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小坂正則の個人ブログ

伊方原発仮処分裁判で一番の争点は基準地震動過小評価の矛盾だ

伊方原発仮処分裁判で一番の争点は基準地震動過小評価の矛盾だ
小坂正則
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2012年9月19日に原子力規制委員会委員長代理に就任して、規制委員会の中では活断層の評価について最も厳しい審査を続けていた島崎邦彦・原子力規制委員会委員長代理は2年後の2014年9月18日に2年の満期によって再任されず退任させられました。その理由は自民党の中で「島崎を降ろさなければ原発再稼働ができない」というあからさまな島崎降ろしの圧力のせいだと言われています。規制委員会の委員は政府から独立した委員会で政府の圧力を受けないようにするために、民主党政権時に国会の承認を得て作られたものです。しかし、安倍政権は野党の声など聞く耳など持ってなくて、独裁的に自分の都合のいい人間を独立した機関へと忍び込ませて来たのです。その証拠が日銀総裁人事であり、NHK会長であり、憲法を監視するはずの内閣法制局長を自分の支配下の人間を入れて、「集団的自衛権は合憲」と言わせたのです。一見合法的であるように見えて、実際はこれまでの民主的な慣例や不文律というルールを一切無視したのです。これまでは野党の意見も取り入れて全会一致で人事を決定していたような主要な要職を自らの言いなりになる人間を反対意見を押さえつけて配置したのです。このような民主主義のルールを崩壊させる行為は三権分立や独立機関存立意義の自殺行為であり、ヒットラーの真似以外の何ものでもありません。民主主義とはこのように「悪意のある者」により、一気にガラス細工のように壊れるもなのでしょうか。

島崎邦彦氏の反撃が始まる

島崎邦彦氏は規制委員会の委員の中では唯一と言っていいほど、原子力とは無縁の「原子力ムラ」外の人間でした。東大地震研究所の教授など一貫して地震の研究を行ってきた学者です。だから彼は学問的な観点から原子力発電所の敷地内を走る活断層の再調査を政治的な思惑などにとらわれることなく審査してきたのでしょう。だからクビになったのです。しかし、私たちが考えたらおかしな基準地震動への過小評価への当然の批判ですが、国の役人を務めた元官僚の要職に居た方がそのような批判をすることは大変な勇気が必要だったでしょう。
その島崎名誉教授が大飯原発控訴審で「(基準地震動)を計算した関電の手法について、「過小評価の可能性がある」と指摘したた陳述書を名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)に提出する」と時事通信は伝えているのです。
この基準地震動の問題は2014年5月21日に福井地裁にて大飯原発3、4号機運転差し止め判決における住民勝訴の理由の1つとして「規制庁の認める基準地震動が甘すぎる」と指摘しているのです。なぜなら「全国20カ所にも満たない原発の内、平成17年から10年間で4つの原発で5回にわたり想定された地震動を超える地震が起きている」ことを指摘しているのです。
基準地震動の数値を算出する計算式は「入倉・三宅式」というもので、私たち素人にはよく分からないものですが、今回の高浜原発の基準地震動を導くための地震は1891年から1970年に起きた14地震から平均値を導き出したものに過ぎないのです。そんなの「当たるも八卦当たらぬも八卦」に過ぎないではないですか。この計算式はこれまで125年間に発生した地震動から経験的に導き出した予測数値であり、アインシュタインの導き出した相対性理論などのような物理学の原理的な理論などとは似ても似つかぬ経験値から導き出した「予想値論」であって、科学的な根拠の乏しい天気予報以下の気まぐれ理論なのです。ましてや10年で5回も原子炉の基準地震動を超える事象が起きたのであれば、そんな計算式はゴミ箱に捨てるのが真っ当な科学者の態度でしょう。

大分の裁判でもこの「基準地震動」を争うことになるでしょう

地球誕生以来地震動がどれだけあったかを私は知りませんが、少なくとも地震計を発明してP波やS波を計れるようになってまだ数十年しか経っていないことでしょう。そんな経験値でさも地震の全貌を知ったかぶりをして、安全だなどということ自体がオレオレ詐欺と同じ手法です。4月16日の熊本・大分地震の後、NHKのニュースに出ていた気象庁の課長(この方実は地震学者です)が「後から最初よりも大きな地震が襲ってくるなど私たちには経験したことのない現象です」と話していました。地震学や火山学は全体の1%もその中身を人間は分かっていないのです。そのことを肝に銘じて、「起こり得る最大の被害を想定して、自然に対して謙虚に対応する」ことこそが人間の正しい自然への向き合い方なのです。
つまりは想定される地震以上の地震がいつ何時襲ってきても、被害を最小限にとどめることができるように最大の努力を重ねることしか私たちにはできないのです。
だから伊方原発再稼働の結論はいつ強大な直下型地震が襲ってきてもいいように、一刻も早く核燃料を抜き出して、できる限り安全な場所に保管し、動いている原発は一刻も早く運転を止めることなのです。
伊方原発裁判で基準地震動のいい加減さと中央構造線の活動の可能性を大分地裁で証明して行くことでしょう。(以上の考えは私の個人的な考えで原告団の総意ではありません)
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関電想定「過小の可能性」=元規制委員の陳述書提出へ-大飯原発差し止め訴訟
時事通信2016年6月7日

関西電力大飯原発3、4号機(福井県)は安全性が確保されていないとして住民が再稼働差し止めを求めた訴訟の控訴審で、住民側弁護団は7日、想定される地震の揺れ(基準地震動)を計算した関電の手法について、「過小評価の可能性がある」と指摘した島崎邦彦・元原子力規制委員会委員長代理の陳述書を名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)に提出することを明らかにした。
8日の口頭弁論に提出する。この訴訟で一審福井地裁は2014年5月に再稼働差し止めを命じ、関電が控訴している。
島崎氏は地震学者で、規制委で原発の地震・津波対策の審査を担当。14年9月に退任した。
弁護団によると、15年に開かれた日本地球惑星科学連合の大会で、島崎氏は基準地震動の基礎データに、予測式「入倉・三宅式」が使われるのは問題だと発表。過去に起きた複数の大地震で入倉・三宅式を検討した結果、過小評価される傾向が出たと指摘した。
住民側は島崎氏の発表を控訴審に提出したが、関電は入倉・三宅式を使った自社の評価は妥当で、大飯3、4号機の安全性に問題はないと反論。住民側が今回提出する陳述書で、島崎氏は「過小評価の可能性は変わらない」と改めて説明している。
一方、関電は7日、「原告は従前からの主張を島崎氏の陳述書を基に今回も繰り返しているもので、新たな主張ではない」などとするコメントを出した。(2016/06/07-22:40)
by nonukes | 2016-06-11 13:30 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

  小坂正則