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小坂正則の個人ブログ

「原発を全廃すれば電気料金は値上げせずに済む」大島教授

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立命館大学国際関係学部教授
大島堅一

プロフィール▶おおしま・けんいち
福井県出身。一橋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。経済学博士。高崎経済大学助教授を経て、2008年から立命館大学国際関係学部教授。専門は環境経済学、環境政策学。著書『再生可能エネルギーの政治経済学』(東洋経済新報社)、『原発のコスト―エネルギー転換への視点』(岩波新書)など多


総括原価方式で東電は6000億円余分に儲けていた
電気料金値上げの前にまず電力会社の財務調査を


全国の原発が停止するなか、東京電力は4月からの電気料金値上げを申請。原発を止め続ければさらに電気料金は上がるのか?資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本問題委員会で原発のコスト問題に切り込んでいる、立命館大学国際関係学部教授の大島堅一さんに話を聞いた。

停止しても莫大な
固定費がかかる原発


―4月から燃料費高騰を理由に電気料金が値上げされますね

 原発を止めて火力発電を稼働させると、化石燃料の焚き増し分が生じることは事実です。しかし、同時に問うべきなのは、「原発を止めたのになぜその経費は浮かないのか」ということです。
 原発を止めても、維持・管理のための固定費は全然減りません。人件費や修繕費、維持管理費はそのまま必要になる。その上に火力の燃料費が上乗せされるわけです。
 もし原発を止めたらほとんど固定費がいらないとすれば、電気料金の値上げなど必要ないかもしれない。具体的には電力会社の財務資料を詳しく分析しないと分かりませんが、いずれにしても原発は発電しなくても膨大な経費がかかるシステムであり、電気料金値上げのもう一つの重大な理由はそこにあります。
 止めていてもお金がかかるのですから、今一番無駄なお金がかかっているといえます。もし中途半端に止めるのではなく、全廃すると決めれば、こうした費用のほとんどは必要なくなります。残る必要経費は廃炉や放射性廃棄物の処分だけで、これは今止めようが後に止めようがいずれ必ず必要とされる経費です。

―推進側は原発再稼働の口実にしたくてたまらないのでは

 経産省にしろ電力会社にしろ、本音はそうでしょうね。原価償却が終わった古い原発などは、動かせば動かす分だけ儲けになるわけですから。しかしそれは3・11前には通用したかもしれませんが、もう無理だと思います。
 少なくとも現在の野田政権も、原発への依存度をできる限り減らしていくと表明しているわけですから、電気料金値上げを脅しにして無理矢理再稼働するのは難しいでしょう。
 本来なら、具体的データに基づいた中味のある議論が行われるべきです。電気料金についても、原発を全廃したらどうなるのか、一部再稼働したらどうなるのか、再稼働せずに止めておいたらどうなるのか、それぞれシミュレーションすれば分かるはずです。
 私は、廃炉せず、原発を適当に止め、それに火力を上乗せしている現在の状況は、電気料金のピークではないかと思います。それでも10%~15%の値上げだと言っているわけですから、「この程度なのか」とも思います。10%~15%節電すれば同じ電気料金で済むわけですから。
 ですから、仮に「原発を止めたら電気料金が上がる」という議論に乗ったとしても、この程度の値上げ負担と、万一の事故の際に被るリスクを比較すれば、私は原発を全部止めてもいいと考えています。全部止めれば膨大な固定費のほとんどは無くなるわけですから、これ以上電気料金が上がることはないはずです。
 具体的なデータなりシミュレーションを国民に開示していけば、多くの人が納得できる結論が出ると思います。

―総合資源エネルギー調査会基本問題委員会での議論は?

 先日も電気事業連合会の方のヒヤリングが行われて、原発必要論を主張されました。その内容は従来と変わらないものでしたので、いくつか具体的なことを質問しました。
 「どの発電方式をどのような比率でいつ稼働させているのか、そして電力がどのような使われ方をしてどのくらい足りないのか」と。残念ながら私の質問には一切答えてくれませんでした。
 震災後、ようやく各電力会社は発電能力と需要予測を公開するようになりましたが、それでも、ある特定の時間にどのような電力構成となっているのかは一切ブラックボックスのままです。深夜の余剰電力を利用する揚水発電がどう動いているのかも分かりません。
 さらに私は、「国民に大きな不信を抱かせている原子力ムラの構造を変えるつもりはあるのか?立地自治体への寄付など止める意思はあるのか?」と問いましたが、真っ赤な顔をして原発の必要性を主張するだけで、肝心の質問には全然答えてくれませんでした。   一番大きな問題はやはり、冷静な議論の前提となる具体的な情報について開示しようとしないことです。東電についてはさすがに、第三者委員会である経営財務調査委員会が財務状況についてメスを入れ、その報告書が昨年出ました。ところが未だに他の電力会社については一切メスが入っていません。
 東電の財務状況の精査で分かったことは、11年間で6000億円も余分に電気料金を徴収していたことです。加えて、3000億円以上のお金が事業報酬として余計にとられていました。違法ではないとはいえ、適切とは到底いえない状況でした。
 当然他の電力会社も同じシステムで電気料金を徴収しているわけですから、同様のことがまかり通っている可能性は十分にあります。ですから、原発を止めたことで財務状況が悪化しているから電気料金を値上げしたいと言うなら、当然第三者委員会のような組織が財務状況の調査に入るべきです。本来なら自らすすんで公表すべきことだと思いますが。
 表に出ている財務状況だけ見ても本当のことは分かりません。東電の場合は、総括原価方式で電気料金を申請する際の費用と、実際にかかった費用がずれていた。11年で6000億円もです。
 現在の総括原価方式とチェックシステムには、こうした抜け穴がいっぱいある。経産省も分からなかったわけですが、チェックする能力がないのでしょう。そもそも過去に財務状況の精査などやったことがないわけですから。しかしこれからはきちんとやるべきです。

―委員会では新しいエネルギー計画を策定するのですか?

 委員会では2030年までの電源構成をどうすべきかと、各委員に意見を聞きました。原発を30%にするとか10%にするとか意見を出せと言うわけです。しかしこれは余りにも愚かな問題設定です。こんな数字遊びでエネルギー政策が成り立つわけがありません。

廃炉を決めれば負担額は減るはず
電力構成は未だにブラックボックス
再稼働問題すら議論しない委員会


 仮に原発を0%にすると決めたとしても、肝心なのはそれをどう実現するのかという具体的政策の中味です。それを議論するのが基本問題委員会のはずですが、まったく機能していない。
 総合エネルギー調査会・需給部会で将来のエネルギー需給をシミュレートすることは今まで何度もやってきましたが、そんな見通しなんて一度も当たったことはありません。それと同じことをまたやろうとしているわけです。
 はっきり言って2030年のエネルギーミックスなど分かるわけがありません。原発を再稼働するかどうかすら決まっていないわけです。つまり半年後のエネルギーミックスすら分からないのに、なぜ何十年も先のことが分かるんでしょうか?
 具体的政策を出すためには、まず目の前にある本質的問題について深く検討することが不可欠です。現在最大の焦点となっている再稼働問題にしても、まずどの原発が一番危険なのかを議論することは、推進派にしろ反対派にしろ可能だと思います。その上で一番危険な原発から順次廃炉にしていく選択肢もあり得ます。
 少なくとも40年も稼働し老朽化している美浜原発1号を止めたのに、定期検査して再稼働を待っているなんてあり得ない話ですね。国は40年経過したら廃炉にすると表明しているわけですから。「いくらなんでも美浜は廃炉でしょう」という話ぐらいはできるはずなんですが、委員会ではこうした本当に焦点になっている問題には一切触れようとしません。
 例えば先ほど指摘した電力会社の財務体質の問題なら、今後どのようなチェックシステムをつくり健全化させるのかが問われます。これが健全化しないと、原発を止めて電力会社の経営がどれほど影響を受けるのかも実際には分かりません。本当にデータを出してみたら、せいぜい電気料金が10%上がる程度なのかもしれない。だとすれば多くの国民は、原発事故のリスクよりもこれぐらいの負担なら我慢できると考えるかもしれません。
 こういう具体的事実を一つ一つ積み上げていかないときちんとした政策など生まれるわけがないのですが、「原発を止めたら大変なことになる」と脅しのようなかたちで再稼働が主張されている。本当に不毛な議論に終始しています。
 私は具体的なデータ、事実に基づいて大いに議論したいのですが、多分今までそうした議論をやったことがないんでしょうね。

―3・11をターニングポイントにするには何が必要ですか?

 やはりドイツなどヨーロッパ先進諸国のように再生可能エネルギーが普及するための効果的制度を整備することです。ドイツの経験からすれば、正しく制度設計すれば爆発的に普及しますから、原発の再稼働の議論は吹っ飛ぶはずです。具体的には現在行われている調達価格等算定委員会での議論がどうなるのかにかかっています。
 もちろん基本問題委員会でも、再生可能エネルギーの普及について否定する委員は誰もいません。ただヨーロッパの様なドラスティックな変化を経験していないので、産業界の人たちは今ひとつピンとこないようです。
 私は正しい制度設計により、再生可能エネルギーが新しいビジネスになると確信しています。そうなれば産業界も一斉に動き出しますよ。
 例えばドイツでも当初、電力会社は再生可能エネルギー導入に反対し、できる限り抑え込もうとしました。しかし国民世論に押されて固定価格買取制度が成立してみれば、これが新しい産業として急成長することが分かった。ビジネスチャンスが生まれた途端に、電力会社は反対どころかどんどん導入する側に変わりました。その点からすると、日本は本当に10年、20年遅れているので、全然実感が湧かないんでしょうね。
 ではどのような制度が必要なのか。まず第一に再生可能エネルギー電力の買取価格を適正な水準まで高めることです。もうひとつは優先接続、つまり再生可能エネルギーによる発電施設をつくった場合には、電力会社は必ず送電線に接続しなければいけないと義務化することです。

正しい制度設計で再生可能エネルギーを

 日本ではこの二つがどうなるか、まだはっきりしていません。買取価格については調達価格等算定委員会が議論していますが、買取価格も買取期間もどうなるかまだ分かりません。優先接続にしても、一応法律には明記されていますが、設備要件など実際の運用に関しては経産省の省令にかかっているので、せっかく発電施設をつくっても確実に接続できるかどうかは分かりません。
 それにしても経産省は本来、日本の産業を発展させるために存在しているはずですよね。こうした制度設計を早くやればやるほど新しい産業が爆発的に成長して新しい雇用も生まれるのに、一体全体何をしてるんだと言いたいですね。現状ではむしろ足を引っ張っている有様です。
 ヨーロッパは「環境にいいから」とモラルにだけ訴えて再生可能エネルギーを普及させているわけではありません。「儲かるからやる」となれば、国が上から号令をかけなくても自然に普及していくし、それによってこそ社会は大きく変わると思います。ぜひ今後の制度設計の動向に注目してもらいたいと思います。
Commented by Pascal at 2012-06-12 23:11 x
年間1兆kwhのうち原発で30%の3000億kwhを賄っていた年間売り上げ6兆円です。これを火力で代替すると数兆円のランニングコストがさらに必要となる。3年もすれば電力会社は破綻の危機に見舞われる。
Commented by BkkGonzou at 2013-05-21 12:36 x
ka

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会社経営したことない馬鹿発見
Commented by レア真海 at 2013-05-21 12:40 x
nonukesさん、はじめまして。
いろいろと記事を読ませていただいています。

今回のこの記事を、わたしのブログに転載させていただいてもよろしいでしょうか?
お返事お待ちしています。
Commented by 正気? at 2013-05-21 13:31 x
この人は廃炉には1円もかからないと思ってるの?
脳みそがお花畑なの?
Commented by では at 2013-05-23 05:47 x
いまある放射性廃棄物どうすんの?
研究者が放棄したら永遠にそのままだよ?
歴史後退させたところでこの先どうなるかくらい想像つくでしょ。
Commented by 原発推進派 at 2013-05-26 04:44 x
原発ゼロで燃料調達費が4兆円以上も増大、電力各社は数千億の赤字が出ています。大阪市は関電からの法人税300億を失いました。料金値上げで、製造業は国内生産が困難に。日産のゴーンも原発無しで日本経済が保つのかと呆れてました。逆に原発をフル稼働させて値下げすれば、それこそ景気回復の起爆剤になると思います。皆さんが恐れる低線量被曝に危険はありません。これはあと数年で証明されるでしょう。そしてダライ・ラマの、原発が無いと貧富の差が広まるという言葉を。資源を巡って人間は殺し合います。もし世界が全ての原発を止めたら、途端に化石燃料が暴騰すると思いますが、如何でしょう?
Commented by nonukes at 2013-05-26 15:44
ずいぶんいろんな方がコメントを書き込んでくれましたが、おおむね批判的な書き込みが多いですね。まず、廃炉費用を計算していないという方への反論です。このまま運転を続けたとしてもやがて廃炉は避けて通れませんね。だから大島教授は廃炉費用は計算しなかったんだと思います。どっちにしても必要な経費だからです。
原発推進派の方の最後の書き込みですが私が反論するに耐える内容ではありません。経済損失があるから原発を動かせというのでしたら、あなたが福島の強制避難地域に移住してみてはどうですか。核のゴミの最終処分場もないのにこれ以上無責任に核廃棄物を作り続けることは未来の子孫への冒涜です。以上。
転載してもいいかという方へ。私はこの記事は無断転載です。だから私がいいとか悪いとかは言えません。あなたの自己責任でお願いします。
Commented by 原発推進派 at 2013-05-27 21:03 x
まず自分は福島の現在の線量は避難が必要なレベルでは無く、反原発派の人は此処を史上空前に勘違いしているという認識なので、ボタンの掛け違いは避けられないと感じています。つまり以前はハンセン病の人が差別されていたように、現在は放射線は怖いという誤解が広まり過ぎて、感情論が全ての理性的な考えを排除している、という立場なのです。また福島に住んでみろという反論もよくあるパターンですが、食物なら、1000ベクレル超でも喜んで頂戴します。
Commented by 原発推進派 at 2013-05-27 21:32 x
最新の放射線防護学や放射線医学での認識では、福島は避難の必要は無いのです。これはWHOの調査委員も認めています。被曝の健康被害を恐れる余り、更に酷い被害が出ているという現実は、もっと真剣に議論されるべきです。反原発の人の多くが、繊細な潔癖性から核を忌むのは理解出来ます。ですが善と悪は表裏一体として混淆として存在するのです。負の側面ばかり視ていては、本質を見失ってしまい新たな不幸を招いてしまうのではないでしょうか。私に嫌悪感はあるでしょうが、この動画を是非一度観て、感想を戴きたく存じ上げます。http://www.youtube.com/watch?v=HczJtRkfX1I
Commented by 本当に推進したいなら at 2013-06-19 11:08 x
↑【本当に原発を推進したいならもっときちんとして下さい。と言いたい】

いろいろ書こうかとおもいましたが、本質的な問題として原発という安全管理を徹底的にしないといけないはずの発電システムを、それを扱うにはあまりにも杜撰な組織が運営しているという事です。
ある意味原子力発電はすばらしいシステムかもしれません。生み出す熱エネルギー量とかそのほかもろももろ。しかし、それを扱う組織や団体が腐っています。
しかも事故後の対応その他を見ていると、自己浄化能力があるようには全く見えません。安全対策よりコストカットを優先する組織です。また、儲けは自分たちに、事故の損害は国民負担とする組織です。
そして、天下り組織があまりに多すぎます。しかも、あまり意味の無い会社/グループ/組織がたくさんあります。

今改革を行っているとおっしゃるかもしれませんが、どうみてもうわべだけです。また、コストに関しても、いろいろ誤魔化して発表していたりもします。表面にでていないコストはどのくらいあるのかわからないくらいです。

Commented by 放射線の害について at 2013-06-19 11:08 x
【放射線の害について】
感情論で放射線が怖いと言っている方ばかりではありません。低線量の長期被爆に関しては、しきい値はないというレポートを見ました。まだどのくらいから安全/危険なのかは正確には判断出来ないのではないですか。また、個人差があると聞きました。( 児玉龍彦教授などより)
食物添加物や薬品、農薬も「これは安全だ。消費者は騒ぎ過ぎ」と言われていたものが、数年後に「危険」と判断されて使用禁止になる例もあります。

推進派の方がいくら安全だといっても100%信用する事はできません。「とにかく信じろ」というのは、科学ではありません。宗教です。私はいろいろな論文やレポート(もちろん反対は派、賛成派ともに)を読んで自分で判断していきます。
また、原子力に関しては、WHOの独立性には関して疑問が多くあります。
(IAEAやICRPの影響が大きい)

「食物なら、1000ベクレル超でも喜んで頂戴します。」
もし私が、1000ベクレルを摂取していき、数年後に健康被害になった時は誰も助けてくれません。自己責任ですのもね。
Commented by 小言幸兵衛 at 2014-02-18 12:05 x
初めまして。本来は落語のブログ「噺の話」の管理人ですが、3.11以降、原発についても書いています。
電力会社の再値上げの動きに腹が立ち記事を書いていますが、是非こちらの記事を引用させていただき、リンクもさせていただきたく思います。よろしくお願いします。
Commented by nonukes at 2014-02-18 15:10
小言幸兵衛さま
この記事は実は無断転載です。だからわたしからいいとか悪いとか言う権限はありません。自己責任でお願いします。
Commented by 通りすがりの民 at 2016-01-06 13:48 x
至極全うな論理展開をされていましたね。記事当時からは電力販売の自由化が実施された現段階はイメージ出来ておられないかとは存じますが、アメとムチにより原発再稼働はなし崩し的に進んでしまいました。おっしゃる通りの未来政策決定の根拠については論議はされずじまいまま…民主主義は機能しないままの政治後進国の状態で金至上主義の支配が蔓延しています。憲法で保証された健康で文化的な最低限の生活に原発廃止は最も合理的な政策として議論されて然りと感じます。そのための情報開示と選挙の争点化を盛り上げていきたいと感じます…民主主義国家として
by nonukes | 2012-06-11 08:49 | 脱原発大分ネットワーク | Comments(14)

  小坂正則