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小坂正則の個人ブログ

原発はテロ攻撃に最も脆弱な施設だというのに国はテロ対策を何も準備していない

原発はテロ攻撃に最も脆弱な施設だというのに国はテロ対策を何も準備していない
小坂正則
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今日の東京新聞朝刊1面トップの記事が「被ばく死 最悪1.8万人 原発攻撃被害 84年に極秘研究」という紙面でした。そのニュースを今夜の報道ステーションが伝えていました。東京新聞の内容が下にある通りなのですが、これまで私たちもテロ攻撃の可能性についてそんなに問題視してこなかったことがあります。
その理由は大きく言って2つあると思われます。原発へのテロ攻撃を問題にすると、攻撃に対して防衛しなければならないという理由で、情報公開が行われなくなる可能性があるなど、政府や電力会社がそれでなくてもプルトニウムの扱いなどを秘密にしたがる中で、どんどん情報隠しが進む可能性があるからです。もう1つは北朝鮮が攻撃する可能性があるなどが最も現実的なテロの可能性として想定されることになるのでしょうが、北朝鮮のテロ攻撃という想定は日本の自衛隊などの軍備増強に利用されるだけだからです。また、北朝鮮国家を一方的に悪者扱いすることはネトウヨなどの思う壺にはまるからでしょう。
しかし、安倍政権の歯止めなき軍備増強路線の中で、テロの可能性に言及するしないに関わらず、仮想敵国への反撃や集団的自衛権の行使を進める安倍政権の防衛方針の中になぜ「原発テロの備えがないのか」ということは、今日では安倍政権の安全保障政策の大きな矛盾として取り上げるべきなのかもしれませんね。だから今回の東京新聞の記事から「原発へのテロ攻撃の可能性」を考えてみることもいい機会なのかもしれません。

なぜイスラエルに原発が1基も存在しないのか

私の世界で最も嫌いな政府(もう一つは米国政府です。決して両国の国民が嫌いなわけではありませ)の1つである、イスラエル政府には原子力発電所がありません。なぜなら、原発へミサイル攻撃されて、全電源喪失したら、核攻撃を受けるのと同じか、もっと大規模な核被害が起こるからです。アメリカの原子力防災には飛行機の墜落にも耐える格納容器の安全性が原発の運転時には求められています。それは飛行機事故を想定しているというよりもテロ攻撃に備えるためです。特に2001年911事件以後、その恐怖が現実的になったからと言われています。
しかし、なぜ日本は仮想的国の中国やロシアや北朝鮮の目の前の日本海の若狭湾や新潟などに「原発を攻撃してください」と言わんばかりに、日本海の周辺海岸に原発を集中的に建てているのでしょうか。それらの国との間で戦争にでもなったら、敵国は真っ先に原発へミサイル攻撃するでしょう。つまり、これまでの自民党政府は、仮想敵国への攻撃に備えて軍備増強して来ましたが、本当は「仮想敵国が日本を攻撃する」などという絵空事は「あり得ない」と本音ではそう思っていたのです。だって、本当に戦争に備えるなら、真っ先にその準備を行うことこそ日本防衛の第一条件だからです。相手国が日本の原発をねらい打ちすれば日本は甚大な核被害を被るのですから、真っ先にミサイル攻撃目標をなくすべきなのです。
つまり、原発を推進する人々は「日本が戦争に巻き込まれることなど決してない」と本心からそう思っているのでしょう。それはそれで、いいことかもしれませんね。それなら世界で4番目の軍備を持つ必要などないのです。

北の脅威に備えるなら一刻も早く原発をやめるべき
北の脅威は絵空事と認めるなら、防衛費を大幅削減すべき


私は以前、311以後の九電交渉で、九電社員が消防自動車を配備したり、バッテリーを増強したりという説明と一緒に、テロへの備えとして、銃を持ったガードマンが警備に当たっているという話を聞きました。そこで私は質問しました。それじゃあ海の警備はどうなってるんですかと。すると海は海上保安庁が定期的に巡回していますといいました。私はそれじゃあ深夜に北の工作員が乗り込んだら海上保安庁は対応できるのですか。また、テポドンやノドンが攻撃してきたら地対空攻撃ミサイルなどで自衛隊は備えているのですかと聞きました。そしたら九電の担当者は笑って、それは無理ですと答えました。私は「やるんならそこまでやらなければテロ対策にはなりませんよ」といいましたが、政府は実際にはテロ攻撃など全く想定していないのです。
防衛庁の日本本土決戦を想定した軍事機密の作戦計画があったそうです。その戦争計画の中にも全く原発への攻撃が想定されていなかったそうです。だからこの国のお役人は全く脳天気なのです。
それだけではありません。やがて必ずやってくると言われている東海地震や南海トラフ地震の被害想定などが出されますが、大変不思議なことにその被害想定の中に原発震災の被害想定が全くないのです。なぜなら、「もし、東海地震で浜岡原発がメルトダウンして放射能漏れ事故が起こることを想定したら、反原発派の絶好の攻撃材料になるから、被害想定してはならない」とでもいう理由で想定の中から外しているのでしょう。だから日本の役人というのは、自己保身のためなら災害も自分たちに都合のいいように起こってくれると考えているのでしょう。
彼らにとっては「安全神話」によって福島原発事故が起こったにも関わらずいまだに「安全神話」に寄りすがって、テロ攻撃も原発震災も決して日本では起きないように神様にお祈りでもしているのでしょう。こんな間抜けな官僚や政治家に任せていてはこの国は奈落の底に向かって突き進むだけです。




被ばく死 最悪1.8万人 原発攻撃被害 84年に極秘研究
2015年4月8日 東京新聞 朝刊


 国内の原発が戦争やテロなどで攻撃を受けた場合の被害予測を、外務省が一九八四(昭和五十九)年、極秘に研究していたことが分かった。原子炉格納容器が破壊され、大量の放射性物質が漏れ出した場合、最悪のシナリオとして急性被ばくで一万八千人が亡くなり、原発の約八十六キロ圏が居住不能になると試算していた。研究では東京電力福島第一原発事故と同じ全電源喪失も想定していたが、反原発運動が広がることを懸念し公表されなかった。 
 八一年にイスラエル軍がイラクの原子力施設を空爆したことを受け、外務省国際連合局軍縮課が外郭団体の日本国際問題研究所(東京)に研究委託。成果は「原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考察」と題した六十三ページの報告書にまとめられ、本紙が情報公開を通じてコピーを入手した。
 報告書は出力百万キロワット級の原発が攻撃されたと仮定。原発の場所は特定せず、(1)送電線や発電所内の非常用発電機がすべて破壊され、すべての電源を失う(2)原子炉格納容器が爆撃され、電気系統と冷却機能を失う(3)格納容器内部の原子炉が直接破壊され、高濃度な放射性物質を含む核燃料棒などが飛散する-の三つのシナリオで検証した。
 このうち、具体的な被害が示されたのは(2)の格納容器破壊のみ。当時、米国立研究所が米原子力規制委員会(NRC)に提出した最新の研究論文を参考に、日本の原発周辺人口を考慮して試算した。
 それによると、緊急避難しない場合、放射性物質が都市部など人口密集地に飛来する最悪のケースでは一万八千人が急性被ばくで死亡。ただ、被害は風向きや天候で大きく変わるとして、平均では三千六百人の死亡になると試算した。五時間以内に避難した場合は最悪八千二百人、平均八百三十人が亡くなるという。急性死亡が現れる範囲について、報告書は「十五~二十五キロを超えることはない」と記述している。
 長期的影響としては、放射性物質セシウムなどで土壌汚染が深刻化すると指摘。農業や居住など土地利用が制限される地域は原発から最大で八六・九キロ、平均で三〇・六キロにまで及ぶとしている。
 最も被害が大きい(3)の原子炉破壊については「さらに過酷な事態になる恐れは大きいが、詳しい分析は容易ではない」と紹介。福島原発事故と同じ(1)の全電源喪失では、実際に起きた水素爆発の可能性に触れ「被害が拡大する危険性がある」と指摘しており、報告書が公表されていれば、事故の未然防止や住民避難に役立った可能性がある。
 八〇年代は、七〇年代の二度にわたる石油危機を受け、国は原発建設を積極的に推進。国内の原発十六基が運転を始めた。軍事攻撃が想定とはいえ、原子炉に重大な損害が生じれば深刻な被害が及ぶとのシナリオは世論の不安を呼び、国の原子力政策に水を差す可能性があった。報告書にも「反原発運動などへの影響」などと、神経をとがらせていたことをうかがわせる記述がある。
 原子力資料情報室の伴英幸・共同代表は報告書の存在を「知らなかった」とした上で「反対運動を理由にした非公開ならとても納得できない。テロの脅威が高まる中、原発のリスクを国民にもっと知らせるべきだ」と話している。
◆公表する理由がない
 外務省軍備管理軍縮課の話 報告書は保存されているが、作成部数や配布先など詳しい経緯は分からない。今後、公表の予定はない。積極的に公表する理由がない。
◆原発攻撃被害報告書 「福島」に生かされず
 軍事攻撃による原発の放射能被害を予測していた外務省の報告書。水素爆発した福島第一原発事故は地震と津波が引き金とはいえ、報告書が指摘していた「全電源喪失」の危機がシナリオ通りに再現された。三十年も前から原発の潜在的な危険性を知りながら、反原発運動の広がりを恐れて公表を控えた外務省。原発推進を掲げた当時の国策の下で、都合の悪い情報をひた隠しにする官僚の隠蔽(いんぺい)体質が浮かび上がる。 (斎藤雄介)
 「限定配布の部内資料(『取扱注意』なるも実質的に部外秘)」「外務省の公式見解でないことを念のため申し添える」…。高度な秘密性を裏付けるように、報告書には当時の国際連合局軍縮課長が書いた「ことわりがき」が添えてある。
 当時、同局の審議官だった元外交官の遠藤哲也氏(80)は本紙の取材に「記憶が確かではない」としながらも「ショッキングな内容なので(非公表に)せざるを得なかったでしょうね」と話した。同氏によると、一般的に部内資料は省外への持ち出しが禁止されており、報告書が官邸や原子力委員会などに配布されていなかった可能性が高い。
 作成された二年後の一九八六(昭和六十一)年には旧ソ連・チェルノブイリ原発事故が起きたが、その時ですら報告書の公表はなく、原発の安全対策に生かされることはなかった。
 当時は米ソが核兵器の開発を競う冷戦時代。科学技術史が専門の吉岡斉・九州大教授(61)は原発の軍事攻撃を想定した報告書が公表されれば「国民の間で核兵器と原発が一体的に連想されることを心配したのではないか」と推測する。
 「国家と秘密 隠される公文書」(集英社新書)の共著者で、歴史学者の久保亨・信州大教授(62)も「原子力は、軍事に転用できる技術の最たるもの」と指摘する。久保教授が懸念するのは昨年十二月に施行された特定秘密保護法。安全保障やテロ対策などを理由に原発に関する情報が一段と制限され「闇から闇へ葬られかねない」と懸念を示している。
by nonukes | 2015-04-09 13:18 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

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