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小坂正則の個人ブログ

伊方原発が福島級の事故を起こしても南西へ21.9キロしか放射能は来ない?その3

「大分には平常時の1万倍の放射能は来なくても440倍の放射能は来る」
小坂正則
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上の図は規制庁の毎時600マイクロシーベルト以下のデータも復元して表現したもの
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上の図は毎時600マイクロシーベルト以下はゼロとして表示したもの
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「東大話法」のテクニックで大分県民を騙そうとする広瀬大分県知事


これまで私は2回に分けて広瀬知事が言った「伊方原発で福島原発事故と同じような事故があっても21.9キロしか西には放射性プルームは来ないので大分は安全だ」という公式の発言に対して反論してきました。
その「21.9キロ」という発言が県庁内で一人歩きをしていて、それへの反論を私は聞くことがありませんでした。聞くことができないのなら、私が自分で解明しなければなりません。
そこで、放射性プルームが21.9キロのシミュレーションの図の基礎データを調べなければ、その反論はできません。そこで、2012年に作られた「放射性物質の拡散シミュレーション」の目的は「防災対策を重点的に充実するべき地域の決定の参考とすべき情報を得るため」であり、周辺住民の避難や事故対策を考えるためのシミュレーションではないということを私たちは最初に確認しなければならないのです。そこでよく調べたら、「この図は1週間当たりの空間線量が100ミリシーベルトに達する場所を描いたもの」という但し書きがありました。何だ、それなら、1週間で99ミリシーベルトの地域はこの図からはゼロと同じ場所ということにされてしまってるではないかと、私は気づいたのです。そこには放射能の濃度差はないので、21.9キロを過ぎたらゼロのように錯覚が起こるように仕組んでいるのです。これこそ、「東大話法」の騙しのテクニックです。


毎時600マイクロシーベルトは平常時の1万倍の被曝だ

ここで確認しておきましょう。1週間で100ミリシーベルトという被曝量は1時間当たりで言うと600マイクロシーベルトです。私たちの日常的な放射線の1万倍の被曝量なのです。それ以下の地域はゼロとされてしまっているのです。私たちはいろんな放射線を浴びています。その中でも平常時の放射能の中でもセシウム137やヨウ素131などが出すベーター線の空間線量から事故時の放射線被曝の量を比べて危険だから避難しようと判断するのです。それではどれだけの被曝量で避難を始めるでしょうか。平常時の年間被曝許容量といわれている量が年間1ミリシーベルトです。1時間当たりでは0.114マイクロシーベルトです。大分の平均的な空間線量は0.05~0.06マイクロシーベルトぐらいでしょう。これには場所や時間によって量は変わります。また、被曝はレントゲンなどでも受けますので、0.114マイクロといえば少し多いなというくらいでしょう。放射線被曝の従事者は5年間で100ミリシーベルトの総量を越えては従事できません。ですから1年間でいえば20ミリです。また、年間最大で50ミリが上限です。年間20ミリシーベルトは時間当たり2.28マイクロシーベルトです。
つまり、原発から30キロの住民(UPZ圏内)が避難する被曝量は放射線従事者の上限の被曝量の263倍の被曝まで我慢をしろと規制庁は言っているのです。
つまり、伊方のシミュレーションから隠された図を復元するなら、あの図の様々な過小評価の値をそのまま使ったとしても、その先にはそれよりも僅かに少ないがそれでも大量の放射能のプルームが伸びているということが想定できるのです。
一般的には平常時の100倍の放射能が確認できたら人間は誰でも逃げ出すでしょう。バカじゃないんだから1万倍まで逃げ出さない人などいません。飯舘村の人びとは県職員から知らされないまま、人体実験に晒されたのです。

広瀬知事に「放射能は来ない」という言葉をそっくり返してやろう

大分はこの規制庁のシミュレーションによれば平常時の1万倍の放射能は来ないです。でも21.9キロから先は僅かずつ薄まるとしても数千倍の放射能は来る可能性があるでしょう。この図から想定して、大分県まで60キロとすると、21.9キロの端から3倍の距離になります。放射能は距離の何倍に薄まるのかというデータを私は持っていませんが、大気圏は薄い層ですから、水の拡散のような三次元の拡散よりも2次元の拡散に近いと思われます。なぜなら風は上下にはあまり吹きませんし、吹いてもまた落ちてくれば結局は2次元の汚染になるからです。つまり、21.9キロから60キロ先の距離は3倍ですから、拡散する範囲を2次元で計算すると9分の1に薄まることになります。ただ、薄まっても全体が地上に降下するという意味では広く薄く降下するのですから、相当な量となるでしょう。伊方から60キロ先の臼杵市では毎時67マイクロシーベルトの放射能がやって来るということなのです。3次元で計算しても27分の1は毎時22マイクロシーベルトの放射能(平常時の440倍)が飛来するのです。
この数字は環境総合研究所のシミュレーションとぴったり合致しました。だから大分合同新聞が昨年の8月25日に書いてくれたシミュレーションは実に的確なのです。
むしろ正確に言うと、規制庁のデータを使ってあの見えないデータを見える化したのが環境総合研究所のシミュレーションだということになります。これ自体も随分控え目な数値です。

大分県民が伊方原発の再稼働止めるために立ち上がらなくて誰がやる


これでも「大分には伊方の放射能は来ない」と言えるのでしょうか。やはり広瀬知事はオレオレ詐欺以上の詐欺師です。広瀬知事さん、悔しかったら私を名誉毀損で訴えればいい。私は受けて立ちますよ。
震災がれきの受け入れを大分県内の主婦が中心になって反対運動を行って潰しました。当時広瀬知事は「心ない一部の市民の反対でがれきの受け入れができなくなった」と、悔しがったそうです。その中心人物が私だということだったそうです。県庁内では「小坂に補助金をやるな」という指令が出たとか出ないとかという噂が立っていました。私は今度は本気で広瀬知事を徹底的に追い詰める覚悟です。
伊方の再稼働を止めるのは周辺の住民の力でしか止められません。大分県民が黙っていていいのでしょうか。ここらで本気になって声を上げましょう。そして本当に伊方原発の再稼働をとめよう!まだ間に合います。

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伊方事故による放射性物質 大分県にも飛来

8月25日大分合同新聞

伊方原発で福島と同規模の事故が起きた場合の放射性物質拡散予測図。秒速2メートルの北東の風が吹いたと仮定した。濃度に応じて色分けしている=環境総合研究所提供
伊方原発で福島と同規模の事故が起きた場合の放射性物質拡散予測図。秒速2メートルの北東の風が吹いたと仮定した。濃度に応じて色分けしている=環境総合研究所提供
伊方原発で福島と同規模の事故が起きた場合の空間放射線量予測再稼働に向けた手続きが進む四国電力伊方原発。右奥が原子力規制委員会の審査に合格した3号機=7月、愛媛県伊方町  再稼働に向けた手続きが進む四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)で、東京電力福島第1原発と同規模の事故が起きた場合、風向き次第では大分県にも放射性物質が飛来する―。民間のシンクタンク「環境総合研究所」(東京)が、そんなシミュレーションを明らかにしている。地域によっては「子どもや妊婦が看過できないレベルの放射線量に達する恐れがある」としている。

 研究所は福島事故後、それまで手掛けてきた大気汚染シミュレーションで培った技術を活用し、伊方など全国各地の原発で放射性物質の拡散状況が予測できるソフトを開発。事故の規模や風向き、風速などに応じてどのように拡散していくかが予測できる。
 2012年10月に原子力規制委員会が公表した予測は山や谷などの凹凸を考慮していないが、このソフトには国土地理院の地形図データなどを入力しているため、実際の地形に沿った拡散状況が分かるという。
 伊方原発に関しては、風向きを従来実施していた16方位に加え、本紙の取材に合わせ、大分に向かって吹く2方位を追加した計18方位で予測した。
 風速は国内で「平均的」という毎秒2メートルに設定すると、大分県内におよぶ事故から24時間以内の空間放射線量は、値の高い順に▽杵築市役所 毎時16マイクロシーベルト(東北東の風)▽国東市役所 毎時13マイクロシーベルト(東南東の風)▽臼杵市役所 毎時12マイクロシーベルト(北東の風)。
 除染しなかった場合、1年後の累積線量はそれぞれ▽杵築市役所 32ミリシーベルト▽国東市役所 26ミリシーベルト▽臼杵市役所 24ミリシーベルト―だった。
 研究所顧問の青山貞一・東京都市大学名誉教授(環境政策)は「原発から半径30キロ圏内より線量は低いものの、幼い子どもを持つ母親や妊婦にとっては安穏とはしていられないのではないか」と分析する。
 青山顧問によると、気象庁の統計上、伊方町では年間を通じて南北の風が吹くことがほとんど。その場合、放射性物質が大分に飛来する可能性は低くなるが、「大分に全く関係ないとは言い切れない。放射性物質は一日で止まるとは限らず、収束まで風向きが変わったり、流れていった先の風で曲がって影響を受ける可能性もある」と指摘している。
※この記事は、8月25日大分合同新聞朝刊1ページに掲載されています。
by nonukes | 2016-01-26 19:44 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

  小坂正則

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