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小坂正則の個人ブログ

城南信組理事長・吉原毅「私が脱原発を決めた理由」サンデー毎日9月9日号

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城南信組理事長・吉原毅「私が脱原発を決めた理由」 
サンデー毎日2012/09/09号抜粋

 東京、神奈川に85店舗を展開し約3兆4000億円の預金残高を誇る信金業界2位の城南信組。原発事政を受け、昨年4月に「脱原発」を宣言。社屋などで原発の比率と同じ3割の節電を目指す一方、省電力を後伸しする金融商品を発売。吉原氏自身浜岡原発の廃炉を求める訴訟の原告団や国会周辺デモに参加する。
 経営理念は、道議を優先すれば利益は後からついてくる「先義後利」。実際、昨年度、預金践高は約400億円増えた。
 
★将来的なエネルギーの原発比率を決める議論が大詰めを迎える中、脱原発を掲げる吉原毅・城南信用金庫理事長(57)の言動が再び注目を集めている原発維持派の財界に真正面か論戦を挑む原動力はどこかくるのか。 その真意を聞いた政府の長期エネルギー戦略の議論は、2030年時占の原発比率を「0%」「15%」「20〜25%」の3択として提示、世論の動向を見極めて9月中に比率を決める方針だ。吉原氏が財界批判の口火を切ったのは、8月9日のテレビ朝日『報道ステーション」。財界側が「原発ぜロ」案を「非現実的だ」として批判を強め始めた矢先だった。吉原氏は、古舘伊知郎キャスターに「私、言ってもいいですか」と切り出して口を聞いた。★

経団連、経済同友会、日本商工会議所がこの時期に一斉に「原発ゼロは現実的じゃない」などとメッセージを出している。しかも、いかにも企業の全てがそう思っているかのように話されているのがちょっと疑問だったのです。100社余りを対象にした通信社のアンケートをみると、無回答が一番多かったものの、それ以外の過半数の社が「もし電気が足りるのなら原発はぜロの方がいい」とおっしゃっている。財界の「原発ゼロは非現実的」との主張は、つまり原発を続ける方が現実的ということです。そこまで切り込むなら、経団連などの加盟企業の方々がご自分で原発を全て質い取って、自分の責任で運営するとおっしゃればいい。でも、とてもできないんじゃないでしょうか。私ならできない。なぜなら、メガパンクといえども銀行がおカネを貸せるはずがない。これだけの事故を起こして危険性が明らかになっている。イギリスのロイズ保険組合でさえ、『地震国の日本の原発には保険はかけられない」とはっきり言っています。
原発事業は、事故があった時の最後のツケを税金と電気料金に回す原子力損害賠償法があるから何とか成り立っているのです。コストもリスクも高い。明らかに採算が合わない。
企業が自前で買い取ってやれないことを提言するのは無責任だと思います。企業経営者としての矜持、誇り、社会的な責任というものがあるんじゃないですか。
そもそも原発の比率を 2030年で設定したことは、あと18年、問題を先延ばしすることです。原発賛成とほぼ同じです。クイズ番組じゃあるまいし、3択から選びなさいはないでしょう。それよりも、即時停止という選択肢がなぜないのか。国民が望んでいるのは即時停止です。誰も言つてない 2030年の選択肢で世論争』誘導するなんておかしなことです。

★外見は絵に描いたような信金マン。語り口調も一穏やか。だが徐々に早口一になり、べらんめえ調がのぞく。町工渇がひしめく東京都大田区の生まれ。
話題が再稼働問題に及んだあたりからヒートアップした。政府は関西電力管内の今夏のピーク需要に対する電力供給力が約15%不足すると試算し、7月に大飯原発3,4号機を再稼働した。今のところ停電はなく、”安定供給”が続く。★

再隊働を判断する際に、最も大事な安全性の議論を無視し、あるいは、事故の原因調査をまったくしないで、ただただ電気が足りないからやるんだと、まさに脅迫的な緊急事態という論理を使って無理やりやった。これは社会正義に反します。しかも、実際は電気が足りている。電力不足の話が虚偽だったのは明らかで、もはや詐欺に近い。
東京電力管内では停電は全くありません。東電が昨年一年間、火力発電所の増設などを真面目にやったからです。ところが関電は全くやらなかった。それなのに電気が足りないと言ったこと自体が不作為の罪、経営ミスです。
金融機関がオンラインシステムを止めたら、厳しく処罰され、場合によっては、取締役も責任を問われ、退陣もあります。独占企業体で、しかも社会の一番の根幹である電気を、恐れ多くも電力会祉の人聞が計画停電すると言った。その責任はどうなされるのか。.
加えて橋下徹大阪市長ら関西の首長でつくる関西広域連合は、再総働反対から容認に転じた際に「一時避難」と言ったのに、この電気が足りている状況においても『原発を止めてほしい」と言わない。結局、本気じゃなかったわけです。常識的に考えれば、容認する前に、電力会社に対して火力発電所の増設を求めるとか、東京都のように自前の発電所の開発を決めたりできたはず。そうしたことを何もしないで、一体何をどう考えていらっしゃるのか。

「闘うことは、宿命、DNA」

★財界の原発維持発言、多くの企業の沈黙、政治家の煮え切らない態度の背景には、原発を巡る利害関係が錯綜していることがある。たとえば金融界では、東電再趨のための融資条件が再縁働と電気料金値上げだったことはもはや常織だ。大飯原発の再縁働に際しても、三菱東京UFJ銀行のトップは 6月、「経済への影響は避けがたい」と早期再再稼働を求めた。★
 
関西電力は、原発が使えないと原発の価値がゼロになっちゃうから、経営的にもたないと言った。仙谷由人(民主党政調会長代行)さんもそう発言しました。それが本音なのです。
みんな不良債権を抱えるのが嫌なのです。 .
メガパンクも、今ここで原発をやめたら、貸しているお金が不良債権になっちゃう。それは耐えられない。目先の損失を何とか回避しないといけない。そのためには原発を再稼働してくれなければ困る。だから、再稼働がなければお金は貸さないといった話が出てくるのです。しかし、仮に不良債権になったとしても、繰延資産に計上しておいて長期的に損金処理すれば問題はない。それこそ官邸が事故直後に練り返した『直ちに(経営に)影響はない」のではないでしょうか。被災地の人たちは、それを健康リスクとして押しつけられたのですよ。
日本のメガパンクは80年代以降、自由化、国際化、つまり金融グローパリゼーションという荒波の中で、生き残りのためにアメリカ流の経営に切り替えていく戦略をとった。米国の大手行が、消費者ローンや投資信託で儲けているならそれをやらなきゃと追いかけ、デリパリティプ(金融派生商品)を売り始めた。これは賭博。お客さんを大損させて、利ざやで儲けたりする。つまり”仁義なき利益主義”です。
その結果、明治時代から続いてきた銀行本来の業務が大きく変質し、ポリシーが失われてしまった。国の将来にとって何が大事かという展望に基づいて金融業務を考えるというよりは、その場その場でどうやって損をしないようにするかで精いっぱいなのです。その先に何があるのでしょう。

★城南信金はパプル期も投機に手を出さず、消費者向けのカードローンやデリパティプなどのリスク商品を取り扱わない。そのルーツは”信組業界のドン”と仰がれた第3代理事長、小原鉄五郎氏(89年没)にある。「カネ儲けが目的の銀行に成り下がるな」「貸すも親切、貸さぬも親切」「カードは麻薬」などと金儲け主義を戒め、必要とあらば国にも物申した。吉原氏77年に慶応大を卒業後入社、小原氏から直接薫陶を受けている。★

60年代に地域や庶民を守る信金の理念が否定され、潰されそうになったことがありました。銀行による買収をしやすくする狙いでした。小原は「カネが猛威をふるい、貧富の差が広大し、人助けができなくなる」と烈火のごとく怒った。そして「国会に筵旗を立ててでも守るぞ」と抵抗し、事なきを得た。城南信金には、大事なものは相手が国であっても闘って守ってきた歴史があります。僕は非常にひ弱な人間ですが、そのことを嫌でも教え込まれたのです。闘うことは、宿命、DNAなのです。
 
 「方向転換しなければ手遅れに」
 
★吉原氏は預金残高を爆発的に伸ばしたアイデア商品を巡り、旧大蔵省と激突したことがある。かつて、「10万円預金すれば5万円が当たる」のうたい文句で横並びの金融業界に風穴を聞けた「懸賞金付き定期預金」を記憶している人も少なくないだろう。94年に売り出すと、城南の突出を嫌った大蔵省が反発、壮絶なパトルとなったが、城南側が世論の圧倒的な支持を受け、正当性を勝ち取った。この商品を考え、法律面を詰め、大蔵省と直接折衝に当たったのが吉原氏だった。★

公正取引委貝会に事前にちゃんと了解をとってあるのに、大蔵省がダメだと言ったんです。場げ句の果てに、東京地検にも呼ばれた。
どんなちっぽけな組織であろうと、正しいことは闘って勝てる。逃げるべきではないと確信しました。

★吉原氏は副理事長だった10年11月、定例理事会で長年トップに君臨してきた相談役とその娘婿の理事長を解任、自ら理事長に就任した。相談役の”懐刀”だった吉原氏の行動は、『城南信金のクーデター」とも言われた。それまでの情実人事や会社の私物化へのアンチテーゼから、世襲を廃し、理事長10歳定年、社用高級車廃止、自らの年収を支店長以下の1200万円に落とし、身をもって旧体制の弊容を一掃してみせた。吉原氏が、周囲から「理念だけでなく、行動力と本物のしたたかさを持つリアリスト」と評される所以だ。★

それまでの二十数年問、間違ったことをずっと放置してしまっていた。嫌な思いをした方、大変な犠牲を払った方々もいました。その方々の無念と、金庫の未来を思ったのです。
なぜ間違った方向にいったかといえば、お金とエゴイズムなんです。どんな会社でも常識になっているとの思いますが、カネと地位を求めて皆が働く、それが会社だ、この考え方が大嫌いなんです。こういうことをやるからとんでもない人間が上に来て、会社全体を暗いものにしてしまう。こういうことは絶対に許せないと思って、だから私はそれを潰すために、しょうがない、やるっきゃないだろうとやったのです。

原発の問題も同じことです。よく考えれば、原子力発電が長続きするはずがない。早いとこ方向転換しなければ、処理の方策がまだ危ない核のゴミがどんどん貯まって、手遅れになる危険性が高い。事実、アメリカの原子力規制委員会は先ごろ、新規の原発設置と期間延長を認めない方針に転換しました。問題を先送りして、自分たちに関係ないからいいや、これが一番嫌いなんです。
by nonukes | 2012-10-15 19:21 | 脱原発大分ネットワーク | Comments(0)

  小坂正則