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小坂正則の個人ブログ

神田古本屋街を徘徊して見つけた1冊の写真集「アンドレ・ケルテス」

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神田古本屋街を徘徊して見つけた1冊の写真集
小坂正則

私は東京に行くたびに寄る所がある。それは神田古本屋街だ。昨年も7月の終わりに行ったついでに古本屋街で写真集をたくさん買い求めた。
今回の東京行きも写真集などでいいのがあれば買って帰ろうと思って、フラフラと寄ってみた。そこで毎年行くたびに驚くことがある。何だか神田古本屋街が行くたびに見つからなくなってくるのだ。確か中央線水道橋駅から降りて靖国通りまで下がったら、両方の通りに古本屋が軒を連ねていたように思うのだが、行くたびに古本屋が減っているような気がするのだ。
今回は時間が余りなかったので、2、3軒しか覗かなかった。その中で、美術専門店に入ったら、マグリットやダリの洋書が並んでいた。洋書でも作品を見るのは英語やフランス語がほとんど理解できなくても、そんなに苦にはならないが、専門書は別だ。そして、写真集の棚を眺めていたら、アンドレ・ケルテス写真集が目に止まった。岩波書店1986年出版の写真集だ。「岩波が写真集を出すなんて珍しいじゃないかなあ」と思いながらペラペラとページをめくって見ていたら、やはりほしくなった。定価は18000円で売値は6500円だ。安い。「程度も実にいいし、この写真集を買わずには帰れない」と思ってしまった。
私が学生のころ指導教官が確か見せてくれた写真がケルテスだ。私はエドワード・ウエストンやエドワード・スタイケンなどのアメリカの近代写真家やケルテスのようなフランス写真家の作品が好きなのだ。もちろん現代の写真家の代表である土門拳を初めとして藤原新也氏や細江英公氏なども好きなのだが。そうそう、エロティシズムぷんぷんの荒木経推の濡れたようなエロさも耐えられないほど好きだが。いやらしさは不純で非芸術的だという偏見は古い。アラキーのラジカルな女性の表現は素直にいいと思う。
話しはケルテスなのだ。ケルテスがなぜいいかというと、それは1920年代の記録写真から芸術的な表現へと写真の世界を開花させた彼の功績は大きい。今見ても彼の写真は新鮮で胸がときめく作品が多い。そんなどっしりと重い写真集を引っさげて大分に帰ってきた。もう一つだけ買った作品は細江英公氏の人間写真集「死の灰」という写真集だ。
私がもし、写真家だったら、福島を撮らなければならないという衝動に駆られるだろうと思った。幸か不幸か、私は写真家ではない。
時代を切り取った表現しか現代人の心を打つことは出来ないと思うからだが。昨日NHK日曜美術館で石田徹也氏の作品をやっていた。彼の作品も現代社会の苦悩の中でしか表現できないだろうと思った。彼は自分の作品を作ることでますます追い込まれていってやがて死を選択するしかなかったのだろうと思った。見れば見るほど重く苦しいが心にひっかかる作家だ。数年前私はNHKで見て、すぐに作品集を買った。いま全国で遺作展を開催しているという。九州に来たらぜひ実物を観たいと思った。
by nonukes | 2013-10-07 18:06 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

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