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小坂正則の個人ブログ

伊方原発が福島級の事故を起こしても南西へ21.9キロしか放射能は来ない?その1

伊方原発が福島級の事故を起こしても南西へ21.9キロしか放射能は来ない?その1
小坂正則
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この図が規制庁の作った21.9キロしか放射能が飛散しないとう図
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福島原発で同じような事故が起きても放射能はここまでしか拡散しないの?

なぜ私が規制庁の作った放射能拡散予想図を批判しなければならないか

昨年の12月7日の県議会で広瀬知事は伊方原発で福島原発事故級の放射能漏れ事故が起きたとしても大分まで放射能は来ないと断言したのです。規制庁が公表した放射能拡散シミュレーションの図をその証拠としているのです。(注1)その発言を県議会で堂々と喋って、「だから大分では原発事故による放射能被害対策など不要」と言いたいのでしょう。
この規制庁のシミュレーションにはウソが隠されていることは想像できるのですが、「専門家」という名の学者がどのようにして国民を騙すかという、騙しのテクニックを暴かなければ、県議会の議員の皆さんも反論できずに黙ってしまったのですから、このまま放っておくわけにはいきません。この場で私なりに規制庁と広瀬知事の騙しのテクニックをひもといて行きたいと思います。
大分県は海を隔てて対岸に四国電力の伊方原発があります。国東半島の高台に登れば望遠鏡(1000ミリ)で原子炉が見える距離なのです。大分県庁まで65キロで最短は45キロです。そんな間近にしかも対岸ですから遮るものが何もないところに私たち120万県民が暮らしているのです。そんなこの上ない迷惑施設の原発に反対の声を上げないことに私は怒りを覚えるのですが、県知事は経産省の事務次官だった者ですから、原発推進派のゴリゴリ知事なのです。県職員なども不安を抱いているのでしょうが、裸の王様にはかないません。イエスマンしか認めない独裁政治が大分ではまかり通っているのです。
飯舘村が45キロですから、そこから大分までは僅か10キロです。もし、福島級の事故が伊方原発で起これば、たちどころに大分へも放射性プルームがやって来る可能性に備えるのは当然の責務ではないですか。それを「大分には放射能は来ない」と断言する非科学的な知事に私は1人で立ち向かわなければならないのですが、素人でも御用学者とケンカしても負ける気はしません。これまでもことごとく勝ってきたからです。

(注1)  2012年10月24日、原子力規制委員会は全国16の原発で東京電力福島第一原子力発電所のような事故が起きた場合を想定した放射性物質の拡散予測図を公表した。公表されたシミュレーションについては、第七回原子力規制委員会の配付資料として次に掲載されている。https://www.nsr.go.jp/data/000024448.pdf


「30キロ圏外は対策不要」と結論ありきの拡散予想図でしかない

私たちはスピーディーのシミュレーションや実際の福島原発から放出された放射性物質の拡散の模様をこれまで目にしてきました。その図をそのまま伊方原発に当てはめて見ればいいではないかと考えるのですが、そこは「専門家」という名の御用学者はある目的を持ってシミュレーション図を作製するのです。その目的とは「できる限り被害を最小限にとどめて対策経費を削減させること」が最大の目的なのです。しかし、今回規制庁が作ったシミュレーションは何のために作ったのかを知る必要があります。規制庁のその目的を「防災対策を重点的に充実するべき地域の決定の参考とすべき情報を得るため」と言っているのです。そうです。この放射能拡散の図は「事故が起きたらどこまで放射能が来る可能性がありますよ」ではないのです。「どこまでの範囲を重点的に対策を取るべき地域であるか」なのです。もっと本当のことを言えば「先に30キロ圏外は対策を取る必要がないことが事前に決められていて、そのために何としても放射能は30キロ圏に収まることが決められて作られたもの」なのです。だから先に答えがあって、その答えに沿ってデータを加工して作った代物なのです。その証拠に福島第一の放射能拡散予想図が何でこんなに小さな範囲でいいのでしょうか。福島第一から40キロ以上離れた飯舘村では原発周辺の町よりもたくさんの放射能が降ってきたのに、この図では飯舘村も避難準備など必要ないことになってしまうのですから、この図がいかにインチキかということを自ら証明しているではないですか。

ではどのようにインチキなのかを具体的に説明します

私は素人ですから科学的な根拠には疎いのですが、昔々向坂逸郎という九大の教授でマルクス主義者の社会党のイデオローグがこう言っていました。「マルクスの資本論は難しと皆さんは言うが、抑圧された労働者階級は本質的にこの本は理解できる」と。
同じように「私たち民衆には専門的な言葉は難しいが、逆に難し言葉を使って民衆を騙す詐欺師(御用学者)に対して民衆が専門用語から逃げるのではなく理解して立ち向かわなければならない。そうしなければいつまで経っても民衆は国家権力とその手先から解放されない」と私は考えるのです。
その手で行けば、規制庁がどんな手を使って私たちを騙そうとしても、一つ一つ解きほぐして反論すれば真理は一なのですから、反論できないことはないでしょう。
こ規制庁が作った「拡散予想図」 をよく見るといくつかの特徴があります。一つは全体として30キロ圏内に放射能プルームの拡散がほとんど収まっているという特徴です。なぜか大飯原発だけが32.5キロまで拡散しています。そのほかは高浜原発が29.6キロ。玄海原発が29.1キロです。そして伊方が大分方面に21.9キロです。「本当は全部を30キロ圏内に収まるようにしたかったのでしょうが、そうするといかにもインチキそうな感じがするので、一つくらいは30キロを越えるのもあったほうがいいかな」というインチキ学者の心の中が私には透けて見えます。
私は即席の気象学をひもといているのですが、環境総合研究所の青山貞一氏のHPから引用させてもらってます。詳しくはここを見てください。http://eritokyo.jp/independent/aoyama-fnp20121024sim..html

①この図は地形を考慮していない

実際の事故では山があればそこに沿って雲は流れていくし、高い山があれば放射能プルームを遮ってくれることもあります。逆に山や地形によっては遠くまで放射能が運ばれる可能性があるから、地形を無視してシミュレーション図を作ったのでしょう。実際に環境総合研究所の作ったデータでは拡散範囲が広いことからも伺えます。

②この図は実際に放射能が降り注ぐであろうという被害予想図ではないことです。

あくまでも「被害対策を考えた方がいい区域を探る地図」なのですから、この図から私の住んでいる地域には放射能が来ないことを証明する図ではそもそもないのです。この到達点とは避難が必要な区域ということになるのですから、毎時20マイクロシーベルトの危険性がある地域ということになります。ここで広瀬知事は私たちを騙しています。ですから、この図では放射能が何度も来てもその累積値は出していません。

③最大風速はカットし、平均以上の風もカット

1年の風に平均値を出して、その風による飛散する想定数の半分より多い数値は切り捨てて、半分以下の数値だけを使って出しているそうです。ちまり簡単に言えば、ここでもウソをついているのです。私たちは原発事故が起きたら年間の平均値の風が常に吹いているわけなどないのですよね。台風のにもあれば風のない日もあります。事故を想定するというのは半分以下に風に合わせるのではなく、最高値の風をカットするのか許すとして、最低でも平均値以上の風を想定しなければ、安心して暮らすことなどできないではないでしょう。ここに一番大きな騙しが隠されています。


④放射能の流出も年間平均にして過小評価?

福島事故では3月12日に1号機がメルトダウンしてベントした一発目の放射能を出しました。そして決定的なのは3月15日の2号機がベントができなくて格納容器から漏れ出した大量の放射能です。しかし、この図は年間の放出量を平均化しているのですから、そのそのそんなものは何の事故対策でもありません。それなら広島で起きた土砂崩れも平均化したら何の対策も不要になります。昨年の9月10日に茨城の鬼怒川が氾濫した災害も年間で割ったら何の対策も不要になってしまうではないですか。緊急事故は100年に一度や千年に一度の地震や津波に備えなければならないのに、何で放射能対策は年間平均でいいのですか。規制庁は私たちが素人だといってバカにしまくっています。朝日や毎日などマスコミ科学部の連中は九大や京大出のエリートが一杯いるはずなのに何でそんなこともまともに反論できないのでしょうか。

⑤あなたは「東大話法」で民衆を騙す詐欺師です


結論として、事故が発生した時には年間出現頻度に関係なくその時の気象条件で放射性物質は拡散します。そういう点からもこの図はなんら意味はなく、「新たな安全神話」を作るための絵に描いた餅でしかありません。それをさも現実に大分まで放射能は来ない理由として悪用する広瀬知事はオレオレ詐欺よりももっとたちの悪い詐欺師です。だって、その本質的なことくらいある程度は知っていて私たち県民を騙していることが伺えるからです。(もし、知らなくて安全だと本当に思っているのでしたら、それこを県民の生命と財産を預かる知事には不的確です。どっちにしても知事には不的確ですがね)12月11日の厚生委委員会で、防災危機管理課の職員(彼がどこの大学の出身かは知りませんがたぶん九大出だろうとは思います)が「規制庁のシミュレーションによると大分まで放射能は来ません21.9キロしか南西に放射能こないのです」と、断言していたからです。少なくとも私は彼と徹底的に論争をして、このウソを暴き出す必要性を大いに感じました。
(つづく)

追加です

皆さんは規制庁の計画でいうUPZなどの30キロ圏内の避難計画とはどんなものかご存じですか。
下の図がそうですが、何と毎時500マイクロシーベルトでなければ緊急避難はしないのですよ。20マイクロシーベルトでは屋内待機で翌日も同じように20マイクロあったら、ぼちぼち避難しましょうという計画の範囲が上の図なのです。500マイクロといえば、年間被曝量が4380ミリシーベルト(平常時の1万倍の放射線)の被曝量です。20マイクロでも175ミリシーベルト(平常時に400倍)の被曝です。
詳しくはhttp://www.jca.apc.org/mihama/bousai/sisin_kaiaku_hantai201505.pdf
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by nonukes | 2016-01-25 15:54 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

  小坂正則

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