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小坂正則の個人ブログ

今こそ「乱訴の兵たれ」と松下竜一氏は枕元で訴えた

今こそ「乱訴の兵たれ」と松下竜一氏は枕元で訴えた
小坂正則
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夢枕に出た松下竜一氏

信じるか信じないかは皆さんにお任せしますが、今朝目が覚める前にウトウトしていたら松下竜一センセが私の枕元に立っていて、こういうのです。「こら小坂何を遅くまで寝ているんだ。早く起きろ。お前は私が死んだことをいいことにちっとも私の申しつけを守っていないではないか。あれだけ原発を止める仕事はお前に任せるといったのに。高浜原発の仮処分の決定が出たそうだな。何でお前は乱訴の兵の本分を果たさないのか」と。私は眠たい目をこすりながら、「果たしてこれは夢か幻か、それとも本当に枕元に松下センセが出たのかなあ」と。その理由は最後まで読んでもらったら分かります。

稼働中の高浜原発を止めた勇気ある司法判断を常識にしよう

私は新聞記者の電話取材で初めて高浜原発の運転差し止めの仮処分決定を知りました。まさか、稼働中の原発を止めるなんて、これまでの司法では考えられないような決定を大津地裁の山本裁判長は下したのです。
この仮処分決定の意義がどれだけあるのかと考えたら、これは計り知れないほどの意義があります。なぜなら、一昨年の4月の福井地裁の樋口裁判長は大飯原発の運転差し止めの原告勝訴の判決を下しましたし、昨年には高浜原発の運転差し止めの仮処分も認めてくれました。しかし、マスコミや弁護士の中でも「樋口判事は変わった人だからこんな判決や決定を出したのだ」という噂だったのです。私もその意見に流されていました。なぜなら、私の知る限りこの国の司法は三権分立など縁もゆかりもないような、政権の腰巾着のようなていたらくの司法だったからです。たまにまともな判事も居たりしますがそんな方は大抵は元青法協の方や、共産党支持者なんだろうかなあという感じに思っていたのです。つまり、「この国には司法の正義などないんだ」と、大半の国民は実感していたのです。
それに、こと原発裁判に限っていえば、今回の仮処分の主任弁護士の井戸謙一弁護士は金沢地裁の判事だった2006年、北陸電力志賀原発2号機(石川県)の運転差し止め判決を出したのですが、この方などは例外中の例外で原発裁判はことごとく原告敗訴が司法の常識だったのです。それが今度は立て続けにお二人が同じような決定を下したのです。

ざっとこんな決定内容です

しかも、今回の決定の大きな特徴は、「本件各原発の審査において問題となった点,その考慮結果等について,債務者が道筋や考え方を主張し,重要な事実に関する資料についてその基礎データを提供することは,必要であると考える。」とるように、これまでの裁判では原告が事故の危険性を指摘して、それに対して被告が反論するという形式だったのが、今回、被告は規制庁へ資料を出したのだから、積極的に安全性を論証する責任があるとしたのです。特に関電はことごとく資料の出し惜しみをしたそうです。
また、「福島第一原子力発電所事故の原因究明は,建屋内の調査が進んでおらず,今なお道半ばの状況であり,本件の主張及び疎明の状況に照らせば,津波を主たる原因として特定し得たとしてよいのかも不明である。その災禍の甚大さに真撃に向き合い二度と同様の事故発生を防ぐとの見地から安全確保対策を講ずるには,原因究明を徹底的に行うことが不可欠である。」というように福島原発の事故の真相究明が終わっていないのになぜ再稼働ができるのかという国民の声を反映していることです。
そのほかにも重要な点はあるようですが、最後にちょっと長くなりますが以下の主張です。「安全確保対策としてその不安に応えるためにも,地方公共団体個々によるよりは,国家主導での具体的で可視的な避難計画が早急に策定されることが必要であり,この避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準が望まれるばかりか,それ以上に,過酷事故を経た現時点においては,そのような基準を策定すべき信義則上の義務が国家には発生しているといってもよいのではないだろうか。このような状況を踏まえるならば,債務者には,万一の事故発生時の責任は誰が負うのかを明瞭にするとともに,新規制基準を満たせば十分とするだけでなく,その外延を構成する避難計画を含んだ安全確保対策にも意を払う必要があり,その点に不合理な点がないかを相当な根拠資料に基づき主張及び疎明する必要があるものと思料する。」
つまり規制庁は避難計画を再稼働の審査対象にしていないが、一度事故が起きたら、周辺住民は膨大な被害を受けるのであり、自治体に任せるのではなく、国が指導して避難計画を完成させて、規制庁はその中身を再稼働の審査条件の中身として審査すべきである。規制庁の審査基準の中に避難計画がないのはおかしいと避難計画の完成が再稼働の前提条件だと求めているのです。

この決定の意義は大きなものがある

さて、この決定が今後の原発再稼働の動きにどのように影響を与えるのかと言えば、最初に電力会社は先が見通せなくなったという不安に駆られていることだということです。
私たちにとっては、これまで原発裁判は針の穴にらくだを通すほどの困難なことだったのが、「何だそれなら俺たちも裁判やってみようか」と言うほど、裁判が身近なたたかいの手段として大きく見直されるようになるかもしれないのです。
全国で原発再稼働を止める仮処分が生まれるでしょう。だって、高浜3、4号は昨年には一度福井地裁で負けて仮処分だったのです。そして高裁では「関電勝利」に覆った仮処分だったのです。全国至る所で仮処分の申し立てを行えば、代わった判事が次々と仮処分決定を出してくれるかもしれないではないですか。裁判を起こす権利は全国民、いえ国民でなくても裁判ができるんです。奄美の黒ウサギだってゴルフ場の開発のに反対の裁判を起こしたこともあるんですから。

「乱訴の兵たれ」松下竜一センセの意志を受け継ごう

多くの方は知らないと思いますが、我が恩師の大分県中津市の作家の松下竜一氏は40年近く前に、隣の福岡県豊前市に九州電力が豊前火力発電所を建設することに反対して、たたかったのすが、ことごとく負けてしまって、最後の手段として本人訴訟の豊前火力建設差し止めの裁判に打って出たのです。その裁判を起こす決心に至るご自身の思いを綴ったエッセイが「五分の虫、一寸の魂」という本です。まだ文庫本になって販売していました。この中で、彼は法律の本を読んでいたら、「乱訴の弊害をなくさなければならばい」(闇雲に訴訟を起こすと裁判所は迷惑なので裁判には重要な案件だけを審査すべきという意味か)という一文に目がとまったそうなのです。
松下センセはむくっと起き上がって、そうだ「われわれは乱訴の兵になってどんどん裁判を起こして、国家がもう勘弁してよとギブアップさせればいいんだ」と思ったのだというようなことをこの著書では書いているのです。松下さんたちが起こした裁判は「環境権訴訟」といって、確か日本で最初に起こされた裁判だったはずです。結局最高裁で負けはしましたが、環境権や入り浜権など住民による豊かな環境で生きる権利はいまでは当然の権利として認められるようになっています。ですから、私たちも原発を止めるためには「乱訴の兵」になるべきなのではないでしょうか。そのためにこれから私は全力で松下竜一センセの意志を受け継いで伊方原発の再稼働を止めるために仲間を集める努力を始めようと思っています。同志よ集おう!
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「高浜原発3号機」停止作業開始 全国で差し止め訴訟拡大か
日刊ゲンダイ2016年3月10日

大津地裁が、9日、福井県の高浜原発3、4号機の運転差し止めの仮処分決定を下したことを受け、関西電力は10日、稼働中の3号機の原子炉を停止する作業を始めた。原子炉の出力を下げ、今夜8時ごろに稼働を停止する予定だ。
3号機は1月29日に再稼働したばかりで、1カ月余りで再び停止することになった。4号機は2月26日に再稼働したものの、発送電開始の作業中に原子炉が緊急停止するトラブルがあり、すでに冷温停止の状態になっている。

 今回の決定に関西電力は衝撃を受けている。

「高浜原発3、4号機については昨年4月に福井地裁で運転差し止めの仮処分決定が下されたものの、12月に関電による異議申し立て審で差し止め取り消しとなり、今年1月の再稼働にこぎつけた。今回の大津地裁の判断が福井地裁でのケースと違うのは『稼働中』の原発の初の運転差し止めであること。そして、あらためて原子力規制委の『新基準』に対し、『安全とはいえない』としたことです」(電力関係者)
高浜原発には再稼働申請中の1、2号機という3、4号機より古くて危険な原発がある。今年4月にはこの1、2号機の差し止めを求める裁判が名古屋地裁で始まる。
新基準での安全審査を申請した原発はこれまでに16原発26基あるが、今回の差し止め決定を受け、全国で訴訟が拡大する可能性が高まった。


高浜運転差し止め 「司法、勇気ある決断」原発に疑念示す
毎日新聞2016年3月9日 

「司法が勇気ある決断をしてくれた」。新規制基準に合格して再稼働した関西電力高浜原発3、4号機(福井県高浜町)の運転を差し止めた9日の大津地裁決定に、仮処分を申し立てた住民らは興奮に包まれた。東京電力福島第1原発事故から11日で5年。国民の拭えない不信感を代弁するかのように、決定は電力会社の説明や新規制基準への疑念を突きつけた。稼働中の原発の運転を禁止した初の仮処分決定に、関電や福井県の地元関係者からは戸惑いの声が聞かれた。
「止めたぞ」「やった」。午後3時半過ぎ、申立人代表の辻義則さん(69)=滋賀県長浜市=らが「画期的決定!」「いのちとびわ湖を守る運転差し止め決定!」などと書かれた垂れ幕を掲げると、大津地裁(大津市)前で待機していた申立人や支援者ら約100人から歓声が起きた。冷たい雨が降りしきる中、抱き合ったり、涙を流したりして喜んだ。
申立人の一人で原発事故後に福島県南相馬市から大津市に避難してきた青田勝彦さん(74)は「天にも昇る気持ち」。この日が誕生日の妻恵子さん(66)は「高浜原発の再稼働は、福島の人たちの苦しみを無視している。福島第1原発の事故が収束していない中では当然の決定だが、今日は(震災後の)5年間で一番うれしい日になった」と喜んだ。
住民らは関電に対し仮処分異議や執行停止の申し立てをしないよう求める声明を発表。原子力規制委に新規制基準の見直し着手、政府に原発ゼロ政策への転換を求めた。
住民らは午後5時半から大津市内で記者会見。辻さんは「『高浜3、4号機は運転してはならない』の文字が目に入り、鳥肌が立った。裁判長が今日決定を出したのは『3・11』から間もなく5年というタイミングを意識したんじゃないか」などと語った。別の申立人男性は「『避難計画は国家の責任』と言い切ってくれたことがうれしい」と話した。

弁護団長の井戸謙一弁護士は金沢地裁の判事だった2006年、北陸電力志賀原発2号機(石川県)の運転差し止め判決を出した。今回の決定について「関電に対し、福島の事故を踏まえて、原発の設計や運転がどのように強化され、どう要請に応えたのかを立証するよう求めている点が、従来と異なっている」と指摘。「『避難計画をも視野に入れた規制基準が望まれる』と、新基準にも疑問を呈している。決定を出すには大きなプレッシャーがあったはずで裁判官に深い敬意を表したい」とまとめた。【衛藤達生、村瀬優子】
by nonukes | 2016-03-10 19:33 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

  小坂正則