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小坂正則の個人ブログ

安倍政権が繰り広げる茶番劇「川内原発避難計画」を国が了承

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安倍政権が繰り広げる茶番劇「川内原発避難計画」を国が了承
小坂正則

9月10日に原子力規制委員会が川内原発の再稼働を認めたら、手回しよく、12日には小渕経産大臣名で「川内原発の再稼働を政府の責任で進める」とした文書を鹿児島県と薩摩川内市に渡したそうです。その文書をもらった伊藤祐一郎知事は、「政府方針は高く評価しできる」と発言。また、薩摩川内市役所で受け取った岩切秀雄市長も「安全性に国が責任を持つことが確認できた」と語り、県、市とも、住民説明会など地元同意の手続きを加速させる予定。
また、東京で12日開催された安倍種首相も参加した政府の原子力防災会議で薩摩川内市などの川内原発事故時の避難計画を「避難計画は問題なし」と了承したといいます。このように政府及び原発立地自治体の鹿児島県と薩摩川内市は首を長くして待っていた「川内原発再稼働」がいよいよ間近に迫ったという喜びで笑みを浮かべた両首長の会見でした。

鹿児島県や川内市が作った避難計画はアリバイ的な計画

鹿児島県が指導して薩摩川内市や串木野市などが作ったとされる避難計画を安倍政権は「全く問題ない完璧な避難計画」であるかのように、「お墨付き」を与えて、これで周辺住民の不安も払拭されて、多くの国民も安心して再稼働を支持してくれると考えているのでしょうか。この避難計画なるものは余りにもずさんで、ちょっと深く考えれば、欠陥だらけのものだということは一目瞭然なのです。
たとえば川内原発で全電源喪失のような大事故が起こったら、まずは5キロ圏内の住民5千人を即座に避難させるとしています。しかし、5キロ圏内の病院や老人施設に独居老人で介護の必要な人びと約1200人を市がチャーターしたバスや周辺住民の自家用車に便乗して市内の30キロ圏外へ一時避難するという計画。そのためにはバスが110台必要だが、そのバスの目処は立っていないのでこれからバス会社などへ要請していくという。
そして5キロから30キロの住民は屋内待機してもらい、空間線量が20マイクロシーベルトになった時点で避難を始めるという計画です。しかし、薩摩川内市だけで9万人の住民が対象で、その中には移動が困難な寝たりきり老人や要介護者などは屋内待機してもらい、その中の10キロ圏内の住民だけを1週間の間で避難を行うというものです。「10キロから30キロ圏内の要援護者の避難は現実的ではない」と鹿児島県知事は計画を作ることさえ放棄した発言を行っているのです。

5キロから30キロの住民は事故が起こっても逃げずに屋内にとどまっているのか

ここで大きな問題の1つが事故が起こって、5キロ圏内の住民が避難を始めたら、その周辺の住民は避難しなくておとなしく皆さん屋内に待機して5キロ圏の住民の避難が終わるのを黙って待っているのでしょうか。そんなことは決してあり得ません。我先にと皆さん逃げ出すでしょう。そしてそれによって川内市から遠くへ逃げる道路は大渋滞を引き起こし、一寸ずりの状態になるでしょう。鹿児島県の想定でも30キロ圏の21万人の9割が避難出来るまでには24時間45分としているのですが、それはあくまでも皆さんが規則正しく避難した場合のことです。ここに道路の陥没や道路が家や崖崩れで通行止めになったりしたら、それこそ避難そのものが不可能にさえなり得るのです。

一度事故が起こったら、今度は福島原発事故よりももっと恐ろしい事態が想定される

福島原発事故では最初に2キロ圏内から順に避難指示が拡大していきましたが、住民の多くが、国内初の大事故のため緊張感をほとんど持っていなかったので、パニックにならずに済んだという面もあったのではないでしょうか。また、原発から北の住民が放射能が最もたくさん降っている飯舘村へ避難して無用な被曝を受けたというような悲劇もありました。彼らはその場にとどまっていた方が被曝しなくて済んだというようなことが起こったのです。だから避難するということは一様に整然と出来るわけではないのです。
川内原発が事故を起こしたら、周辺住民は我先にと逃げ出して、マスコミなどの風向情報を聞きながら逃げることになるのですが、大半の住民は鹿児島へ逃げると思われます。しかし、鹿児島は西南方向に位置するため、偏西風の影響で鹿児島方面への風向きが年間を通して一番多いので、皆さんは南に向かったり、北に向かったりして右往左往しながら避難することになると思われるのです。実際避難訓練を行った自治体で、バスに住民を乗せて移動中に風向きが変わったので、当初予定していた避難場所には向かわずに別の場所に向かったため予定の時間の倍以上かかったというような報告もあるのです。
このように道路が寸断されていなくても大パニックで大規模な渋滞が長時間つづくという事態が考えられるのです。本来なら、北と西と南に少なくとも3本は地震が来ても壊れないような頑丈で信号機もない避難専用高速道路を造る必要があるでしょう。そこで初めて避難計画が現実的なものになり得るのです。

川内原発を動かすなら、徹底的な法整備と避難専用道路や屋内待機設備が必要

もともと原発は1電力会社の営利事業です。その営利事業における営業上の対策を国家予算や地方自治体の経費で行うことは個別企業への便宜供与ではないかと私は思います。
例えば新日鐵が製鉄所の高炉から煤塵をまき散らすのであれば煤煙を舞き散らさないように設備を改良させる権限が国や自治体にあります。その1企業の営利事業に伴う危険回避費用を国が出したり自治体がバスを確保して税金で用意するなどもってのほかではないでしょうか。これらのバスのチャーター経費から避難用高速道路などの建設費用は九電が出すべきものでしょう。
ましてや規制庁の安全対策のフィルター付きベント施設や免震重要棟の設置には5年間の猶予を与えているのです。5年以内に大事故が起こったら規制庁はどう責任をとるのでしょうか。また、5年以内には大地震が来ないという確信があるのでしょうか。
少なくとも再稼働を行うなら、規制基準を完全に満たして、そしていつ事故が起こってもいいような万全の対策を立ててから運転を行うべきなのです。
また、これは政府の責任なのですが、事故時に誰が原子炉建屋に残り、誰が事故の5キロ圏内にバスを運転して行くのか、それは自衛隊なのかバス会社の運転手なのかの法的な整備を行う必要があるのです。また、現地にとどまった要援護者の屋内待機した施設で彼らの面倒を見る医者や看護士は誰なのか。彼らは被曝労働を強いられるわけですから、彼らの社会的な保障や被曝労働者手帳の交付条件などを整備する必要はあるのです。それを労働者の義務や責任感で乗り切ろうという考えは姑息です。米国では彼らは被曝覚悟で仕事を行う専門家として法的に優遇されているそうです。実際に事故が起こって、病院には医者も看護士も誰もいない状態で、患者がバタバタ死んでいくということも現実に考えられるのです。それだけではありません。食事を作る給食係も必要ですし、食材を届ける配達要員も必要ですし、燃料を届けるガソリンスタンドの従業員などありとあらゆる被曝労働者が事故時には現地に入って働かなければならないのです。彼らの法的整備が必要なのです。現行の法律の労働基準法では「経営者は労働者の安全管理や安全確保の義務」があるため、経営者は労働者に被曝労働を強いることは出来ないのです。

原発は保険会社が面倒を見てくれない

原発はそれぞれ1200億円の賠償額の保険に入る必要があります。そしてその額を上回る被害には国が面倒を見るようになっているのですが、福島第一原発には、保険会社で構成されている「日本原子力保険プール」は、東京電力福島第一原発に対する損害保険の契約が切れた2012年1月に、1200億円の保険を打ち切りました。営利目的で運営される民間保険会社としては、事故の現実に直面し、これ以上、保険契約を継続することは難しい、リスクが高いという判断で保険には入れなくなったのです。
なぜ保険に入れないかというと、保険会社は事故が起こって1200億円を支払えば多額の損が出るからです。そのために保険会社は損が出ないために再保険という制度を利用して保険のための保険に入るのです。多くがイギリスの再保険会社にまた保険を掛けるのですが、その再保険会社の引き受け手がどこもなくなったのです。いま福島第一原発は国へ供託するという形でその場をしのいでいるのです。
実際には福島事故の費用の損害賠償などに、これまでで5兆7千億円を東電が支払うべき費用として発生しています。少なくともその費用は安心して支払えるように保険に加入するのが当たり前ではないでしょうか。1200億円では少なすぎるのは明白です。
いうならば自賠責保険が切れていて、任意保険にも入っていない自動車を電力会社が高速道路を暴走しようとしているのが今の電力会社が行おうとしている「原発再稼働」なのです。人の生命はお金では買えませんが、少なくとも資本主義国家で商売を行うのであれば、損害賠償責任をはたせない企業は退場願わなければならないでしょう。

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by nonukes | 2014-09-15 13:18 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

  小坂正則