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小坂正則の個人ブログ

原発再稼動の前に原子力事故「避難マニュアル」を作らせよう

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原発再稼動の前に原子力事故「避難マニュアル」を作らせよう
小坂正則

伊方原発や川内原発に玄海原発の再稼動が目前に迫っているとマスコミは伝えています。そして大分県は原子力防災計画の改訂版をこの夏に発表しました。これまでの原子力防災計画は、ほんの数行のアリバイ的なものだったのですが、UPZが50キロメートルという計画だったことから、大分県も本格的に原発事故に対する避難計画を作らなければならなかったのです。しかし、UPZ(緊急防護措置計画範囲)原発から半径30キロ圏内を「緊急時防護措置準備区域(UPZ)」と決まったので、その必要は無くなったようなのですが。UPZは放射線量があらかじめ決めた数値を超えた場合に避難や屋内退避ができるよう、事前に計画を立てる必要がある区域とししています。
大分県はPPA圏内という新たな範囲になったようです。PPA(放射性ヨウ素防御地域)は甲状腺がん予防のため、住民の屋内退避や安定ヨウ素剤の服用を考慮する「放射性ヨウ素防護地域」ということです。福島第1原発事故の状況から、原発から半径50キロを目安にしています。大分県は伊方から一番近い佐賀関町が当てはまります。
そこで、私たちはまず、大分県の防災計画の中身を勉強しようということで、8月26日に大分県防災危機管理課による説明会を開催してもらいました。事前に20点の質問事項を提出して、それへの回答という形と、その場で聞いたことへの疑問点など、率直な意見交換が出来ました。県庁の会場には平和センターやグリーンコープ生協や市民グループなど12名が参加して1時間30分にわたって説明や疑問点などの質疑応答を行いました。(質疑応答は下の文章をご覧ください)

「原子力事故防災対策」今後の取組について

9月19日に「311いのちのわ実行委員会」の会議(社共に緑の党と生協や医療生協や労組と市民グループによる311実行委員会)で、原子力防災対策と再稼動反対の闘いについての議論を行いました。そこで「出来る限り一緒に協力して運動を行っていく」ことや「学習会などの集会」を開催することなどの方向性を確認し合いました。そこで、「当面は県や市町村の原子力防災マニュアル作成作業に対して要望や提言などを出して、出来るだけ市民の声を反映したマニュアルを作らせよう」ということになりました。原子力防災作業チームの立ち上げを私たちが担うことになしました。さっそく防災計画の問題点や市民マニュアル案などの議論を始めます。(10月から週1回のペースで開催予定)
この作業を通して「いかにこれまでの原子力防災計画が不十分であったか」を実証して、「私たちはいくら十分な防災対策を作っても安心できる対策などできない。だから原発を動かさないことが最大の防災対策だ」ということを具体的に大分県民に示していきたいと思います。
それなら最初から「原子力防災など意味がない」と言えば済むことで、「再稼動反対の者が再稼動を前提とした防災計画を考えるのは自己矛盾だ」と言われそうですが、私は決してそうは思いません。なぜならただ反対だけを叫んでいても再稼働を止めるのは難しいし、いざ原発が動いたときにはやはり防災対策は必要だからです。私は再稼動を認めるなら「少なくとも全ての大分県民に寝る前にヘルメットと放射能防護マスクと原子力防災市民マニュアルと避難用リュックを枕元に置いて寝る」ように自治体が指導することで「原発再稼動」に臨んでほしいと思っています。原発事故が起こったらどのように対策を取るべきだという防災対策は賛成・反対を抜きにして準備しておくべきことだからです。また、一番大切なことは「原発の危険性などに無関心な市民に事故が起きた時の避難方法や対策を常日頃から認識していもらいたい」からです。福島原発事故時にスピーディーの活用やヨウ素剤の服用の必要性などを十分に自治体や市民が認識して、それなりの計画を立てていたなら、少なくとも大勢の住民の大量被曝は免れたかもしれなかったのです。



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大分県地域防災計画での原子力災害対策についての説明会記録 2013年8月26日 大分県庁にて

1.事故時の警戒体制と責任者はどうなっているのか
 最初につくるのは、警戒事態発生時に災害対策連絡室を設置、室長は危機管理監。次いで、施設敷地内緊急事態発生時に災害警戒本部を設置、本部長は生活環境部長。全面緊急事態発生時に災害対策本部を設置、本部長は知事。3つの段階で警戒態勢を取っている。大分県地域防災計画p363参照。

2.福島原発事故と同程度の規模を想定しているが、もっと大規模な事故を想定する必要は
 本計画はあくまでひとつのシミュレーション。国の原子力災害対策指針は福島原発事故と同程度の事故を想定してのシミュレーションとなっているが、国の指針を元にして本計画も書かれている。昨年の末にプルームの拡散シミュレーションを規制庁は作っている。伊方原発から22キロまで大分方面に来るとあることから、それ以上を想定して作った。

3. 応急対応などの実施で、国の関与がなければ法的に出来ないものはどのようなものか
 原子力災害特別措置法第6条2に基づき作成される原子力災害対策指針によると緊急時のモニタリングの実施、安定ヨウ素剤の配布・服用の判断、汚染スクリーニング実施区域の特定、飲料水飲食物中の放射線核種濃度の測定区域の特定、およびその測定結果に基づく、摂取制限区域の特定、は国の判断で行うことになっている。

4.連絡通報系統図(p359)では大分県と原子力事業者との間で直接に連絡を取り合うとなっているが、その中身は。また、通信手段が途絶えた場合には国及び立地県や市町村との連絡は
 直接連絡を取る原子力事業者とは、九州での原発事故のときに、九電大分支店との間で連絡を取り合うこととなっている。伊方原発については愛媛県方式といって、伊方原発であった事故は小さいものも全て愛媛県庁に報告するとなっているため、大分県は愛媛県と協定を結んでいるため愛媛県から情報をいただくことにしている。愛媛県から情報のすべてを大分県にいただくことになっている。通信が途絶えたときは消防無線または衛生無線等を利用して連絡を取ることになっている。またインターネットのサイトでも四電は代償すべての事故について発表しているので、担当者は常時、把握するようにしている。

5. 原子力合同災害対策協議会と国の原子力災害対策本部との関係は
 原子力合同災害対策協議会というのは総理大臣が原子力緊急事態宣言を発令して国と自治体との連携を強化するためにオフサイトセンターに設置される。そこには国の原子力災害対策本部、県市町村や指定の公共機関、事業者が情報を共有する。原子力災害対策本部は総理大臣を本部長として国が作るもの。協議会に国の災害対策本部から要員を派遣することになっている。

6. 市町村の原子力災害対策の策定と避難計画の完成までの日程は。避難訓練はいつどこでどのような規模で実施する予定か
 県地域防災計画の改定は6月5日の県防災会議で決まった。これに基づいて、市町村は市町村地域防災計画の原子力災害対策の付加部分を策定していくことになる。市町村によって異なるところもあるが、今までの例から見ると、県の改定から、おおむね1年以内に出来るのが大半。避難訓練は原子力災害指針では原発から30キロ以遠もプルームの通過があり得るとし、当県でも気象条件によってはプルームがかかる場合もあり得ると想定しているが、屋内待避がもっとも有効な避難対策だと考えている。原発に近い地域では住民避難ということも想定されているが、本県では屋内待避を中心に対策を考えている。

7.県地域防災計画はどのようにして県民への周知徹底を図るのか
 今回新たに原子力災害対策を県地域防災計画に入れたのでHPにも掲載した。まずは関係者に詳しく周知して行きたい。それから県民へ周知する。また、市町村および関係者などによる研修などが必要だと考えている。正確な情報の周知が必要だと考えていて、市町村の担当者と専門家を交えた研修などを計画している。原発に詳しい専門家を養成していく必要がある。

8.事前対策の中の住民等への知識の普及・啓発の方法の(p356)具体的内容は。イラストなどを入れた分かりやすい原子力災害避難マニュアルを各家庭に配布する予定は
 防災計画管理課が責任をもって助言などを行う。
 市町村と県と一緒に原子力災害研究チームというものを立ち上げています。毎月1回あまり開催しています。マニュアル作りとか伝達方法とか、もう少し詳しい部分を詰めていかなければならないので、市町村に必要な情報提供を行なっている。各家庭が使用するマニュアル作成まで県がつくる予定はありませんが、なかなか分かりやすく正確に伝えることは難しいので、市町村マニュアルを作る場合にはどのようなものをつくればいいのかは検討しています。県にも市町村にも専門知識に詳しい者を養成していきたい。

9.専門家との提携(p354)とあるが具体的にはどこの組織の誰を予定しているのか
 専門家の連携とは、県内の詳しい方を考えている。県立看護科学大学の甲斐倫明先生や県医師会の先生、県放射線技師会などと連携を強化したい。国の専門家や原子力整備基盤機構の方々などにも来てもらうなど、いろんな各方面の方々と連携していきたい。

10. 緊急時モニタリング実施体制の必要な設備、機器の整備と必要な要員及びその役割などの実施要領とはどのようなものか
 モニタリングポストの運営主体は。県内5カ所ではきめ細かな測定ができないでは
県の施設については運営主体は県だが、県の組織では環境保全課、もしくは衛生環境研究センターが主管している。5カ所のモニタリングポストは、大分市の佐賀関と衛生環境研究センター、佐伯鶴岡高校、国東高校、日田市の西部振興局に設置。計画にも盛り込んでいるが、災害が起きた時には5カ所では足りないので、必要に応じて持ち運びが出来るシンチレーションサーベイメーターのものを増やして行きたい。

11.緊急時モニタリング実施体制の必要な設備、機器の整備と必要な要員及びその役割などの実施要領(p355)とはどのようなものか
 実施要領は原子力災害研究チームによって具体的に詰めているところだ。

12. 国の基準を超えた被曝をした場合は専門機関等への搬送とあるが、大分県内の専門機関は
 放射線障害に対応できる専門機関は県内にはない。被曝で重篤な患者が出た場合にどうするかよりも、プルームによる被曝に対する対応が必要なのではないかと考えている。伊方原発よりも西側の伊方町住民の重篤な患者を大分県へ受け入れる想定もしている。

13. ヨウ素剤の保管場所及び保管方法は。薬の有効期限は。ヨウ素剤の配布に当たっては1万人分では足りない場合のヨウ素剤の配布の基準及び優先順位の付け方は
 県が避難場所に配送するとあるが、自主避難した者への配布方法はどうするのか。
国の指示がなければヨウ素剤の服用は出来ないようであるが、放射能雲が襲って来   たにも関わらず国の指示がなかった場合にはどう対応するのか。
 安定ヨウ素剤の保管場所は公益社団法人大分県薬剤師会(大分市豊饒)に保管している。有効期限は遮光されているなどの諸条件を満たした場所で3年。ヨウ素剤準備は、以前、国が50キロ圏内をPPZ(プルームに対応すべき区域)に、ということを検討した時期があったので、佐賀関の50km圏内の4千人くらいを想定して、1万人分を備蓄している。ヨウ素剤が足りない場合は、被曝の影響が大きくヨウ素剤服用の効果の大きい乳幼児と子どもへの服用を優先したい。40歳以上は、服用の効果が小さいと言われている(最近、見直しの動きもある)ので、若い人への服用を優先したい。
自主避難者への服用は考えていない。
国の指示がなかった場合、薬物ですので副作用もあり、基本的には国の判断にもとづくことが必要。間に合わない場合でも医師の処方が必要。安定ヨウ素剤は万能ではないし、放射線防護のすべてでもないので、屋内退避を中心に総合的に対応していく。

14.健康相談を含む総合相談窓口の内容及び相談にあたる要員の養成や方法(p366)は
研究チームで議論している。年度内には詳しい実施要領やマニュアルを発表したい。

15.連絡通報系統図(p359-360)での県医師会、日赤県支部その他の民間団体の役割とは
連絡通報系統図は、各関係機関にいち早く連絡し、それぞれの団体が業務・役割に応じて万が一のこと備えてもらえるように作ったもの。例えば医師会の場合、被曝した方のスクリーニング、安定ヨウ素剤の服用への対応、日赤の場合は物資、報道機関はより多くの県民に知らせるなどの役割をお願いしたい。

16. スクリーニングの実施と健康相談の実施に必要な体制の規模は。未定ならば、検討状況は。
健康相談室は県庁内の関係機関と調整中。医師会とも連携を取ってこれから体制を整備していきたい。

17. 地域防災計画と市町村避難計画に盛り込まれる、多くの対策には、かなりの費用がかかると思われますが、その費用についての予算措置は
必要な経費はそれぞれの所轄事業課で、具現化し予算を確保する

18. 学校給食のセシウム汚染測定を実施しているが、これまでの結果及び費用は。運用の問題点は。不検出が続いている現状で検査方法を見直す予定は
いまのところセシウムは検出されていない。詳細は所管の教育庁保健体育課へ。

19. 原子力事故の放射能による被害で地場産業に与える被害想定額は。農業や漁業への被害対策などは
人への影響を第一に原子力防災対策を定めていて、防災計画のなかで、経済被害や風評被害などについては、まだ盛り込んでいない。ただ、実際には311の事故で県の農産品の輸出時に放射能汚染の証明書をつけるようにという国もありましたので、県は測定や証明書の発行などの対応をした。

20. 要介護の独居者や重篤患者、人工透析患者などの避難先及び避難方法は
プルーム通過を中心に想定すると、避難に伴う健康リスクも考えて、避難しない方がいい場合もありますので、総合的に検討したいと考えています。

口頭での質疑応答

Q.計画では、指示以外の国の関与(指導、助言、要請など)がなくても、県や市町村の権限でできるようにも読めるが
A.国の考えのもとに行動していくのが基本にはなる。
国の関与なしで、県や市町村の権限で法的にどこまでできるのかの整理はできていない。そのあたりは、立地県など先行する自治体のマニュアルや計画などの細かな情報収集をしたい。

Q.国の想定やシミュレーションの範囲を超えるとまずい、という何かがあるのか
A.国の災害対策指針では、福島原発事故と同規模の事故を想定した場合、大分県にかかわっては、30km圏内でしか、対策の必要性を示していない。大分県は、そこであえて大分県でも対策が必要な場合を想定して県地域防災計画を策定した。国の指針よりも厳しい想定をしている。
屋内退避を中心に考えている、とは言ったが、避難が必要な場合はありえると思う。
計画には、国の指針ではPAZ(予防的防護措置を準備する区域:5km圏内を想定)外では必要だとはされていない、避難勧告その他の緊急措置についてもありうることとして書いてある。被曝のスクリーニングなどは、PPAの場合は想定されていないが、それらも体制をとれるように用意としては考えてある。
国のプルーム拡散のシミュレーションがすべてと考えているわけではない。
国のシミュレーションにある、100ミリシーベルト/週の汚染が伊方原発から最大22kmが避難区域であれば、PPAはもっと広いと考えて、対策している。

Q.30km圏内と繰り返し言うが、飯舘村は50km以上のところも帰宅困難区域になっている。県は、「国が」と言うが、国を信用できるのか
A.国のやることが信じられない、という声については難しいところがあるが、県としては、福島原発事故の反省を踏まえた国の技術的基準や専門的な知見をよりどころにせざるを得ない。国の示すところを超えることをやるには合理的科学的な説明が求められるが、原発や放射性物質・放射能の問題では、国と方向が違うような独自の対策を考えるレベルが、率直なところ、大分県にはない。
国はまず30km圏内で対策をやっていこうというやり方なので、30km以遠の自治体での対策について国の検討は先送りになっている。大分県としては国の結論を待っていられないという危機感があって、県として対策できると考えたことをやっている。シミュレーションを、大分県独自でやるのも金銭的な問題もあって困難だ。国の想定以上のことを、国が示している知識や資料のなかから、対策を考えている。まだまだ、対策はこれからだと思っている。

Q.福島県に行って調査したのか
A.福島県には、まだ県として調査に行っていない。

Q.生活環境部長にしても、担当者にしても1~2年で交替するようでは、対応能力がつかないのでは
A.甲斐倫明先生とかは、すっとやってもらう。(学者じゃなくて、行政職員について聞いているという声を、うなずきながら聞く)

Q.安定ヨウ素剤を子ども用にシロップにするなどの必要もあるが
A.それはまだまったく着手していない。細かく情報収集していきたい。

Q.原発事故対策はできあがっているという認識か
A.できあがっていない、という認識だ。

Q.原子力規制委員会が、今年12月までに審査を終え、来年3月までには再稼働と報じられている。来年2月くらいまでに対策ができあがらないときには、どうするのか。いつできあがるの
A.伊方原発の再稼働に間に合わせる形で、じゅうぶんなものであるかどうかはともかく、対策マニュアルを作成したい。

Q.対策がほとんどできあがっていない状況で、再稼働に責任ある態度をとれるのか
A.難しいところがある。

Q.放射性物質や放射線は目に見えないで、子どもたちに被害をもたらす怖さを考えているか
A.放射性物質は目に見えないがゆえに不安を持っているということについて、県も認識を持っており、対策していかなければならないと思っている。今すぐ完全な対策を出せるわけではないが、国もそういう了解のうえで対策を考えている。

Q.東北では原発事故だけでなく、地震や津波で生活の基盤そのものが崩れてしまったが
A.東日本大震災では役場も機能しない、という状況もあった。通信ができなくなったときにどうするかも念頭において、想定外のことが起こることは認識したい。

Q.住民向けのマニュアルを作るのは県か市町村か
A.どちらもだ。県も必要なら作る。具体的なものはまだだ。

Q.対策や機器・要員の整備に、国からの財政的支援はあるのか
A.30km圏内だと国の補助などがあるが、30km以遠だと県が独自の予算で対策していて、国の支援はない。市町村からも国の支援の要望があるので、国に支援の要請を知事会などでもしている。

Q.原子力安全協定を結ぶ予定は
A.今のところ、愛媛県との連携を強化することで対応している。愛媛県とは定期的に会議も開いている。かなり密に情報交換している。担当レベル、課長レベルなど、いろんなレベルでやっている。
大分県としては、四国電力からと、愛媛県からと、情報提供はどちらからがいいかと考えたときに、今のところは愛媛県からいただくほうがいいと判断している。
どういうことがいいのかは難しい問題だ。
(文責 小坂正則・植田謙一)
by nonukes | 2013-09-21 14:30 | 原発再稼働は許さない | Comments(0)

  小坂正則