りで矛盾を引き延ばしてきたのです。ですから、私たちはここで、これまで誤魔化してきた政府と電力会社の持っている全ての情報をさらけ出させて、原子力エネルギー政策を国民的な議論のまな板に乗せてしっかり議論を行い、国民の声を反映させた結論を出させる必要があるのです。

原子力は割が合わないことが分かってもまだ諦めようとはしない政府電力会社

電力自由化で、電力会社のウソもばれてしまいました。だって新電力の会社が使う送電線使用料がべらぼうに高いことを皆さんはご存じですか。平均で1kwhあたり、8.36円も既存の電力会社に支払っているのです。1kwhあたり24円から25円で販売する新電力会社がその内の8.36円も支払えば、販売価格の30%ものコストが送電線使用料(託送料)で取られるのです。何でそんなに高いのか?理由は簡単です。その価格の内訳が不明朗なのです。つまり、新電力の会社は言い値で利用させられているのです。もちろんある程度は分かります。まず、託送料の中には放射能のゴミ処分費用が入っています。それに電源促進税も入っています。これは二重取りです。しかも経産省と政府は東電の事故処理費用を新電力の消費者に払わせいる計画だと言います。
ちょっと待ってよ。原発の電気は安いから原発をベース電源として進めるんじゃなかったの?実は高いから、その付けを関係ない新電力に支払わせて、おまけに託送料でがっぽり既存の電力は儲けるなんて、そんなバカなことがあるでしょうか。だから倒産した東電が3千億円以上の黒字をたたき出して、社員の賃金も上げて、おまけにボーナスも昨年から復活しているというではないですか。どこに倒産会社が社員にボーナスを払えるのですか。社員にボーナス払う前に福島の避難者や福島事故の被害者への保障金を支払うべきです。
こんな腐った政府と電力会社へお灸をすえるためにも新電力へ皆さん乗り換えましょう。
新電力乗り換えキャンペーンは



MOX燃料の価格、ウランの9倍 高浜原発で1本9億円
朝日新聞2016年2月28日
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MOX燃料の輸入量と価格

使用済み核燃料を再処理して作るウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料は、通常のウラン燃料より数倍高価なことが、財務省の貿易統計などから分かった。再稼働した関西電力高浜原発3、4号機(福井県)などプルサーマル発電を行う原発で使われるが値上がり傾向がうかがえ、高浜で使うMOX燃料は1本約9億円となっている。
プルサーマル発電は使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを再利用する国の核燃料サイクル政策の柱とされる。核兵器に転用できるプルトニウムの日本保有量(47・8トン)を増やさない狙いもあるが、国内の再処理施設は未完成なうえ、コスト面でも利点が乏しいことが浮き彫りになった。
電力各社は使用済み核燃料の再処理をフランスなどに委託。MOX燃料は1999年以降、東京電力福島第一、柏崎刈羽、中部電力浜岡、関西電力高浜、四国電力伊方、九州電力玄海の各原発に搬入された。27日に核分裂反応が継続する「臨界」に達した高浜4号機は、核燃料計157本のうちMOX燃料(燃料集合体)が4本、3号機は同じく24本入っている。燃料集合体は燃料棒を束ねたもので、長さ約4メートル、重さ約700キロある。

電力各社は「契約に関わる事項」などとしてMOX燃料の価格を明らかにしていないが、貿易統計で輸送費や保険料を含むとされる総額が公表されている。それを輸入本数で割ると、MOX燃料1本あたり2億604万~9億2570万円。時期でみると、99年の福島第一は1本2億3444万円なのに対し、直近の2010年と13年は7億~9億円台。13年6月に高浜に搬入されたものは1本9億2570万円となった。
ウラン燃料の価格も非公表だが、同様に98年7月輸入分は1本1億1873万円。13年10月の輸入分は同1億259万円で、13年6月輸入のMOX燃料はこの約9倍にあたる。
1本のMOX燃料で利用できるプルトニウムは多くない。一方、燃料の値段は電気料金に反映される。原発のコストに詳しい立命館大の大島堅一教授(環境経済学)は「安価になるからリサイクルするはずなのに、MOX燃料は逆に高価で、経済的におかしい。国は商業的にも技術的にも破綻(はたん)している政策を続けており、負担は国民に回ってくる」と指摘する。(福島慎吾)

■プルサーマル、課題山積

プルサーマル発電は国内では2009年に玄海原発で始まり、新規制基準のもとでは高浜3、4号機に続いて伊方原発3号機で予定されている。しかし、多くの課題がある。
MOX燃料は当初高速増殖炉で使うはずだったが、原型炉もんじゅ(福井県)は実現の見通しが立っておらず、プルサーマルが核燃料サイクル政策の軸とされる。電力各社は、16~18基の原発でプルサーマル発電をすれば年間6トン前後のプルトニウムを利用できると想定している。
しかし、青森県六ケ所村の使用済み核燃料の再処理工場とMOX燃料加工工場は、稼働が大幅に遅れている。加えて、使用済みMOX燃料は建設中の加工工場で処理できず、その処分方法も決まっていない。
内閣府原子力委員会の小委員会は12年、核燃料サイクルのコストの試算を発表。将来の電源に占める原子力の比率にかかわらず、使用済み核燃料を再処理せずに地下に埋める「直接処分」の方が、再処理してプルトニウムを利用するより安いとしている。
by nonukes | 2016-09-22 01:50 | 電力自由化 | Comments(0)

  小坂正則

by nonukes