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小坂正則の個人ブログ

「太陽光発電は環境にやさしいのか」という問いへの私の考え

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      写真左側は太陽光発電てるてるちゃん2号10kw 右は9号6.3kwです

「太陽光発電は環境にやさしいのか」という問いへの私の考え
小坂正則

私は「九州・自然エネルギー推進ネットワーク」というNPOを2001年に立ち上げ、その3年後には「大分県民共同発電所てるてるちゃん」という太陽光発電を大分県の施設に設置しました。当時としては画期的な事業でした。その後、今日まで10機、134kw余りを設置しました。それは大分県の公共施設に市民がお金を出し合って太陽光発電を設置し、そこでできた電気を県に売電するという事業です。もちろん、NPOが電気事業を行うことは電気事業法違反ですから、「電気は無償で県へ供給し、電気代相当額の交付金を私たちがもらう」という仕組です。法の網をすり抜けるような事業ですが、それを私は「電気の産直運動」と言ってました。ただ、公共施設への設置には補助金が付いてますので、交付金は1kwあたり14円くらいしかもらっていませんので、公共施設へ設置した分では利益はほとんど出ていません。それよりも剰余電力の電力会社への売電と全量買取制度による売電の方が圧倒的に利益が出ています。公共施設への売電が6施設全体で年間100万円弱です。それに対して電力会社への売電は3機で年間約300万円の予定です。(10号機は運転開始したばかりなので)5号機は生協へ付けたもので、こちらからは交付金は出ていません。
私は「市民電力会社」を作るための第一歩として、太陽光発電は素人にも取り組み安いことと、補助金がもらえるなどから、この事業を始めたのです。もちろん当時から風力発電の方が減価償却が早いなどの理由から、風力発電事業への挑戦も試みてきたのですが、残念ながら実現一歩手前まで行った計画もあったのですが、いまだに実現はしていません。

全量買取制度ができて太陽光発電をめぐる状況は激変した

昨年の7月から実施されるよいうになった「再生可能エネルギー固定価格買取制度」(通称FIT)の実施によって太陽光発電が税込み1キロワットあたり42円で電力会社が全量買い取ることになって大きく状況は変わってきました。まず、全量買取制度が始まったことによって、メガソーラーの計画が各地に起こり、太陽光発電パネルの価格が大幅に下がって来ました。それまで1kwあたり40万円くらいの価格が半年で30万円に下がり、今では25万円からそれ以下の状況です。そうなればビジネスとして大変美味しい話しになってきたのです。私のような者へも銀行が融資したいと言って来ました。20年間確実に利益を上げることができるような商売は、現在のような激しい競争社会ではほかにはないからです。つまり太陽光発電事業はビジネスとして初めて成り立つようになったのです。
もちろんFIT制度導入は、再生可能エネルギーの設置コストを社会的にみんなで負担しようという制度ですから、儲けるのは当たり前で、その仕組み事態を批判するのは誤りです。
むしろその制度を間違いなくコントロールしていく仕方の問題でしょう。現状ではほかの発電方式に対してはほとんど伸びてなくて、太陽光発電のみが一人気を吐いてる状態です。その理由として、リードタイムが短いことや投資額がそれ以外の発電よりも比較的安いなどの理由があるでしょう。地熱発電などは計画から発電まで早くて10年はかかるからです。ですから、太陽光発電の買取価格はどんどん下がっています。税別で40円で出発して、今年は36円、再来年からは30円と聞いています。そういった意味ではこの制度の導入の効果が出て来たのでしょう。ドイツなどでも大きな効果が出ているそうです。70円以上から始まって、今では30円くらいだと聞いています。
しかし、ここに来て問題になっていることに、42円の売電許可を取って、そのまま工事を行わずに放置していて、もっとパネルの価格が下がるのを待っている業者や売電権利を数億円で売買しているという話も聞きます。ただ、国は20年の買取期間は許可が下りた時点から20年しか買い取らないや、申請から2年とか3年以上放置している案件は許可を取り消すなどの対処をすると伝えられています。

メガソーラーの設置などのどこが問題なのか

確かに様々な問題が浮上しています。まず、どこでも太陽光発電を付ければ儲かるので、空き地という空き地は不動産業者や開発業者が群がっています。このまま放っておけば日本中に太陽光発電が設置されるのではないかと、さすがの私も不安になります。大分県では観光地の湯布院の草原に巨大な太陽光発電計画がいくつもあるそうです。太陽エネルギーの一番効率のいい利用方法は農業であり、林業であり、放牧などの草原です。それを潰して太陽光発電を設置するなど本末転倒です。ましてや観光地の草原を太陽光発電でいっぱいにしたら誰が湯布院へ観光に来るでしょうか。観光地への規制強化などを早急に取り組むべきでしょう。ただ、それだけでは対症療法です。なぜ、草原が売りに出るのかという問題の本質を解明する必要があります。日本の農業が崩壊しつつあるからです。
また、孫さんが「でんでんプロジェクト」といって取り組んでいるメガソーラー計画は土地使用料を売電価格の3%支払い、固定資産税は全額免除を地方自治体に求めているということです。それなら孫さんに太陽光発電を誘致しても自治体は何の利益もありません。地主に雀の涙ほどのお金が落ちるだけなのです。それだったら自分たちでメガソーラー事業を進めるべきでしょう。また、中東や中国の資本が全量買取制度を利用して一気に日本へ入って来てるそうです。そうなると、私たちの電気料金で負担しているお金を海外の投資家へプレゼントすることになるのです。しかし、「外国に私たちのお金が行くのはおかしい」とは言っても、ドイツやスペインが実施した買取制度などに日本の資本が参入したように、国際的な金融資本の流れを食い止めることはできませんが。
ただ、地域のエネルギー資源を東京の会社が略奪していく現状は、中央が地方を食い物にするという意味からも私は異議を唱えたいと思います。太陽から生み出されるお金も、元を質せば地域の資源なのですから地域の人びとのものです。私はドイツの風力発電買取制度で使ったように地元の人が立てた施設の電力買取価格とよそ者が建てた施設の電力買取価格に差を付けるような仕組みを導入すべきだったと思います。日本の官僚はバカなのでこんなドイツのいい制度をまねすることを嫌います。
私は東日本震災で津波に襲われた土地などは率先して太陽光発電を、それも地元業者や地元の皆さんが出資して協同組合方式や、土地を持っている方々の組合方式で太陽光発電事業を行うべきだと思います。また、バイオマス発電などの電力買取には、熱使用などの付加価値を付けて発電するように誘導する仕組みなど組み入れるべきです。間伐材を燃料にしたバイオマス発電の電気は高額で買い取るため、各地にバイオマス発電所が建っているのですが、バイオマス発電はエネルギー効率が低くて20%そこそこです。バイオマス発電は熱利用を合わせて行わなければエネルギー効率は上がらないのです。これも制度のミスです。ただ、このように各地にメガソーラーができるから、それを持って太陽光発電はおかしいと批判するのは短絡的だと思います。メガソーラーの設置が進んだので設置コストが下がったという大きな効果もあるからです。問題は環境アセスなどをキチンと行って、周辺住民や自治体の規制が行うことのできる仕組みへと改めるできです。

太陽光発電は様々な方法で利用できるように知恵を出し合おう

現在個人で太陽光発電を付ける方が確実に増えていますが、その価格も大きく値下がりしています。私が2005年に設置した太陽光発電10キロワットの設置費用は約800万円でした。それが8年経った今では約300万円です。見事に値下がりしています。だからそれだけ一般住宅への設置は工務店の利幅が少なくて工事請負会社は利益が出ないといいます。800万円の3割が利益として1機で240万円の儲けがあった工事が、今では同じ3割としても90万円しか利益が出ないのです。だから今から太陽光発電の代理店を始めようと思っているという人に、私は「もう今ごろからの参入はやめた方がいい」とアドバイスをしています。儲けが少ないということは競争が激しくなってきた証拠ですし、だから急激に普及したのです。これは世の中の常ですから仕方ありませんが、ただ、これからは屋根を葺くなら太陽光発電パネルで屋根材の代わりにする事業は大きく伸びると思います。
屋根材の価格が150万円するなら、150万円で屋根を付ける代わりに300万円で太陽光発電パネルを屋根の代わりの葺くのです。すると年間40万円以上の電気代が入ってくるので、4年で差額の150万円は回収できますし、屋根の費用の300万円も7年で回収できるのです。しかも8年目からは毎年40万円以上のお小遣いが黙っていても入ってくるのです。このような屋根一体型の太陽光発電をもっと普及させるべきでしょう。
そのほか、これはEモリーロビンス氏の話ですが、窓へ塗装する方式の太陽光発電があり、それは光の一部を透過すのでも南側の窓や壁に発電粒子を塗って、それで発電するという社会にすぐになるでしょう。また折り曲げのできる太陽光発電シートもできていますがまだ価格が高いので普及していませんが急激安くなったら自動車にそれを塗ったり、貼り付けて電気自動車が太陽光で充電しながら走るというのももうすぐ実現するでしょう。
とにかく、劇的にコストが下がることは間違いありません。太陽光発電コストが1kwあたり20万円を切ったら1kwhあたり20円以下になりますので、買取価格の補償なども必要なくなり、どこでも当たり前に太陽光発電を取り付けるようになります。そうなれば原発などいのちをかけて発電するなどというばからしいことは過去の話になるでしょう。既にアメリカでは太陽光発電が原発よりも発電単価は安くなったそうです。
ただ、自然エネルギーによる発電はそのまま原発に置き換わるわけではありません。原発はコストを補助金や総括原価方式などで隠してコストを下げているので、太陽光発電がどんどん増えたら原発は自動的に止まるというほど甘くはありません。原発を止めるのは国民の政治的な意志と首相の決断です。だから私たちも太陽光発電のいいところをもり立てて、悪いところは修正して適正に普及していきましょう。
by nonukes | 2013-12-11 21:29 | 自然エネルギー | Comments(0)

  小坂正則