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小坂正則の個人ブログ

田中規制委員長に「原子力防災の矛盾」を追及する泉田新潟県知事

田中規制委員長に「原子力防災の矛盾」を追及する泉田新潟県知事
小坂正則

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原発再稼働に電力会社ごとに大きな安全性の差があっていいのか

泉田新潟県知事は311事故以後一貫して、「福島原発事故の原因究明ができなくて原発再稼働などあり得ない」と声を上げ続けて生きた県知事です。ですから、東京電力は新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働の適合申請は2013年9月27日に規制庁へ提出しましたが、泉田知事は「適合審査提出は自由だが、県の避難計画、防災計画と整合がとられない、準備が整わない段階での再稼働はありえない」と発言しているのです。審査申請提出後に記者会見した東電の姉川常務も、「防災計画について十分な準備が整っているというのが、再稼働の必要な重要条件。地元自治体と協議を重ね、十分安全性、安心が得られるように努力をして、そのうえでの話だ」と述べています。その意味では東電の刈羽・柏崎原発は他の電力会社に比べても「実効性のある避難計画がなければ再稼働を認めない」という日本一厳しい条件を要求する原発立地自治体なのです。もちろんその理由は東電が「住民の避難や生命を最優先に考えている」からなどではなく、新潟県知事の了承を得ることができないと実際には運転できないという現実が横たわっているからなのです。
そういった意味では新潟県民はすばらしい知事を選挙で選んだことによって、原発事故を二度と起こしてはならないというまともな知事によって県民の安全が確保されているのでしょう。それに比べて、「早く再稼働をしてほしい」と首長の方からお願いするような伊藤鹿児島県知事や薩摩川内市長や玄海町長などのような「県民や市民の生命など金に比べたらどれほどの価値もない」と思っているような首長の住民は不幸です。とは言っても日本のトップはどんなポンコツの原発でヨーロッパに比べたら月とすっぽんほどのひどい規制しなかい日本の規制基準を「世界最高の安全基準だ」と言っているような首相しかいないのですから、新潟が特別なのかもしれません。

泉田知事による規制庁への要望書はあまりにもまともすぎる内容

8月24日に全国知事会・防災委員長という肩書きで、初めて泉田知事は田中委員長との面会が実現したのです。これまで、泉田知事は311以後にできた規制委員会の田中委員長に対して「原発立地知事の声を規制庁は直接聞くべきだ」と訴えて来ましたが、3年ぶりに初めて会談が実現したのです。そして約30分の会談には全国知事会・防災委員長名の「要望書」を田中委員長へ提出しました。そして、泉田氏から内容の説明と田中委員長のコメントがあったのですが、田中委員長の歯切れの悪いいいかたといい、いやいや会っていると言う雰囲気が態度からプンプン分かりました。
最初に泉田氏が指摘したことは「日本の法律では災害対策基本法と原子力災害特別措置法がそれぞれ別立てになっているためにうまく機能しない例があるというのです。例えば地震と原発事故などが起きた場合、原子力災害特別措置法は国の権限で避難指示が出されるが、災害対策基本法では自治体の長が指示をだすので、指示がばらばらにでることがあり得るのではないか。だから一本化して指示を出すような仕組みに法律を整備すべきだ」という意見を言ってました。
次に泉田氏が求めたものは安定ヨウ素剤の配布方法についての問題の指摘です。内閣府は事故によって放射能の実数値によって、風向きを配慮しながら安定ヨウ素剤を配布するという計画だが、それでは被曝した後に薬を服用することになるし、実際に何万人もの人に事故の後に配布するなどできないという指摘をしています。また、スピーディーを内閣府は使わないと言っているが、ぜひ使えるように改善してほしいと訴えていました。この問題は福島事故で起きた大きな問題なのですが、全く改善されないまま再稼働が始まろうとしているのです。
また泉田知事は、事故時の救援従事者の被曝許容を250ミリシーベルトと決めたようだが、誰がその任務に就くのか。法的な根拠がないではないかと指摘しています。誰も自ら進んで被曝したい人間は居ません。「事故時には誰が被曝を受けながらも任務を遂行するのかという法的根拠を作る必要があるのです。それらを規制庁の権限で、関係省庁へ勧告権を行使してほしい」と要望していました。
最後に泉田知事は「このような各県知事の意見を定期的に聴取するような場をもうけてほしい」と要望して30分間の対話は終わりました。「泉田知事のような正常な問題意識を持った首長が全国にいれば、そう簡単に再稼働などできないだろうになあ」とつくづく感じました。
新潟県の柏崎刈羽原発は「30キロ圏内の自治体の同意を取って、避難計画ができなければ再稼働はしない」と東電は言っているにもかかわらず、九電も四電も30キロ圏内の全自治体の同意は不要といい、鹿児島県知事は「30キロ圏内の要支援者全員の避難などできっこない10キロ圏内で十分」とうそぶいて知らん顔。なぜ東電がやって四電や九電はできないのか。電事連は今まで何でも足並みを揃えてやってきたのに、国民の生命にとって一番重要な手続きに何でこんなばらつきがあるのか。東電管内の住民の生命は尊重されて、それ以外の住民の生命は尊重されないのか。その矛盾を徹底して国や四電や九電や関電に追及しよう。そして、誰でもどこでも、せめて東電並みの安全基準を要求しよう。
泉田知事は住民の生命を守るために先頭に立ってガンバってください。


全国知事会危機管理・防災特別委員会委員長が来訪 (平成27年8月24日)
https://www.youtube.com/watch?v=Zm2sJsEIBI0





泉田知事と初会談 狼狽する田中・原子力規制委員長
田中龍作
ジャーナル2015年08月24日 17:15
http://tanakaryusaku.jp/2015/08/00011824


 一番会いたくない相手と とうとう 会うハメになった―

 原子力規制委員会の田中俊一委員長が、きょう、泉田裕彦氏と会談した。新潟県知事ではなく全国知事会・防災委員長(※)としての泉田氏とである。

 泉田知事は「住民の避難対策が不十分なままの原発再稼働はありえない」として田中委員長に面談を求めていた。原子力規制庁の発足直後からだから3年越しとなる。
 しかし田中委員長は、避難対策は自治体が決めること、として面談を断り続けてきた。
 経産省資源エネルギー庁出身で、原子力行政の手の内を知る泉田知事は手強い。田中委員長は逃げていたのだ。
 きょうの会談でも攻める泉田知事に対して田中委員長は防戦一方だった。泉田知事はヨウ素剤の配布、SPEEDIの公開など避難にあたって必要なものを求めた。田中委員長からは明確な答えが返って来なかった。
 田中委員長はノラリクラリとかわせるものとタカをくくっていたのだろうが、そうは問屋が卸さなかった。3年間、業を煮やし続けた知事が強烈なアッパーカットを見舞ったのだ―
 泉田:「田中委員長が『原子力避難計画を作ること自体は規制庁の仕事ではない』と発言したと承知している…(中略)…山谷(えり子・防災担当)大臣からも望月(義夫・原子力防災担当)大臣からも『(それは)規制庁の仕事なのでお伝えしておきます』言われている。このあたりの仕事は規制庁の仕事と考えてよろしいか?」
 田中:「いや、必ずしも私がここで一存で決められることではないので、検討させて頂く・・・」
 泉田:「(緊急時の避難作業において労働安全法と原子力災害対策指針との法整備が必要なので)勧告権の行使をしていただけないでしょうか?」
 田中:「いや、勧告権というのは、法的には私ども持っていますけど、やたらとそれなりに意味のある勧告でないと。勧告したけれども、勧告しただけでは私としても本意ではない」。
 田中委員長の答えは理屈になっていなかった。声はふるえ、時おり吃った。手は机の上でバタバタと躍った。明らかに狼狽していた。
 田中委員長にとっては途方もなく長い30分間だった。面談の後、泉田知事だけが、ぶら下がり記者会見に応じた。
 「勧告権をなぜ使わないのか、相変わらず分からなかった。必要なものは各省庁に勧告権を行使してほしい」。泉田知事は田中委員長の消極的な姿勢を批判した。
田中委員長は「(弾道ミサイルが原発を直撃するケースは)規制にない」と答えていた。参考人席・最前列中央が田中委員長。=7月29日、参院安保特委 写真:山本太郎事務所=
田中委員長は「(弾道ミサイルが原発を直撃するケースは)規制にない」と答えていた。参考人席・最前列中央が田中委員長。=7月29日、参院安保特委 写真:山本太郎事務所=
 筆者は質問した―「田中委員長の姿勢からは、原発を動かすことの危機感、万が一の事故があった時の危機感が感じられたか?」と
 泉田知事は次のように答えた―

 「規制委員会のミッションは何なのか? 制度設計をした際に規制委員会の果たすべき役割は国民の生命・安全を守ること。(なのに)住民目線というところのお話が必ずしも伝わってこなかったなというのが印象だった」
 「住民の健康を守るという視点で何が必要か、まず勧告を出すという姿勢がないと。政府から独立して勧告を出すという本来の役割が果たせないんじゃないか。規制委員会は独自の立場で言えるという事でないと保安院時代と変わらない」。
 7月29日、山本太郎議員が国会で弾道ミサイルが原発を直撃した場合の被害を質問したところ、田中委員長は「(そうしたことは)規制にない」と答弁した。この問題について筆者は知事に聞いた。

 泉田知事が明快に答えた―

 「政府部内を規制委員会がしっかり統括するしくみができていない。原発が攻撃されたらどうなるかという被害想定を外務省が過去やっている。内部文書も存在している」
 「田中委員長が知らないということであれば、日本の原発の安全性の確保というのは、一体どうなっているのか?」
 住民の安全を第一に考える泉田知事と見切り発車で原発を再稼働させた田中委員長の初顔合わせ。この会談で原子力行政のいい加減さがモロバレになったことは、じつに“有意義”だった。
by nonukes | 2015-08-26 15:21 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

  小坂正則