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小坂正則の個人ブログ

九州電力への公開質問状です

2011年4月1日
九州電力株式会社
代表取締役社長  眞部 利應 様

脱原発ネットワーク・九州 代表 深江  守
九州電力消費者株主の会 代表 木村 京子
東日本大震災と玄海・川内原発に係る公開質問書

 3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震を引き金に、私たちが最も恐れていた原発震災がついに現実のものとなってしまった。稼働していた福島第一原発1、2、3号機は地震の揺れを感知し自動停止したが、その後襲ってきた津波により電源を喪失してしまい原子炉の冷却ができず、複数の原子炉で炉心溶融を起こしてしまった。また使用済核燃料プールの水も沸騰する事態となるなど、すべての原子炉施設が炉心溶融、水蒸気爆発、核爆発等の危険をかかえたまま今に至っている。
奇跡的にチェルノブイリ事故を上回る破局的な事態が避けられたとしても、原子炉を冷却し続けるという決死の作業は2か月、3か月と続くことになる。その間、高濃度の放射能は遮るものもなく環境中に放出され続け、広い範囲に放射能汚染地帯が生まれることは避けられない。私たちは、20有余年に亘り、原発震災・老朽化・処分できない放射性廃棄物問題等、原発の抱える問題を株主総会をはじめ様々な場面で提案してきた。


1、福島原発事故をどう考えているか。「想定外」との言葉が聞かれるが、原発震災を危惧する良心的な学者や市民は、以前から「想定外」と言われる事象を想定し、安全対策が不十分であると何度となく指摘してきた。福島原発事故を経験した今でも、「想定外」の地震や津波が玄海や川内を襲うことは想定できないか。

2、私たちは、第84回定時株主総会で、「原子炉地震対策委員会の設置」を求める株主議案を提案した。その中で「どの原発でもマグニチュード7.3の直下型地震を想定し、原発を襲う地震動の設定、安全評価をやり直すべきだ」と指摘した。それに対する九州電力の回答は、「詳細な地質調査に基づきサイト毎に考えうる最大の地震を想定するとともに、主要な設備について評価を行い、耐震安全性が確保されていることを確認した」というものであった。この回答に今でも変わりはないか。

3、原子力安全委員長の班目(まだらめ)春樹は、東京大教授だった当時の07年2月、中部電力の浜岡原発をめぐる訴訟で中電側の証人として出廷し、原発内の非常用電源がすべてダウンすることを想定しないのかと問われ、「割り切りだ」と答えている。
「非常用ディーゼル2個の破断も考えましょう、こう考えましょうと言っていると、設計ができなくなっちゃうんですよ」「ちょっと可能性がある、そういうものを全部組み合わせていったら、ものなんて絶対造れません」と答えているが、九州電力も同じ考えだと理解してよいか。

4、原発は地震の揺れを感知し緊急停止したとしても、電源を失えば制御できない核兵器であることが分かった。玄海・川内原発では非常用も含めた全電源を喪失することなどあり得ないことか。

5、外部電源を失い、非常用電源が立ち上がらなかった時、炉心と使用済燃料プールの冷却対策をどう考えているか。

6、2011年3月末時点で、火力、水力、原発、再生可能エネルギーの設備容量と稼働率はどうなっているか。揚水発電を水力に組み込む場合、その稼働率は別記とすること。また、現在休止している火力発電所の設備容量も別記とすること。

7、2010年10月26日付朝日新聞(佐賀版)に以下の記事が掲載された。「九州電力の玄海原子力発電所(玄海町)1号機の将来の安全性を示す指標のひとつである『脆性遷移温度』について、『運転開始35年の現在は80度、想定運転年数の60年運転の場合は、91度と換算され、いずれも基準値の93度を満たしている』・・脆性遷移温度は98度だったが、分析に使う試験片は、原子炉圧力容器の燃料に近い所に置かれているため、中性子の照射量は85年間運転相当。ここから、現在と60年間運転の脆性遷移温度を換算し、『仮に60年間、運転しても基準は満たす』と推定。脆性遷移温度は、原子炉圧力容器の鋼鉄のもろさを示す指標。玄海原発でも原子炉の高経年化が進むなか、その値の上昇ぶりが、原発反対の住民団体などから注目を集めている」。

① 脆性遷移温度の変化を調べる試験片は原子炉内に何個入れてあるのか。玄海1,2,3,4 川内1,2 それぞれ回答すること。

② これまでの試験片の分析結果を原子炉ごとに明らかにすること。

③ 原子炉圧力容器の脆性遷移温度の規制値は93度であり、この程度劣化したなら、圧力容器を使用してはならないと規制されているが、九州電力の認識はどうか。

④ 配管等が破断し一次冷却水喪失事故等が発生した時、大量の水が炉心に注入されるが、脆性遷移温度が高くなると、その衝撃(温度、圧力等)で原子炉自体に亀裂が入るなどの損傷が起きる可能性が極めて高くなると思われるが、そういう可能性はないのか。

⑤ 「60年運転の場合91度と換算され」とあるが、その根拠についてデータを公開し明らかにすること。

8、川内原子力発電所3号機増設の立地可能性を探る環境調査(①地質調査、②気象調査、③環境アセス)には放射能影響調査が含まれていない。原発は5重の壁に守られているので放射能が外部に漏れ出ることはないというウソはもはや通用しない。福島の事故を経験した以上、環境調査の中に放射能影響調査を入れるべきだと考えるが、どうか。

9、政府も原発の新増設について再検討することを明らかにしている。政府の再検討とは関係なく、九電として、増設の見直しを表明すべきではないか。


9、原発事故が起きたときの住民の避難計画はどうなっているか。また、その避難範囲は何キロか。

10、東電へはどういう支援を行っているか。



以上
by nonukes | 2011-04-21 12:29 | 原発とめよう!九電前ひろば | Comments(0)

  小坂正則

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