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小坂正則の個人ブログ

スマートグリッドによる電力革命が静かに起きている


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オバマ大統領とグリーンニューディール

                                          小坂正則
 「スマートグリッド」という言葉、皆さんは聞き慣れない言葉かもません。ところが本屋に行くとスマートグリッド関連の本が、エネルギー関係のコーナーに10冊は並んでいます。それほど今は、スマートグリッドブームなのです。スマートグリッドとは一言でいえばと「賢い送電網」といいます。「各家庭の電力メーター(スマートメーターといいます)が、ちょっと利口で、太陽光発電を設置している家庭などでは電力需要に応じて電力会社との間で電気のやりとりをスムーズに行います。また、電力会社の指令でクーラーを止めたり、動かしたりして、需給調整も行えます。電気使用量を電力会社の社員が検針に家まで来る必要もなくなります。それにより何万人もの雇用がなくなるという深刻な問題はありますが、要はコンピューター付きの電力メーターがインターネットにつながったものということです。
 このスマートグリッドが注目されるのはオバマ大統領が就任したとき、大統領は「グリーンニューディール」政策を打ち出しましたが、その本命が、このスマートグリッドだと言ってもいいでしょう。オバマ大統領は「スマートグリッドの実験を全米で行い、米国がスマートグリッドの世界標準化を目指す」と宣言しました。スマートグリッドを最初に普及させたメーカーや国が世界の標準となり、スマートグリッドの世界を制覇することになるからです。まさに、マイクロソフトがウインドウズというOSで世界を支配したのと同じ構図がここには潜んでいるのです。これには電力会社だけではなく、IT企業も参入して、世界中で激しい競争が繰り広げられているのです。世界中の電力メーターがスマートメーターに変わる日は目前なのです。

スマートグリッドで何が変わるの

 スマートグリッドで何が変わるのかということですが、オバマ大統領は全米に数万の巨大風車を建てて、米国の全ての電力を、この風車の電力で賄うという計画を立てています。その電力の融通をスマートグリッドにやってもらうのです。また、米国の電力事業は自由化が進んでいますので、誰でも一定の基準さえあれば電力事業に参入できます。そこでは電力の売り買いが自由に決められますので、激しい競争に晒されているのです。だから、送電網に設備投資が行われて来なかったために送電線が日本に比べて脆弱で、古い施設で更改しなければならない時期にきていることや、巨大な発電施設を作ったら、巨大な送電線が新たに必要になるという問題がありました。この問題を解決するのがスマートグリッドなのです。スマートグリッドはインターネットと同じ原理で縦横無尽に繋がったネットワークを利用して電気を融通し合うので中央から一方的に電気を送る日本の電力会社のような中央集中的なシステムは必要ありません。だから日本のような巨大な送電網への設備投資が不要なのです。日本は日本列島を横断するような強大な送電網が走っています。だから日本の電力会社は「スマートグリッドは日本には必要ない」と強弁していました。
 スマートグリッドで一番変わることは「自然エネルギーによる電気は変動が激しく、全ての電力を自然エネルギーで賄うことは困難だったのが、これが電気自動車などのバッテリーと組み合わせれば可能となる」ということです。日本の電力会社は原発がとてもお好きなようで、「全需要の5%までしか自然エネルギーは受け入れられない」と言って自然エネルギーを拒否してきました。ところがさっきも言ったように「全ての電力を自然エネルギーで賄う」ということが現実になれば、原発の電気が余ってしまうのです。だから日本の電力会社はスマートグリッドを嫌っていたのです。日本の電力会社も、ここに来てやっと重い腰を上げましたが、米国に2年から3年遅れています。この遅れは開発競争にとって致命的な遅れとなるでしょう。

日本の電力会社がだめなら米国の電力会社に来てもらおう

 日本の電力会社は原発に固執しているので、スマートグリッドを導入しても、全ての電力を自然エネルギーにする気は毛頭ないでしょう。僅か5%以内の現状の買電を10%くらいまでに引き上げる程度でしょう。それなら米国やドイツの電力会社に来てもらい100%自然エネルギーで私たちの電気を賄ってもらおうではないですか。ドイツでは現状でも全電力の20%を風力発電で賄っている地域があるのですから。デンマークでは50%もあります。

日本の電力会社のガラパゴス的な発想はもう通用しません

 日本の電力会社の発想は世界標準ではありません。日本の電気が世界一の高品質だということは事実ですが、たかが電気に、そんなに高品質を求めることはないのです。よそ行きの衣服にハイヒールを履いてグッチのバックを持って野良仕事に行くようなもので、バカげています。日本の電力会社は、必要ないものにやたらとお金を掛けているおバカさんなのです。それよりか、用途にあった程度の品質で、安く、環境に負荷を掛けない方法で安定して供給するという、本来の電力会社のあるべき姿に立ち返ってもらわなければなりません。
 日本の電力会社がガラパゴス的な発想しかできないのは、地域独占で競争を知らない親方日の丸経営にどっぷり浸かってきた弊害なのです。これまではお国のいうことを聞いて原発やれといえば素直に従ってやっていればよかったのです。護送船団方式といって業界を丸ごと国が守ってくれていたのですから。しかし、この国は沈没間近の財政です。そんな余裕はもうありません。CO2削減のためにも世界標準の電力供給体制に変えましょう。
by nonukes | 2010-09-03 16:33 | 自然エネルギー | Comments(0)

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