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小坂正則の個人ブログ

バッテリーの性能向上と低価格化で再エネ100%社会実現に一歩近づいた

バッテリーの性能向上と低価格化で再エネ100%社会実現に一歩近づいた

小坂正則
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写真の真ん中の壁に掛かっているのが家庭用バッテリー
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バッテリーの性能と低価格化は加速度的に進んでいる

米電気自動車メーカー最大手のテスラモーターが低価格の家庭用バッテリーを販売

米国最大手のテスラーモーターという電気自動車メーカーが電気自動車搭載のバッテリー技術を応用して、家庭用バッテリー販売の発表が世界中で話題になっています。
テスラと言えば高級電気自動車の販売で有名です。数千万円もする高級車を作っている会社が太陽光発電のある一般家庭で、昼間の電気を電池に貯めて置いて、その電気を一日中使うというシステムです。それが格安で実現できたら、オフグリット(電力会社の電線を無くしてしまう)ことが可能になるからです。
家庭用バッテリーは2011年311事故以後、停電時のために日本でも各社が販売しています。当初は1台あたり400万円くらいしていたのが、現在では東芝のバッテリー6.6キロワット時で137万円(補助金50万円を引くと87万円)まで下がっています。それも画期的な値下がりなのですが、テスラは7キロワット時のモデルは3千ドル(約36万円)で、10キロワット時のモデルが3500ドル(約42万円)と、日本製の半値以下の価格で提供するそうなのです。
何でこれほどバッテリー価格の値下がりが重要かというと、「容量10キロワット時2千ドルが蓄電池が爆発的に普及する目安とされている」(日経新聞2015年5月1日)と言われている価格へ一歩近づいたのです。それに太陽光発電も1kw当たり20万円になれば爆発的に普及するとよく言われていますが、太陽光発電とバッテリーがそろったら、原発の電気など買わずに、オフグリットで生活するのが当たり前になる日が間近に来たのです。
一般家庭の平均電力消費は3.3kwあればいいと言われています。その太陽光発電の工事費が1kw20万円(現状では30まん円位します)なら、約70万円です。それにバッテリーが36万円なら合わせて100万円で独立電力で生活出来るようになるのです。しかも1kwh当たり24円で電力会社から買っている電気代が年間8万円から10万円として、その分が太陽光発電3.3kwでは年間3600kwh発電するとして、買電価格が1kwh24円で、86400円になります。それが12年で1,036,800円ですから、オフグリット生活は12年でペイするのです。現行の太陽光の価格は3.3kwで約100万円ですから、それにバッテリーを入れると、136万円です。すると、ペイできるまでには16年かかります。それでもたくさの方が購入する可能性があります。

太陽光とバッテリーの低価格化は再エネ普及の決め手

「原発の電気はいりません」という、オフグリットの快適生活を望む人が出てくる可能性だけをここで私は取り上げるつもりはありません。だって、マンション住まいの方や、アパート住まいの方には関係ないことですよね。社会全体の問題としてこの2つが安くなることには、もっと重要な意味があるのです。
5月連休中に日本で初めて、太陽光発電の買い取り規制が行われました。種子島のメガソーラーを5月5日の9時から16時まで送電停止したそうです。これは30日ルールという制度で、500kw以上の大型施設では現状でも年間30日は送電停止させてもいい法律なのです。その間は太陽光の電気は無駄に捨ててしまうのです。これまで電力会社も政府も太陽光発電ばかりが増えては電力の安定供給が出来ないので、これ以上の太陽光は増やせませんと言っています。太陽光や風力はお天気次第で雨の日や曇りの日は太陽光は発電しないから、全体の10%そこそこしか導入できないと言っているのです。しかし、テスラのバッテリーの産業用も価格破壊の金額です。電気自動車ニュースの5月1日号によると、
「東北電力の西仙台変電所の大型蓄電池システムが2万kWhなので、PowerPack 200基分。これ全体で、電池だけですが8億4千万円しかかかりません(1kWhあたり350米ドル、4.2万円)。ちなみに、この西仙台変電所蓄電設備の受注額は約100億円。テスラ+パナソニックの技術を使えば、もっと下げられる。」というのです。100億の施設が仮に10億円としても設置コストは1/10になるのです。種子島のように太陽光の系統連係を切られても、その分をバッテリーに蓄電しておけば、後で売電できます。つまり、再生可能エネルギーをベース電源として使う方法の1つが、このバッテリーの低価格化と性能向上で実現できる日が大きく近づいて来たのです。

バッテリーの性能向上と低価格化は社会構造を大きく変化させる

日産と三菱がどちらも2010年から発売した電気自動車は5年経った現在では、なかなか苦戦を強いられているようで、町中ではほとんど見かけないし、充電スタンドが少ないなどの問題から、日本では電気自動車が急激に普及するようには思えません。
電気自動車の生命線はバッテリー技術の向上にあります。電気自動車の販売価格の半分がバッテリー代だと言われているからです。日産リーフが現在、約300万円で、そのうちバッテリー代が150万円ということになります。補助金が78万円ほどでるようですから、実質購入価格は2014年で226万円だそうです。
そして電気自動車の大きな問題に走行距離の短さがあります。リーフで200kmだそうですから、福岡から由布院へ遊びに来るとしたら、行きで130キロですから、帰りはどこかで充電しなければ帰り着きません。しかし、充電スタンドは限られていますから、実際にはセカンドカーとして買い物など短距離の街乗りにしか使われていないのです。
バッテリー価格が半額になったら2倍のバッテリーを載せれば400km走行できるのでいいかもっしれませんが、実際には重さと容量が限られているので、そんなにドンドンバッテリーは載せられないのです。だから、性能向上と価格低下が同時に行われなければならないのです。
さて、リーフのバッテリー価格が半額になって、性能が2倍になれば走行距離は4倍です。現行のバッテリーは24kwhの性能だそうですから、価格が半分で性能が2倍になったら、50kwhのバッテリーですから、これを普段は備蓄用に使うことだって出来るのです。そして、バッテリーの価格は半分の75万円ですが、その時点で補助金は廃止されるでしょうから、実質の購入価格は変化しないかもしれません。しかし、200万円で買っても、400km走れば、爆発的に普及することでしょう。つまり、電気自動車の性能向上が再生可能エネルギーの普及につながり、再エネ用バッテリーの普及が今度は電気自動車の普及にもフィードバックしてくるという相乗効果が期待できるのです。

原発や化石燃料大量消費社会から再生可能な社会へは後戻りできない

安倍政権は「日本を取り戻す」と言って、戦前の軍国主義国家への逆戻りを目指しているようです。エネルギー社会も原発などダーティーな化石エネルギー社会をいつまでも続けたいようですが、残念ながら、社会の技術革新のスピードは誰がブレーキをかけようと企んでも無理です。国内の産業構造なら政治的にある程度は可能かもしれませんが、世界中で繰り広げられている技術のイノベーションにストップをかけることは不可能です。
軍事利用などの世界でも技術革新が進んで無人攻撃機がどんどん出来ていて、戦争兵器も2030年代には無人化が進むと言われています。こっちは困ったものですが、エネルギー関係のイノベーションの発展は原子力など不要な社会がもう目前です。
限りなくゼロミッション社会(ゴミゼロ社会)へ人類は近づいていると私は思います。
テスラは自動車産業だけではなく、これからは再生可能エネルギーが普及するためにはバッテリーの需要が爆発的に伸びると考えたのです。そのテスラを支えているのはナショナルとか松下電器と言っていたパナソニックという日本の技術者なのです。パナソニックに吸収合併された三洋電機の社員のみなさんなどの努力でテスラへ電池を供給しているのです。産業界も決して悪いことばかりをやっているわけではありません。東芝も早く原発から撤退してパナソニックのような民生用家電や再生可能エネルギーで世界をリードすべきです。原発などに関わらずに民生用家電で世界をリードするパナソニック頑張れ。



テスラ、据え置き型蓄電池参入 他社製品の半額以下
2015/5/1 日経新聞

【ホーソーン(米カリフォルニア州)=兼松雄一郎】米電気自動車(EV)メーカー、テスラモーターズは4月30日、家庭やビル、大規模な太陽光発電所などで使える据え置き型の蓄電池を8月にも発売すると発表した。EV向けにリチウムイオン電池を量産してきた経験を生かし、価格を他社製品の半額以下に抑える。この分野で先行してきた日本勢にとって大きな脅威となりそうだ。
米ロサンゼルス近郊のホーソーン空港で会見を開いた。家庭向けと、太陽光発電やビルの非常電源など業務用のリチウムイオン蓄電池を投入する。
最大の売り物は価格だ。家庭向けは、一般家庭の1日の消費電力を賄える容量10キロワット時のモデルで、3500ドル(約42万円)。7キロワット時のモデルは3千ドル(約36万円)。米国では業界の標準的な製品の半分以下の価格となる。流線形のデザインで、赤、黒、白、灰色など色も選べる。最低10年、最大で20年まで延長できる保証もつける。
価格はこの分野に力を入れる日本勢と比べても大幅に割安だ。例えば東芝の製品は容量6.6キロワット時で137万円(補助金制度上の基準価格)。国からの補助金の約50万円を差し引いても、テスラの蓄電池は半値以下となる。

同社が低価格化できるのはEV向けに蓄電池を量産してきた経験が豊富だからだ。容量10キロワット時2千ドルが蓄電池が爆発的に普及する目安とされるが、この水準に近づいた。EV向けで進んできた価格下落が据え置き型でも広がる可能性が出てきた。
同時に発表した太陽光発電やビルの非常電源など業務用の100キロワット時のモデルは、既に電力会社から受注済みという。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「持続可能なエネルギー社会に向け、欠けていたピースが埋まる」と語り、太陽光発電など再生可能エネルギーの普及を後押しする商品だと強調した。
当面は車載用電池のサプライヤーであるパナソニックの技術を土台に米カリフォルニア州フリーモント市の工場で製造し、今夏の米国向けを皮切りに日本など世界で順次販売していく。6千億円を投じ、米国内でパナソニックと共同建設中の工場が稼働し始める来年以降、生産ペースを上げる。2020年のフル稼働時には、3分の2を自動車向けに、残りの3分の1を据え置き型の蓄電池や他社への販売分とする。
調査会社の富士経済(東京・中央)によると、13年の世界の据え置き型蓄電池市場は593億円だった。20年までに家庭用が約5倍、電力系統向けが10倍に増え、市場規模は3906億円まで拡大すると予測している。カリフォルニア州では24年までに電力会社向けだけで家庭100万軒分の電力消費量、原発1.3基分に相当する需要が見込まれる。
拡大する市場で東芝やNECなど日本メーカーも国内外での受注拡大を狙うが、価格面でテスラが強力なライバルとなりそうだ。
by nonukes | 2015-05-09 17:00 | 脱原発大分ネットワーク | Comments(0)

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