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小坂正則の個人ブログ

総合商社と化した大規模生協が流通合理化のために生産者を切り捨てる

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大きいことはいいことか 小坂正則

2010年の暮れに某生協職員で青果担当のEが私の自宅にやって来た。私のオヤジは農家で、びわを中心にして甘夏などのミカンも作っていた。そして某生協が大分で活動をはじめた27年くらい前から生協にびわなどを出荷するという関係が出来ていた。
私のオヤジがなくなってからは私が後を継ぎ、兼業農業でびわなどを作っていたが、私も忙しくて、農作業の大半は有償ボランティアの仲間に手伝ってもらっていた。それでも年間には数十万円の売り上げになり、市場に出荷することを考えたら遙かに高収入の農業が出来ていた。とはいっても、労賃などで利益はほとんどなかったが、オヤジの残してくれた果樹を守ることが息子の出来るせめてもの親孝行だと思っていたのだ。そこへ突然やって来たEは「小坂さんの農業に対する姿勢に熱意が感じられない」と話し始めた。というのも、農薬を使っていないという証明のために耕作日誌を書いて提出するように求められていたのだが、毎年、年度の終わり頃にペーパー1枚にメモ程度の日誌を提出していたことを追求されたのだ。私の日誌は2月寒肥やし、4月びわの袋かけ、6月びわの収穫、7月お礼肥やしと剪定、以上だからだ。でもそれ以外に農薬をやったりしていないのだから書くことはない。それを根拠に熱意を感じられないというようなことを話していたが、そしてEは「あなたは反原発運動などで忙しそうだし生協への出荷を辞退してはどうか」と問われた。私は「生協への安定供給があるから今の農業が成り立っているので、生協に出荷をやめることは農業をやめることになるから、それは考えられない」と反論した。Eも大変困った様子で沈黙が続いたので、私が最後にこう喋った。「私から生協への出荷をやめることはない。生協が私を切るなら切るとハッキリ言いなさい」と。後日Eがやって来て「生協の理事会で小坂の農作物は今後一切取り扱わないことを決めた」と通告してきた。私は少し腹が立ったし、生協の組合員から「なぜ小坂さんは生協への出荷をやめたのあなたのびわを楽しみにしていたのに」と残念がられる方から声がかかることもあったが、生協の組合員と一緒に脱原発運動などもやっているので、この問題は私の腹に収めておこうと決めていた。
ところが、それから3年経った今年の7月に私は緑の党の事務局長として活動する中で、私たちの仲間になってくれた農家の方との会話の中で、このもやもやに再び火が付いてしまったのだ。「私は事務局長の小坂ですが緑の党に加入していただいてありがとうございます」と電話したら、相手の方が「小坂さんといえば某生協に出荷していたびわの小坂さんじゃないでしょうね」という。私は「びわの小坂です」と話すと、「私も出荷してるのです」という。私は「出荷を切られてしまったのです」と話すと、「そうなんです。あのとき私以外の生産者は全員首を切られてしまったのです」というのだ。私は「それでは臼杵のKさんも切られたのですか。あの方は週に3回も葉物野菜などを丁寧に集荷センターに持って来ていて、大切に仕分けをしていて大変熱心に農業をやっていた方だったのですがねえ」と。「そうです。大分で仕分けしていたシステムから福岡や熊本で大規模の戸別仕分け作業に変わったので、葉物などの痛みやすい作物は日持ちがしないので大分から福岡に送って、それをまた大分に逆輸送する間に痛んでしまうということで取引をやめたのでしょう」というのだ。
私の農業に対する熱意がないから切ったのではないことが分かった。総合商社と化した大規模生協が流通合理化のために生産者を切り捨てる手段として私に「農業に対する熱意がない」とうそぶいたのだ。
某生協も「安心安全な食べ物を消費者に」や「地域の農業を守り、生産者と消費者が顔の見える関係を」などというスローガンを掲げていたように覚えている。そんな生協が総合商社と同じように流通合理化のために地域の小さな農家を潰して大規模農家の大量生産作物だけを取り扱って、大量のガソリンを使って無駄な輸送を行う。これが地域生協の現実だった。だって、大分で作った作物をわざわざ福岡や熊本まで運んで、また大分に持って帰って、私の隣の家に配達するという無駄なことをするのだ。その理由は人件費の節約だけだ。大分で仕分けをしなくなったことで首になったパートの人もいただろうと私は察した。

私たちがめざすべき社会が鮮明になった

後日談だが、私は細々とびわなどの出荷を続けている。近頃、とあるオーガニック商店から「小坂びわを取り扱いたい」という声が届くようになった。私がもっと積極的に営業すれば良かったのだが、いまだに小坂びわのファンの方がいることに涙が出そうなくらいうれしい。
私は「生協は利益第1主義の添加物だらけの大手スーパーに比べたら少しはマシだ」と思うので生協がなくなったら困る。でも、一番大切なのは地域にある小さなスーパーや小売店だ。このような商店が一番新鮮な野菜や果物を消費者に直接届けることが出来るし、地域の文化やコミニュティーを守る役割を担っているのだと思う。大量生産・大量消費に支えられて大きくなるばかりの生協に対して、私たちのような小さな社会をめざす文化や価値観こそが、私たちのコミニュティー社会を支えて地域を元気にする基本理念だと私は確信した。それにしてもKさんはどこかほかほかに販路を見つけただろうかと私は心配でならない。
by nonukes | 2013-07-05 09:06 | 小坂農園 薪ストーブ物語 | Comments(0)

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