ブログトップ

小坂正則の個人ブログ

電力会社の原発を国民が買い取るという案を議論しよう

電力会社の原発を国民が買い取るという案を議論しよう
小坂正則
d0174710_1617440.jpg

ズルズルと原発を止め続けていれば電力会社はやがて倒産

2013年5月31日の東京新聞に「全廃炉負担が1.8兆円」という記事がありました。内容は国内の電力会社10社の保有する全ての原発50基を直ちに廃炉にした場合、会計上生じる特別損失は4兆5千億円、廃炉にせず再稼働に必要な安全対策などにかかる費用は2兆7千億円、電力会社の負担の差額は1兆8千億円に上ることが、超党派の国会議員で作る「原発ゼロの会」が30日に公表しました。
再稼働のために改修工事が行われていますが、「原子力規制庁」の審査のためには少なくとも全体で2.7兆円の修繕費や新たな施設の建設などが必要になるのです。重要免震棟やベント施設の建設は5年間猶予が与えられていますので、これらの費用はこの中には含まれていないと思われます。
そして、動いていない原発の維持管理費が年間1.2兆円もかかっているのです。九電が年間825億円です。それだけではありません。日本原子力㈱は原発の電気を電力会社へ売っている卸電力会社ですが、ここはこの何年も1キロワットも発電していないのに755億円もの収入が東電や関電から基本料金という形で毎年受け取っているのです。全ての原発を廃炉にすれば、このような経費も不要になります。
つまり現在の状態が一番まずい状態なのです。お金をかけて補修工事は行うは、いつでも動かせるように職員は全員配置しているは、しかし、動かせるあてはないので、無駄な経費だけが積み上がって、後戻りも先にも行けない「糞詰まり」の状態が現在なのです。速やかに結論を出して、1日も早く「廃炉」にすることが、無駄な経費を抑えられて危険を回避できる最善の方策なのです。

無駄な補強工事を行うのは「再稼働」のアリバイ作り

しかし、一番まずいのが無駄な経費をかけて補修や補強工事を行っても、結局は「規制庁」の再稼働許可は簡単には下りません。規制庁もそれなりの審査をしているしメンツもあるので、1つ1つ審査をすれば膨大な時間はかかるのが当たり前です。しかし、電力会社は「これだけの経費をかけたのだから動かさないのはもったいない」という論理や「規制庁」への圧力として「補修工事」や「補強工事」を利用しようと企んでいろのでしょう。日本の経済界や経産省は「国費の流出」や「国際競争力」のために動かすという理由付けして「どうでもいい工事」を行っているのです。
その一番の例が浜岡原発の防波堤工事です。万里の長城のような高さ22メートル長さ1.6キロの壁を作って津波対策と中電は説明しているのですが、当初は18メートルの防波堤が22メートルと嵩上げされた結果、関連工事も含めて1400億円の予定が3000億円に膨れあがったというのです。しかし、ここは東海地震の真上の震央域ですから津波対策をしても意味がありません。東海地震が来たら3~5メートルを越える上下振動に襲われて、配管から原子炉までがぐちゃぐちゃに壊れてしまうからです。
九電もこの3年間の赤字が7100億円にもなり、純資産がわずかに5000億円しかないので、3年もこの状態が続けば九電は債務超過に陥ってしまうという瀬戸際に立っているのです。そこで川内1号2号を動かしたいのだそうですが、そのために3000億円以上の金をつぎ込むというのです。しかし、5年間免除されている重要免震棟やベント施設の建設経費はどうもこの中には入っていないようなのです。社長は「重要免震棟の経費は入っている」と言いましたが、どうも嘘臭いのです。まだ3000億円の内、2000億円くらいしか使っていないはずですから、いっそのこと原発を廃炉にした方が経済的で債務超過に陥らなくていいのではないかと、私は思うのです。

廃炉費用の手だてが出来ていないことが一番の問題

これまで見てきた稼働可能な原発の資産はわずか4兆5千億円ですからそれを国民負担で賄うことはそんなにたいした負担にはならないのです。国内の1年間の電力使用量が2012年度には9236.1億キロワット時だったそうですから、10年で国民全員で負担する場合は1kwhあたり0.5円で年間4500億円が集まります。その金は1家庭あたりの電力使用量が300から400kwhとして150円から200円でいいのです。広瀬さんではありませんが、たばこ1箱以下なのです。しかし、問題は廃炉費用です。これまで廃炉費用は1基あたり500億円くらいと言われていましたが、まだ作ったばかりの原発はそれだけ廃炉費用が積み立てられていません。その分をどうするかが一番の問題なのです。また500億円では廃炉費用は賄えません。建設費以上の経費がかかるとも言われているのです。しかし、それは原子炉を壊して更地にする場合ですから、建屋は壊さないで、そのままにしておけば廃炉費用もほとんど不要になります。ただし、立地自治体の雇用の創出のために何らかの仕事を作り出す必要がありますから、そこはこれからの課題でしょう。ただ、廃炉積立金の不足分は商法の改正で廃炉にした後にも積み立てが出来ることにすれば問題は解決します。
それよりもわずか1家庭で150円から200円でいいのなら今すぐにでも電力会社を交えて話し合いを持つべきでしょう。
それにみなさんはご存じないかもしれませんが、隠れ予算が電気料金には潜んでいるのです。「電源三方交付金」という特別会計です。全ての電力に1kwhあたり0.27円の間接税がかけられていて、年間2500億円もの特別会計が電源特会に積み立てられています。この金を合わせるなら、年間7000億円もの資金が生み出されるのです。この特別会計は何のためにもうけられたかというと、いわく因縁付きの田中角栄が生み出した「打ち出の小槌」なのです。原発建設のための立地自治体やその周辺の自治体に漁協などを札束で切り崩して「お金亡者」を生み出す麻薬の金なのです。ところが原発をこれから作るなどあり得ませんから、この金は原発廃炉資金か「立地自治体の復興予算」として使ってもいいのではないでしょうか。「麻薬患者」のような原発立地自治体の更正には長期のリハビリが必要だからです。

公平な送電線の運用で「電力自由化」を

広瀬隆さんは、私が書いたような案かどうかは知りませんが、このような「電力会社との妥協案」を考えるべきだと言っています。ただ、この案に対して異議を唱える方もいるでしょう。これまで散々国民の税金で原発を建ててきて、その責任を取ることもなく、今度は税金で廃炉や作った建物も税金で買い取るってもらうなど虫がよすぎると。メガバンクを税金で支えたようなもので「電力会社を甘えさせてはならない」という意見もあるかもしれません。確かに東電は事故の責任も取らずに国の支援で生き延びていますし、それにまた税金で原発を買い取るなど国民感情として納得がいかないかもしれません。それに原発に湯水のようにお金を貸した銀行が債権放棄や、株主も株券が紙くずになるような責任も取っていません。
しかし、私は思います。「電力会社の責任を追及したらこの話はまとまらないので、ここは焼け太りにならない程度の電力会社への便宜はやむを得ない」と。しかし、焼け太りだけはさせてはなりません。
ですから、原発をきちんと整理できたら後は発送電分離や送電線を第三者機関の管理にして新規の電力会社と対等平等に競争ができるような透明性の高いルールを作って、電力自由化を迎えさせればいいのです。そして2016年には間に合わないかもしれませんが、誰でも自由に電力会社を選べるという、世界では当たり前のエネルギー社会に日本も早く、そうなってほしいものです。

d0174710_16173743.jpg

by nonukes | 2014-06-29 17:10 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

  小坂正則