ブログトップ

小坂正則の個人ブログ

脱原発大分ネットワークの機関誌「つゆくさ通信」2

日本のエネルギー政策と日米安保条約・TPP 諫山二朗

国民の意思を無視した大飯原発再稼動

大飯原発再稼動に抗議する官邸前の金曜日デモの参加者が主催者発表で20万人に達した。60年代、70年代の安保反対デモ以来の規模であるが、デモの様相は全く違う。安保反対のデモは組織化された学生や労働者が中心で火炎瓶やゲバ棒を使った武力闘争であった。今回は主婦やサラリーマンや家族連れなどの今までデモなど参加したことのない生活者が個人の意思で参加している。デモは整然と行われ警察との衝突もないという。
これほどの人々が動員もなく自主的に集まるデモはかつてなかった。しかし、野田首相は国民の大多数の反対を無視して大飯原発を再稼動した。野田首相は大飯原発再稼動に当たっての記者会見で、国民の意見が2分する問題に対して政治が結論出したと誇らしげに語った。意見が分かれているとは言え、国民の7割以上は再稼動反対だった。再稼動に賛成しているのは経済界や電力会社である。政府や経済界は、電力不足で計画停電になれば生活に支障が出ると繰り返し報道して国民を洗脳しようとした。広瀬隆さんや小出裕章さんの本に出てくる過去の電力需要のデータでは原発が無くても電力は足りている。電力不足に関して、政府はその根拠となるデータは示していない。政府や電力会社による電力不足の予測を新聞・テレビは連日たれ流したが、国民の大多数は大飯原発の再稼動に反対した。国民が原発問題に関して自分の頭で考えた結果である。今回の再稼動の決定は2分する世論に対して野田首相が決断したのではない。野田首相は経済界を中心とする原子力村の意向に沿ったのだ。

日米安保とエネルギー政策

野田首相が大飯原発の再稼動を決めた背景にはアメリカのエネルギー政策と関係していると思う。アメリカは日本の脱原発に反対するだろう。一つは経済的理由である。日本の原発はアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社やウェスチング・ハウス(WH)社によって導入され、日立や東芝、三菱などの日本の企業がその系列に連なっている。さらに濃縮ウラン燃料の70%はアメリカからの輸入である。つまり、日本が脱原発に動けばアメリカ企業も打撃を受ける。
軍事的な理由として、横須賀を母港としている原子力空母ジョージワシントンや原子力潜水艦の問題がある。原子力空母は動く原子炉であり、原子力潜水艦は核弾頭を搭載して日本近海を就航し港に立ち寄っている。これらの危険度は原発より大きいと言われている。さらに軍事機密のベールで覆われ、情報はまったく日本国民に知らされていない。
もし日本が脱原発を実現すれば原発より危険な原子力空母や原子力潜水艦への反対運動が起きることが予測される。そうなればアメリカの世界戦略にも影響を与えることになる。アメリカは日米安保条約を盾に日本への原子力空母や原子力潜水艦の寄港を強行するだろう。日米安保条約を見直さない限り、日本のエネルギー政策はアメリカの影響を排除できない。

TPPとエネルギー政策

野田首相はTPP参加を進めている。TPP参加問題は農業問題として議論されることが多いが、TPP参加は様々な分野に影響を与える。TPP参加は日米安保条約の第2条の具体化である。安保条約第2条は「締約国は、その国際的経済政策におけるくい違いを除くことに務め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」と謳っている。この条文の意味するところは、日本の制度をアメリカに合わせると言うことである。当然エネルギー政策にもアメリカの意向がより強く反映されるだろう。TPPの中にISD条項がある。ISD条項とは投資家や企業が相手国に不平等な扱いを受けたときなどに相手国をその企業が訴えることができるという条項である。
「ISD条項は、政府の政策が投資家にどれくらいの被害を与えたかという点だけに向けられ、その政策が公共の利益のために必要なものかどうかは考慮されない。」(米国丸儲けの米韓FTAから日本は何故学ばないのか 中野剛志)
この条項が批准されれば、遺伝子組み換え作物の栽培を認めない日本政府に対して、非関税障壁による損害を受けたとして、多国籍企業のモンサント等が政府を訴える可能性がある。
原子力に関しても同じような訴えが起きるのではないかと懸念される。すでに述べたように日本の原子力はアメリカの原子力政策と深くかかわっている。日本が脱原発の方向に舵を切れば、アメリカは経済的、軍事的に大打撃を受ける。それを阻止するためにTPPが有効な手段となるのではないか。
by nonukes | 2012-07-24 23:26 | 脱原発大分ネットワーク | Comments(0)

  小坂正則