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小坂正則の個人ブログ

天然ガスパイプライン敷設はエネルギー革命を引き起こす

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天然ガスパイプライン敷設はエネルギー革命を引き起こす
小坂正則

10月15日の日経新聞に「 ロシアが日ロ間にガス管建設提案」という下記の記事が載っていました。ロシアから北海道を通って日本へ天然ガスパイプラインを引こうという提案です。これまで何度となく「サハリン北海道パイプライン計画」の話は出ては消えてきた話です。なぜ幻のパイプライン構想なのかというと、どうもこの話には米国の影がちらついてくるからです。鈴木宗男氏が政治家のころ、彼が訴えていた構想なのですが、外務省の中に北方領土2島先行返還論を潰したのも米国だったという説もあるからです。北方領土2島返還論を米国と親米派の外務省官僚が潰したと言う話は孫崎亨さんの「戦後史の正体」を読んでもらえればよく分かることです。戦後日本の政治家と官僚にはCIAによってコントロールされてきた歴史があるのですが、2島返還によりソ連と日本の関係が改善されることは、米国にとって非常に迷惑な話だったからです。日ソがいがみ合うことが米国にとっては、日本を従属国にしておくためには必要条件だったのです。それは今でも続けられています。韓国・中国と日本がいがみ合うことは米国にとっては好都合なことなのです。米国は双方の国にいい顔が出来るからです。これらの話は元外務相の官僚の孫崎さんの説ですから、それが全て正しいかどうかは分かりません。このような説があるということと、非常に論理的で「米国による日本統治」の理にかなっていると私は思います。
しかし、ロシアはウクライナ問題により西側諸国から孤立状態で、EUに送っている天然ガスの売り上げが減っています。そこで、世界一の需要国の日本に天然ガスを売り込んめば、EUを牽制出来るし、アメリカのシュールガスにより、天然ガス価格が大きく値崩れを起こしている現状に対して、世界のシェアを多く持つことで天然ガスの価格決定力を有利にしたいという思惑もあるのです。

ロシアの天然ガスパイプラインを引くことの意味は大きい

これまで日本は中東やロシアから天然ガスを現地で液化してタンカーで運んできていました。しかし、そのためEUや米国の天然ガス価格の2倍ほどのコストがかかっていたのです。その費用は年間7兆円(2013年度)です。価格も100万BTUあたりEUが約10ドルに比べて日本は17ドルと7割もコストがかかっているのです。もし、UEの価格で天然ガスを購入できたら年間3兆円も燃料コストが安くなるのです。それどころかEUに比べて天然ガスパイプラインの敷設距離は半分以下で済みますのでEUよりも安く購入できるでしょう。ただ、問題はロシアに極端に依存した場合、この国は足下を見て、値上げしてくることが考えられますので、全てをロシアに依存することは危険ですが半分を購入することなどは大いに考えられるでしょう。
そして、ロシアから天然ガスを輸入する大きな意味は、天然ガス発電コストが現在、9円から10円ですが、これが6円から7円に下がるのです。原子力が8.9円という国のいう価格に比べても大幅な低減価格で発電できるようになるのです。また、今日ガスコンバインドサイクル発電は62%という発電効率を達成していますので、この発電所ではもっと発電コストは下がるでしょう。また、コージェネを利用して需要のある場所で発電と熱を両方利用すれば発電コストはもっと下がり、1kwあたり5円なども決して夢ではありません。そうなればますます既存の電力会社は原発を動かす根拠がなくなってしまうでしょうし、電力販売競争に負けてしまうからです。なぜなら、これまでガス単体を売っていたガス会社がコージョネ発電を始めて、コストの安いガスを使って電力と熱を一緒に売ることが出来て電力会社への大きな驚異となるのです。

食糧・エネルギー安保は国防に勝るとも劣らない重要な安全保障


安倍首相は米軍払い下げのP3Cを数千億円も出して購入したり、欠陥ヘリのオスプレイを買ったりして集団的自衛権の行使が出来ると憲法の解釈改憲で自衛隊の武装強化に積極的ですが、国を守るということは武力だけでは守れません。国民の安全はまず第一に食糧の確保とエネルギーの確保です。その次に防衛力の確保でしょう。しかし、日本政府や経済界はTPPで日本の農業を米国に売り渡そうとしたり、米国のシェールガスに大いに依存しようとしています。フランスやドイツが農業を重視するのは食糧の安全保障を考えているからです。国家間の緊張が起こったら、まず最初に農産物とエネルギーの輸出がストップするからです。戦争はその後です。日本の農業受給率39%と言われていますが、農業を支える肥料の大半が輸入に頼っているという問題などもあるのです。
そしてエネルギー安全保障についてですが、ロシアから天然ガスのパイプラインで輸入するという案は米国依存のエネルギー政策から抜け出す意味でも重要です。ただ、ロシアをどこまで信用するかとい問題も含めて、出来るだけ多くの国から輸入できる体制を残しておくことも重要なことです。
そして国内での再エネの使用率を高めていけば化石エネルギーの削減につながり、海外に逃げ出していたエネルギー支出の円が国内で回るようになり、それによって地域に新たな雇用が生まれ、最終的にはエネルギー安全保障にもつながるのです。





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ロシア、日ロ間にガス管建設提案 宗谷海峡経由で
2014/10/15 日本経済新聞 

 【モスクワ=田中孝幸】ロシア政府がサハリンと北海道をつなぐ天然ガスパイプラインの建設を日本側に提案していることが明らかになった。欧米の対ロ制裁が強まる中、日本との経済関係の拡大を目指すプーチン政権のアジア戦略の一環だ。実現すれば日本と他国を結ぶ初のパイプラインとなる。日本政府は外交面の影響も見極めて対応を決める方針だ。
 複数の日ロ外交筋によるとロシア政府は9月、ガス資源が豊富なサハリンと北海道との間の宗谷海峡を経由する海底パイプラインの建設を日本側に提案した。11月10~11日のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の際に予定される日ロ首脳会談の議題となる可能性があるという。
ロシアがパイプライン建設を提案した背景には日本に安価なガス供給をちらつかせ、ウクライナ問題を巡る先進7カ国(G7)の対ロ包囲網を切り崩す狙いがある。
ただ日本側にはウクライナ問題で米国とロシアの関係が悪化する中、新規のエネルギー協力に乗り出すことに慎重論もある。外務省幹部は「実施の可否はウクライナ問題や北方領土交渉の進展に左右される」と語る。
by nonukes | 2014-10-16 01:57 | 電力自由化 | Comments(0)

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